DEM ウィザードを使用した標高データの生成

Advanced のライセンスで利用可能。

標高データは、写真測量アルゴリズムを使用してステレオ画像ペアから取得できます。ステレオ ペアは、異なる視点から取得した同じジオロケーションの 2 つの画像で構成されます。

異なる視点から収集されたステレオ画像ペア

画像コレクションのステレオ画像ペアを使用すると、標高データの取得元となる点群 (3D ポイント) を生成できます。取得した標高データは、オルソ マッピング ワークスペース内の画像コレクションをオルソ補正するために使用されます。

メモ:

天底 (垂直方向) 表示の高解像度衛星画像は、センサーと地上間の長い距離、センサーの長い焦点距離 (10 メートルのオーダー)、および狭い視野によって航空写真に内在する歪みの影響をあまり受けません。これらの要素と RPC (有理多項式係数) という形式の正確な方向情報によって、調整した外部標定とコントロール ポイントが適切である限り、正確なオルソ画像の作成に DEM の精度と密な間隔はあまり重要でなくなります。そのため、DEM の生成手順は使用されない場合が多く、既存の USGS NED DEM または SRTM DEM と正確な GCP によって、1:5,000 以下の縮尺でクラス 1 またはクラス 2 のオルソ画像を作成できます。

DEM ウィザードでステレオ ペアから生成された 3D ポイントは次の 2 つのカテゴリに分類されます。

  • DTM (数値地形モデル) - 地球のデジタル標高 (その上にある対象物の高さは含まれない)。これは、地面標高とも呼ばれています。地表面の DTM データセットは、オルソ画像とオルソモザイクの生成に使用されます。
  • DSM (数値表層モデル) - 地球のデジタル標高 (樹木や建物など、その上にある対象物の高さが含まれる)。DSM は、オルソ画像内のフィーチャの分類 (アスファルト舗装道路とアスファルト屋根の区別など) に使用される重要な解析データセットです。真のオルソ画像を生成するための画像オルソ補正で使用してはなりません (ただし、ソース画像が建物またはフィーチャの傾きがない天底のような画像である場合を除く)。

DTM と陰影起伏の DSM

メモ:

樹木が密生した森林地域や植被密度が高い他の地域では、地表面が見えないため、DTM 地表面を取得することができません。森林に覆われた土地被覆に最適な標高サーフェス プロダクトは DSM であり、樹冠の頂上を表すサーフェスを明確に作成します。

標高は、画像コレクションにステレオ ペアを形成するのに十分なオーバーラップがある場合に取得できます。点群を生成する通常の画像オーバーラップは、フライト ラインに沿って 80%、フライト ライン間は 60% のオーバーラップがあり、地表のすべての場所が複数の画像でカバーされます。これは多くの場合、ドローン画像、デジタル航空写真、またはステレオ アプリケーション専用にキャプチャされた特定の衛星画像の処理に使用されます。

このウィザードは、出力を生成するために 2 つの手順が事前に構成されています。

  1. 画像コレクションからステレオ ペアを構築して点群を計算します。
  2. 点群からユーザーが定義した解像度でラスターを内挿します。

デフォルトの処理パラメーターは変更できますが、手順を削除することはできません。特定の手順を省略または実行する場合は、[カスタム] ウィザードを使用できます。

ポイント クラウドの設定ページ

最初に、[ポイント クラウドの設定] ページのパラメーターを指定します。

ポイント クラウドの設定のパラメーター

パラメーター名詳細

マッチング メソッド

ポイント クラウドの生成には、3 つのマッチング メソッドがあります。

  • ETM (拡張テレイン マッチング) - フィーチャベースのステレオ マッチング手法で、フィーチャ ポイントの検出に Harris 演算子が使用されます。抽出されるフィーチャ ポイントが少ないため、この方法は高速であり、テレインのばらつきと詳細レベルの低いデータに使用できます。これがデフォルトです。1
  • SGM (セミグローバル マッチング) - 密度が高く、詳細レベルの高いテレイン情報を提供するポイントを生成します。これは、市街地の画像に使用できます。これは、ETM 2 よりも計算負荷が高い処理です。
  • MVM (マルチビュー マッチング) - SGM マッチング方法をベースとして、その方法の後に、単一のステレオ モデルで冗長な標高推定値がマージされる統合ステップが実行されます。密度の高い 3D ポイントを生成し、計算効率がよい方法です (3)。

最大オブジェクト サイズ (メートル)

地上のオブジェクトを除外するために使用される検索範囲を定義します。この閾値より小さいオブジェクトは、地表としてフィルター処理されます。それ以外のオブジェクトは、建物、橋、樹木などの地上フィーチャとして扱われます。デフォルトのオブジェクト サイズは 10 メートルです。

ポイント地表間隔

3D ポイントを生成する地表間隔 (メートル単位) を定義します。

推奨間隔は、ソース画像のピクセル サイズの 5 倍です。

最小交点角度 (度)

ポイント クラウドはステレオ ペアから生成されます。この値 (度) はステレオ ペアが交差する最小角度を定義します。デフォルト値は 5 度です。

メモ:

交点角度が小さすぎるステレオ ペアでは、3D ポイントを三角形分割する際に不安定な結果を生成します。

最大交点角度 (度)

ポイント クラウドはステレオ ペアから生成されます。この値 (度) はステレオ ペアが交差する最大角度を定義します。デフォルト値は 70 度です。

メモ:

