パーセル ファブリックは、ArcGIS Enterprise で地籍データを管理、編集、および共有するための包括的なフレームワークを提供します。マルチユーザー環境では、サービスベースのアーキテクチャを使用して、パーセル ファブリックを編集し、維持することができます。サービスベースのアーキテクチャを使用して、すべてのプラットフォーム (デスクトップ、モバイル、および Web) にわたってパーセル ファブリックを共有することができ、現場およびオフィスで、異なるクライアントに対してさまざまなワークフローを有効化することができます。
現在、パーセル ファブリックは、ArcGIS Desktop を使用して ArcGIS Pro で編集されます。Web クライアントおよびモバイル クライアントでの編集は、ArcGIS Pro の今後のリリースでサポートされる予定です。
シングルユーザー編集環境では、パーセル ファブリックは、ファイル ジオデータベースで管理および編集されます。
パーセル ファブリックは、接続されたパーセルまたはパーセル ネットワークのデータセットを格納します。パーセルは、ポリゴン フィーチャ、ライン フィーチャ、およびポイント フィーチャで構成されます。パーセル ポリゴンは、記録された法的文書からの COGO ディメンションを格納するラインによって定義されます。パーセルは、パーセル タイプとしてパーセル ファブリックに追加されます。パーセル タイプは、ポリゴン フィーチャクラスとライン フィーチャクラスで構成され、組織で定義されます。たとえば、組織が所有権/課税パーセルと区画パーセルの両方を管理する場合があります。組織に必要なだけパーセル タイプを追加できます。
パーセル ファブリックが作成されるときに、ジオデータベース トポロジも作成されます。パーセル ファブリックは、定義済みのジオデータベース トポロジ ルールおよびパーセル ルールのセットを使用してパーセルを定義し、その動作をモデル化します。ジオデータベース トポロジ ルールはパーセル フィーチャ間の空間リレーションシップを定義し、パーセル ルールはパーセル フィーチャに固有の動作を定義します。
パーセル ファブリックのトポロジは、ジオデータベース トポロジ ルールおよびパーセル ルールの定義済みのセットに対して整合チェックされます。追加のトポロジ ルールと属性ルールを定義して、組織のデータ品質基準を強化できます。
レコード主体のワークフローの使用
パーセル ファブリックはレコード主体のシステムです。パーセル ファブリックでは、最初にデータを記録したフォームに基づいて、パーセル データが体系的に編成されます。パーセル データは平面図、測量図、権利書、測量記録などの法的記録として記録されます。パーセル ファブリックでは、パーセルは、法的記録における変更に応じて作成および編集され、レコード主体のワークフローを使用して編集されます。
レコード主体のワークフローの例が、構成可能なタスクの形式で提供されています。タスクは、ワークフローを効率的に改善し、組織に最も適したワークフローを実装するために使用できます。
柔軟なデータ モデルの構成
パーセル ファブリックは、パーセルを別々のパーセル タイプとして格納します。各パーセル タイプはさまざまな方法でモデル化され、独自のスキーマやルールを持つことができます。
また、パーセル ファブリック情報モデルを次のように拡張することもできます。
- 関連テーブルおよび追加の属性フィールドをパーセル ファブリック フィーチャクラスに追加します。
- レイヤーおよびマップを構成します。
- Portal for ArcGIS でグループを使用して、アクセス権限を管理します。
- タスクを使用してワークフローを構成します。
- 2 次元 (2D) および 3 次元 (3D) の両方で作業します。
品質の管理
管理者は、異なるトポロジ ルールおよび属性ルールをパーセル タイプに適用することによって、パーセル タイプのさまざまな動作を定義できます。たとえば、オーバーラップしているパーセルを、特定のパーセル タイプではエラーとして構成し、他のパーセル タイプでは許可することができます。パーセル ファブリックのトポロジを、それらのルールに対して整合チェックし、データ品質を評価することができます。ルールのエラーは、マップ上でエラー フィーチャとして視覚化されます。
ブランチ バージョンは、あるバージョンでフィーチャを削除したユーザーなどのすべての編集内容が日時で記録される、拡張された編集情報の記録を有効化します。加えて、編集内容を、パーセル ルール、トポロジ ルール、および属性に対して整合チェックすることができます。
履歴およびパーセルの変遷の追跡
分割やマージなどの編集後に、親パーセルが履歴として保存されます。加えて、パーセルを作成または廃止した法的記録を取得することによって、パーセルの変遷を両方向に追跡することができます。