ArcGIS Pro では、時系列プロファイルは時系列のイメージ データに対する基本的な解析ツールとして使用されます。時系列プロファイルで経時的な変化を視覚化することで傾向を表示し、他のディメンションの変数やバンド、値と同時に比較することができます。
時系列プロファイル チャートの機能を使用すると、トレンド解析を実行し、特定の場所にある多次元ラスター データについての洞察を得て、経時的に変化していく値を折れ線グラフの形式でプロットできます。時系列プロファイル チャートはインタラクティブです。すなわち、時系列プロファイル上で 1 つのポイントを選択すると、そのポイント値が抽出されたタイム スライスがマップにシームレスに表示されます。これにより、データをスムーズに操作することができます。時系列プロファイル チャートは、ラスター データの時系列解析が必要となる各種科学アプリケーションで使用されます。結果はグラフィカルに出力されるため、戦略管理や意思決定の情報としてそのまま活用することができます。
チャートを作成するには、[コンテンツ] ウィンドウで解析するレイヤーを右クリックして、[チャートの作成] をポイントし、[時系列プロファイル] をクリックして、[チャート プロパティ] ウィンドウを開きます。
時系列プロファイル チャートのパラメーター設定の定義
チャートのパラメーター設定を定義するには、[チャート プロパティ] ウィンドウの上部にある [データ] タブをクリックします。
時系列プロファイルにプロットするポイント フィーチャの定義
[チャート プロパティ] ウィンドウ上部の [描画] ツールを使用し、マップ ビューのモザイク データセット、多次元ラスター レイヤー、または netCDF ラスター レイヤーにポイント フィーチャを描画することができます。これらのポイント フィーチャは、[チャート プロパティ] ウィンドウのフィーチャ テーブルに追加されます。フィーチャ テーブルでは、ポイント フィーチャの選択や選択解除、不要なポイント フィーチャの削除、各ポイントのシンボルとラベルの編集を行えます。フィーチャ テーブルでの選択に基づき、時系列がいったん定義されると、各場所の時系列プロファイルが作成されて、同じダイアログ ボックスに表示されます。
現在の時間
時系列プロファイルの X 軸には、時間が連続した時間間隔で表示されます。[時間] ボックスで、選択したレイヤーの時間パラメーター名を選択できます。時間名は、レイヤーの属性テーブルの一般的な時間フィールドから取得されるか、レイヤーが多次元データセットから作成されている場合は時間ディメンションから取得されます。データに複数の時間フィールドや時間ディメンションがある場合は、[時間] ボックスにすべての時間名が表示されます。
時間間隔サイズと時間集約
[時間間隔サイズ] パラメーター は、時間間隔を X 軸上で定義します。テンポラル データの間隔が均等である場合、データの元の時間間隔がデフォルトで使用されます。たとえば、数値モデルから生成された気象データは、通常は毎時間、毎日、毎月アーカイブされます。したがって、データを表示するために時間集約は必要なく、時系列プロファイルは値の集約を行わずに元のピクセル値を表示します。
テンポラル データの間隔が均等ではない場合、X 軸の時間間隔にビン化されます。デフォルトの間隔サイズは、データセットの時間範囲に基づいて選択され、[時間間隔サイズ] パラメーターによって手動で変更できます。新しい[時間間隔サイズ] 値が指定されると、[時間集約] パラメーターは自動的に [平均] に変わります。[時間集約] は、手動で [個数]、[平均]、[中央値] または [合計] に変更できます。
また、[時間間隔サイズ] と [時間集約] を使用してデータの統計分析を実行することもできます。たとえば、毎時データを日、月、年間隔に集約し、異なるタイム スケールでの傾向を視覚化できます。時系列プロファイルに表示される値は、新しい時間間隔と [時間集約] パラメーターの範囲内の値に基づいて計算されます。
時間間隔の整列
時間間隔を、最初のデータ ポイントまたは最後のデータ ポイントに揃えることができます。
最初のデータ ポイントに揃えると、ビン化を最も古い日付から開始し、前方に進みます。
最後のデータ ポイントに揃えると、ビン化を最も新しい日付から開始し、後方に進みます。
