概要
ArcGIS プラットフォーム全体で使用するために 1 つ以上のシーンからモバイル シーン パッケージ ファイル (*.mspk) を作成します。
使用法
モバイル シーン パッケージは、ArcGIS Pro で使用され、ArcGIS Runtime SDK でアプリケーションを構築する開発者が使用できます。ArcGIS Runtime SDK では、*.mspk ファイルはバージョン 100.5 で導入されました。モバイル シーン パッケージは、ArcGIS Online および Portal for ArcGIS 10.7 以降でファイル タイプとしてサポートされています。詳細については、「モバイル シーン パッケージの共有」をご参照ください。
モバイル シーン パッケージは、[挿入] タブの [プロジェクト] グループにある [マップのインポート] を使用して ArcGIS Pro にインポートできます。
モバイル シーン パッケージを作成すると、すべてのシーンおよびデータ レイヤーが共通の座標系に投影されます。使用される座標系は、シーンの座標系です。複数のシーンが存在する場合、最初に入力されたシーンの座標系が使用されます。すべてのデータセットを同じ座標系に存在させることで、処理時間を高速化できます。現時点では、ArcGIS Runtime SDK アプリケーションは WGS84 および Web メルカトル (球体補正) 座標系にあるグローバル シーンのみをサポートしています。
シーンにサービス レイヤー、シーン レイヤー パッケージ (*.slpk ファイル)、またはタイル パッケージ (*.tpk ファイル) が含まれる場合、これらの座標系がシーン プロパティ内のシーンの座標系と一致することを確認してください。シーンの座標系以外の座標系があるパッケージは、モバイル シーン パッケージからブロックされます。水平 (XY) 座標系と鉛直 (Z) 座標系がどちらもシーンの座標系と一致する必要があります。シーンの座標系の更新手順の詳細については、「座標系の指定」をご参照ください。
シーンにネットワーク データセットを参照するネットワーク レイヤーが含まれている場合、そのシーンは、ルート検索およびルート案内用の交通ネットワークとしてモバイル マップ パッケージに含まれます。ネットワークが参照しているすべてのフィーチャクラスおよびテーブルは、そのモバイル シーン パッケージの一部になります。そのためシーンの一部ではないレイヤーが含まれる場合があります。たとえば、マップ内にネットワーク レイヤーだけがある場合、パッケージには、そのネットワークに関連付けられている道路、ジャンクション、およびターンのフィーチャクラスが含まれます。その他の考慮事項については、「ArcGIS Runtime で使用するモバイル シーン パッケージの作成」をご参照ください。
対話形式の編集ツールを使用して、シーンの地面に四角形を描画することで、対象地域を定義できます。範囲が指定されていない場合は、現在のシーン範囲を使用して、対象地域 (AOI) を定義し、その範囲と交差しているフィーチャだけを統合します。詳細については、「対象地域に関する検討事項」をご参照ください。
モバイル シーン パッケージは 3D ビジュアライゼーション用に最適化されています。高速描画を行うために、マルチパッチ フィーチャ レイヤー、3D ポイント フィーチャ レイヤー、LAS データセット レイヤーはシーン レイヤー パッケージに変換されます。レイヤーをモバイル シーン パッケージにパッケージ化する方法の詳細については、操作レイヤーをご参照ください。
次の表は、サポートされている入力データと、モバイル シーン パッケージ内で出力データを変換またはコピーする方法を示しています。また、シーンの座標系にデータを再投影できるかどうかも示しています。再投影できないデータセットは、モバイル シーン パッケージの作成 (Create Mobile Scene Package) ツールへの入力としてブロックされます。
ソース データセット モバイル シーン パッケージ内のデータセット サポートされているデータセットの再投影 2D ポイント、ライン、またはポリゴン フィーチャ レイヤー
SQLite フィーチャクラス
はい
3D ポイント フィーチャ レイヤー
シーン レイヤー パッケージ
はい
マルチパッチ フィーチャ レイヤー
シーン レイヤー パッケージ
はい
LAS データセット レイヤー
シーン レイヤー パッケージ
はい
シーン レイヤー パッケージ
シーン レイヤー パッケージ
いいえ
ラスター レイヤー
ラスター データセット
はい
標高ソース
タイル パッケージまたはラスター データセット
はい (ラスター データセットの場合)
タイル パッケージ
タイル パッケージ
いいえ
ネットワーク レイヤー
交通ネットワーク
はい
KMZ または KML
KMZ または KML
いいえ
テーブル
SQLite テーブル
いいえ
サービス レイヤー
サービス レイヤー
いいえ
注意:
大容量または多数のデータセットを含むシーンでは、モバイル シーン パッケージで使用するためのデータ変換に、かなり処理時間がかかる可能性があります。
構文
CreateMobileScenePackage(in_scene, output_file, {in_locator}, {area_of_interest}, {extent}, {clip_features}, {title}, {summary}, {description}, {tags}, {credits}, {use_limitations}, {anonymous_use}, {texture_optimization}, {enable_scene_expiration}, {scene_expiration_type}, {expiration_date}, {expiration_message}, {select_related_rows}, {reference_online_content})
パラメーター | 説明 | データ タイプ |
in_scene [in_scene,...] | 1 つの *.mspk ファイルにパッケージ化される 1 つ以上のローカルまたはグローバル シーン。アクティブなシーンと *.mapx ファイルを入力として追加できます。 | Map |
output_file | 出力モバイル シーン パッケージ (*.mspk ファイル)。 | File |
in_locator [in_locator,...] (オプション) | モバイル シーン パッケージに含める 1 つ以上のロケーター (*.loc)。 メモ:ロケーターには以下の制限があります。
| Address Locator |
area_of_interest (オプション) | 対象地域を定義するポリゴン レイヤー。対象地域と交差しているフィーチャだけがモバイル シーン パッケージに挿入されます。 | Feature Layer |
