概要
指定した距離に基づき、入力フィーチャの周囲にバッファー ポリゴンを作成します。
バッファー操作には、代替ツールが利用できます。詳細については、[ペアワイズ バッファー (Pairwise Buffer)] および [グラフィック バッファー (Graphic Buffer)] ツールのドキュメントをご参照ください。
図
使用法
「バッファー (Buffer) の詳細」で説明したように、[バッファー (Buffer)] ツールの重要な機能は、バッファーが構築される方法を決定する [方法] パラメーターです。バッファーを構築するための 2 つの基本的な方法であるユークリッドと測地線は、次のとおりです。
- ユークリッド バッファーは、2 次元のデカルト平面内で距離を計測します。そこでは、直線距離、すなわちユークリッド距離が、平面 (デカルト平面) 上の 2 点間で計算されます。ユークリッド バッファーの方が一般的なバッファーであり、投影座標系内の比較的狭い領域 (UTM ゾーンなど) に集中するフィーチャの周辺の距離を解析する場合に適しています。
- 測地線バッファーは、地球の実際の形状 (楕円体、より正確にはジオイド) を形成します。平面 (デカルト平面) 上の 2 点間ではなく、曲面 (ジオイド) 上の 2 点間の距離が計算されます。以下の状況の場合、測地線を作成することを必ず検討してください。
- 入力フィーチャが分散している場合 (複数の UTM ゾーンや、グローブ全体さえ含む広い領域をカバーしている場合)
- 入力フィーチャの空間参照 (地図投影法) によって、面積などの他の特性を保護するために距離が歪んでしまう場合。
[方法] パラメーターは、バッファーの作成方法を決定します。
- [平面](Python では method = "PLANAR") がデフォルトのオプションです。このオプションを指定すると、入力の座標系に基づいて、使用する方法が自動的に決定されます。
- 入力フィーチャで投影座標系が使用されている場合、ユークリッド バッファーが作成されます。
- 入力フィーチャで地理座標系が使用されており、[バッファー距離] 値を距離単位 (度などの角度単位ではなく、メートル、フィートなど) で指定した場合、測地線バッファーが作成されます。
- このオプションでは、ArcGIS 10.3 よりも前の [バッファー (Buffer)] ツールと同じ結果が生成されます。
- [測地線](Python では method = "GEODESIC") を指定すると、入力データの座標系にかかわらず、形状を維持した測地線バッファーが作成されます。形状を維持した測地線バッファーは、出力の測地線バッファーを作成する前に、入力フィーチャを高密度化して、入力フィーチャの形状をより厳密に表現したバッファーを作成します。バッファーの形状と、その形状が元の入力フィーチャにどの程度近似しているのかが気になる場合 (とりわけ入力データが地理座標系を使用している場合) は、このオプションを使用して調査することをお勧めします。このオプションを使用すると、[平面] オプションを使用して測地線バッファーを作成する場合よりも時間がかかることがありますが、入力フィーチャの形状に正確に一致したバッファーが作成されます。
メモ:
フィーチャクラスの座標系は、[投影変換 (Project)] ツールを使用して変更できます。または、[バッファー (Buffer)] ツールを実行する前に [出力データの座標系] ジオプロセシング環境を設定して、バッファーの作成時にこの座標系を使用することができます。
[平面] 方法を使用する際は、正距円錐図法や正距方位図法などの、距離の歪みを最小にし、地理的に入力に適した投影法を使用して、投影された入力から作成されるバッファーの精度を上げることができます。
ジオデータベース フィーチャクラスへの出力を使用して、投影座標系でフィーチャをバッファー処理する際、作成されたジオメトリには、多くの場合、円弧線分が含まれます (特にポイントのバッファー処理の場合は、出力は常に円弧になります)。円弧を含むバッファーが別の座標系に投影変換される場合、元のバッファーのサイズと位置が変換される (ただしバッファーの形状は変わらない) ため、再投影変換後のバッファーは、元のバッファーがカバーする面積を正確に表していません。円弧を含むバッファーを投影変換する場合、まず [頂点の挿入 (Densify)] ツールを使用して円弧線分を直線に変換してから、高密度のバッファーを再投影変換します。
出力フィーチャクラスの BUFF_DIST フィールドには、各フィーチャのバッファー処理に使用するバッファー距離が、入力の座標系の距離単位で格納されます。バッファーの作成に [測地線] 方法を使用している場合、入力したバッファー距離は常にメートルに変換されます。
入力に BUFF_DIST という名前のフィールドが存在する場合、そのフィールドの値は出力で上書きされます。[すべて] または [リスト] (Python では ALL または LIST) の [ディゾルブ タイプ] を使用する場合、出力にこのフィールドは含まれません。
出力フィーチャクラスの ORIG_FID フィールドには、バッファーが作成された入力フィーチャのフィーチャ ID が格納されます。入力に ORIG_FID という名前のフィールドが存在する場合、そのフィールドの値は出力で上書きされます。[すべて] または [リスト] の [ディゾルブ タイプ] を使用する場合、出力にこのフィールドは含まれません。
ポリゴン フィーチャをバッファー処理する際には、負数のバッファー距離を使用してポリゴン フィーチャ内部にバッファーを作成することができます。負数のバッファー距離を使用すると、ポリゴンの境界を指定距離分減らすことができます。
注意:
負数のバッファー距離が大きすぎてポリゴンが消失する場合は、NULL ジオメトリが生成されます。警告メッセージが表示され、NULL ジオメトリのフィーチャは出力フィーチャクラスに書き出されません。
入力のフィールドをバッファー距離の取得に使用する場合、フィールド値として、数値 (5 など) または有効な距離単位の付いた数値 (5 キロメートルなど) のいずれかを使用できます。フィールド値が数値の場合、距離には、入力の空間参照の距離単位を使用すると見なされます。ただし、入力が地理座標系の場合を除きます。地理座標系の場合、値はメートル単位と見なされます。フィールド値に指定された距離単位が無効であるか、認識できない場合、デフォルトで入力の空間参照の距離単位が使用されます。
[ディゾルブ フィールド] パラメーターの [フィールドの追加] ボタンは ModelBuilder でのみ使用されます。ModelBuilder では、先のツールが実行されていないか、出力データが存在しないと、[ディゾルブ フィールド] パラメーターにフィールド名が表示されない場合があります。[フィールドの追加] ボタンを使用すると、必要なフィールドを [ディゾルブ フィールド] リストに追加して、[バッファー (Buffer)] ツールのダイアログ ボックスを終了させることができます。
