チュートリアル: 適合性解析によるサイトのランク付け

Business Analyst ライセンスで利用できます。

適合性解析は、複数の重み付けされた条件に基づいてサイトをランク付けおよびスコア付けするために使用されます。適合性は、インストールされた Business Analyst データセットまたはサイト属性を持つ ArcGIS Online のデータ変数に基づいてランク付けされます。条件を選択したら、その条件を重み付けし、各サイトの加重スコアを取得し、サイトの適合性を最大から最小までランク付けした最終スコア ランクを確認できます。適合性解析は、一連のポイント位置サイト、ポリゴン領域、標準区画、またはそれらの組み合わせに対して実行できます。[適合性解析] ツールセットには、[ジオプロセシング] ウィンドウの [Business Analyst] ツールボックスからアクセスします。

ジオプロセシング ツールの完全セットが表示されるのに加えて、適合性解析レイヤーを作成したときに [適合性] タブが表示されます。このタブにアクセスするには、[コンテンツ] ウィンドウで適合性解析レイヤーを選択し、[適合性] をクリックします。

[適合性] タブから、以下のワークフロー コンポーネントにアクセスできます。

  • 条件の追加 - ジオプロセシング ツールを呼び出して、変数、ポイント、フィールドの 3 つのタイプの条件のいずれかを追加できます。
  • 適合性条件 - 条件の設定を確認および変更する際に使用します。
  • 属性テーブル - 追加されたすべての条件 (レコードごとに個別に、あるいはまとめてスコア付けされる) を含む適合性解析レイヤーの属性テーブルを開きます。
  • 重み付けのリセット - すべての条件にわたって均等に重み付けを再分配し、等しい重要性を実現します。
  • 自動計算 - 条件が変更されるたびに、適合性スコアを自動で再計算します。

手順

適合性解析の実行例を以下に示します。このワークフローは、候補位置の特定、条件の追加、パラメーターの設定、適合性スコアの計算から構成されます。

例として示すシナリオは次のとおりです。あなたは、大手不動産会社のアナリストです。E コマースのクライアントに代わって、新規の配送センターを配置するために最適な市場を設定するという職務が与えられています。理想的な市場が特定されたら、適合性解析を使用して、その中の最適なサイトの位置を正確に特定します。ただし、このチュートリアルの目的は、拡大のための最適な市場を特定することのみです。次の条件を使用して、最適な市場を決定します。

  • 人口数が多い
  • 大卒の大人の人口比率が高い
  • 民族の多様性が高い
  • 他の成功している市場と平均世帯収入が一致している
  • 住宅価格が比較的手頃である
  • 市場の中心から 50 マイル以内に国際空港がある
  • 好適なサプライ チェーン/配送プロバイダーがある (ハブ)

さらに、クライアントは、最近、Esri Tapestry Segmentation を使用して最適な従業員の解析を実施し、対応する LifeMode カテゴリの数を提供しました。米国内の群別に LifeMode 5 の数が示され、あなたはこの属性を入力レイヤーに追加しました。

クライアントは、米国内の各群を市場として特定し、これらが入力レイヤーとして使用されます。

適合性解析ワークフローを開始するには、USA_ESRI_2019 データセットを使用します。

適合性解析レイヤーの作成

ArcGIS Pro を開き、データを用意したら、まず、適合性解析レイヤーを作成します。

  1. [適合性解析レイヤーの作成 (Make Suitability Analysis Layer)] ツールを開きます。
  2. [入力フィーチャ] で、プロジェクトからフィーチャ レイヤーを選択するか、ホスト コンテンツまたは共有コンテンツを参照できます。参照ボタン ポイント フィーチャの参照 をクリックし、[US_Counties] を選択します。
  3. [レイヤー名] テキスト ボックスに「Market Suitability Candidates」と入力します。
  4. [実行] をクリックします。

適合性解析レイヤーが作成され、[コンテンツ] ウィンドウに追加されます。

次に、ArcGIS Living Atlas of the World にアクセスして、クライアントが条件に指定した人口統計条件を候補地に付加します。

この操作は、[変数に基づく適合性条件の追加 (Add Variable Based Suitability Criteria)] ジオプロセシング ツールを使用して実行します。

条件の選択

  1. [変数に基づく適合性条件の追加 (Add Variable Based Suitability Criteria)] ジオプロセシング ツールを開きます。
  2. 適合性解析レイヤーを入力として指定し、[変数の追加] ボタン 変数の追加 をクリックします。

