最小二乗調整の結果の分析

調整結果は次の調整フィーチャクラスに格納されます。

  • AdjustmentLines - パーセル ライン、測地緯度、測地経度に対し、調整済みデータと統計データを格納し、表示します。
  • AdjustmentPoints - パーセル ファブリック ポイントの調整済みデータと統計データを格納し、表示します。
  • AdjustmentVectors - パーセル ファブリック ポイントと調整済みポイントの間のシフトを格納し、表示します。

[最小二乗調整によるパーセルの分析 (Analyze By Parcel Least Squares Adjustment)] ツールを実行すると、調整フィーチャクラスがマップに追加されます。

調整ラインの分析

調整ライン レイヤーは、次の調整済み計測サブタイプを表示します。

  • 距離 - 入力パーセル ラインの調整済み距離に関する情報を格納します。
  • 方向セット - 入力パーセル ラインの調整済み方向セットに関する情報を格納します。方向セットの前方ラインは、ラインの調整済みの方向です。
  • 測地緯度 - 測地緯度に変換した加重ポイントまたは制約されたポイントの X 座標。
  • 測地経度 - 測地経度に変換した加重ポイントまたは制約されたポイントの Y 座標。

ディメンションの外れ値の確認

調整ライン レイヤーで、方向と距離の外れ値の有無を確認します。外れ値とは、計測ネットワークと一貫性のないディメンションを持つラインのことで、不正やミスが存在を示唆します。

一貫性のないライン

ポイント Sp2 からの計測値は、他の計測値と大きく異なる座標値を計算します。

調整ライン レイヤーでは、外れ値ディメンションを含むラインはピンク (外れ値の距離) および黄 (外れ値のディメンション) で記されます。ディメンションの Standardized Student's t Statistic 属性値が大きいほど、ライン シンボルが太くなります。Standardized Student's t Statistic 属性が大きいディメンションは、最小二乗調整によって計算された最適解から予想以上に逸脱します。

外れ値としてフラグ付けされたディメンションを持つライン

ラインの元のディメンションと調整済みのディメンションとの計測の修正が、95% 信頼度での正規分布に対する統計的検定に不合格だった場合は、ディメンションは外れ値としてフラグ付けされます。95% 信頼度とは、調整済みのネットワークに対するすべての計測の修正の 95% が、平均値から 1.96偏差以内であることを意味します。以下のセクションの、正規分布に関する説明をご参照ください。

Standardized Normal Statistic 属性が +-1.96 を超過するディメンションは、外れ値としてフラグ付けされます (Outlier フィールドが [はい] に設定される)。

詳細の分析に進む前に、外れ値のディメンションに対処しておく必要があります。

測地緯度と測地経度で外れ値の有無を確認します。

加重最小二乗解析では、コントロール ポイント (加重ポイントと制約ポイント) の X 座標と Y 座標は測地緯度と測地経度の計測値に変換され、DynAdjust 最小二乗調整エンジンに入力されます。座標値は、パーセル ファブリック ポイント フィーチャクラスの XY Accuracy フィールドから取得した、関連する標準偏差を使用して緯度と経度に変換されます。

制約ポイントまたは加重ポイントの緯度と経度の値が調整においてシフトする場合、シフトは統計情報とともに個別の計測値として AdjustmentLines フィーチャクラスに出力されます。

調整ライン レイヤーの緯度と経度の修正は、制約ポイントまたは加重ポイントの周囲に描画されるボックスを使用し、測地緯度と測地経度サブレイヤーに表示されます。外れ値の修正は赤で記されます。修正の Standardized Student's t Statistic 属性値が大きいほど、ライン シンボルが太くなります。

緯度の修正の外れ値

緯度 (外れ値) と経度の修正は、制約ポイントを囲む赤とピンクのボックスで表示されます。

ヒント:
座標値のシフトの計測値と統計情報を表示するには、ボックスを選択します。

緯度または経度の修正は、95% 信頼度での正規分布に対する統計的検定に不合格だった場合に、外れ値としてフラグ付けされます。95% 信頼度とは、調整済みのネットワークに対するすべての計測の修正の 95% が、平均値から 1.96 偏差以内であることを意味します。以下のセクションの、正規分布に関する説明をご参照ください。

