ArcGIS Pro には画像とラスター データを操作するツールと機能が多数用意されています。 ピクセルベースのデータは、衛星や航空機に搭載されたセンサーからの画像であるか、ラスター データセットであるか、DEM であるかに関係なく、解析を行うときにさまざまな方法で使用できます。
表示しているデータが衛星画像の場合、その多くは ArcGIS 内でラスター プロダクトとしてサポートされています。 ラスター プロダクトには、画像に対してローミングまたは拡大を行うとにすでにリアルタイム実行されているさまざまなバンド操作で、いくつかの異なるテンプレートが用意されています。
ラスター関数
ラスター関数を使用すると、ArcGIS でラスターを効率的に処理および解析できます。 ラスター関数は、新しいラスター出力をディスクに書き込むジオプロセシング ツールとは対照的に、マップ表示で画像とラスター データセットのピクセルに処理を直接適用する操作です。 計算は、画像を表示したときに元のデータのピクセルに適用されるため、画面上に表示されるピクセルのみが処理されます。 ラスター関数はすべてのタイプの画像とラスターに適用でき、出力はマップに表示され、[コンテンツ] ウィンドウに一覧表示される関数ラスター レイヤーです。 望みの結果が得られたら、レイヤーをディスクに保存できます。
[画像] タブでは、解析の実行とデータの処理に使用できる機能にアクセスできます。 [処理] ギャラリーには、よく使用される関数がいくつか含まれています。 これは、ラスター関数群のサブセットです。これらの処理関数は、すばやくアクセスしたり解析できるように設定されており、選択した 2 つのラスター レイヤー間の差分を認識したり、複数のラスターを 1 つにモザイク処理したりできます。 [指数] ギャラリーには、正規化植生指数 (NDVI) や正規化燃焼率 (NBR) の実行など、マルチバンド データの分析に使用できる複数の指数が含まれています。 [画像] タブから、画像やラスター データを処理および解析するためのさまざまなラスター関数が含まれている [ラスター関数] ウィンドウにもアクセスできます。 これらの関数を変更して、ラスター データの処理方法を制御できます。
ラスター関数を組み合わせて関数チェーンにします。関数チェーンは、関数エディターを使用してラスター関数テンプレートとして保存できます。 ラスター関数テンプレートは、レイヤー、モザイク データセット、およびイメージ サービス上で複数のラスター関数を実行します。 処理チェーンの任意の時点で、結果を保存できます。
ラスター関数テンプレートを保存して、他のユーザーと共有し、ArcGIS プラットフォーム全体でインポートします。
ジオプロセシング ツール
ジオプロセシングは、従来のラスターおよび画像データの処理方法です。ツールの出力はファイルとしてディスク上に保存されます。 ラスター関連のジオプロセシング ツールは、ジオプロセシング ツールボックス内のさまざまなツールセットに分散しています。 ほとんどのラスター データ管理ツールは、データ管理ツールボックスのラスター ツールセットとマルチディメンション ツールボックスにあります。 解析ツールは、さまざまなツールボックス (Image Analyst ツールボックス、3D Analyst ツールボックスのラスター ツールセット、Geostatistical Analyst ツールボックス、Raster Analytics ツールボックス、Spatial Analyst ツールボックス) にあります。
ラスター関数と同様に、ModelBuilder を使用して、複数のジオプロセシング ツールを組み合わせて 1 つの処理チェーンにすることができます。 ジオプロセシング モデルは、保存、編集、共有が可能です。
ジオプロセシングの詳細については、「ジオプロセシングとは」をご参照ください。
エクステンション
解析処理では、ラスター データがさまざまな方法で使用されます。 こうした操作を実行するときに重要となるのは、ピクセル値でのデータの表現方法であるため、それらの値を操作する処理を実行します。 ラスター データを操作してデータを管理、変換、および分析できる数多くのツールが用意されています。 詳細分析を行うために追加のツールが必要な場合、次のいずれかのエクステンションを使用できます。
- ArcGIS Image Analyst エクステンション - 画像を解釈および活用する機能を提供します。これを使用すると、機械学習とフィーチャ抽出のツール、関数、および機能を使用して高度なラスターおよび画像解析ワークフローを行うことができます。
- ArcGIS Spatial Analyst エクステンション - 統合ラスターおよびベクター解析を実行できる、高度な空間モデリングおよび解析のための包括的なツール セットを提供します。
- ArcGIS Geostatistical Analyst エクステンション - 決定論的方法と地球統計学的方法を使用したサーフェス モデリングの機能を提供します。
- ArcGIS 3D Analyst エクステンション - サーフェス データを効果的に表示、解析、生成できます。また、3D モデリングと解析のためのツールも備わっています。
分散型解析
Raster Analysis 
へのリンク用に構成された ArcGIS Image Server がある ArcGIS Enterprise ポータルにサイン インすると、最大解像度や全体範囲で大規模なラスター データセットを処理し、分散されたラスター解析を実行できます。 ツールまたはラスター関数を起動すると、ArcGIS Pro がクライアントとしてサービスを提供し、ArcGIS Enterprise とフェデレートされているサーバーで処理が発生します。 ポータル ツールは Raster Analytics ツールボックスにあり、ラスター関数は [ラスター関数] ウィンドウにあります。 ポータルから入力としてローカル ファイルとポータル アイテムを受け取り、ポータルに出力を作成します。
分類
土地利用や土地被覆に興味がある場合、ArcGIS Pro に画像を分類するツールが多数用意されています。 パラメトリック分類器または機械学習分類器を使用して画像ピクセルまたはセグメント化されたオブジェクトを分類できます。 画像分類ウィザードは画像を分類する手順を説明します。 画像分類の詳細については、「画像分類の概要」をご参照ください。
オルソ マッピング
オルソ マッピング機能群に含まれるツールと機能は、航空、衛星、ドローン画像の写真測量処理を実行します。 これらのツールと機能を使用すると、マップの生成と改訂、変化の検出、他のフィーチャの抽出アプリケーションをサポートするさまざまなプロダクト (シームレスなオルソ画像モザイクなど) を作成できます。
多次元解析
多次元解析ツールおよび機能により、多次元ラスター データの複雑な解析を実行および視覚化して、科学的な傾向と異常を調べることができます。 多次元データは、複数の回数や、複数の深度または高さで取得された地理空間データを表します。 これらのデータ タイプは、大気、海洋、および地球科学でよく使用されています。 多次元ラスター データは、データを特定の時間間隔で収集する衛星観測によって取得したり、データを他のデータ ソースから集約、内挿、シミュレートする数値モデルから生成したりすることができます。
多次元データの詳細については、「多次元ラスター データの概要」をご参照ください。
ディープ ラーニング
ディープ ラーニング ツールでは、各レイヤーが画像から 1 つ以上の一意のフィーチャを抽出できるニューラル ネットワーク内の複数のレイヤーを使用して、画像に含まれるフィーチャを検出できます。 これらのツールは、GPU 処理を効果的に使用することで、タイミングよく解析を実行します。
画像とラスターデータを使用したディープ ラーニングの詳細については、「ラスター解析でのディープ ラーニング」をご参照ください。