概要
各セルについて、セルが流入する河川上の経路に従い、傾斜距離を持つ水平コンポーネントまたは垂直コンポーネントを計算します。複数の流路の場合は、最小、加重平均、または最大の流路距離を計算できます。
オプションの流向ラスターが提供される場合、降下傾斜方向は、入力流向ラスターで定義された方向に限定されます。
図
使用法
このラスター解析 ポータル ツールは、ArcGIS Enterprise の ポータルにサイン インすると使用できます。このポータルに、ArcGIS Image Server 用に構成された Raster Analysis があります。ツールを起動すると、ArcGIS Pro がクライアントとしてサービスを提供し、ArcGIS Enterprise とフェデレートされているサーバーで処理が発生します。ポータル ツールはポータルから入力としてレイヤーを受け取り、ポータルに出力を作成します。
入力ラスター レイヤーは、ポータルから入力されたレイヤー、イメージ サービスへの URI または URL、[Image Server レイヤーの作成 (Make Image Server Layer)] ツールの出力に対応しています。このツールは、ローカルのラスター データまたはレイヤーをサポートしません。
降下傾斜方向 (これに沿って流動距離を測定) を制限したい場合は、入力流向ラスターを指定してください。[流向ラスターの作成 (Flow Direction)] ツールを使って求められます。任意の入力流向ラスターを生成する際は、D8、DINF (D-Infinity)、MFD (Multi Flow Direction) のいずれかのモデルから選択します。[入力流向タイプ] を使用して、流向ラスターの作成時に使用されたメソッドを指定します。
入力流向ラスターを指定する場合、このラスターは [流向ラスターの作成 (Flow Direction)] ツールで、[流動距離ラスターの作成 (Flow Distance)] ツールに指定したのと同じ入力サーフェス ラスターを指定して作成するとよいでしょう。
この入力サーフェス ラスターに窪地が存在しない場合、入力河川ラスターで表される河川セルまでの距離が計測されます。
この入力サーフェス ラスターに窪地があれば、流路のいくつかは河川に達する前に窪地に流入するため、短い距離で終了します。その場合、これらのセルの流路距離は、窪地セルまで計測されます。
任意の流向ラスターなしでツールを実行すると、各セルから、セルが流入する河川までのすべての下り経路を考慮したうえで、流路距離が評価されます。
D8 流向ラスターを指定してツールを実行した場合、各セルからその先にある河川上のセルまでの降下傾斜流路は 1 つだけであり、この流路に沿って流動距離を測定します。
入力河川ラスターを作成する際は、ツールに入力した入力サーフェス ラスターと同じものを使用することをお勧めします。Spatial Analyst エクステンションのライセンスがあれば、河川ラスターは入力サーフェス ラスターから、[流向ラスターの作成 (Flow Direction)]、[累積流量ラスターの作成 (Flow Accumulation)]、[Con] の各ツールをそれぞれ使って作成できます。他のデータ源から得た河川ラスターを使って最良の結果を得たい場合は、まずこれを入力サーフェス ラスターに焼き込み、これに対して [流動距離ラスターの作成 (Flow Distance)] ツールを実行してください。
各セルからその先にある河川上のセルに到る複数の流路が存在する場合は、[統計情報の種類] を使用して、最小、加重平均、または最大の流路距離を計算します。
各セルから河川上のセルに到る流路が 1 つだけ存在する場合は、統計情報のすべての種類で同じ結果が生成されます。
構文
arcpy.ra.FlowDistance(inputStreamRaster, inputSurfaceRaster, outputName, {inputFlowDirectionRaster}, {distanceType}, {flowDirectionType}, {statisticsType})
パラメーター | 説明 | データ タイプ |
inputStreamRaster | 河川ネットワークを定義する入力ラスター。 | Raster Layer; Image Service; String |
inputSurfaceRaster | 連続サーフェスを表す入力ラスター。 | Raster Layer; Image Service; String |
outputName | 出力流動距離ラスター サービスの名前。 デフォルトの名前は、ツール名と入力レイヤー名に基づいて設定されます。レイヤー名がすでに存在する場合は、別の名前を指定するよう求められます。 | String |
inputFlowDirectionRaster (オプション) | 各セルからの流れの方向を示す入力ラスター。 流向ラスターが提供される場合、降下傾斜方向は、入力流向で定義された方向に限定されます。 流向ラスターは、D8、MFD、または DINF のいずれかの方法で作成できます。flowDirectionType パラメーターを使用して、流向ラスターの作成時に使用されたメソッドを指定します。 | Raster Layer; Image Service; String |
distanceType (オプション) | 計算する距離情報の種類。
| String |
flowDirectionType (オプション) | 入力流向ラスターのタイプを指定します。
| String |
statisticsType (オプション) | 複数の流路の流動距離の計算に使用する統計情報の種類を決定します。 各セルから河川上のセルに到る流路が 1 つだけ存在する場合は、統計情報のすべての種類で同じ結果が生成されます。
| String |
派生した出力
名前 | 説明 | データ タイプ |
outputRaster | 出力ラスター。 | ラスター レイヤー |
コードのサンプル
この例では、河川ラスター上のセルに達する、最小降下傾斜流動距離の水平成分を計算します。
import arcpy
arcpy.FlowDistance_ra("https://myserver/rest/services/streams/ImageServer","https://myserver/rest/services/elevation_fill/ImageServer","outFlowDistanceVertical1")
この例では、河川ラスター上のセルに達する、最小降下傾斜流動距離の垂直成分を計算します。
#---------------------------------------------------------------------------
# Name: FlowDistance_example02.py
# Requirements: ArcGIS Image Server
# Import system modules
import arcpy
# Set local variables
inStreams = "https://myserver/rest/services/streams/ImageServer"
inSurface = "https://myserver/rest/services/elevation_fill/ImageServer"
outputFlowDistance = "outFlowDistanceVertical2"
inFlowDirection = ""
distanceType = "VERTICAL"
# Execute Flow Distance raster analysis tool
arcpy.FlowDistance_ra(inStreams, inSurface, outputFlowDistance, inFlowDirection, distanceType)
環境
ライセンス情報
- Basic: 次のものが必要 ArcGIS Image Server
- Standard: 次のものが必要 ArcGIS Image Server
- Advanced: 次のものが必要 ArcGIS Image Server