    [データ ブラウザー] ダイアログ ボックスが表示されます。

    データ ブラウザー ダイアログ ボックス

  3. [USA_ESRI_2019] データセットで、[カテゴリ] をクリックします。

    右側のウィンドウにデータセットのカテゴリが表示されます。

  4. 変数を選択するには、個々のカテゴリをクリックするか、右上の [変数の検索] フィールドを使用します。
    選択されている [Total Population]
  5. 次の変数を選択します。
    • 2019 Total Population - 総人口数の多い市場を特定します。
    • 2019 Diversity Index - ランダムに選んだ 2 人の民族または人種が異なる可能性を計測します。値が高いことは、市場内の多様性が高いことを示します。
    • 2019 Educational: Bachelor's Degree - 大卒の人口の割合を示します。
    • 2019 Median Home Value - 住宅価値を米国の全国平均 (インデックス 100) と比較したインデックス測定値を示します。
    • 2019 Median Household Income

    各変数を選択すると、[変数の検索] フィールドの真下に更新された数が表示されます。

    追加された 5 つの変数

  6. 変数の追加を完了したら、[OK] をクリックします。

    結果が [ジオプロセシング] ウィンドウに表示されます。

    リスト表示されている 5 つの変数

    ここから、変数の追加または削除、変数の順序変更、値の切り替えを実行できます (インデックス インデックス、数 数、またはパーセンテージ パーセンテージ)。

  7. [実行] をクリックします。

これで、条件の作成が完了したため、それぞれのデフォルト設定を確認します。

条件の確認と編集

このセクションでは、[適合性] タブを使用した手順を実行します。

  1. [コンテンツ] ウィンドウで、[Market Suitability Candidates] レイヤーを選択します。
    [コンテンツ] ウィンドウでハイライト表示されている [Market Suitability Candidates] レイヤー

    [適合性] タブが表示されます。

  2. リボンの [Business Analyst] で、[適合性] タブをクリックして、[適合性条件] をクリックします。

    [サイトの適合性] ウィンドウが表示されます。デフォルトでは、5 つの条件の重み付けはすべて同じで、[影響度] 設定は正になっています。

    重み付けが同じ 5 つの変数

    変更が必要と考える場合でも、ポイントおよびフィールドに基づく条件が追加されるまでお待ちください。クライアントが、市場内で大規模国際空港とサプライ チェーン ハブへの必要な近接性を指定しているためです。

ポイントに基づく条件の追加

このチュートリアル パートでは、次の 2 つの方法を使用してポイントに基づく条件を作成します。

  • [カウント] タイプ - サプライ チェーンのハブを含む市場を特定する場合。
  • [距離] タイプ - 大規模空港への理想的な近接性を持つ市場を特定する場合。

サプライ チェーンのハブと大規模空港の解析には、ArcGIS Online のデータを使用します。

  1. [ポイント レイヤーに基づく適合性条件の追加 (Add Point Layer Based Suitability Criteria)] ツールを開きます。
  2. [ポイント レイヤーに基づく適合性条件の追加 (Add Point Layer Based Suitability Criteria)] ウィンドウで、以下を実行します。
    [ポイント レイヤーに基づく適合性条件の追加 (Add Point Layer Based Suitability Criteria)] ウィンドウ
    1. [入力適合性解析レイヤー] には、[Market Suitability Candidates] を選択します。
    2. [サイト レイヤーの ID フィールド] には、[OBJECTID] を選択します。

      [サイト レイヤーの ID フィールド] パラメーターは、各ポリゴンとそれに対応する属性テーブル レコードを一意に指定します。

    3. [ポイント フィーチャ] パラメーターの横にある参照ボタン ポイント フィーチャの参照 をクリックして、[Supply_Chain_Hubs] ポイント フィーチャクラスを参照します。
    4. [条件タイプ] ドロップダウン矢印をクリックし、[カウント] を選択します。
  3. [実行] をクリックします。

市場への近接性に基づいて、大規模国際空港のパラメーターがスコア付けされます。そこで、[条件タイプ] パラメーターの [最小距離] を選択します。[最小距離] により、最も近いポイントから各ポリゴンの中心までの最小距離が返されます。

  1. [ポイント レイヤーに基づく適合性条件の追加 (Add Point Layer Based Suitability Criteria)] ジオプロセシング ツールが開いたままである場合は、これをいったん閉じてもう一度開いて更新します。
  2. パラメーターを次のように設定します。
    [ポイント レイヤーに基づく適合性条件の追加 (Add Point Layer Based Suitability Criteria)] ウィンドウ
    1. [入力適合性解析レイヤー] には、[Market Suitability Candidates] を選択します。
    2. [サイト レイヤーの ID フィールド] には、[OBJECTID] を選択します。
    3. [ポイント フィーチャ] パラメーターの横にある参照ボタン ポイント フィーチャの参照 をクリックして、[Large_Intl_Airports] ポイント フィーチャクラスを参照します。
    4. [条件タイプ] ドロップダウン矢印をクリックし、[最小距離] を選択します。

