ネットワーク データセット内の接続性は、ラインの端点、ラインの頂点、およびポイントのジオメトリの一致に基づいています。また、ネットワーク データセットのプロパティとして設定した接続性ルールにも依存します。
グループ接続性
ArcGIS Network Analyst エクステンション では、接続性は接続性グループの定義から始まります。各エッジ ソースは 1 つの接続性グループにしか割り当てることができませんが、各ジャンクション ソースは 1 つまたは複数の接続性グループに割り当てることができます。接続性グループには、任意の数のソースを追加することができます。ネットワーク エレメントの接続は、エレメントが含まれる接続性グループに応じて決まります。たとえば、2 つの異なるソース フィーチャクラスから作成した 2 つのエッジは、同一の接続性グループ内にある場合に接続させることができます。異なる接続性グループに属する場合、それらのエッジは、両方の接続性グループに属するジャンクションで接続されていない限り接続されません。
接続性グループは、複合交通網のモデリングに使用されます。接続性グループごとに、相互接続するネットワーク ソースを選択します。次の例は、地下鉄と道路の複合ネットワークを示しています。地下鉄の路線と出入り口は、すべて同じ接続性グループに割り当てられています。道路による接続性グループにも Metro_Entrance が存在することに注意してください。これが、2 つの接続性グループ間のリンクを形成します。グループ間のすべての経路は、共有されている地下鉄出入り口を通過する必要があります。たとえば、市内の 2 つの場所の間を移動する最適なルートとして、地下鉄出入り口まで道路を歩き、地下鉄に乗り、乗り換え駅で別の地下鉄に乗り、別の地下鉄出入り口を抜けるルートが解析されます。2 つの接続性グループは 2 つのネットワークを切り離し、それと同時に共有ジャンクション (地下鉄出入り口) で両者を接続します。
接続性グループ内でのエッジの接続
同一接続性グループ内のエッジは、2 つの方法 (端点または頂点) で接続でき、エッジ ソースの接続性ポリシーによって設定されます。
- 端点の接続性を設定する場合は、ライン フィーチャは一致する端点のみで接続するエッジとなります。
この場合、ライン フィーチャ l1 がエッジ エレメント e1 となり、ライン フィーチャ l2 がエッジ エレメント e2 になります。この接続性ポリシーにより、ライン フィーチャごとに常に 1 つのエッジ エレメントが作成されます。橋のように交差するオブジェクトをモデリングする 1 つの方法は、端点の接続性を持つネットワークを構築することです。このモデリングでは、橋と道路の 2 つのソースが同じ接続性グループ (1) に割り当てられます。道路のフィーチャが一致する頂点で別の道路フィーチャと接続できるように、道路のソースには頂点の接続性が割り当てられます。橋のソースには端点の接続性が割り当てられます。つまり、橋は橋の端点のみで別のエッジ フィーチャに接続します。これにより、橋の下を通るすべての道路は、橋と接続しません。橋は端点で別の道路に接続します。
ネットワークで高架 (橋) と地下 (トンネル) のモデリングに 1 つのソースのみを使用する場合は、平面データのエレベーション フィールドを使用します。詳細については、以下の「エレベーション フィールド」をご参照ください。
メモ:
マルチパートのラインフィーチャで作業する場合、Network Analyst では、各パートの両端にある頂点が、頂点ではなく端点として扱われることを理解してください。
- 任意頂点の接続性を設定した場合、ライン フィーチャは一致する頂点で複数のエッジに分割されます。道路が頂点で別の道路と交差する構造で道路のデータを作成する場合は、このポリシーの設定が重要です。
この場合、共通の頂点で交差する 2 つのポリラインは、頂点にジャンクションがある 4 つのエッジに分割されます。エッジ e1 と e3 は、ライン フィーチャ l1 のソース フィーチャクラスとオブジェクト ID によって特定されます。エッジ e2 と e4 は、ライン フィーチャ l2 のソース フィーチャクラスとオブジェクト ID によって特定されます。ジャンクション j3 は新たに作成されるシステム ジャンクションです。ジャンクション j1、j2、j4、j5 は、システム ジャンクションか、またはソース フィーチャクラスの一致ポイントから発生したジャンクションです。
注意:
交差するすべてのライン フィーチャが、接続されたエッジを生成するわけではありません。一致する端点または頂点を持たない場合は、どの接続性ポリシーも交差位置にジャンクションを作成しません。必要なすべてのジャンクションに頂点または端点が配置されるように、ネットワーク データセットの道路のデータを最初にクリーンアップする必要があります。
道路のデータを変更する場合は、[インテグレート (Integrate)] ツールなどのジオプロセシング ツールを使用して交差するラインを分割するか、これらのフィーチャクラスでトポロジを確立し、フィーチャを交点で分割するトポロジ ルールを適用した状態で道路のフィーチャを編集します。
接続性グループ間でのジャンクション経由のエッジの接続
異なる接続性グループに割り当てられているエッジは、両方の接続性グループが共有するジャンクションを経由した場合にのみ接続できます。
バスのネットワークと道路網を組み合わせた複合システムの例では、両方の接続性グループに含まれるポイント ソースとなるバス停が追加されます。バス停のポイント位置は、バスのラインと道路のラインが接続する位置で空間的に一致する必要があります。バス停のポイント位置を追加するときに、位置が正しくジャンクションになるかは、ジャンクションの接続性ポリシーによります。エッジと同様に、ジャンクションも対象エッジ ソースの接続性ポリシーに基づいて、端点または頂点でエッジと接続します。ただし、この振舞いをオーバーライドすることが必要な状況も存在します。
たとえば、バス停が接続しているバスのラインは、端点の接続性ポリシーを持ちますが、多くの場合は中間の頂点にバス停を配置しなければなりません。これを行うには、特定のエッジにジャンクションを接続するデフォルトの振舞いをオーバーライドするようにジャンクション ポリシーを設定する必要があります。
エッジ ソースの接続性ポリシーに基づいて端点または頂点で形成されるジャンクションのデフォルトの振舞いをオーバーライドするには、ジャンクション ソースの接続性を [オーバーライド] に設定します。デフォルトでは、エッジの接続性ポリシーが優先 (Honor) されます。
鉛直接続性
ネットワーク エレメントの接続性は、これらの XY 座標が同一であるかどうかだけでなく、同じ高さを共有しているかどうかで決まることがあります。高度のモデリングには 2 つのオプションがあります。1 つはエレベーション フィールドを使用するオプション、もう 1 つはジオメトリの Z 座標値を使用するオプションです。
エレベーション フィールド
エレベーション フィールドは、ネットワーク データセットでラインの端点の接続性を制御するために使用されます。これにはネットワークに含まれるフィーチャクラスのフィールドから取得された高さの情報が含まれています。これは、物理的な高さの情報がフィーチャの各頂点に格納される、高さの Z 座標値に基づいて接続性を確立しているわけではありません。エレベーション フィールドは、エッジ ソースとジャンクション ソースに適用されます。エレベーション フィールドを使用するエッジ フィーチャ ソースには、エレベーションを説明するための 2 つのフィールド (ライン フィーチャの両端部に 1 つずつ) があります。
次の例では、4 つのライン フィーチャ EF1、EF2、EF3、EF4 は同じ接続性グループに属し、端点の接続性が適用されています。EF3 と EF4 の標高値は 0 です。EF1 と EF2 の標高値は 1 です。このため、交点では、EF3 は (EF1 または EF2 ではなく) EF4 のみに接続されます。同様に、EF1 も EF2 のみと接続し、EF3、EF4 には接続されません。エレベーション フィールドが接続性を調整することを理解することは重要です。これは接続性をオーバーライドするものではありません。2 つのエッジ エレメントが同じエレベーション フィールド値を持ち、一致する場合でも、それぞれが異なる接続性グループに割り当てられている場合は、両者は接続されません。
接続性のモデリングのために、さまざまなデータ ベンダーがエレベーション フィールド データを提供しています。ArcGIS ネットワーク データセットの接続性モデルは、このエレベーション フィールド データを使用して接続性を向上することができます。エレベーション フィールドと接続性モデルの関係は、橋やトンネルなどの特殊なオブジェクトの作成でも重要です。
ジオメトリの Z 座標値
ソース フィーチャの Z 値がジオメトリに格納されている場合、3D ネットワークを作成できます。
屋内の歩行路は 3D ネットワークでモデリングされることがよくあります。多層式の建物内の廊下は 2D (XY 空間) では見分けが付かないことが多いのですが、3D 空間で Z 座標値を使用すると区別可能になります。同じように、エレベーターのシャフトは垂直方向に移動することで床と接続します。XY 空間では、エレベーターはポイントで示されますが、3D 空間ではラインによって適切にモデリングされます。
