ArcGIS Pro における TIN

3D Analyst のライセンスで利用可能。

TIN (不規則三角形網) レイヤーは、一般的には範囲全体の高さの値を表す標高サーフェスです。TIN レイヤーは、ArcGIS Pro のマップ ビューとシーン ビューの両方で使用できます。

TIN とは

TIN は、サーフェス形態を表すデジタル手法です。TIN はベクター ベースのデジタル地理データの 1 形式で、頂点 (ポイント) のセットを三角形に結ぶことにより構成されます。頂点は一連のエッジに接続され、三角形ネットワークを形成します。TIN のエッジは隣接して重複しない三角形を形成し、尾根線や河川などのサーフェス内で重要な役割をするライン フィーチャの位置を表現するときに使用できます。TIN のノードはサーフェス上に不規則に配置されるので、サーフェスの変化が激しいエリアでは、TIN を高解像度に設定し、変化が少ないエリアでは、TIN を低解像度に設定することができます。

TIN 作成に使用する入力フィーチャは、TIN 内のノードまたはエッジと同じ位置にあります。このため、TIN は同時に既知のポイント間の値をモデル化しながら、入力データの精度すべてを維持することができます。山頂、道路、河川など、サーフェス上に正確に位置づけられたフィーチャを、TIN への入力フィーチャとして含めることができます。

これらの三角形を構成するための内挿法には、ドローネ三角形分割や距離の順序付けなど、さまざまな方法があります。ArcGIS は、ドローネ三角形分割法をサポートしています。三角形分割の結果は、ドローネ三角形分割の基準を満たし、ネットワーク内のどの三角形の外接円の内部にも他の頂点がないことを保証します。ドローネ基準が TIN 上のどこでも満たされる場合、すべての三角形の最小の内角は最大化されます。その結果、細長い三角形は最大限回避できます。

TIN の単位はフィートや メートルである必要があり、10 進数の角度は使用できません。地理座標系の角度座標を使用した場合、ドローネ三角形分割は無効です。

TIN モデルの使用範囲は、ラスター サーフェス モデルより狭く、作成と処理に要する費用も高い傾向があります。優れたソース データを取得するコストは高く、TIN の処理はデータ構造が複雑なため、ラスター データの処理よりも効率が落ちる傾向にあります。

TIN の許容最大サイズは、空いている連続のメモリ領域によって異なります。Win32 の通常の動作環境では、実現可能な TIN の最大サイズは 1000 万 ~ 1500 万ノードです。ただし、操作性とパフォーマンスを考慮すると、サイズを数百万に抑えることを強くお勧めします。

制限付きドローネ三角形分割法

制限付きドローネ三角形分割法は、ブレークライン以外のすべての場所でドローネ規則に従います。

従来のドローネ三角形分割法を使用する場合は、分割結果の TIN がドローネ基準に確実に適合するように、ブレークラインはスタイナー (圧縮) ポイントを使用してソフトウェアによって高密度化されます。スタイナー ポイントは、TIN に追加されるその他の頂点です。この制約のために、1 つの入力ブレークライン セグメントから複数の三角形エッジが生じることがあります。制約付きドローネ三角形分割法を使用すると、高密度化がまったく発生せず、各ブレークライン セグメントは単一エッジとして追加されます。

TIN に制限付きプロパティを設定しても、三角形分割の既存の状態は変わりません。それ以降に行われる処理のみが制御されます。このため、制限付き三角形分割法のプロパティを設定する前にブレークラインが追加されていた場合、これらのフィーチャはそのまま変更されません。これらのブレークラインを適用するために追加された高密度化ポイントは削除されません。

TIN に対して制限付きプロパティを設定した後、その設定を解除する方法はありません。制限付き TIN をドローネ基準に適合する TIN に変換したり、ドローネ基準に適合する TIN として保存することはできません。

ドローネまたは制限付きドローネのどちらを使用するか

ドローネ三角形分割法への適合は、制限付き三角形分割法よりも推奨されます。この理由は、作成される TIN に含まれる、サーフェス解析に適さない細長い三角形の数が少なくなると考えられるからです。また、Natural Neighbor 内挿法とティーセン (ボロノイ) ポリゴンの生成は、ドローネ三角形分割法への適合に対してのみ実行できます。

三角形分割によって変更されない (つまり、複数のエッジに分割されない) ことが保証されるエッジを明示的に定義する必要があるときには、制限付きドローネ三角形分割法の使用を検討できます。

制限付きドローネ三角形分割法は、TIN のサイズを最小限にするためにも便利です。これは、ブレークラインが高密度化されないためにノードおよび三角形の数が少なくなるからです。

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