概要
基本的な形状を維持しながら、相対的に不要な頂点を取り除くことによってポリゴンのアウトラインを単純化します。
図
使用法
このツールでは、次のように、それぞれの目的に応じた異なる単純化アルゴリズムを使用します。このアルゴリズムの詳細については、「ラインの単純化 (Simplify Line) とポリゴンの単純化 (Simplify Polygon) の詳細」をご参照ください。
- [重要なポイントを保持 (Douglas-Peucker)] アルゴリズム (Python の algorithm='POINT_REMOVE') は、相対的に不要な頂点を識別して削除し、より小さな縮尺で表示できるようにデータを単純化する仕組みになっています。これは、このツールの単純化アルゴリズムのうちで最も高速です。このアルゴリズムは、多くの場合、データ圧縮または大まかな単純化のために使用されます。結果として生成されるポリゴンのアウトラインの鋭角は、許容値が大きくなるにつれ大幅に鋭くなります。このアルゴリズムは、David Douglas と Thomas Peucker 共著「Algorithms for the reduction of the number of points required to represent a digitized line or its caricature」(『The Canadian Cartographer』10(2)、112–22 (1973)) による Douglas-Peucker アルゴリズムをベースとしています。
- [重要な屈曲を保持 (Wang-Müller)] アルゴリズム (Python の algorithm='BEND_SIMPLIFY') は、相対的に意味のない屈曲を識別して削除し、より小さな縮尺で表示できるようにデータを単純化する仕組みになっています。これは、一般に、[重要なポイントを保持 (Douglas-Peucker)] アルゴリズムと比べて、入力ジオメトリにより忠実な結果を生成しますが、処理により多くの時間がかかることがあります。このアルゴリムは、Zeshen Wang と Jean-Claude Müller 共著「Line Generalization Based on Analysis of Shape Characteristics」(『Cartography and Geographic Information Systems』25(1)、3–15 (1998)) で定義されたアルゴリズムをベースとしています。
- [加重エリアを保持 (Zhou-Jones)] アルゴリズム (Python の algorithm='WEIGHTED_AREA') は、最初に各頂点の有効エリアである三角形を識別する仕組みになっています。次に、各エリアの平坦度、歪度、凸性を比較するために、それらの三角形が一連のメトリクスによって重み付けされます。加重エリアを参考にしてそれらに対応する頂点を削除することで、可能な限り特徴を維持しながら、ポリゴンのアウトラインを単純化します。このアルゴリズムは、Sheng Zhou と Christopher B. Jones 共著「(2005) Shape-Aware Line Generalisation with Weighted Effective Area」(Fisher, Peter F. (Ed.)『Developments in Spatial Handling 11th International Symposium on Spatial Handling』369–80 (2005)) で定義されたアルゴリズムをベースとしています。
- [有効エリアを保持 (Visvalingam-Whyatt)] アルゴリズム (Python ではalgorithm='EFFECTIVE_AREA') は、頂点を削除することで、可能な限り特徴を維持しながら、ポリゴンのアウトラインを単純化するために、各頂点の有効エリアである三角形を識別する仕組みになっています。このアルゴリズムは、M. Visvalingam と J. D. Whyatt 共著「Line Generalisation by Repeated Elimination of the Smallest Area」(『Cartographic Information Systems Research Group (CISRG) Discussion Paper 10』The University of Hull (1992)) で定義されたアルゴリズムをベースとしています。
[単純化の許容値] パラメーターの値は、単純化の度合いを決定します。許容値が大きくなるほど、生成されるジオメトリが粗大化します。許容値が小さくなるほど、入力により忠実なジオメトリが生成されます。MinSimpTol および MaxSimpTol フィールドが、使用された許容値を格納するために出力に追加されます。
- [重要なポイントを保持 (Douglas-Peucker)] アルゴリズムの場合、許容値は、各頂点と新規作成されたラインとの間の最大許容垂直距離を示します。
- [重要な屈曲を保持 (Wang-Müller)] アルゴリズムの場合、許容値は、有意な屈曲に近似する円の半径を示します。
- [加重エリアを保持 (Zhou-Jones)] アルゴリズムの場合、許容値の二乗は、3 つの隣接する頂点によって定義される有意な三角形の面積を示します。三角形が正三角形から逸脱するほど、与えられる重み付けが大きくなり、削除される可能性が低くなります。
- [有効エリアを保持 (Visvalingam-Whyatt)] アルゴリズムの場合、許容値の二乗は、3 つの隣接する頂点によって定義される有意な三角形の面積を示します。