    [最小距離] を選択するには、距離のタイプと単位の情報が必要です。そこで、入力を必要とする追加パラメーターがツール内で返されます。

    [ポイント レイヤーに基づく適合性条件の追加 (Add Point Layer Based Suitability Criteria)] のフィールド

  3. [距離タイプ] には、[運転距離] を選択します。
  4. [単位] には、[マイル] を選択します。
  5. [実行] をクリックします。

オプションの [サイト中心フィーチャ] パラメーターを使用すると、適合性レイヤー ポリゴンの重心を置き換えることができます。これは距離の計算に使用されます。

変数およびポイントに基づく条件を適合性解析レイヤーに追加したら、次はフィールドに基づく条件を追加できます。

フィールドに基づく条件の追加

クライアントは、最適な従業員の特性を把握しており、それに適した応募者が多数いる可能性のあるエリアを設定したいと考えています。

Tapestry LifeMode Group 5 の世帯と優秀な従業員が確実に存在する場所との相関が特定されています。LifeMode Group 5 世帯の数は適合性解析レイヤーに追加されていますが、まだ解析条件として設定されていません。

  1. [適合性解析] ツールセットから、[フィールドに基づく適合性条件の追加 (Add Field Based Suitability Criteria)] ジオプロセシング ツールを開きます。
  2. [入力適合性解析レイヤー] に、適合性レイヤーと条件として追加する属性を選択します。
    [フィールドに基づく適合性条件の追加 (Add Field Based Suitability Criteria)] ウィンドウ
  3. [実行] をクリックします。

    すべての条件を設定したら、クライアントの仕様に合わせて調整することができます。

条件プロパティの設定

クライアントからの追加情報によると、平均世帯収入が約 55,000 ドルの市場が同社の基本報酬計画と従業員ニーズに適しているとのことです。

適合性解析では、条件の正と負の影響に加えて、理想的な条件値を導入できます。[条件プロパティの設定 (Set Criteria Properties)] ジオプロセシング ツールを使用する方法と、[サイトの適合性] ウィンドウの [その他のオプション] を使用する方法のいずれかにより設定できます。マップを直接操作している場合は、[適合性] タブを使用して目標値を設定します。

  1. [コンテンツ] ウィンドウから、適合性解析レイヤーをハイライト表示します。
  2. [適合性] をクリックし、[適合性条件] をクリックします。

    [サイトの適合性] ウィンドウが表示されます。

  3. [2019 Median Household Income] で、[その他のオプション] を展開します。
  4. [影響度][目標値] に設定します。
  5. [目標値] の値として「55000」と入力します。ここでは、55,000 ドルが理想的な世帯収入を表します。

    メモ:

    指定範囲外の値を除外するには、[最小] および [最大] で閾値を設定します。

    影響度の目標値の選択

    値と目標値との近接性に基づいて、市場がこの条件で評価されます。

  6. [サイトの適合性] ウィンドウを開いたままで、残りの条件を次のように変更します。
    1. 2019 Total Population - [重み付け] を「8」に設定します。
    2. 2019 Education: Bachelor's Degree : Percentage - [重み付け] を「12」に設定します。
    3. 2019 Diversity Index - [重み付け] を「20」に設定します。
    4. 2019 Median Home Value : Index - [重み付け] を「10」に設定し、[影響度][負] に設定します。

      [影響度][負] に設定すると、低い方の住宅平均値が優先されます。

    5. [2019 Median Household Income] の重み付けが「10」に設定され、[影響度][目標値] に設定されていることを確認します。
    6. ポイント数 - [重み付け] を「15」に設定します。
    7. 距離 - [重み付け] を「10」に設定します。
    8. 2019 HHs: LifeMode Group 5 - [重み付け] を「15」に設定します。

    調整された条件の重み付け

    最も多く重み付けされた条件は、[2019 Diversity Index] です。[2019 Median Household Income][目標値] は「55000」に設定され、[2019 Median Home Value : Index][影響度][負] (すなわち、低い方の値を優先) に設定されています。

適合性スコアの計算

条件と値を設定したら、適合性スコアを計算できます。

  1. [適合性] タブの [適合性スコア] グループで、[計算] 計算 をクリックします。

    結果が次の 3 か所に返されます。マップ、[コンテンツ] ウィンドウ (対応するマップの陰影処理の範囲を定義)、[Market Suitability Candidates] レイヤー属性テーブルの 3 つです。

    米国の各群の条件スコア

以上で、3 つすべてのタイプの条件を使用し、適合性解析ジオプロセシング ツールセットと [適合性] タブを使用して、 適合性解析の第一段階を完了しました。

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