サポートされている表記形式

ArcGIS Desktop では、テキスト文字列から座標の位置を読み書きするのに数多くの形式がサポートされています。正しい表記形式の座標は、[座標表記の変換 (Convert Coordinate Notation)] ツールなどのジオプロセシング ツールで使用できます。

メモ:
以下の例や説明では、次の構文が使用されます。
  • | は「または」を意味します。たとえば、+ | - は、+ または - の文字を使用できることを意味します。
  • [ ] は、選択リストを表します。たとえば、[ + | - | N | S] は、+-NS のいずれかの文字を使用できることを意味します。
  • < > は値を表します。

メモ:

小数記号や半球の略語では、ローカライズはサポートされません。たとえば、小数記号にはピリオドだけが使用でき、カンマは使用できません。また、半球には N、S、E、W の各文字だけが使用でき、他の言語で同等の意味を表す文字は使用できません。

度ベースの形式

度ベースの形式は、必ず先に緯度 (Y 座標)、後に経度 (X 座標) を指定します。半球は、+-NSEW を使用して指定します。これらは、1 組の緯度と経度の中で混在して使用できます。省略した場合、値は正 (緯度は N、経度は E) になります。

度 (10 進) (DD)

入力形式

<緯度> <座標の組の区切り文字> <経度>

緯度

[ + | - | N | S ] <DD.dd> [ + | - | N | S ]

大文字/小文字は無視されます。

経度

[ + | - | E | W ] <DDD.dd> [ + | - | E | W ]

大文字/小文字は無視されます。

座標の組の区切り文字

[スペース | / | \ | | | , ]

カンマとスペース、スペースとスペースなど、複数の区切り文字を使用できます。

緯度 <DD.dd> と経度 <DDD.dd> の値の形式は、次のように設定できます。

<度> [<小数記号>] <度の小数部分> [<度の記号>]

0 ~ 90 (緯度)

0 ~ +180 および 0 ~ -180 (経度)

小数

.

度の小数部分

0 ~ 99

度の記号

度の記号 ° (U+00B0)

上リング ° (U+02DA)

男性序数指示子 º (U+00BA)

曲アクセント (キャレット) ^ (U+005E)

チルド ~ (U007e)

アスタリスク * (U+002A)

メモ:

度の記号は省略できます。

値の長さは、合計で 64 文字を超えることはできません (終わりの NULL 値を含む)。

入力例

次の入力例はすべて同じです。

27.00N 087.00W27.00n 087.00w27.00N 087W+27.00 087W27N -87N27.00 W08727.00N/87W27.00N/87W27.00°N 087.00°W

出力形式

度 (10 進) 表記を書き込む場合、先頭のゼロは含められ、半球文字が使用されます。

出力例

以下は ArcGIS がデフォルトで出力する形式です。

27.00N 087.00W27.00000N 087.00000W

度分 (DDM)

DD MM.mmm 形式では、+/- 記号を複数使用することはできません。

入力形式

<緯度> <座標の組の区切り文字> <経度>

緯度

[ + | - | N | S ] <DD MM.mmm> [ + | - | N | S ]

大文字/小文字は無視されます。

経度

[ + | - | E | W ] <DDD MM.mmm> [ + | - | E | W ]

大文字/小文字は無視されます。

座標の組の区切り文字

[スペース | / | \ | | | , ]

カンマとスペース、スペースとスペースなど、複数の区切り文字を使用できます。

緯度 <DD MM.mmm> と経度 <DDD MM.mmm> の値の形式は、次のように設定できます。

<度> [<度の記号>] [<区切り文字>] <分> [<小数記号>] <分の小数部分> [<分の記号>]

0 ~ 90 (緯度)

0 ~ +180 および 0 ~ -180 (経度)

度の記号

度の記号 ° (U+00B0)

上リング ° (U+02DA)

男性序数指示子 º (U+00BA)

曲アクセント (キャレット) ^ (U+005E)

チルド ~ (U007e)

アスタリスク * (U+002A)

区切り文字

[スペース | アンダースコア | ハイフン]

0 ~ 59

小数

.

分の小数部分

数値

分の記号

マイナス記号 ' (U+2032)

アポストロフィ ' (U+0027)

メモ:

度と分の記号は省略できます。

値の長さは合計で最大 64 文字です (終わりの NULL 値を含む)。

入力例

次の入力例はすべて同じです。

27 54.00N 087 59.00W27 54.00n 087 59.00w27 54N 087 0W+27 54.00 087 59.00WN27 54.00 W087 59.0027 54.00N/87 59W27° 54.00’N 087° 59.00’W

出力例

以下は ArcGIS がデフォルトで出力する標準形式です。

27.00N 087.00W27 00.00000N 087 00.00000W

度分秒 (DMS)

DD MM SS.sss 形式では、+/- 記号を複数使用することはできません。

入力形式

<緯度> <座標の組の区切り文字> <経度>

緯度

[ + | - | N | S ] <DD MM SS.sss> [ + | - | N | S ]