バッファー操作は、入力から出力バッファー フィーチャへの Z 値の変換をサポートしていません。
バッファー操作は、入力から出力バッファー フィーチャへの M 値の変換をサポートしていません。
このツールは、並列処理ファクター環境を優先します。環境が設定されていない場合 (デフォルト) または 0 に設定されている場合、並列処理は無効になります。この環境を 100 に設定すると、並列処理が有効化されます。
並列処理ファクター環境がサポートされているのは、ラインおよびポリゴン フィーチャをバッファー処理する場合のみです。
ライセンス:
[サイド タイプ] (line_side) パラメーター オプションの [左]、[右]、および [外側のみ] (Python では LEFT、RIGHT、および OUTSIDE_ONLY)、および [エンド タイプ] (line_end_type) パラメーター オプションの [平面] (Python では FLAT) は、Desktop Advanced ライセンスでしか利用できません。
構文
arcpy.analysis.Buffer(in_features, out_feature_class, buffer_distance_or_field, {line_side}, {line_end_type}, {dissolve_option}, {dissolve_field}, {method})
パラメーター | 説明 | データ タイプ |
in_features | バッファーを作成する入力のポイント フィーチャ、ライン フィーチャ、またはポリゴン フィーチャ。 | Feature Layer |
out_feature_class | 出力バッファーを格納するフィーチャクラス。 | Feature Class |
buffer_distance_or_field | バッファー処理する入力フィーチャの周囲の距離。距離は、直線距離を表す値か、各フィーチャをバッファー処理する距離を含む入力フィーチャのフィールドのいずれかとして指定できます。 距離の単位が指定されないか、不明と入力された場合、入力フィーチャの空間参照の距離単位が使用されます。 スクリプト内で距離を指定する際、使用する距離の単位が「Decimal Degrees」のように 2 つの単語に分かれている場合は、「20 DecimalDegrees」のように 1 つに結合します。 | Linear Unit; Field |
line_side (オプション) | バッファー処理される入力フィーチャのサイドを指定します。
ライセンス:このオプションのパラメーターは、Desktop Basic または Desktop Standard ライセンスでは利用できません。 | String |
line_end_type (オプション) | ライン入力フィーチャの端点のバッファーの形状を指定します。ポリゴン入力フィーチャではこのパラメーターを使用できません。
ライセンス:このオプションのパラメーターは、Desktop Basic または Desktop Standard ライセンスでは利用できません。 | String |
dissolve_option (オプション) | バッファーの重複を削除するために実行されるディゾルブのタイプを指定します。
| String |
dissolve_field [dissolve_field,...] (オプション) | 出力バッファーをディゾルブするために使用する入力フィーチャからのフィールドのリスト。(入力フィーチャから引き継がれる) リスト フィールドの属性値を共有するバッファーがディゾルブされます。 | Field |
method (オプション) | バッファーを作成する際に使用する方法を指定します (平面または測地線)。
| String |
コードのサンプル
次の Python ウィンドウ スクリプトは、Buffer 関数の使用方法を示しています。
import arcpy
arcpy.env.workspace = "C:/data"
arcpy.Buffer_analysis("roads", "C:/output/majorrdsBuffered", "100 Feet", "FULL",
"ROUND", "LIST", "Distance")
幹線道路から大きな影響を受けている領域を除外した、植生の領域を検出します。
# Name: Buffer.py
# Description: Find areas of suitable vegetation that exclude areas heavily
# impacted by major roads
# Import system modules
import arcpy
# Set environment settings
arcpy.env.workspace = "C:/data/Habitat_Analysis.gdb"
# Select suitable vegetation patches from all vegetation
veg = "vegtype"
suitableVeg = "C:/output/Output.gdb/suitable_vegetation"
whereClause = "HABITAT = 1"
arcpy.Select_analysis(veg, suitableVeg, whereClause)
# Buffer areas of impact around major roads
roads = "majorrds"
roadsBuffer = "C:/output/Output.gdb/buffer_output"
distanceField = "Distance"
sideType = "FULL"
endType = "ROUND"
dissolveType = "LIST"
dissolveField = "Distance"
arcpy.Buffer_analysis(roads, roadsBuffer, distanceField, sideType, endType,
dissolveType, dissolveField)
# Erase areas of impact around major roads from the suitable vegetation patches
eraseOutput = "C:/output/Output.gdb/suitable_vegetation_minus_roads"
xyTol = "1 Meters"
arcpy.Erase_analysis(suitableVeg, roadsBuffer, eraseOutput, xyTol)
環境
ライセンス情報
- Basic: 制限付き
- Standard: 制限付き
- Advanced: はい