Standardized Normal Statistic 属性の緯度と経度の修正が +-1.96 を超過するディメンションは、外れ値としてフラグ付けされます (Outlier フィールドが [はい] に設定される)。

外れ値の対処

外れ値に対処し、削減するには、次のような方法があります。

  • 最初に、最大の外れ値のディメンションを解消してから、最小二乗解析を再度実行します。これは、ハイライト表示されたライン シンボルが最も太く、Measurement Correction フィールドで最大の計測の修正が行われているラインです。最大の外れ値を解消すると、多くの場合は、それに付随する他の外れ値ラインも解消されます。
  • 外れ値のディメンションを解消するには、レコードのライン ディメンションに対して外れ値のディメンションを確認します。ディメンションが一致しない場合はパーセル ラインを選択し、[属性] ウィンドウを開いて、記録されたディメンションに一致するようディメンションを編集します。
  • 外れ値のディメンションを確認するためのレコードが存在しない場合、ラインを除外して最小二乗解析を再度実行します (ライン選択を入力として使用し、ラインを未選択のままにします)。分析が合格し、外れ値が存在しない場合には、除外したラインに誤りが生じている可能性が高いので、そのまま除外しておくか、修正する必要があります。
  • ディメンションがレコードに一致しない場合、外れ値ラインを除外して、最小二乗解析を再度実行します。場合によっては、信頼できるディメンションが、計測エラーを含む別のラインに接続されたポイントに接続されることもあります。
  • 加重ポイントまたは制約ポイントが外れ値としてフラグ付けされており、ネットワークにディメンションの外れ値が他にない場合は、ポイントの座標値に誤りがないか確認します。

信頼できないディメンションの評価

計測の修正は、95% 信頼度で標準化スチューデント t 統計に対して検定する必要があります。ディメンションの Standardized Student's t Statistic 属性値が大きいほど、調整ライン レイヤーのグレーの標準ライン レイヤー シンボルが太くなります。

信頼できないディメンションを含むライン

Standardized Student's t Statistic 属性が大きいディメンションは、最小二乗調整によって計算された最適解から予想以上に逸脱します。外れ値としてフラグ付けされていない (つまり、Standardized Normal Statistic が +-1.96 を超過しない) が、Standardized Student's t Statistic 属性が大きいディメンションは信頼度が低い可能性があるため、詳しく調査する必要があります。

スチューデント t 分布の詳細については、以下のセクションをご参照ください。

外れ値の検出と発生の抑制の推奨事項

まず、同じレコードのパーセルで最小二乗解析を実行します。これらの計測値は同じ計測機器から取得されている可能性が高いため、同じ性質を持ちます。一度に 1 つのレコードを解析します。レコード調整に外れ値がなく合格している場合、複数の調整レコードに対して大きい調整を実行できます。調整をレコード別に分けておくことで、1 つのレコードに発生した外れ値によって別のレコードの計測値に歪みが生じて、真の外れ値の検出が困難になることを防ぐことができます。

調整ポイントの分析

調整ポイント レイヤーは、パーセル ファブリック ポイントの調整済みの位置を表示します。加重最小二乗解析の結果をパーセル ファブリックに適用すると、パーセル ポイントは調整された位置にシフトします。調整したポイント座標値の信頼度を解析する場合、エラー楕円と、ポイントの位置の不確実性を評価する必要があります。

エラー楕円

調整ポイント フィーチャは、Error Ellipse Semi Major フィールドと Error Ellipse Semi Minor フィールドの値を使用して、エラー楕円で一意にシンボル表示されます。