最後のデータ ポイントからビン化すると、最後に作成されたビンが部分的に空になる可能性があるため、これを検討することは重要です。部分的に空のビンは、実際にはそのビンの範囲内でデータ収集が開始または終了された場合に、その時間内で値やカウントの低下が発生しているという印象を与える可能性があります。ビンの偏りを防ぐには、[不完全な時間間隔の切詰め] オプションをオンにします。これによって、部分的に満たされたビンを視覚化から除外します。
時系列
時系列プロファイル チャートを作成する際は、時系列のイメージ データの全タイプをサポートする、以下の 3 つのオプションを使用できます。
- [1 つまたは複数の変数] - テンポラル データが単一バンドである場合に使用します。モザイク データセット、多次元ラスター レイヤー、netCDF ラスター レイヤー、またはイメージ サービスで、複数の変数の傾向を比較することができます。また、指定場所の変数に対してそれぞれグラフが表示されます。
- [マルチバンド データの 1 つの変数] - このオプションは、マルチバンドのテンポラル データで使用されます。複数の場所にまたがる、マルチバンドの経時的な変化を比較できます。時系列プロファイルにプロットするバンド名を指定すると、バンドごとにそれぞれ独自のグラフが使用されます。[すべて追加] および [すべて削除] ボタンは、時系列プロファイル上のすべてのバンド グラフをまとめて追加または削除する場合に使用します。
- [多次元データの 1 つの変数] - このオプションは、時間ディメンションと他のディメンションを含む多次元データで使用されます。サポートされる多次元レイヤー タイプは、多次元モザイク データセット、多次元ラスター レイヤー、netCDF ラスター レイヤー、および多次元イメージ サービスです。時系列プロファイルは、他のディメンションの具体的な値 (対応する時間値の深さなど) に基づいて作成されます。たとえば、土壌水分データには、通常、時間ディメンションと地下の垂直ディメンションの両方が含まれるため、時系列プロファイルは地下 0.1 メートル、0.2 メートル、0.3 メートルで作成されます。[すべて追加] または [すべて削除] ボタンは、時系列プロファイルの他のディメンションのすべての値をまとめて追加、または削除する場合に使用します。
軸
軸は以下のパラメーターによって定義されます。
- [Y 軸境界] - デフォルトの Y 軸境界の最大値と最小値は、軸上に表示されるデータ値の範囲に基づいて設定されます。これらの値をカスタマイズするには、新しい Y 軸境界値を入力します。リセット アイコンをクリックすると、Y 軸境界がデフォルト値に戻ります。
- Y 軸の [標準化された値] - 複数の変数が選択されており、その値の範囲が広い場合は、[軸] カテゴリで Y 軸の [標準化された値] オプションをオンにして、同じスケールのすべての変数を含めます。これにより、複数の分布を同じチャートで視覚化することができます。たとえば、1 日あたり 2 ~ 3 インチの範囲内にある降水量と毎日の平均華氏温度 (60 ~ 90 度など) を同時に視覚化することができます。Y 軸の値の標準化は Z 変換を伴います。この変換では、すべての値の平均値を各値から引いた後、その結果をすべての値の標準偏差で割ります。
数字と時間の形式
チャート上に表示される数字と時間の形式を設定することができます。
- [数値形式] - 数値形式のカテゴリを指定するか、カスタム形式の文字列を定義して、軸が数値を表示する方法を書式設定できます。
- [時間形式] - X 軸に表示する日付と時刻の形式を書式設定できます。
チャートのラベル付け
[チャート プロパティ] ウィンドウ上部の [一般] タブをクリックします。チャートと凡例のタイトルを指定し、X 軸と Y 軸にラベルを付けます。時系列プロファイル チャートの詳細の説明を追加できます。
例
時系列プロファイルを作成し、2008 年から 2016 年にかけて 2 か所で測定した土壌水分の傾向を視覚化するステップは次のとおりです。
- 多次元モザイク データセットから、土壌水分変数を含むモザイク レイヤーを作成します。
- マップ上で 2 つのポイント フィーチャを作成し、ラベルを「 場所 1」と「場所 2」に変更します。
- [時間] を [標準時間] に設定します。
- [時間間隔サイズ] を [1 か月] に設定します。
- [時間集約] を [なし] に設定します。
- [時系列] を [1 つまたは複数の変数] に設定します。
- 時系列テーブルで [土壌水分] を選択し、時系列プロファイル チャートを作成します。