Z 座標値によって、三次元におけるポイントおよびライン フィーチャの接続性のモデリングが可能になります。3D ネットワーク データセットにおいては、接続が実現するのは、ソース フィーチャ (具体的にはポイント、ラインの端点、およびラインの頂点) の 3 つの座標値 (X、Y、Z) がすべて等しい場合のみです。以下の画像でこの要件を示します。
三次元ネットワークには、次の 3 つの画像に示すように、接続性グループの接続性ポリシー設定も適用されます。
エレベーション フィールドの鉛直接続性の変更
以下の手順に従って、ネットワークのエレベーション フィールドを変更します。
- [ネットワーク データセット プロパティ] ダイアログ ボックスを開きます。
- [ソースの設定] > [鉛直接続性] をクリックします。
[鉛直接続性] ページが表示されます。鉛直接続性ポリシーが [ポリシー: エレベーション フィールド] の場合、各エッジ ソースに対応する 2 つの行 (順方向および反対方向の行) を含むグリッドが表示されます。このグリッドを使用して、各エッジ ソースの方向別のエレベーション フィールドを設定できます。
- [エレベーション フィールド] 列の下をクリックし、必要なフィールドをドロップダウン リストで選択します。
エレベーション レベルは整数で指定されるため、ドロップダウン リストで利用可能なフィールドは INTEGER データ タイプのものだけです。どんな整数値でも有効です。つまり、選択したフィールドには、正の値、負の値、および 0 の値を入れることができます。
メモ:
使用しているネットワーク データセットがその作成時に [エレベーション フィールド] 鉛直接続性ポリシーを使用するように設定されていない場合は、このページのエレベーション フィールドを編集することはできません。ネットワークを作成した後は、鉛直接続性ポリシーを変更することはできません。
- [OK] をクリックします。
エレベーション フィールドへの変更はネットワーク データセットに保存されます。
メモ:
いずれかのネットワーク属性を変更した場合は、接続性を再構築し、対象の属性を再計算して、ネットワーク エレメントを更新するためにネットワーク データセットを構築する必要があります。
グループ接続性の変更
グループ接続設定を変更するには、次の手順に従います。
- [ネットワーク データセット プロパティ] ダイアログ ボックスを開きます。
- [ソースの設定] > [グループ接続性] をクリックします。
- ソースのポリシーを変更するには、ソースの [ポリシー] 列をクリックし、ドロップダウン リストからポリシーを選択します。
エッジ ソースの接続性には、[端点] または [頂点] を設定できます。ジャンクション ソースには、エッジ ソースの接続性ポリシーを優先する ([優先]) か、オーバーライドする ([オーバーライド]) かを設定できます。
- [グループ数] ボックスにある上向き矢印または下向き矢印をクリックし、ネットワーク データセットの接続性グループの数を増減するか、ボックスにグループ数を入力します。
- エッジ ソースを接続性グループに割り当てるには、関連するグループの列のボタンをクリックします。
各エッジ ソースは、1 つのグループのみに属することができます。
- ジャンクションを接続性グループに割り当てるには、関連するグループの列のチェックボックスをオンにします。
各ジャンクション ソースは、複数のグループに属することができます。
- フィーチャクラスにサブタイプが含まれる場合は、右上隅にある [サブタイプの使用法の変更] ボタンをクリックします。
- サブタイプの追加先のソース フィーチャをオンにします。[グループ接続性] ページでは、サブタイプごとに接続性を変更できます。
- [OK] をクリックします。
[グループ接続性] ページにサブタイプが表示されます。各サブタイプに接続性ポリシーを適用し、接続性グループに割り当てることができます。
- サブタイプの追加先のソース フィーチャをオンにします。[グループ接続性] ページでは、サブタイプごとに接続性を変更できます。
- [OK] をクリックします。
[グループ接続性] ページで行った編集は、ネットワーク データセットに保存されます。
メモ:
いずれかのネットワーク属性を変更した場合は、接続性を再構築し、対象の属性を再計算して、ネットワーク エレメントを更新するためにネットワーク データセットを構築する必要があります。