ロケーターを構築するために最初に行う手順は、その構築に使用するデータのタイプを定義することです。これには、データに適したロケーター ロールを選択します。代替名テーブル ロールをプライマリ ロケーター ロールと組み合わせて使用することで、代替名テーブルの複数の名前によって参照されるプライマリ参照データ内のフィーチャを検索できるようになります。代替名テーブル ロールは、代替名をサポートするためのロケーターを構築する際に使用される適切なフィールドを提供します。作成したロケーターには、ジオコーディングに使用されるプライマリ参照データと代替名テーブルのスナップショットが含まれています。また、インデックスと地域住所情報も格納されており、これによってジオコーディング処理中に最適な一致が返されます。
代替名テーブル ロールを使用するロケーターを構築する場合、プライマリ参照データと代替名テーブルの両方の対応するフィールド値の ID フィールドが必要です。ストリート住所プライマリ ロケーター ロールは、道路セグメントに沿って住所をモデル化するためによく使用されますが、住所の道路名には代替名が存在することがあります。プライマリ ロケーター ロールの道路の結合 ID を代替道路名ロールの結合 ID に対応するプライマリ参照データ内のフィールドに設定すると、対応するすべてのレコードに代替名が取り込まれます。
次の表は、ArcGIS Pro で提供されるサポートされたプライマリ ロケーター ロールへのリンクに使用される代替名テーブル ロールと ID のフィールドを示しています。これらのロールを使用して、プライマリ フィーチャの代替名に基づいて住所をジオコーディングすることができます。
代替名テーブル ロール
ロール | 通常のプライマリ ロケーター ロール | 結合 ID |
---|---|---|
代替番地 | ポイント住所 | 住所の結合 ID |
代替番地範囲 | ストリート住所 | 道路の結合 ID |
代替道路名 | ポイント住所 パーセル ストリート住所 POI 距離マーカー 距離範囲 | 道路の結合 ID |
従属する道路名 | ポイント住所 パーセル ストリート住所 POI 距離マーカー 距離範囲 | 道路の結合 ID |
代替 POI 名 | POI | 場所の結合 ID |
代替 POI カテゴリ | POI | 場所の結合 ID |
代替都市名 | ポイント住所 パーセル ストリート住所 POI 距離マーカー 距離範囲 郵便番号 追加の郵便番号 郵便地区 小区域より下の行政区域 | 都市の結合 ID |
代替郵便番号都市名 | ポイント住所 パーセル ストリート住所 POI 距離マーカー 距離範囲 郵便番号 追加の郵便番号 郵便地区 | 郵便番号の結合 ID |
代替郵便番号 | ポイント住所 パーセル ストリート住所 POI 距離マーカー 距離範囲 郵便番号 追加の郵便番号 郵便地区 | 郵便番号の結合 ID |
代替行政区域 | 行政区域 | ゾーンの結合 ID ブロックの結合 ID セクターの結合 ID 近郊の結合 ID 地区の結合 ID 都市の結合 ID 都市圏の結合 ID 小区域の結合 ID 地域の結合 ID テリトリーの結合 ID 国の結合 ID |
代替番地
キリル文字の番地の英語 (字訳) をモデル化する場合など、代替番地ロールを使用すると、代替番地または代替番地の範囲を含む住所に対するロケーターを作成できるようになります。たとえば、プライマリ住所ポイント フィーチャクラスには母国語の番地 (2Б や 4Г など) が含まれ、代替名テーブルには字訳された番地 (2B や 4G など) が含まれます。この代替名テーブルロールは、プライマリ ロケーター ロールがポイント住所の場合に使用できます。検索する各住所がプライマリ参照データと代替名テーブル内に存在する必要があります。
代替番地ロールによるロケーターに対して代替名テーブルを使用するには、番地を含む個々のフィールドか、住所ポイントの開始番地と終了番地の情報を含む個々のフィールドのいずれかが必要です。プライマリ ロールと代替名テーブル ロールの両方から Address Join ID フィールドをマッピングすることでプライマリ参照データにリンクするために使用できる ID を含む、住所結合フィールドも必要です。必要に応じて、パリティおよび言語コードを含むフィールドを指定できます。
代替番地範囲
道路を新たな開発へと拡張するときに、道路セグメントの両側で範囲の値が異なる可能性がある場合など、代替番地範囲ロールを使用して、代替番地範囲があるストリート住所に対するロケーターを作成できます。この代替名テーブルロールは、プライマリ ロケーター ロールがストリート住所の場合に使用できます。プライマリ参照データ内の各フィーチャは、道路セグメントに沿って 2 つの住所範囲 (道路の各側に 1 つずつ) がある道路セグメントを表します。これは代替名テーブルにも適用されます。
代替番地範囲ロールによるロケーターに対して代替名テーブルを使用するには、道路の両側の代替の開始住所と終了住所の情報を含む 4 つのフィールドと、プライマリ ロールと代替名テーブル ロールの両方から [道路の結合 ID] フィールドをマッピングすることでプライマリ参照データをリンクするために使用できる ID を含む結合フィールドが必要です。必要に応じて、パリティおよび言語コードを含むフィールドを指定できます。
従属する道路名
従属する道路名ロールが適用されるのは、英国とタイのみです。これを使用すると、2 つの道路が 1 つの住所に関連付けられている場所のロケーターを作成できます。1 つの道路名はプライマリ参照データに格納され、従属する道路名は代替名テーブルに格納されます。このタイプの状況は、幹線道路のセクションが 2 番目の道路名に割り当てられている場合や、小さい道路が幹線の交差道路と接続されている場合に発生します。従属する道路名ロールは、プライマリ ロケーター ロールがポイント住所、パーセル、ストリート住所、距離メーカー、または距離範囲の場合に使用できます。