交点角度が大きすぎるステレオ ペアでは、一致ポイントがほとんどまたはまったく生成されません。

最小エリア重複

画像全体のオーバーラップ エリアの割合。デフォルトは 0.6 です。

最大 ω/φ 差異 (度)

2 つの画像ペアにおける ω と φ の差異の最大閾値。画像ペアの ω 値と φ 値が比較されます。2 つの ω 値または 2 つの φ 値のいずれかの差異がこの閾値を超えている場合、ペアはステレオ ペアとして構築されません。

最大 GSD 差異

ステレオ ペア内の 2 つの画像における地上分解能 (GSD) の差異の最大閾値。2 つの画像間の解像度比がこの閾値より大きい場合、ペアはステレオ ペアとして構築されません。デフォルトは 2 です。

画像ペアの数

3D ポイントの生成に使用されるペアの数。高密度のオーバーラップと多数のステレオ ペアが含まれるプロジェクトでは、この数を増やすと計算時間が長くなります。推奨値は 4 です。

場所によっては、多くの画像ペアで覆われている場合があります。この場合、ツールは、このツール内で指定したさまざまな閾値パラメーターに基づいてペアの順序を決定します。スコアの最も高いペアがポイントの生成に使用されます。

このパラメーターは、1 つのペアを多く使用しすぎないように制限します。ステレオ ペアの順序に影響するパラメーターには、[最小交点角度][最大交点角度][最小エリア重複] に加えて、[最大 ω/φ 差異][最大 GSD 差異][アジャスト品質の閾値] も含まれる場合があります。

調整品質の閾値

許容できる最小の調整品質を指定します。この閾値は、ステレオ モデル内に格納されているアジャスト品質の値と比較されます。調整品質が指定された閾値より小さい画像ペアは、この条件でのスコアが 0 になり、順序付きリストの下に配置されます。閾値の値の範囲 (0 ~ 1)。推奨値は 0.2 です。

参照

  1. Harris, Christopher G., and Mike Stephens. "A combined corner and edge detector." Alvey vision conference, vol. 15, no. 50, pp. 10-5244. 1988.
  2. Hirschmuller, Heiko, Maximilian Buder, and Ines Ernst. "Memory Efficient Semi-Global Matching." ISPRS Annals of the Photogrammetry, Remote Sensing and Spatial Information Sciences, Volume 1–3, (2012): 371–376.
  3. Hirschmuller, Heiko. "Stereo Processing by Semiglobal Matching and Mutual Information." IEEE Transactions on pattern analysis and machine intelligence, Volume 30, no. 2 (2007): 328-341.

内挿の設定ページ

次に、[DEM 内挿の設定] ページのパラメーターを指定します。

内挿の設定のパラメーター

パラメーター名詳細

サーフェス タイプ

数値地形モデルまたは数値表層モデルを作成します。

  • [DTM] - 地表のみのポイントを使用したラスター サーフェスを内挿して、数値地形モデルを作成します。
  • [DSM] - 地表と地上のすべてのポイントを使用したラスターを内挿して、数値表層モデルを作成します。

セル サイズ

出力ラスター データセットのセル サイズ。

形式

出力ラスター データセットの形式。

  • Cloud Raster Format。これがデフォルトです。
  • TIFF 形式

圧縮

出力ラスター データセットの圧縮に使用される方法。

  • [なし] - 出力ラスター データセットは圧縮されません。これがデフォルトです。
  • [LERC] - 出力ラスター データセットの圧縮に、LERC 圧縮を使用します。LERC は、バイト、整数、実数、倍精度など、あらゆるデータ タイプで動作する圧縮方式です。圧縮アルゴリズムの効率は、ピクセル深度とともに向上します。

最大値エラー

LERC 圧縮で許容される最大誤差。最大誤差は、1 ピクセルあたりに適用される許容値です (画像の平均ではありません)。

このオプションを使用するには、[圧縮][LERC] に設定します。

内挿方法

ポイント クラウドから出力ラスター データセットを内挿するのに使用する方法。

  • [TIN リニア内挿法] - TIN (不規則三角網) としても知られるリニア内挿は、ブロック調整計算から出力したソリューション ポイントなど、不規則に分布するまばらなポイント用に設計されています。これがデフォルトです。
  • [TIN Natural Neighbor 内挿法] - これは TIN 化に似ていますが、より滑らかなサーフェスを生成し、計算負荷が高い処理です。
  • [逆距離加重平均内挿法] - これは、[ポイント クラウドの生成 (Generate Point Cloud)] ツールから出力した点群の LAS ファイルなど、規則的に分布する密集ポイントに使用されます。平均ポイント密度に基づき、IDW の検索範囲が自動的に計算されます。

スムージング方法

出力ラスター データセットを滑らかにするフィルターを選択します。

  • [ガウシアン 3 x 3] - 3 x 3 ウィンドウのガウシアン フィルター。
  • [ガウシアン 5 x 5] - 5 x 5 ウィンドウのガウシアン フィルター。これがデフォルトです。
  • [ガウシアン 7 x 7] - 7 x 7 ウィンドウのガウシアン フィルター。
  • [ガウシアン 9 x 9] - 9 x 9 ウィンドウのガウシアン フィルター。
  • [スムージングなし] - スムージング フィルターは適用されません。

欠落ピクセルの塗りつぶし DEM

NoData 領域を塗りつぶすために使用される DEM 入力を指定します。

メモ:

ステレオ オーバーラップが不十分であるか、ポイント クラウドの生成中にエリア内に一致ポイントが見つからない場合、NoData 領域が存在する可能性があります。

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