最尤法分類 (Maximum Likelihood Classification) ツールの詳細

Spatial Analyst のライセンスで利用可能。

[最尤法分類 (Maximum Likelihood Classification)] ツールで使用されるアルゴリズムは、次の 2 つの原則に基づいています。

  • 多次元スペースにある各クラス サンプルのセルの正規分布
  • ベイズ決定理論

このツールは、各セルをシグネチャ ファイルで表されているクラスの 1 つに割り当てるときに、クラスのシグネチャの平均と共分散の両方を考慮します。クラス サンプルが正規分布していることを前提条件として、クラスは平均ベクトルと共分散マトリックスによって特性付けられます。各セル値のこれら 2 つの特性に基づいて、各セルの統計的尤度が計算され、セルがどのクラスに属しているかが特定されます。[事前確率加重] にデフォルトの [等しい] オプションが指定されている場合、各セルは、それが属している尤度が最も高いクラスに割り当てられます。

一部のクラスが出現する尤度が平均よりも高い (または低い) 場合は、[事前確率加重] オプションを [ファイル] に設定し、[入力事前確率ファイル] を使用する必要があります。特殊な確率を持つクラスの重みが事前確率ファイルで指定されます。この場合、事前確率ファイルは、2 つのクラスで統計的に重複するセルを割り当てるために役立ちます。これらのセルは、より正確に適切なクラスに割り当てられるため、より効果的な分類が行われます。このように重みを使用する分類方法を、「ベイズ分類」と呼びます。

[事前確率加重] オプションを [サンプル] に設定すると、入力シグネチャ ファイルでサンプリングされているすべてのクラスに割り当てられている事前確率が、各シグネチャでキャプチャされているセルの数と比例するようになります。したがって、サンプルで平均より少ないセルを持つクラスの重みは平均より小さくなり、より多いセルを持つクラスの重みは平均より大きくなります。結果として、より多いセルまたはより少ないセルがそれぞれのクラスに割り当てられます。

[最尤法分類 (Maximum Likelihood Classification)] ツールを実行するとき、オプションで出力信頼度ラスターを生成することもできます。このラスターは、分類の信頼度を示します。信頼度のレベルは 14 あり、これは有効な除外する端数の値と直接関連しています。1 番目の信頼度 (信頼度ラスターでのコード値は 1) は、入力シグネチャ ファイルの平均ベクトルまでの距離が最も短いセルで構成されているため、これらのセルの分類の確実性は最も高いことになります。2 番目の信頼度を構成するセル (信頼度ラスターでのセル値は 2) は、除外する端数が 0.99 以下である場合にのみ分類されます。最も低い信頼度 (信頼度ラスターでの値は 14) は、セルが不適切に分類される可能性が最も高いことを示します。この信頼度のセルは、除外する端数が 0.005 以上であれば分類されません。特定の信頼度で分類されるセルがない場合、その信頼度は出力信頼度ラスターに存在しないことになります。

次の例は、マルチバンドラスターが 5 つの土地利用クラスに分類される教師付き分類を実行する場合の [最尤法分類 (Maximum Likelihood Classification)] ツールの使用法を示しています。

分類に使用される入力マルチバンドラスターは、オハイオ州シンシナティの北側地域を映した未補正の 4 バンド Landsat TM 衛星画像です。

入力 Landsat TM 画像
バンド 4、3、2 がフォルス カラー画像として表示されている Landsat TM 画像の例

トレーニング サンプルを作成するために、この画像から、5 つの土地利用クラス (「商業地域/工業地域」、「住宅地」、「耕作地」、「森林」、「草地」) がフィーチャクラスに定義されました。[シグネチャの作成 (Create Signatures)] ツールを使用してクラスの統計情報を計算し、シグネチャ ファイルを生成しました。

この入力マルチバンド ラスターとシグネチャ ファイルを [最尤法分類 (Maximum Likelihood Classification)] ツールとともに使用して、ラスター セルを 5 つのクラスに分類します。

  • [最尤法分類 (Maximum Likelihood Classification)] ツール ダイアログ ボックスで使用される設定は、次のとおりです。

    [入力ラスター バンド] - northerncincy.tif

    [入力シグネチャ ファイル] - signature.gsg

    [出力マルチバンド ラスター] - landuse

    [除外する端数] - 0.0

    [事前確率加重] - EQUAL

    [入力事前確率ファイル] - <空>

    [出力信頼度ラスター] - confidence_ras

分類されたラスターを次に示します。

出力された分類済み土地利用マップ
出力された分類済み土地利用マップ

出力信頼度ラスターも生成されています。下のリストは、信頼度ラスターの結果の属性テーブルです。これは、信頼度別に分類されているセルの数を示しています。値 1 は 0.995 以上の尤度で正しいことを示します。その信頼度に分類されているセルの数は 69 です。値 5 は 0.9 以上、0.995 未満の尤度で正しいことを示します。0.005 未満の尤度で正しいことを示す値 14 を持つセルの数は 744,128 でした。

RECORD    VALUE    COUNT
0             1       69
1             2      462
2             3     1834
3             4     1123
4             5     2044
5             6     9140
6             7    28443
7             8    46781
8             9    63234
9            10    46393
10           11    42157
11           12    54506
12           13    37937
13           14   744128

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