[最小エリア] パラメーターよりも小さいポリゴンはすべて、出力フィーチャクラスから削除されます。共通のエッジを共有する一連の隣接ポリゴンの場合、最小エリアは、そのすべてのポリゴンの合計面積に適用されます。[長さゼロのラインをポイントとして保持] パラメーターを使用すると、削除されたポリゴンのレコードをポイント フィーチャとして保持できます。
マルチパート ポリゴンは、個別のパートとして単純化することができます。
[長さゼロのラインをポイントとして保持] パラメーター (Python の collapsed_point_option) を使用すると、最小エリアより小さいという理由で削除されるすべてのポリゴンを表すポイントを格納するための出力ポイント フィーチャクラスを作成できます。[出力フィーチャクラス] パラメーター (Python の out_feature_class) と同じ名前と場所を接尾辞 _Pnt とともに使用して、出力ポイントが生成されます。出力ポリゴン フィーチャクラスには、入力フィーチャクラスにあるすべてのフィールドが含まれています。出力ポイント フィーチャクラスには、これらのフィールドは含まれません。
出力ポリゴン フィーチャクラスはトポロジ的に正確であるため、 入力データに含まれるトポロジ エラーはすべて、出力ポリゴン フィーチャクラスでフラグ付けされます。出力フィーチャクラスには、入力フィーチャ ID と入力のトポロジ エラーまたは不整合がそれぞれ格納される InPoly_FID と SimPgnFlag という 2 つのフィールドが追加されます。
SimPgnFlag フィールドの値は次のとおりです。
- SimPgnFlag = 0 は、エラーがないことを示します。
- SimPgnFlag = 1 は、トポロジ エラーがあることを示します。
- SimPgnFlag = 2 は、パーティションで分割されたフィーチャを示します。これらのフィーチャは、単純化の後で最小エリアより小さくなります。分割されたフィーチャの一部分だけにフラグが表示されることがあります。これらのフィーチャはすべて出力フィーチャクラス内に保持されます。この状況は、[カートグラフィック パーティション] 環境設定を使用している場合にのみ発生します。
レガシー:
このツールの前のバージョンでは、処理中にトポロジ エラーが生成されることがありました。[トポロジ エラーの処理] (Python の error_option) パラメーターは、スクリプトとモデルでの互換性を保つために引き続きこのツールの構文に含まれていますが、現在では無視され、ツールのダイアログ ボックスで非表示になっています。
SimPgnFlag フィールドは、処理中にこのツールによって生成されたトポロジ エラーに出力フィーチャクラスでフラグを付けるために使用されていました。現在、このフィールドは、入力内に存在しているエラーにフラグを付けるために使用されます。このツールの前のバージョンでは、トポロジの解決過程で、フィーチャ単位で許容値が変更され、それらの値が MinSimpTol フィールドと MaxSimpTol フィールドに格納されていました。現在の実装では、これらのフィールドの値は、[単純化の許容値] パラメーターに指定された許容値と同じままになります。これらのフィールドのいずれかに依存する既存のモデルまたはスクリプトを必ず変更してください。
[入力バリア レイヤー] パラメーターは、単純化されたポリゴンが横切ることを許可されないフィーチャを識別するために使用します。バリア フィーチャには、ポイント、ライン、ポリゴンのいずれかを指定できます。
フィールド ドメイン、サブタイプ、属性ルールの転送環境がオンでない場合でも、ドメインとサブタイプは出力にコピーされます。
大きなデータセットを処理する場合は、メモリの制限を超えることがあります。このような場合、[カートグラフィック パーティション] 環境設定で、関連するポリゴン フィーチャクラスを特定することによって、パーティション単位で入力データを処理することを検討します。パーティションの境界によって定義されたデータの一部が順次処理されます。結果の出力フィーチャクラスは、パーティション エッジにおいてシームレスで一致した形状になります。詳細については、「パーティションを使用した大きなデータセットのジェネラライズ」をご参照ください。
構文
arcpy.cartography.SimplifyPolygon(in_features, out_feature_class, algorithm, tolerance, {minimum_area}, {error_option}, {collapsed_point_option}, {in_barriers})
パラメーター | 説明 | データ タイプ |
in_features | 単純化する入力ポリゴン フィーチャ。 | Feature Layer |
out_feature_class | 単純化された出力ポリゴン フィーチャクラス。入力フィーチャクラスに存在するすべてのフィールドが含まれます。出力ポリゴン フィーチャクラスはトポロジ的に正確であるため、 このツールでトポロジ エラーが生成されることはありません。ただし、入力データに含まれるトポロジ エラーは、出力ポリゴン フィーチャクラスでフラグが付けられます。 出力フィーチャクラスには、入力フィーチャ ID と入力のトポロジ エラーまたは不整合がそれぞれ格納される InPoly_FID と SimPgnFlag という 2 つのフィールドが追加されます。 SimPgnFlag の値は次のとおりです。