大文字/小文字は無視されます。

経度

[ + | - | E | W ] <DDD MM SS.sss> [ + | - | E | W ]

大文字/小文字は無視されます。

座標の組の区切り文字

[スペース | / | \ | | | , ]

カンマとスペース、スペースとスペースなど、複数の区切り文字を使用できます。

緯度 <DD MM SS.sss> と経度 <DDD MM SS.sss> の値の形式は、次のように設定できます。

<度> [<度の記号>] <区切り文字> <分> [<分の記号>] <区切り文字> <秒> [<小数記号>] <秒の小数部分> [<秒の記号>]

0 ~ 90 (緯度)

0 ~ +180 および 0 ~ -180 (経度)

度の記号

度の記号 ° (U+00B0)

上リング ° (U+02DA)

男性序数指示子 º (U+00BA)

曲アクセント (キャレット) ^ (U+005E)

チルド ~ (U007e)

アスタリスク * (U+002A)

区切り文字

[スペース | アンダースコア | ハイフン]

0 ~ 59

分の記号

マイナス記号 ' (U+2032)

アポストロフィ ' (U+0027)

0 ~ 59

小数

"."

秒の小数部分

数値

秒の記号

引用符 " (U+0022)

分音記号 ¨ (U+00A8)

二重アクセント記号 ˝ (U+02DD)

メモ:

度、分、秒の記号は省略できます。

値の長さは合計で最大 64 文字です (終わりの NULL 値を含む)。

入力例

次の入力例はすべて同じです。

27 18 00.00N 087 00 00.00W271800.00N 0870000.00W

DDMMSS.sss という圧縮された形式もサポートされています。

出力例

以下は ArcGIS がデフォルトで出力する標準形式です。

27 18 00.00N 087 00 00.00W

ユニバーサル横メルカトル図法 (UTM)

UTM 表記で処理する場合、ゾーンと文字が指定されます。文字は通常、MGRS/USNG の場合と同様に、緯度バンドを表します。場合によっては N または S を使用して、北または南の UTM ゾーンを表すことができます。混在リストでは、UTM 表記は緯度バンドを使用すると想定されます。

UTM 表記がスペースなしで指定された場合、東距と北距は中央で分割されます。桁が奇数の場合、余った桁は北距に割り当てられます。東距と北距の値は整数である必要があります。

11S3455674321459 = 11S 345567 4321459
11N345567432145 = 11N 345567 432145
注意:

UTM 表記にスペースが含まれていない場合、桁が偶数だとあいまいな場合があります。たとえば、東距が 5 桁で北距が 7 桁の場合に、ソフトウェアでは東距と北距が共に 6 桁と解釈されてしまいます。

スペースを埋め込めば、東距と北距の値はスペースで区切られていると見なされ、オプションで小数点を含めることができます。

次の形式はサポートされていません。

11S 3455674321459

カンマがあると、文字列の形式は、東距、北距、ゾーン バンドと見なされます。

554577,4183342,10S

小数点は使用できます。この種の形式にスペースがある場合は無視されます。

554577.3,4183342.7,10S

入力例

次の入力例はすべて同じです。

11S 345567 432145911S3455674321459554577,4183342,10S554577.3,4183342.7,10S554577, 4183342, 10S

出力例

11T 561192 4832027

MGRS (Military Grid Reference System)

詳細については、「DMA Technical Manual 8358.1, Chapter 3」をご参照ください。

ZZBGGEEEEENNNNN

  • ZZ: UTM ゾーン
  • B: 緯度バンド
  • GG: 100 K 格子枠を表す文字 (極地域の場合は UPS (Universal Polar Stereographic) のエリア)
  • EEEEE: X 座標 (東距)
  • NNNNN: Y 座標 (北距)
メモ:

ZZB という最初の 3 文字は、グリッド ゾーン指定 (GZD) と呼ばれることがあります。

入力にスペースが入っていてもかまいませんが、東距と北距の値の間に入れることはできません。東距が先に北距が後に表記されます。東距と北距に使用される桁数は同じである必要があります。

MGRS 座標は、低い精度を反映して丸められる場合があります。たとえば、次のように指定します。

  • 15SWC8081751205 は、1 メートル精度です。
  • 15SWC80825121 は、10 メートル精度です。
  • 15SWC808512 は、100 メートル精度です。
  • 15SWC8151 は、1000 メートル精度です。

測地基準系や楕円体に応じて、MGRS は新旧いずれかのスタイルを使用します。古いスタイルは、代替文字スキーマを使用します。MGRS を簡略化したバージョンである USNG は、MGRS では古いスタイルを使用する NAD 1927 測地基準系に基づく場合でも、新しい形式を使用します。一般に、WGS 1984 と NAD 1983 に一方のスキームが使用され、ローカル測地基準系と関連付けられた古い楕円体にはもう一方のスタイルが使用されます。たとえば、次の座標は WGS 1984 です。