extent (オプション) | モバイル シーン パッケージに含めるフィーチャを選択するために使用する範囲を指定します。キーワードを使用するか、X-Min Y-Min X-Max Y-Max という形式を使用して座標を入力して、範囲を指定できます。特定レイヤーの範囲を使用するには、レイヤー名を指定します。デフォルトの範囲は、すべての入力シーンの結合された範囲になります。
area_of_interest パラメーターを指定した場合、extent パラメーターは無視されます。 | Extent |
clip_features (オプション) | 出力フィーチャを指定された対象地域または範囲にクリップするかどうかを指定します。
メモ:マルチパッチ フィーチャ レイヤー、3D ポイント フィーチャ レイヤー、LAS データセット レイヤー、サービス レイヤー、タイル パッケージ、シーン レイヤー パッケージはクリップできないので、モバイル シーン パッケージに完全にコピーされます。 出力フィーチャを指定された対象地域または範囲にクリップするかどうかを指定します。
メモ:マルチパッチ フィーチャ レイヤー、3D ポイント フィーチャ レイヤー、LAS データセット レイヤー、タイル パッケージ、シーン レイヤー パッケージはクリップできないので、モバイル シーン パッケージに完全にコピーされます。 | Boolean |
title (オプション) | タイトル情報をパッケージのプロパティに追加します。 | String |
summary (オプション) | 概要情報をパッケージのプロパティに追加します。 | String |
description (オプション) | 説明情報をパッケージのプロパティに追加します。 | String |
tags (オプション) | タグ情報をパッケージのプロパティに追加します。カンマやセミコロンで区切ることで、複数のタグを追加できます。 | String |
credits (オプション) | 著作権情報をパッケージのプロパティに追加します。 | String |
use_limitations (オプション) | 利用制限をパッケージのプロパティに追加します。 | String |
anonymous_use (オプション) | モバイル シーンを誰もが使用できるか、ArcGIS アカウントを持つユーザーのみが使用できるかを指定します。
ライセンス:オプションのパラメーターは、Publisher エクステンションでのみ利用可能です。 | Boolean |
texture_optimization (オプション) | 使用するテクスチャの最適化を指定します。テクスチャは、シーン レイヤー パッケージを使用するターゲット プラットフォームに従って最適化されます。このパラメーターはシーン レイヤー パッケージにのみ適用されます。 注意:ETC2 を含む最適化では、処理に多大な時間がかかることがあります。結果の処理を最速化するには、[デスクトップ] または [なし] を使用します。
| String |
enable_scene_expiration (オプション) | モバイル シーン パッケージがタイムアウトするかどうかを指定します。
ライセンス:オプションのパラメーターは、Publisher エクステンションでのみ利用可能です。 | Boolean |
scene_expiration_type (オプション) | 有効期限が切れたモバイル シーン パッケージへのシーン アクセス タイプを指定します。
ライセンス:オプションのパラメーターは、Publisher エクステンションでのみ利用可能です。 | String |
expiration_date (オプション) | モバイル シーン パッケージの有効期限が切れる日付。 ライセンス:オプションのパラメーターは、Publisher エクステンションでのみ利用可能です。 | Date |
expiration_message (オプション) | 有効期限が切れたシーンにアクセスしたときにテキスト メッセージが表示されます。 ライセンス:オプションのパラメーターは、Publisher エクステンションでのみ利用可能です。 | String |
select_related_rows (オプション) | 指定した範囲を関連するデータ ソースに適用するかどうかを指定します。
| Boolean |
reference_online_content (オプション) | サービス レイヤーがパッケージ内で参照されるかどうかを指定します。
| Boolean |
コードのサンプル
次のスクリプトは、Python ウィンドウで CreateMobileScenePackage ツールを使用する方法を示しています。
import arcpy
arcpy.env.workspace = r'c:\data'
arcpy.management.CreateMobileScenePackage(
'loma_linda','LomaLindaBuilding.mspk', None, None, 'DEFAULT', 'SELECT',
'Loma Linda Proposed Building',
'Offline mobile scene package for planning department', None, 'mspk', None,
None, 'STANDARD', 'DESKTOP', 'ENABLE_SCENE_EXPIRATION', 'ALLOW_TO_OPEN',
'12/31/2019 9:00:00 AM', 'This scene is expired. Contact admin@email.com',
'EXCLUDE_SERVICE_LAYERS')
次のスクリプトは、CreateMobileScenePackage ツールを Python スクリプトで使用する方法を示しています。
import arcpy
arcpy.env.workspace = r'c:\data'
arcpy.management.CreateMobileScenePackage(
'Yosemite.mapx','YosemiteOffline.mspk', None, None, 'DEFAULT', 'SELECT',
'YosemiteOfflineScene',
'Offline mobile scene package for Yosemite National Park', None,
'mspk, yosemite, offline', None, None, 'STANDARD', 'DESKTOP',
'DISABLE_SCENE_EXPIRATION', 'ALLOW_TO_OPEN')
環境
ライセンス情報
- Basic: 制限付き
- Standard: 制限付き
- Advanced: 制限付き