次のマップでは、Hottom Gardens が幹線道路です。この道路に沿って 18 ~ 24 番地と 34 ~ 40 番地の住所 (ピンクの点で表示) があり、24 と 34 の間に番地のギャップがあります。過去のある時点では、Hottom Gardens の 26 ~ 32 番地には建物が存在していました。ところが、新規開発によってこれらは Rose Mead という名前の新しい道路沿いに移転し、緑色の点で示された 1 ~ 7 番地の住所が割り当てられました。
従属する道路名ロールによって作成されたロケーターに対して代替名テーブルを使用するには、標準化された従属する道路名を含むフィールドと、プライマリ ロールと代替名テーブル ロールの両方から Street Join ID フィールドをマッピングすることでプライマリ参照データをリンクするために使用できる ID を含む結合フィールドが必要です。さらに、道路の方向の接頭辞、種類の接頭辞、道路の種類、方向の接尾辞、完全な道路名などを格納するフィールドを指定することができます。必要に応じて、言語コードまたは優先名インジケーターを含むフィールドを指定できます。プライマリ参照データが正規化されおり、道路名が含まれていない場合、優先名インジケーターを含むフィールドを指定することができます。優先名インジケーターの値 (True/False または Yes/No) が代替名テーブルに存在し、従属する道路名ロールから Primary Name Indicator フィールドにそれがマッピングされた場合、値が True または Yes の道路名がプライマリの従属する道路名として使用されます。上記のテーブルは ID フィールドの値によって接続され、その値は Street Join ID ロケーター ロール フィールドにマッピングされる必要があります。
代替 POI 名
代替 POI 名ロールを使用すると、対象ポイントのプライマリ POI ロケーター ロール内のフィーチャの代替名 (ランドマーク、場所、建物、河川、山、橋など、フィーチャクラスで表される事実上すべての一意のフィーチャ) を含むロケーターを作成できます。University of California at Los Angeles には UCLA という代替名があり、これが代替名テーブルに追加されます。代替名テーブル ロールはプライマリ POI ロールで使用できます。
代替 POI 名ロールによるロケーターに対して代替名テーブルを使用するには、参照データ内のフィーチャの代替名を含むフィールドと、プライマリ ロールと代替名テーブル ロールの両方から Place Join ID フィールドをマッピングすることでプライマリ参照データをリンクするために使用できる ID を含む結合フィールドが必要です。必要に応じて、言語コードおよび優先名インジケーターを含むフィールドを指定できます。
代替 POI カテゴリ
代替 POI カテゴリ ロールを使用すると、プライマリ参照データ内のフィーチャを分類するために定義されたカテゴリとサブカテゴリの代替名を含むプライマリ POI ロールに基づいてロケーターを作成できます。Dunkin Donuts は Donut Shop と Coffee Shop の両方として認識されますが、プライマリ参照データ内で Donut Shop として 1 つのカテゴリで分類されている場合、Coffee Shop という代替カテゴリが代替名テーブルに追加されます。
代替 POI カテゴリ ロールによるロケーターに対して代替名テーブルを使用するには、参照データ内のフィーチャの代替カテゴリ名およびサブカテゴリ名を含むフィールドと、プライマリ ロールと代替名テーブル ロールの両方から Place Join ID フィールドをマッピングすることでプライマリ参照データをリンクするために使用できる ID を含む結合フィールドが必要です。必要に応じて、言語コードおよび優先名インジケーターを含むフィールドを指定できます。
代替郵便番号都市名
代替郵便番号都市名ロールを使用すると、同じ郵便番号に割り当てられたプライマリ都市名と代替都市名が存在する、プライマリ郵便番号ロケーター ロールのいずれかを使用して郵便番号のロケーターを作成できます。プライマリ参照データ内の各郵便番号フィーチャは郵便番号を持ち、その郵便番号を中に含むプライマリ都市名も通常は持つようになりますが、代替名テーブルには郵便番号に関連付けられたその他の都市名が含まれます。代替郵便番号都市名ロールは、複数の都市名が複数ロールのロケーターの郵便番号、または 1 つのロケーターの郵便番号ロケーター ロールに関連付けられている管理領域ではない、すべてのプライマリ ロケーター ロールで使用できます。
この状況の例として、Colorado の郵便番号 80112 が挙げられます。ここでのプライマリ都市名は Englewood ですが、この郵便番号内のほとんどの住所は Centennial という都市の領域内にあります。Centennial はこの郵便番号の住所として認識されている別の都市名です。郵便番号 80112 で検索して返される一致候補には都市として Englewood が含まれ、これは予期しない結果です。
代替郵便番号都市名ロールによって作成されたロケーターに対して代替名テーブルを使用するには、代替郵便番号都市名を含むフィールドと、プライマリ ロールと代替名テーブル ロールの両方から Postal Join ID フィールドをマッピングすることでプライマリ参照データをリンクするために使用できる ID を含む結合フィールドが必要です。必要に応じて、言語コードおよび優先名インジケーターを含むフィールドを指定できます。
代替行政区域
代替行政区域ロールを使用すると、都市、近郊、郡、県、地区、テリトリー、州などの地域のプライマリ行政区域ロール内のフィーチャの代替名を持つロケーターを作成できます。
代替行政区域ロールによるロケーターに対して代替名テーブルを使用するには、参照データ内のフィーチャの代替名を含むフィールドと、プライマリ ロールと代替名テーブル ロールの両方から対応する行政区域の [プライマリ結合 ID] フィールドをマッピングすることでプライマリ参照データをリンクするために使用できる ID を含む結合フィールドが必要です。