コスト接続性 (Cost Connectivity) ツールの詳細

Spatial Analyst のライセンスで利用可能。

[コスト接続性 (Cost Connectivity)] ツールでは、領域間を接続するパスを個別に作成することではなく、最小コスト パスの最適なネットワークを定義することに重点が置かれています。出力されるネットワークでは、パスを使用して現象が領域間を移動できます (他の領域を経由することもできます)。

[コスト接続性 (Cost Connectivity)] によって解析される問題の例

  • 適合性モデルから、ボブキャットの最適な 10 の生息地域を特定しました。メタ個体群の中で遺伝的多様性を維持するために、ボブキャットが自然のコリドーの最適なネットワークを通って生息地域間を移動することを望んでいます。
  • 平和維持軍の配置において、部隊と隊員を配置する 5 つのエリアを特定しました。基地間の補給ルートの最適なネットワークを開発したいと考えています。
  • 森林伐採で、切り出した材木を運ぶ道の最もコスト効率のよいネットワークを作成したいと考えています。

コスト接続性 (Cost Connectivity) アルゴリズムの詳細

次の各手順では、[コスト接続性 (Cost Connectivity)] アルゴリズムの仕組みの概念を説明します。

  1. 入力ソースとコスト サーフェスが特定されています。

    次の図には、入力領域 (色付きのポリゴン) がコスト サーフェス レイヤー上に表示されています。

    コスト サーフェス上の領域
    入力領域がコスト サーフェス ラスター上に表示されています。
  2. [コスト アロケーション (Cost Allocation)] が実行されます。

    次の図には、入力領域が関連コスト アロケーション レイヤー上に表示されています。アロケーション ラスターに含まれる各セルの値は、最も安価な (最も少ない) 累積コストで到達できる特定の領域の値です。

    コスト アロケーション上の領域
    コスト アロケーション レイヤー上に表示される領域
  3. 各領域とその隣接コスト領域の間にコスト パスが作成されています。

    次の図には、入力領域と各領域から隣接コスト領域への最小コスト パス (マゼンタ色の線) が関連コスト アロケーション レイヤー上に表示されています。

    パスで領域間が接続されているコスト アロケーション
    パスで領域間が接続されているコスト アロケーション
  4. 領域と生成されたパスがグラフに変換されます (グラフ理論)。変換後は、領域が頂点になり、パスがエッジになります。パスの累積コストは、エッジのウェイトになります。

    概念上、領域とパスをグラフ理論に変換する方法は、次の図で表現することができます。番号付きの円が頂点 (領域) であり、頂点間を接続している線がエッジ (最小コスト パス) です。エッジのウェイトは、パスの累積コストに相当します。この図では、コストが高くなるにつれて、線が太くなっています。

    グラフ理論に変換された領域とパス
    グラフ理論の概念図
    メモ:

    このツールの仕組みを十分に把握するには、グラフ理論の基礎知識を習得しておくことをお勧めします。グラフ理論に関して多数のリソースを入手できますが、まずはウィキペディア (https://en.wikipedia.org/wiki/Graph_theory) の内容を参考にしてもかまいません。

  5. 可能な限り最も効率的な (コストが最小となる) 方法で頂点 (領域) 間を接続するグラフ理論によって、最小スパニング ツリーが決定されます。
    メモ:

    最小スパニング ツリーに関する詳しい情報は、ウィキペディア (https://en.wikipedia.org/wiki/Minimum_spanning_tree) など、Web 上で確認できます。

  6. 最小スパニング ツリーに含まれる領域とパスの空間表現がマッピングされ、出力フィーチャクラスに戻されます。

    次の図には、最小スパニング ツリーに含まれる入力領域と最小コスト パスのネットワーク (マゼンタ色) が関連コスト サーフェス レイヤー上に表示されています。

    コスト サーフェス上の出力パスと領域
    領域間の出力パスがコスト ラスター上に表示されています。

  7. 必要に応じて、隣接コスト領域へのパスのフィーチャクラスを出力できます (上記のステップ 3 を参照)。

各パスは個別の線形フィーチャで表現されるので、共通セグメントを通るコリドーのラインが重複します。

入力領域がポリゴンの場合、パスはそのポリゴン内のポイントまで続きます。これにより、離れた領域に到達するのに、あるパスから入り、領域内を移動して、別のパスから出ることが可能になります。このように 1 つの領域内で拡張されたセグメントにはコストが割り当てられないため、その領域内の移動にコストがかかりません。線形領域の場合も同じであり、別のパスに到達するまで線形フィーチャに沿って移動する分のコストはかかりません。

次の左側の図には、[コスト距離 (Cost Distance)] ツールと [コスト パス (Cost Path)] ツールを順次実行して領域間を接続した場合に得られた結果が示されています。これらのパスが領域のエッジにしか届いていないことが分かります。右側の図には、[コスト接続性 (Cost Connectivity)] ツールを実行して生成された、領域間を接続しているパスのネットワークが示されています。これらのパスは領域の中まで続いていることが分かります。つまり、あるパスから領域に入り、別のパスから領域を出ることができます。

領域内の接続パス
コスト距離 (Cost Distance) およびコスト パス (Cost Path) ツールを使用した場合 (左側) とコスト接続性 (Cost Connectivity) ツールを使用した場合 (右側) のパスの比較

領域の重要性

[コスト接続性 (Cost Connectivity)] には領域を入力する必要があります。領域とは、相互に接続された (隣接する) 一連のセルであり、どのセルにも同じ値が設定されています。同じ値が設定されたセルを切断すると、これらのセルはゾーンになります。[リージョン グループ (Region Group)] ツールを使用して、ゾーンを領域に変換することができます。[コスト接続性 (Cost Connectivity)] ツールを実行すると、各領域がそれ以外のすべての領域に接続されるため、生成されたネットワーク内ですべての領域と各領域内のすべてのセルに到達できます。

コスト接続性 (Cost Connectivity) のワークフロー シナリオ

次のシナリオは、[コスト接続性 (Cost Connectivity)] ツールを使用する場合に共通しています。

  1. 最適なネットワーク (最小スパニング ツリー) が目的の出力です。
  2. 最適なネットワークが生成されない場合に領域間を接続するには、[コスト距離 (Cost Distance)][コスト パス (Cost Path)] を使用して特定のパスを最適なネットワークに接続します。消防士が火の手から逃れるための経路を追加するとします。
  3. 専門知識を活用して不要なパスを削除することで、隣接領域へのすべてのパスの任意の出力から目的のネットワークを作成します。
  4. 上記のシナリオのいずれかを Network Analyst ネットワークに変換して、領域間の移動に関する別の分析を行ってください。

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