エラー楕円は、調整されたポイントの X 座標と Y 座標の位置の不確実性を示すために使用されます。ポイント周辺のエラー楕円は、95% 信頼度での X 座標と Y 座標に分散がある可能性を示します。95% 信頼度とは、座標偏差を正規分布とスチューデント t 分布に対し検定した場合に、エラー楕円によって定義される円形領域内に、推定される X 値と Y 値の 95% が収まることを意味します。最も可能性の高い X 座標値と Y 座標値は、楕円の中心に一致します。

正規分布とスチューデント t 分布の詳細については、以下のセクションをご参照ください。

エラー楕円が小さく、丸みがあるほど、X 座標値と Y 座標値の推定に分散が少なく、ポイントの調整済み座標の信頼度が高くなります。たとえば、以下の図ではエラー楕円は小さいので、X 座標と Y 座標の分散 (不確実性) が少ないことを意味します。また、楕円の形状から、X 座標または Y 座標を互いに比較したときに、分散が少ないこともわかります。

小さいエラー楕円

エラー楕円が大きいほど、推定される X 座標と Y 座標の分散と不確実性が多くなります。たとえば、以下の図では、Y 座標値に大きな分散と不確実性があることがわかります。ポイントの X 座標の推定値の不確実性は抑えられています。

大きいエラー楕円

調整済みポイントの周囲のエラー楕円が大きい場合は、次の要因が考えられます。

  • パーセル ライン ネットワークの外れ値や信頼できないディメンションにより、調整済み座標値に歪みと大きな不確実性が生じています。前述のように外れ値に対処し、分析を再度実行します。
  • 分析された制約または加重コントロール ポイントが、ネットワークに十分にありません。まばらに分布するコントロール ポイントがあると、調整済みの座標の不確実性が大きくなります。座標の最善の推定値を得るには、コントロール ポイントは分析対象のネットワークで均等に分布している必要があります。
  • ポイント周辺のエリアで、ネットワークの接続が弱くなっています。これは、パーセルのブロックが公道全体で接続されていない場合に発生します。パーセル ネットワークのこのエリアでネットワークの冗長性を強化するには、接続線を追加します。

位置の不確実性

調整済みの各ポイントに対し、推定される位置の不確実性は、AdjustmentPoints フィーチャクラスの XY Uncertainty フィールドに格納されます。位置の不確実性の値は、エラー楕円の半長軸および半短軸から取得され、95% の信頼度で計算されます。+-1.96 を超過する位置の不確実性を持つポイントは、詳しく調査する必要があります。

詳細については、正規分布の説明をご参照ください。

調整済みポイントの位置の不確実性または精度を改善させるには、コントロール ポイントを追加するか、ネットワークのこのエリアに関する計測の情報が必要となることがあります。外れ値のディメンションと信頼できないディメンションがある場合も、ポイントの位置の不確実性が大きくなります。

正規分布

正規分布 (別名ベル曲線) は、数量の計測値の分布をモデル化したものです。正規分布では、ほとんどの計測値が平均値周辺 (つまり、曲線の中央のピーク) に集まることが想定されています。計測値が平均から逸脱する可能性は、曲線の両側に向かって対称的に減少していきます。偏差が大きいほど、推定される確率が小さくなります。

正規分布では、曲線下の面積の 95% が、平均から +-1.96 標準偏差の範囲内に存在します。

正規分布

正規分布は、計測された数量の平均と標準偏差に基づいています。

スチューデント t 分布

計測値の数が限られている計測ネットワーク (小さいネットワーク) を調整する場合、スチューデント t 分布を使用することで、より信頼性の高い統計的検定を行えます。スチューデント t 分布に対する検定は、アプリオリ推定 (計測の推定標準偏差) の信頼性が低い計測ネットワークにも適しています。

スチューデント t 分布は、標準偏差が不明の場合に、数量の計測値の分布の最良推定値をモデル化します。曲線の形状は正規分布と同じように左右対称のベル型ですが、ピークは短く幅狭で、裾の尾が広がっています。つまり、平均から大きく逸脱する値が多いことを意味します。スチューデント t 分布は計測値の偏差を外れ値としてマークする傾向が少なくなります。