ユーティリティ ネットワークを最新の状態に維持して最新の機能を利用できるようにするために、アップグレードが必要な場合があります。これは、ユーティリティ ネットワーク データセット、ネットワーク フィーチャクラス、その他の関連するジオプロセシング オブジェクトに対して、スキーマの変更を適用します。アップグレードを実行するには、[データセットのアップグレード (Upgrade Dataset)] ツールを使用します。
ユーティリティ ネットワーク データセットのアップグレードは、情報モデル内でスキーマが変更された場合にのみ必要となります。アップグレード処理を実行すると、ユーティリティ ネットワーク バージョン番号が増分します。ArcGIS Pro クライアントのバージョンと現在のユーティリティ ネットワーク バージョンによって、ユーティリティ ネットワーク データセットのアップグレードが必要かどうかを判断できます。ただし、すべての ArcGIS Pro リリースでユーティリティ ネットワークのアップグレードが必要なわけではありません。
ArcGIS Pro のバージョンによって、作成されるユーティリティ ネットワーク データセットのユーティリティ ネットワーク バージョンが決定します。ArcGIS Pro バージョンによって、ユーティリティ ネットワーク データセットのアップグレードが必要かどうかを判断できます。下のテーブルを参照して、ArcGIS Pro リリース バージョンと対応するユーティリティ ネットワーク バージョンを確認します。
ArcGIS Pro リリース | ユーティリティ ネットワーク バージョン |
---|---|
2.1.x | 1 |
2.2.x | 2 |
2.3.x | 2 |
2.4.x | 3 |
2.5.x | 3 |
2.6.x | 4 |
ヒント:
ユーティリティ ネットワーク バージョンは、[ネットワーク プロパティ] タブの [一般] セクションで確認できます。
アップグレードは、バージョン間で累積的で、スキップされたバージョンからの変更を含みます。たとえば、ユーティリティ ネットワークをユーティリティ ネットワーク バージョン 2 からユーティリティ ネットワーク バージョン 4 へ更新する場合、バージョン 3 および 4 のすべてのスキーマ変更が含まれます。アップグレード履歴は、[ネットワーク プロパティ] タブの [一般] セクションにある [アップグレード済み] プロパティに表示されます。
ユーティリティ ネットワーク バージョン 4 へのアップグレード
ユーティリティ ネットワークをユーティリティ ネットワーク バージョン 4 にアップグレードすると、次の変更が行われます。
- ポイント、ライン、およびポリゴン エラー サブレイヤーは削除され、ユーティリティ ネットワーク レイヤーのサブレイヤーとして使用できなくなります。
- ダーティ エリアおよび関連付けテーブルのスキーマは、エラー情報を保存するように変更されます。
- UPDATETYPE フィールドは、ダーティ エリア テーブルから削除されます。
- STATUS フィールドは、ダーティ エリア テーブルで使用され、ダーティ エリアのタイプを示します。このフィールドは関連付けテーブルに追加されます。
- ERRORCODE および ERRORMESSAGE フィールドは、ダーティ エリアおよび関連付けテーブルに追加されます。
- PERCENTALONG フィールドは、関連付けテーブルに追加されます。
- 名前付きバージョンのすべてのダーティ エリアは切り捨てられます。この手順は、ダーティ エリア テーブルに加えられたスキーマ変更を取り込むために必要です。デフォルト バージョンのアップグレード後、ネットワーク トポロジを有効化し、すべての名前付きバージョンでリコンサイルを実行することで、新しいダーティ エリアが生成されます。
- ユーティリティ ネットワークの組み込みのフィーチャ制限を伴う変更を含みよう、AssociationStatus ドメインが更新されます。
- サブネットワーク テーブルの SUBNETWORKNAME および SUBNETWORKCONTROLLERNAME フィールドに、一意でない属性インデックスが追加されます。
- すべてのドメイン ネットワーク データセットに、SUPPORTEDSUBNETWORKNAME という新しいフィールドが追加されます。
- サブネットワークの更新処理は、Assembly フィーチャクラスのフィーチャのサブネットワークを保存するために、SUBNETWORKNAME フィールドを更新しなくなります。このフィールドの更新は、アップグレード時にシステム管理されなくなります。SUPPORTEDSUBNETWORKNAME フィールドは、アセンブリ フィーチャクラス サポート内のサブネットワーク フィーチャを追跡するために使用されます。
