地理的中間地点の算出 (Median Center) ツールの詳細

[地理的中間地点の算出 (Median Center)] ツールは、外れ値を棄却した中心傾向を計測するためのツールです。これは、データセットに含まれる他のすべてのフィーチャへの移動が最小限であるロケーションを特定します。たとえば、コンパクトなポイント クラスターの平均中心を計算すると、その結果はクラスターの中心にあるロケーションになります。次に、クラスターから遠く離れた場所に新しいポイントを追加し、平均中心を再計算すると、結果は新しい外れ値に向かって移動します。しかし、[地理的中間地点の算出 (Median Center)] ツールを使用して、これと同じ操作を実行すると、新しい外れ値が結果に与える影響は大幅に小さくなります。[地理的中間地点の算出 (Median Center)] ツールを使用すると、[ウェイト フィールド] を指定できます。重みとは、各フィーチャに関連付けられている移動の数です (たとえば、あるフィーチャの重みが 3.2 であれば、移動の数は 3.2 になります)。重み付き地理的中間地点は、すべての移動の距離が最小限であるロケーションです。

地理的中間地点を算出するために使用される方法は、Kuhn and Kuenne (1962) が開発し、後に Burt and Barber (1996) がさらに要点をまとめた反復的な手順です。アルゴリズムの各ステップ (t) において、候補の地理的中間地点が検出され (Xt、Yt)、データセットに含まれるすべてのフィーチャ (またはすべての重み付きフィーチャ) (i) へのユークリッド距離 (d) が最小限であるロケーションをそれが表すまで精緻化されます。

計算

[地理的中間地点の算出 (Median Center)] ツールのアルゴリズムによって最小化される方程式

メモ:

[地理的中間地点の算出 (Median Center)] ツールは単一のポイントのみを返しますが、すべてのフィーチャへの距離が最小限であるロケーション (ソリューション) は複数ある場合もあります。

出力

[地理的中間地点の算出 (Median Center)] ツールは、単一の地理的中間地点ポイント フィーチャ、または [ケース フィールド] が指定されている場合は各ケースの単一のポイント フィーチャを含んでいる新しい [出力フィーチャクラス] を作成します。地理的中心地点を示す XY 値と Z 値 (利用可能な場合)、ケース、および属性フィールドの中央値 (指定される [属性フィールド] につき 1 つ) は、[出力フィーチャクラス] の属性です。それぞれの [属性フィールド] の値は、すべてのフィールドの値について計算された中央値です。一連の数字の中央値は、中央の値であり、 データセットに含まれる値の 1/2 はより小さく、残りの 1/2 はより大きい値です。

適用例

[地理的中間地点の算出 (Median Center)] ツールは、空間外れ値をロバストした中心傾向を計測する必要がある場合に使用します。たとえば、検出される中心ロケーションが、周辺でまれに発生する火災活動によって、火災活動が集中している区域から引き離されないように、火災活動の地理的中間地点を計算するためなどに使用します。平均中心地理的中間地点の結果と比較して、周辺フィーチャがその結果に与える影響を確認することによって、興味深い情報が得られることもあります。多くの場合において、地理的中間地点は地理的中心よりも中心傾向をより的確に表す計測方法です。

参考資料

このツールの詳細については、以下の文献をご参照ください。

Burt, J. E., and G. Barber. (1996). Elementary statistics for geographers. (New York: Guilford, 1996).

Kuhn, H. W., and R. E. Kuenne, An efficient algorithm for the numerical solution of the Generalized Weber Problem in spatial economics. Journal of Regional Science, 4(2):21–33.


このトピックの内容
  1. 計算
  2. 出力
  3. 適用例
  4. 参考資料