ユーザースキーマ ジオデータベースのアップグレード

Standard または Advancedのライセンスで利用可能。

10.7 および ArcGIS Pro 2.3 以前では、sde 以外のユーザーのスキーマでジオデータベースを作成することで、1 つの Oracle データベースに複数のジオデータベースを作成することができます。このため、これらのジオデータベースはユーザー スキーマ ジオデータベースと呼ばれます。これらのジオデータベースには独自のジオデータベース システム テーブルが含まれています。

ただし、ユーザースキーマ ジオデータベースは、完全な自己完結型ではありません。ユーザー定義タイプなどの一部の機能は、sde ユーザーのスキーマ内のマスター ジオデータベースにのみ実装されています。このため、次のことが当てはまります。

  • マスター ジオデータベースのアップグレード中は、ユーザースキーマ ジオデータベースをアップグレードすることはできません。スキーマの所有者は、sde ユーザーがマスター ジオデータベースをアップグレードしてから、自分のジオデータベースをアップグレードします。各スキーマの所有者には、アップグレードするための権限が付与されている必要があります。
  • ユーザー スキーマ内のジオデータベースをアップグレードするには、その前にマスター ジオデータベースをアップグレードする必要があります。マスター ジオデータベースをアップグレードする前にユーザースキーマ ジオデータベースをアップグレードしようとすると、次のようなメッセージが表示されます。

    Cannot upgrade a user schema geodatabase
    when the master schema geodatabase is at a previous release.
    The master schema geodatabase must be upgraded first.
    ERROR: Geodatabase schema object install not completed.

  • データベース全体のバックアップを作成する必要があります。つまり、ユーザーのスキーマのバックアップのみを作成しても、ユーザー定義タイプやいくつかの機能はバックアップに含まれません。

同じ Oracle インスタンスに属するジオデータベースはすべて、同じ ArcGIS リリースに保つことをお勧めします。ただし、Oracle データベース内のユーザースキーマ ジオデータベースをすべてアップグレードする必要はありません。

注意:

ユーザーは、同じ Oracle データベースの複数のジオデータベース内にデータを登録することはできません。ユーザーが、マスター sde ジオデータベースとユーザースキーマ ジオデータベースの両方、あるいは複数のユーザースキーマ ジオデータベース内に登録されたデータを所有している場合は、アップグレードは失敗します。この場合、ユーザーは自分のデータを 1 つのジオデータベースに移動する必要があります。これには、インポート ツール、エクスポート ツール、またはコピーおよび貼り付けを使用します。データを移動したら、他のデータベースからデータを削除します。

[データベース プロパティ] ダイアログ ボックスから開いた [ジオデータベースのアップグレード (Upgrade Geodatabase)] ツールを使用してユーザースキーマ ジオデータベースをアップグレードする手順を次に示します。

  1. Oracle データベース全体のバックアップが作成されたことを確認します。
  2. 以下の手順に従って、アップグレードの準備を行います
  3. マスター ジオデータベースがすでにアップグレード済みであることを確認します。
  4. ユーザースキーマ ジオデータベースのアップグレードの実行元の ArcGIS Desktop アプリケーションを起動します。
  5. アップグレードするユーザースキーマ ジオデータベースに接続します。 スキーマ所有者としてログインします。
  6. ジオデータベース接続を右クリックし、[プロパティ] をクリックします。
  7. [General (一般)] タブをクリックします。

    ジオデータベースをアップグレードできる場合は、[ジオデータベースのアップグレード] ボタン (ArcMap) または [アップグレードの実行] ボタン (ArcGIS Pro) がアクティブになっています。

  8. メモ:

    他のジオプロセシング ツールがクライアント コンピューター上でバックグラウンド プロセスとして実行されている間は、[ジオデータベースのアップグレード (Upgrade Geodatabase)] ツールを実行できません。

    Esri では、アップグレードの前に前提条件チェックを実行することをお勧めしています。前提条件チェックでは、ジオデータベースへの他のアクティブな接続が検出され、接続しているユーザーにジオデータベースをアップグレードするための十分な権限があるかどうか、データベースが XML 列に対応しているかどうか、すべてのデータセットを開くことができるかどうか、ユーザースキーマ ジオデータベースをアップグレードする前にマスター ジオデータベースがアップグレードされているかどうか、データベースとライブラリのバージョンが同じかどうかが確認されます。前提条件が満たされていない場合、ツールは終了します。アップグレードの手順を再度実行する前に、問題を修正する必要があります。
  9. [ジオデータベースのアップグレード] ボタン (ArcMap) または [アップグレードの実行] ボタン (ArcGIS Pro) をクリックして、[ジオデータベースのアップグレード (Upgrade Geodatabase)] ツールを実行します。
  10. ジオデータベースが前提条件チェックを通過し、[ジオデータベースのアップグレード] オプションがオンになっていると、このツールでアップグレードが開始されます。前提条件チェックとアップグレード ステータスは、このジオプロセシング ツール上の進行状況を示すダイアログ ボックスに表示されます。アップグレードに失敗すると、GDBUpgrade.log にその情報が記載され、 システムの sde_setup.log ディレクトリにある TEMP ファイルに追加情報が書き込まれます。
  11. ツールが正常に終了したら、[閉じる] をクリックして、ジオプロセシング ツールの進行状況を示すダイアログ ボックスを閉じます。

ジオデータベースが最新バージョンにアップグレードされます。