次に示す追加のサブネットワーク プロパティが、各層に対して保存されます。
- 有効なジャンクション
- 有効なジャンクション オブジェクト
- 有効なエッジ オブジェクト
- [有効なサブネットワーク コントローラー] には、有効なサブネットワーク コントローラーとして設定されているデバイスおよびジャンクション オブジェクトが表示されます。
- システム提供の UN_<ID>_IsDirty コード値ドメインに新しいコードおよび説明の値が追加されます (2: Invalid)。これは、サブネットワーク管理の将来の作業をサポートするために使用されます。
共通の地理的空間を共有する多数の現実世界のフィーチャをモデル化して操作するために、ユーティリティ ネットワーク スキーマの一部として、非空間ジャンクションおよびエッジ オブジェクトが導入されています。
- 構造物ネットワークに対して、次のテーブルが作成されます。
- StructureJunctionObject
- StructureEdgeObject
- 各ドメイン ネットワークに対して、次のテーブルが作成されます。
- <domain_network>JunctionObject
- <domain_network>EdgeObject
- システム提供の UN_<ID>_FeatureSourceID コード値ドメインが更新され、構造物ネットワークと各ドメイン ネットワークに対して次のコードと説明の値が追加されます。
- <ID> - 構造物ジャンクション オブジェクト
- <ID> - 構造物エッジ オブジェクト
- <ID> - <domain_name> ジャンクション オブジェクト
- <ID>- <domain_name> エッジ オブジェクト
ユーティリティ ネットワークをバージョン 4 にアップグレードした後で、追加の手順が必要です。詳細については、「ユーティリティ ネットワークのアップグレード」をご参照ください。
ユーティリティ ネットワーク バージョン 3 へのアップグレード
ユーティリティ ネットワークをユーティリティ ネットワーク バージョン 3 にアップグレードすると、次の変更が行われます。
- 新しいシステム提供のネットワーク属性がユーティリティ ネットワークに追加されます。Flow direction は、[イン ライン] で格納された非表示のシステム提供のネットワーク属性であり、フロー方向を利用した今後の作業をサポートするために使用されます。
ユーティリティ ネットワーク バージョン 2 へのアップグレード
ユーティリティ ネットワークをユーティリティ ネットワーク バージョン 2 にアップグレードすると、次の変更が行われます。
- 新しく作成されたフィーチャのデフォルトの状態を表すために、システム提供の属性ドメイン IsConnected に新しいコードと説明が追加されます (2: 不明)。
- IsConnected フィールドのデフォルト値が true から unknown に変更されます。
- [格納器スプリット ポリシー] プロパティが格納器の関連付けロールに追加されます。
- システムが提供する次の属性ドメインのスプリット ポリシーが、デフォルトから複製に変更されます。
- IsConnected
- AssociationStatus
- TerminalNames
- エラー フィーチャから生成されるダーティ エリアを表すために、システム提供の属性ドメイン Dirty areas にコードと説明が追加されます (3: エラー)。
- アセット タイプまたはターミナルにアスタリスク (*) を使用したルールが拡張され、それぞれの組み合わせが個々のルールとして明示的に表されます。アスタリスクを使用した既存のルールが、ユーティリティ ネットワークの現在の構成状態を使用して拡張され、新しく生成されたルールが [ネットワーク プロパティ] タブに表示されます。
- 親サブネットワークの列がサブネットワーク テーブルから削除されます。
- 関連するテーブルがバージョン非対応になっているため、ダイアグラム テンプレートはこれ以上バージョン対応登録されません。
メモ:
ArcGIS Pro 2.1 を使用して作成されたユーティリティ ネットワークは完全な 3D 対応ではありません。これには、アップグレードされたユーティリティ ネットワークも含まれます。ダーティ エリアとエラー フィーチャ管理のため、完全な 3D 機能を備えたユーティリティ ネットワークで作業することをお勧めします。詳細については、「ユーティリティ ネットワークを完全に 3D 対応にする方法」をご参照ください。