Spatial Analyst のライセンスで利用可能。
3D Analyst のライセンスで利用可能。
コンターとは、標高、温度、雨量、汚染、気圧などの連続的現象を表すラスター データセット内で値が等しい位置をつないだラインのことを言います。ライン フィーチャが入力の定数値のセルを接続します。コンター ラインは、一般に等値線と呼ばれることが多いのですが、計測対象に応じて特定の用語が使用されることもあります。たとえば、圧力の場合は等圧線、温度の場合は等温線、雨量の場合は等降水量線と呼ばれます。
コンター ラインの分布は、サーフェスで値がどのように変化しているかを示します。値の変化がほとんどない場合は、ラインの間隔はかなり離れています。値が急に上下する場合は、ラインの間隔は互いに接近しています。
コンター作成ツールである [コンター (Contour)]、[コンター リスト (Contour List)] および [入力バリア設定を含むコンター (Contour with Barriers)] は、入力ラスターからポリライン フィーチャ データセットを作成するときに使用されます。
コンターを作成する目的
特定のコンターのポリラインをたどることによって、同じ値を持つ位置を確認できます。また、コンターは便利なサーフェス表現です。コンターにより、平坦な地域と傾斜が大きいエリア (コンター間の距離)、および尾根と谷 (ポリラインの密集と分散) を同時に視覚化できるからです。
以下に、入力標高データセットと出力コンター データセットの例を示します。コンターが相互に接近しているエリアは、勾配が急になっていることを示しています。そのエリアは、標高が高くなっているエリアと一致します (入力標高データセットの白色の部分)。
コンターの属性テーブルには、各コンターのポリラインの標高属性があります。
コンターの作成方法を示す例
コンター ラインの作成方法を理解するために、9 つのセルで構成されるラスターの例を挙げます。以下に示すように、セルの中心に値があります。このラスターで、標高 830 メートルのコンター ラインを作成したいと思います。まず、共一次内挿法を使用して、4 つの隣接セルで構成される各グループの中央の値を計算します。左上の 4 つのセルのグループでは、この値が (799 + 802 + 825 + 828) / 4 = 813.5 のように計算されてから、814 に丸められます。その後、既存のセルの中心と新しい交差位置の値を使用して、特定のコンター値のパスを特定します。830 のコンターを作成するには、ポイント間のリニア内挿法を使用して、その値が、該当する縦線、横線、対角線上のどこにあるかを特定します。コンター ラインは、これらの交差ポイントをつなげて構築されます。
外挿を使用して外側のコーナーの値が挿入されないため、コンター ラインはラスターのエッジまで延長しません。
コンターの品質
コンター ツールでは、ラスター サーフェスの正確な解釈を表した高品質のコンターを生成できます。全体的なコンター精度は、入力ラスターの作成に使用されるデータが、実際のサーフェスをどの程度まで正確に表しているかに応じて決まります。
使用するラスター セルのサイズは出力コンターの外観に影響をおよぼします。セル サイズが大きいと、粗くごつごつしたコンターになる可能性があります。
時にはコンター同士が交わり、交差しているように見えたり、閉じていない分岐ラインを形成したりすることがあります。交差コンターは、ちょうどコンター間隔に一致する鞍形の領域で発生することがあります。他にも、コンター同士が互いに近づきすぎて、交差しているように見えることがあります。分岐コンターが発生するのは、ちょうどコンター間隔に一致する尾根が交差した場合です。上記はすべて、サーフェスの有効な解釈であり、見栄えをよくするために地図製作者が修正を施すのが一般的です。
コンター品質の管理
時折、ラスター セル境界をなぞったように見える、角張ってごつごつしたコンターが作成されることがあります。これは、ラスター値が整数で、コンターの値とちょうど一致する場合に発生します。これは問題ではありません。たんにデータを正確にコンター処理しただけです。
コンターを滑らかにしたい場合は、この状況を克服する方法として、ソース データのスムージングまたはベース コンターの調整があります。
データのスムージング
Spatial Analyst エクステンションのライセンスを持っている場合、最も簡単なスムージング手法は、[フォーカル統計 (Focal Statistics)] ツールで平均値を使用して入力ラスターを前処理することです。
別の方法として、Z 値を少し調整して、ラスターのセルのちょうど中央をコンターが通過しないようにする方法もあります。この場合も、[フォーカル統計 (Focal Statistics)] ツールを使用しますが、平均値ではなく、カスタムの加重カーネル ファイルと合計を使用します。カーネル ファイルの構造は次のとおりです。
3 3 .005 .005 .005 .005 .960 .005 .005 .005 .005
Z 値の調整はわずかであるため、コンターの精度には大きな影響がおよびません。この調整は中央のラスター セルが有利になるように行われます。
ベース コンターの調整
ベース コンターの調整では、ベース コンターをオフセットする必要があるため、結果としてコンターがセル中央を貫通しなくなります。オフセットには、極めて小さい値を指定できます。0.0001 のような小さい値でも有効です。
メモ:
この方法を [コンター リスト (Contour List)] ツールに適用するには、コンター リストの値を調整します。たとえば、600、650、700 などの代わりに、600.001、650.001、700.001 などの値を使用します。
USGS DEM のデータの問題
レガシー:
テストの結果、一部の古い USGS (United States Geological Survey) 7.5 分 DEM (デジタル標高モデル) から作成したラスターから生成したコンターは、USGS から入手できる該当のマップ シートに示されたのと同じレベルの詳細さを実現できないことがあることが判明しました。これは DEM 本来のサンプリング間隔が要因となっていると思われます。USGS 7.5-minute DEM は、30 メートル間隔でサンプリングされていますが、マップ シート上のコンターは、ずっと高い詳細レベルでステレオ モデルから直接デジタイズされているようです。USGS の提供する新しい SDTS 形式の DEM には、この問題はありません。