| Feature Class |
algorithm | ポリゴンの単純化アルゴリズムを指定します。
| String |
tolerance | この許容値は単純化の度合いを決定します。単位は自由に選択できます。選択しない場合は、入力の単位が使用されます。MinSimpTol および MaxSimpTol フィールドが、処理が行われたときに使用された許容値を格納するために出力に追加されます。
| Linear Unit |
minimum_area (オプション) | ポリゴンを保持するための最小エリア。デフォルト値は 0 であり、すべてのポリゴンが保持されます。指定した値の単位は自由に選択できます。選択しない場合、入力の単位が使用されます。 | Areal Unit |
error_option (オプション) | レガシー:これは、現在使用されていない従来のパラメーターです。以前は、処理中に生成された可能性のあるトポロジ エラーの処理方法を指定するために使用されていました。このパラメーターは、スクリプトとモデルでの互換性を保つために引き続きこのツールの構文に含まれていますが、ツールのダイアログ ボックスで非表示になっています。 | String |
collapsed_point_option (オプション) | minimum_area パラメーターよりも小さいという理由で削除されたすべてのポリゴンの中心を格納するための出力ポイント フィーチャクラスを作成するかどうかを指定します。out_feature_class パラメーターで指定するポリゴン出力フィーチャクラスと同じ名前を接尾辞 _Pnt とともに使用して、出力ポイントが生成され、同じフォルダー内に配置されます。
| Boolean |
in_barriers [in_barriers,...] (オプション) | 単純化の際にバリアとしての役割を果たすフィーチャを含む入力。単純化された結果のポリゴンはバリア フィーチャに接したり、バリア フィーチャを横切ったりしません。たとえば、森林地帯を単純化する場合、単純化された結果の森林ポリゴンは、バリアとして定義された道路フィーチャを横切りません。 | Feature Layer |
派生した出力
名前 | 説明 | データ タイプ |
out_point_feature_class | [長さゼロのラインをポイントとして保持] パラメーター (Python の collapsed_point_option) を使用すると、最小エリアより小さいという理由で削除されたすべてのポリゴンを表すポイントを格納するための出力ポイント フィーチャクラスが作成されます。 | フィーチャクラス |
コードのサンプル
次の Python ウィンドウ スクリプトは、イミディエイト モードで SimplifyPolygon ツールを使用する方法を示しています。
import arcpy
import arcpy.cartography as CA
arcpy.env.workspace = "C:/data"
CA.SimplifyPolygon("soils.shp", "C:/output/output.gdb/simplified_soils", "POINT_REMOVE", 100)
次のスタンドアロン スクリプトで、この SimplifyPolygon ツールの使用方法を示します。
# Name: SimplifyPolygon_Example2.py
# Description: Eliminate small islands before simplifying and smoothing lake boundaries
# Import system modules
import arcpy
import arcpy.management as DM
import arcpy.cartography as CA
# Set environment settings
arcpy.env.workspace = "C:/data/Portland.gdb/Hydrography"
# Set local variables
inLakeFeatures = "lakes"
eliminatedFeatures = "C:/data/PortlandOutput.gdb/lakes_eliminated"
simplifiedFeatures = "C:/data/PortlandOutput.gdb/lakes_simplified"
smoothedFeatures = "C:/data/PortlandOutput.gdb/lakes_smoothed"
# Eliminate small islands in lake polygons.
DM.EliminatePolygonPart(inLakeFeatures, eliminatedFeatures, 100, "OR", 0, "CONTAINED_ONLY")
# Simplify lake polygons.
CA.SimplifyPolygon(eliminatedFeatures, simplifiedFeatures, "POINT_REMOVE", 50, 200, "#", "KEEP_COLLAPSED_POINTS")
# Smooth lake polygons.
CA.SmoothPolygon(simplifiedFeatures, smoothedFeatures, "PAEK", 100, "FLAG_ERRORS")
環境
ライセンス情報
- Basic: いいえ
- Standard: はい
- Advanced: はい