透視円筒図法

説明

透視円筒図法は、指定の子午線の反対にある赤道上のポイントから正接 (正割) 円筒上に地球を投影することで、幾何学的に構築できる円筒図法です。地球を中心から投影する心射円筒図法や単純な円筒図法は、この図法の特殊なケースです。

この図法は、ソビエト連邦の政治および物理マップの斜軸法で使用されました。ArcGIS Pro 2.6 以降と ArcGIS Desktop 10.8.1 以降で使用できます。

透視円筒図法の例
透視円筒図法の特殊なケースである心射円筒図法の例を示します。

投影のプロパティ

次のサブセクションでは、透視円筒図法のプロパティについて説明します。

経緯線

正軸では、子午線は等間隔の直線です。緯線と両極は、子午線に対して垂直、かつ投影された赤道と同じ長さの直線です。緯線の間隔は、赤道から極に向かって大きくなります。透視比によっては、極をマップ上に表示することはできません。経緯線は赤道と中心子午線に対して対称的です。

斜軸法では、中心子午線と天底子午線は 3 本の垂直線として表示されます。1 本は投影図の中央、2 本は左端と右端です。他の子午線およびすべての緯線は複素曲線になります。マップの中心に最も近い極は、中央の垂直線上のポイントとして投影されます。他の極は、投影図の左端と右端のポイントとして表示されます。経緯線は中央の垂直線に対して対称的です。

投影図の中心に 1 つの極がある場合、反対の極は、投影図の左端と右端の中央に投影されます。中心子午線と天底子午線は、同じ 3 本の垂直線で表示されます。中心子午線から 90° 離れた 2 本の子午線は、投影図の中心を通過する水平線として表示されます。赤道は、投影図の中心とエッジの中間にある 2 本の垂直線として投影されます。他の子午線および緯線は複素曲線になります。経緯線は中央の垂直線と水平線に対して対称的です。

歪み

透視円筒図法は正角でも等面積でもありません。一般に、形状、面積、距離、方向、角度には全体的に歪みが生じます。正軸の投影図は、縮尺が正しく、2 本の標準緯線に沿って歪みは生じません。正軸では、基準緯線から離れるにつれて歪みが大きくなり、極地では激しくなります。緯度上での歪みの値は一定になります。他の軸では、縮尺が正確な直線が 2 本あり、中央の水平線の両側で同じ距離にあります。歪みのパターンは 2 本のラインの周辺で正軸の場合と同じです。

使用法

正軸におけるこの図法のバリアントは、正確な面積を必要とせず、経度に伴って現象が変化する一般的な世界地図の描画に使用できますが、極地の歪みが激しいため、使用は推奨されません。この図法の斜軸のバリアントが、ソビエト連邦の政治および物理マップで使用されました。

制限事項

透視円筒図法は球体でのみサポートされます。楕円体の場合、長半径が半径として使われます。楕円体を使用する場合、一部の歪みのプロパティは維持されません。透視比によっては、極地域と斜軸極に近いエリアをマップ上に表示することはできません。

パラメーター

透視円筒図法のパラメーターは次のとおりです。

  • 東距
  • 北距
  • 中央子午線
  • 擬標準緯線 1
  • 原点の緯度
  • 透視比。これは、地球の中心からの赤道面上の透視点の距離を半径で割った値を表しています。

特定のパラメーターを使用するケース

[透視比] パラメーターが 0 に設定されている場合、結果の図法は、球体または回転楕円の中心に透視点がある心射円筒図法になります。ブラウン図法とガル図法を作成するには、[透視比] を 1 に設定し、擬標準緯線を 0° および 45° に設定します。

ソース

Bugayevskiy, L. M. and Snyder, J. P. (1995). Map Projections: A Reference Manual. London: Taylor & Francis.

Snyder, J. P. (1993). Flattening the Earth. Two Thousand Years of Map Projections.Chicago and London: University of Chicago Press.

Snyder, J. P. and Voxland, P. M. (1989). An Album of Map Projections. U.S. Geological Survey Professional Paper 1453. Washington, DC: United States Government Printing Office.