Spatial Analyst のライセンスで利用可能。
概要
ソースから目的地までの最小コスト パスを計算します。コスト サーフェス上のセルごとに、最も近いソースまでの最小累積コスト距離が計算されます。これにより、選択した位置から累積コスト サーフェス内でコスト距離が最も近いソース セルまでの最小コスト パスを記録する出力ラスターが生成されます。
それぞれの最小コスト パスは、処理時に値が割り当てられます。コスト パスの [ソース ラスター] 上の最後のピクセルは、値 1 が割り当てられます。最初のパスは値 3、2 番目は値 4 などになります。複数のパスがマージされ、ソースに戻る残りの距離が同じルートの場合、2 つのパスが移動するセグメントには値 2 が割り当てられます。マージされた部分は両方のルートに属するため、マージされたパスの部分には、パスの値を割り当てることはできません。
最小コスト パスの作成の詳細
グローバル ラスター関数です。
備考
[ソース ラスター] はラスターである必要があります。ソースがフィーチャクラスである場合、入力として使用する前にラスターに変換する必要があります。[ソース ラスター] 内に存在する NoData 値は、関数の有効な値として含まれません。値 0 (ゼロ) は、ソース ラスター内の正当な値と見なされます。[ソース ラスター] を作成するには、抽出ツールまたはクリップ関数を使用します。
[コスト ラスター] 内の NoData のセル値は、コスト サーフェス内でバリアの役割を果たします。[コスト ラスター] 内で NoData 値が割り当てられているセルは、出力ラスターでも NoData 値になります。このアルゴリズムは乗算過程なので、[コスト ラスター] に値 0 を含めることができません。値 0 が低コスト地域を表す場合、Con 関数を使用して、値 0 を小さな正の値 (0.01 など) に変更します。値 0 が解析から除外する必要のある地域を表している場合、Set Null 関数を使用して、この値を NoData に変更する必要があります。
[ソース ラスター] と [コスト ラスター] の範囲が異なる場合、デフォルトの出力範囲は 2 つのラスターの交差部分です。範囲全体のコスト距離サーフェス出力を取得するには、[出力範囲] ジオプロセシング環境で [入力データのすべての領域] オプションを選択します。
[最大距離] は [コスト ラスター] と同じコスト単位で指定します。
ソースの特性、またはソースからの移動者は、次のパラメーターで制御できます。
- [コストに適用する乗数] - 移動のモードまたはソースの強度。
- [開始コスト] - 移動開始前の開始コスト。
- [累積コスト耐性率] - ハイカーの疲労度のシミュレーションなど、累積コストの影響を考慮した動的な調整。
- [許容値] - 制限に達するまでソースが許容できるコスト。
値を使用してソースの特性パラメーターを指定した場合、すべてのソースにその値が適用されます。[ソース ラスター] に関連付けられたフィールドを使用してパラメーターを指定した場合、テーブル内の値が対応するソースだけに適用されます。
ジオプロセシング環境内でマスクが設定されている場合、マスクされたすべてのセルは値が NoData として扱われます。[ラスター解析] ウィンドウでマスクを定義していて、マスク対象のセルがソースをマスクする場合は、残りのソース セルに対して計算が実行されます。マスクされるソース セルは計算では考慮されません。このようなセル位置には出力ラスターで NoData が割り当てられます。この関数に適用されるジオプロセシング環境の詳細については、「解析環境と Spatial Analyst」をご参照ください。
パラメーター
パラメーター名 | 説明 |
---|---|
ソース ラスター (必須) | これは、あらゆる出力セル位置について最小累積コスト距離が計算されるセルまたは位置を特定するラスター データセットです。 |
目的地ラスター (必須) | 最小コストのソースまでの最小コスト パスが求められるピクセルを識別するラスター データセット。この入力は有効値を持つピクセルで構成され、残りのピクセルに NoData を割り当てる必要があります。値 0 が有効です。 |
目的地フィールド | 目的地の位置の値を取得するために使用するフィールド。 |
コスト ラスター (必須) | 各セルを平面的に通過する際にかかるコストまたはインピーダンスを定義するラスター。各セル位置の値は、そのセル上を通過するための単位距離あたりのコストを表します。セルを通過する総コストを取得するために、各セル位置の値にセル解像度を乗算して、対角移動の補正も行います。 [コスト ラスター] として、整数値または浮動小数点値を使用できますが、負の値や 0 は使用できません。 |
パスの種類 | 入力目的地データの値とゾーンを、コスト パスの計算の中でどのように解釈するかを定義するキーワード
|
最大距離 | 累積コスト値が超えることのできない閾値。累積コスト距離がこの値を超える場合、セル位置の出力値は NoData になります。最大距離は、累積コスト距離を計算する範囲を定義します。デフォルトは出力ラスターの範囲までです。 |
コストに適用する乗数 | このパラメーターを使用すると、移動のモードまたはソースの強度を制御できます。乗数が大きいほど、各セルの移動コストが大きくなります。 0 より大きい値を指定する必要があります。デフォルトは [1] です。 |
開始コスト | コスト計算の最初の開始コストです。このパラメーターを使用すると、ソースに関連付けられた固定コストを指定できます。コスト アルゴリズムは、コスト 0 から開始する代わりに、設定された値から開始します。 値は 0 以上である必要があります。デフォルトは 0 です。 |
累積コスト耐性率 | このパラメーターは、累積コストの増加に伴う、コストに対処する労力の増加をシミュレートします。これは、移動者の疲労をモデル化するのに使用されます。セルに到達するまでに増加した累積コストが耐性率で乗算され、次のセルに移動するコストに追加されます。 これは、複利率の計算式の変更バージョンであり、セルの移動による見かけコストの計算に使用されます。耐性率の値が増えると、後に移動するセルのコストが増加します。耐性率が大きいほど、次のセルに到達するための追加コストが大きくなります。これは、移動するごとに大きくなります。耐性率は複利と似ており、累積コストの値は一般に非常に大きいため、耐性率は累積コストの値に応じて 0.005 やこれより小さいレートをお勧めします。 0 より大きい値を指定する必要があります。デフォルトの許容値は出力ラスターのエッジまでです。 |
許容値 | ソースに対する移動者のコスト許容値を定義します。指定した許容値に達するまで、各ソースのコスト計算が続行されます。 0 より大きい値を指定する必要があります。デフォルトの許容値は出力ラスターのエッジまでです。 |
移動方向 | ソースの耐性率を適用する際の、移動者の方向を定義します。
[ソースから] または [ソースへ] キーワードを選択します。これは、すべてのソースに適用されます。または、[ソース ラスター] から、各ソースの移動方向を識別するキーワードを含むフィールドを指定します。このフィールドには、文字列 FROM_SOURCE または TO_SOURCE が含まれている必要があります。 |
環境設定
グローバル関数のジオプロセシング環境設定は、アプリケーション レベルで制御されます。ArcGIS Pro での処理環境の設定は、[解析] タブの [環境] ボタンをクリックして行うことができます。環境設定の詳細については、「解析環境と Spatial Analyst」をご参照ください。
このグローバル関数では、次の環境がサポートされています。