概要
指定した Python 式に基づいて値を返します。
使用法
このツールは、ModelBuilder で使用するためのツールで、Python スクリプトでは使用できません。
ModelBuilder で [データ タイプ] パラメーターを使用すると、[値の計算 (Calculate Value)] ツールの出力を他のツールと連結することができます。たとえば、[値の計算 (Calculate Value)] ツールを使用して距離を計算し、この距離を [バッファー (Buffer)] ツールの [バッファー距離] パラメーターへの入力として使用する場合は、[データ タイプ] パラメーターの距離単位を指定します。
このツールでは、ModelBuilder で作成しておいた変数を使用できますが、式パラメーター中に使用する対象の変数を [値の計算 (Calculate Value)] ツールに接続することはできません。そのような変数を式中に使用するには、変数名をパーセント記号 (%) で囲まなければなりません。たとえば、「Input」という名前の変数を 100 で除算する場合、式は「%Input%/100」のようになります。
注意: 上の式で、Input = 123 とした場合に返されるのは、1 です。小数部分の桁数を取得するには、式中の値に小数部分を別途指定します。例: 「%Input%/100.00」と指定した場合は、1.23 が返されます。式中に変数を使用するもう 1 つの例を、下の図に示します。
注意:
式中で、文字列型のインライン変数は、引用符で囲む必要があります (「"%string variable%"」のように指定します)。インライン変数が数値 (double、long) 型なら、引用符は必要ありません (「%double%」のように指定すれば済みます)。
式の作成に使用できる形式は、標準 Python 形式のみです。他のスクリプト言語は、サポートされていません。
[値の計算 (Calculate Value)] ツールで評価の対象となるのは、簡易な算術式です。例:
- 3+5
- 9*8
- 4+(9/3)
[値の計算 (Calculate Value)] ツールでは、Python の math モジュールを使用することによって、複雑な数値演算の実行を実現しています。math モジュールにアクセスするには、使用する関数の先頭に「math」を付けます。例:
- math.sqrt(25)
- math.cos(0.5)
定数も math モジュールを介してサポートされます。例:
- math.pi
random モジュールは、乱数を生成する目的でサポートされています。以下は、random モジュールの使用例です。
- 0 ~ 10 のランダム整数の演算: random.randint(0, 10)
- 平均値が 10、標準偏差が 3 の正規分布から派生したランダム値の演算: random.normalvariate(10, 3)
レガシー:
arcgis.rand() は、ArcGIS Pro 2.0 以降サポートされなくなりました。代わりに、Python の random モジュールを使用する、同等の関数を使用する必要があります。random モジュールを正常に使用するには、[コード ブロック] パラメーターにインポートとして追加します。
通常は、[式] パラメーターで式を入力します。複数行の計算や論理演算 (if、then) などの複雑な式を入力する場合は、[コード ブロック] パラメーターを使用する必要があります。[コード ブロック] パラメーターは単独では使用できません。[式] パラメーターと併用する必要があります。
[コード ブロック] パラメーターで定義しておいた変数は、式から参照できます。
関数は [コード ブロック] パラメーターで定義して、式から呼び出せます。下の例では、ランダムな入力値に応じた、風向を示す文字列が関数によって返されます。Python では、def キーワードの後に関数の名前と関数の入力パラメーターを付けて、関数を定義します。この例で、関数は getWind であり、パラメーターとして指定されているのは 1 つ (wind) だけです。値を関数から返すには、return キーワードを使用します。
[式] パラメーターを介して変数を渡し、[コード ブロック] でインライン変数を指定して if-else ロジックを使用することができます (次の図を参照)。[コード ブロック] に入力した場合、InputCellSize 変数が空であるかどうかがチェックされた後、条件に基づいて値が返されます。
Python のメソッドは、このツールの [式] パラメーター内に直接使用できます。たとえば、入力値に小数部分 (この例では、入力テーブルのフィールド値) があり、その小数部分の値をインライン変数置換で別のツールの出力名に含める場合は、[値の計算 (Calculate Value)] ツールの [式] で Python メソッド replace を使用して小数部分を置換することができます。
[コード ブロック] パラメーターでは、Python モジュールを呼び出し、replace などのメソッドを結合またはスタックできます。下の例では、[コード ブロック] に time モジュールをインポートして、「Fri Mar 19 2010 09:42:39」のような現在の日付と時刻が返されるようにしています。この戻り値は、[フォルダーの作成 (Create Folder)] ツールでフォルダーに名前を付けるために使用されます。フォルダーの名前にはスペースまたは句読点を含めることができないので、置換の必要なエレメントごとにメソッドをスタックして、Python の replace メソッドを使用しなければなりません。この例で、結果として得られるフォルダーの名前は「FriMar192010094239」です。
モデル内の値の演算を行う場合に、バッファー距離値と長さ単位を必要とする [バッファー (Buffer)] などのツールで演算処理後の値を使用する場合は、以下の操作を行う必要があります。
- コード ブロックで距離値とともに長さ単位を返す。
- 下に示すように、リターンのデータ タイプを変更する。
- 式の結果が長さ単位の値に変換されるようにデータ タイプのパラメーターを長さ単位に設定する。
[値の計算 (Calculate Value)] ツールの出力は、[Plus]、[Greater Than]、[Less Than] などの [Spatial Analyst] ツール (格納場所: [Spatial Analyst] ツールボックス/[算術演算] ツールセット) で直接使用することができます。[値の計算 (Calculate Value)] の出力を使用するには、出力データ タイプを [構築されたラスター] に変更します。この出力データ タイプ形式は、セル値が数式または定数で表されるラスター サーフェスです。
Python では、適切なインデントも構文の一部です。インデント レベル (スペース 2 つまたはスペース 4 つ) は、[コード ブロック] 全体にわたって一貫している限り、問題にはなりません。
モデル変数は、[コード ブロック] からはアクセスできません。そのような変数は、式を介して [コード ブロック] に受け渡す必要があります。この受け渡しを行うには、[コード ブロック] で定義を作成し、その定義を [式] ボックスで参照します。
メモ:
Python スクリプトを作成する場合、[値の計算 (Calculate Value)] ツールでなく、標準 Python ステートメントを使用します。
構文
arcpy.mb.CalculateValue(expression, {code_block}, {data_type})
パラメーター | 説明 | データ タイプ |
expression | 評価される Python 式。 | SQL Expression |
code_block (オプション) | Python コード ブロック。コード ブロックのコードは [式] パラメーターで参照できます。 | String |
data_type (オプション) | Python 式から返される出力のデータ タイプを指定します。[値の計算 (Calculate Value)] を他のツールと連結するためには、このパラメーターを ModelBuilder で使用する必要があります。
| String |
派生した出力
名前 | 説明 | データ タイプ |
value | 計算された値。 | データ要素、レイヤー、テーブル ビュー |
環境
ライセンス情報
- Basic: はい
- Standard: はい
- Advanced: はい