15SWC8081751205

これを NAD-27 測地基準系の Clarke 1866 楕円体に変換すると、値は次のようになります。

15SWN8083350993

UPS (Universal Polar Stereographic) バージョンは、南極地方を A と B に、北極地方を Y と Z に分割します。ゾーン番号は指定されません。

ZAK4500045522 = 169 36 50.2E 87 45 7.2N = (169.6139E 87.7520N)
ZGG7902863771 = 85:40:30.0 N 85:40:30.0 W
ATN2097136228 = 85:40:30.0 S 85:40:30.0 W 

入力例

次の入力例はすべて同じです。

15SWC808175120515S WC 8081751205ZAK4500045522

出力例

標準では、出力にスペースは使用できません。

15SWC8081751205ZAK4500045522

USNG (United States National Grid)

USNG 座標の表記形式は、United States National Grid に基づく MGRS の簡略バージョンです。詳細については、「Standard for a United States National Grid, FGDC-STD-011-2001」をご参照ください。

USNG では、 NAD 1983 (WGS 1984 に相当) または NAD 1927 の 2 つの地理座標系だけを使用できます。USNG はデフォルトで NAD 1983 を使用します。NAD27 を使用している場合は、18SUJ2306 (NAD 27) のように明示的に指定する必要があります。MGRS と異なり、USNG は、地理座標系に関係なく、同じ文字スキーマを 100 km 四方に適用します。MGRS は、NAD 1927 を含む古いスタイルを使用する場合、北距の文字の位置を 10 シフトします。そのため、MGRS と USNG は NAD 1927 に基づく場合、表記の混在リストに含めることはできません。

USNG は MGRS と異なり、18T WL 807 046 のようにスペースを使用できます。

USNG の対象となるのは、外地を含む米国だけです。MGRS は、緯度 80°S ~ 84°N の範囲で世界全体を定義します。これは、UTM で定義されますが、この範囲外は UPS (Universal Polar Stereographic) で定義されます。USNG は範囲が制限されているため UPS の必要がなく、UTM だけで定義されます。

入力例

次の入力例はすべて同じです。

11SMT824647520711S MT 82464 75207

出力例

11S MT 82464 75207

GEOREF (World Geographic ReferenceSystem)

GEOREF は、経度に緯度に基づき、世界をまず 15 x 15 度の文字付きセルに分割します。15 x 15 度の各セルは 1 x 1 度のセルに分割され、それらにも文字が付けられます。1 x 1 度の各セルは、次の出力例のように 60 x 60 分に分割できます。分割は、0.01 分まで可能です。

詳細については、「グリッド情報」をご参照ください。

入力例

PGAM16281221

出力例

PGAM1628

GARS (Global Area Reference System)

GARS は、経度と緯度に基づき、世界を 30 x 30 分のセルに分割します。最初の 3 桁は、30 分幅の経度バンドを表します。4 桁目と 5 桁目の文字は、30 分の高さの緯度バンドを表します。30 x 30 分の各セルは 15 x 15 分のセルに分割でき、15 x 15 分の各セルは 5 x 5 分のセルにさらに分割できます。GARS からの変換では、表現される正方形の左下が度ベースの座標の計算に使用されます。

詳細については、「GARS (Global Area Reference System)」をご参照ください。

入力例

391JL41391JL

出力例

391JL41

混在表記形式

一連の混在表記の文字列を変換する場合、要件がさらにいくつかあります。一部の表記形式は、有効に決定できません。

混在表記形式のリストは、同じ座標系 (測地基準系) を使用する必要があります。GCS が明示的に指定されていない場合、WGS 1984 と見なされます。

測地基準系や楕円体に応じて、MGRS は新旧いずれかのスタイルを使用します。古いスタイルは、代替文字スキーマを使用します。MGRS を簡略化したバージョンである USNG は、MGRS では古いスタイルを使用する NAD 1927 測地基準系に基づく場合でも、新しい形式を使用します。NAD 1927 に基づく MGRS と USNG の表記文字列が 1 つのリスト内にある場合、他方の座標タイプまたは表記に正しく変換することはできません。

UTM 表記で処理する場合、ゾーンと文字が指定されます。文字は通常、MGRS/USNG の場合と同様に、緯度バンドを表します。場合によっては N または S を使用して、北または南の UTM ゾーンを表すことができます。混在リストでは、UTM 表記は緯度バンドを使用すると想定されます。

GARS は (中心ではなく) 左下と想定されます。

DD.MMSSsss はサポートされていません (DD.dddddd と DD.MMmmm があいまいです)。

DD.dddd、DDMM.mmmm、DDMMSS.ssss、DD MM SS.ssss のようにすべての度表記を指定する場合、緯度と経度の両方の値が同じ形式を使用する必要があります。

+/- または NSEW を混在させることができますが、値の最初または最後にする必要があります (dd mm ss.ssss-)。

DD MM.mmm または DD MM SS.ssss 形式では、+/- 記号を複数使用することはできません。