モバイル ジオデータベースはディスク上の 1 つのフォルダーに格納されたさまざまな種類の GIS データセット集合であり、空間データと非空間データを格納、検索、管理できます。モバイル ジオデータベースは、ArcGIS Pro のすべてのユーザーに自動的に公開され、[モバイル ジオデータベースの作成 (Create Mobile Geodatabase)] ジオプロセシング ツールなどのさまざまな方法を使用し、プロジェクト フォルダーにモバイル ジオデータベースを作成することによって作成できます。モバイル ジオデータベースを作成する手順とその他のオプションについては、「モバイル ジオデータベースの作成」をご参照ください。
メリット
モバイル ジオデータベースは ArcGIS Pro 2.7 の新機能です。SQLite データベースに格納されるため、次のようなメリットがあります。
- SQLite は、広範囲に利用できる安定性と信頼性の高いデータベースです。
- SQLite はパブリック ドメインのオープン ソースであるため、ライセンスは必要ありません。
- SQLite データベースはクロスプラットフォームに対応し、ディスク上の 1 つのファイルに格納されるため、可搬性があり、効率の良いデータ交換形式にすることができます。
- SQLite は、クエリやレポート ワークフローを備えた機能が豊富なリレーショナル データベースで、ビューなどの操作やインデックスをサポートします。
- SQLite は、相互運用が可能で、モバイル アプリ開発で広く普及しています。
モバイル ジオデータベースは、ArcGIS Pro と ArcGIS Runtime の間で相互運用可能なワークフローの基盤です。今後、モバイル ジオデータベースでは、ArcGIS Runtime および Esri のさまざまなモバイル アプリのワークフローとアプリケーションが強化されます。
ヒント:
モバイル ジオデータベースはすべて SQLite データベースに格納されますが、モバイル ジオデータベースではない SQLite データベースもあります。
データセット
モバイル ジオデータベースには、ポイント、マルチポイント、マルチパッチ、ポリゴン、ライン ジオメトリ、シンプル フィーチャ、トゥルー カーブなどのシンプル フィーチャを操作するためのジオデータベース機能を提供するシステム テーブル、インデックス、トリガー、ビューが含まれます。
モバイル ジオデータベースに追加したデータは次のタイプのデータセットに格納できます。
- フィーチャクラス
- フィーチャ データセット
- テーブル (非空間)
メモ:
フィーチャクラスやテーブル名の長さ、その他のサイズ制限については、「モバイル ジオデータベースのサイズと名前の制限」をご参照ください。
モバイル ジオデータベースでは、次のジオデータベース動作がサポートされています。
- アノテーション
- 添付ファイル
- 属性ルール (即時計算と制限ルール)
- 条件値
- ディメンション
- ドメイン
- 編集情報の記録
- フィーチャリンク アノテーション
- 結合
- リレーションシップ クラス
- サブタイプ
- ビュー
プロパティ
モバイル ジオデータベースのデータセット プロパティは、ArcGIS Pro の [コンテンツ] および [カタログ] の両方のウィンドウでアクセスできます。[フィーチャクラス プロパティ] ダイアログ ボックスは、エイリアス、空間インデックス、および属性インデックスを設定するために使用され、[カタログ] ウィンドウで管理されます。
[フィーチャクラス プロパティ] ダイアログ ボックスを開くには、[カタログ] ウィンドウまたはカタログ ビューでテーブルまたはフィーチャクラスを右クリックして [プロパティ] をクリックします。[プロパティ] ダイアログ ボックスには、編集可能なプロパティと読み取り専用のプロパティがあります。
データ管理
ジオデータベースの作成、名前変更、移動など、モバイル ジオデータベースで実行する管理タスクはわずかです。モバイル ジオデータベースには、認証機能や承認機能は含まれていません。1 人の人または 1 個のアプリが使用することを想定しており、編集時の元に戻す操作およびやり直し操作をサポートしています。ジオデータベース レベルでの操作は、ArcGIS でのみ実行する必要があります。モバイル ジオデータベースでの編集中にロックを適用する方法の詳細については「モバイル ジオデータベースとロック プロセス」をご参照ください。
モバイル ジオデータベース (*.geodatabase) は、SQLite 上に構築されます。SQLite は ディレクトリの任意の場所に配置できるディスク上の 1 個のファイルにデータベースを格納する自己完結型データベース ファイル形式です。この 1 個のファイルはデータを 2 TB まで格納可能で、可搬性があり、さまざまなプラットフォームに対応しており、コピー、移動、メール送付、USB デバイスへの保存により、より効率の良いデータ交換を行えます。
SQLite データベースには次の 2 つの名前があります。
- 物理ファイル名。データベース ファイル名へのパスです。
- 論理ファイル名。SQL コマンドで使用される SQLite データベース名です。データベース ファイル名に関係なく main と呼ばれます。
SQLite データベース パスは、ファイル パス、データベース名、ファイル拡張子で構成されます。
たとえば、[モバイル ジオデータベースの作成 (Create Mobile Geodatabase)] ジオプロセシング ツールを使用して、Microsoft Windows オペレーティング システムの C: ドライブのサブフォルダーに格納される Project1_data という名前のジオデータベースを作成すると、このモバイル ジオデータベースのデータベース パスは C:\GIS_Data\Projects\Mobile_Geodatabase\Project1_data.geodatabase のようになります。
SQLite はリレーショナル データベースであるため、サードパーティ製ソフトウェアで SQL を使用して、モバイル ジオデータベースのコンテンツにアクセスできます。SQL を使用してアクセスされる SQLite データベースは論理データベース名を使用します。SQL を使用して SQLite データベースにアクセスすると、main という名前のデータベースがプライマリ データベース用に予約され、物理データベース ファイル名に関係なく使用されます。SQLite の修飾テーブル名は main.<テーブル名>、SQLite の修飾テーブル名は <テーブル名>.<列名> または <データベース名>.<テーブル名>.<列名> の形式で表示されます。
たとえば、SQL を使用して ParcelOwners テーブルの Tax_Value 列と Owner_Name 列からデータを取得する場合、SELECT Main.ParcelOwners.Owner_Name, Main.ParcelOwners.Tax_Value FROM Main.ParcelOwners というステートメントを使用します。
SQL を使用してモバイル ジオデータベースのデータにアクセスする場合も、基盤となるソフトウェア (SQLite) がライセンスを要求しないため、ライセンスは必要ありません。