Data Reviewer のライセンスで利用可能。
データ品質管理プロセスを実装する場合の課題の 1 つに、自社組織の技術的なデータ品質要件の識別があります。 自社データのビジネス要件を、品質の良いデータを定義する技術的な要件に変換する前に、自社データのビジネス要件を識別して理解することが重要です。
効果的なデータ品質管理プロセスは、データ製品および情報製品が組織の内外でどのように使用されるかを理解することに基づきます。 各組織は、品質を異なって定義しており、その定義は、意図された目的およびデータの用途に基づいています。 組織に適用できる可能性のある品質要件のさまざまなソースを以下の図に示します。
データ品質要素
データ品質要素は、使用するデータセットの精度を確保するために必要な特定の要素について説明します。 GIS データには、その品質に関するさまざまな構成要素があります。 国際標準化機構 (ISO) によって定義されているように、それらの構成要素には以下のものがあります。
- 完全性
- 論理一貫性
- 位置正確度
- 主題正確度
- 時間正確度
- データの有用性
完全性
フィーチャとその属性、およびリレーションシップがデータ モデル内に存在するかどうか。
論理一貫性
組織または業界によって定義されたデータ モデルの構造、属性、リレーションシップに関する事前に確立されたルールへの忠実度。 多くの業界が従っている標準は、値ドメイン、データ形式、データの格納方法に関するトポロジの一貫性として地理空間データ モデルに反映されています。
位置正確度
地球に関連するフィーチャの位置の精度。
主題正確度
フィーチャ内の属性とそれに該当するリレーションシップの精度。
時間正確度
時間属性とフィーチャの時間的なリレーションシップの品質。
データの有用性
使用事例に関連する特定の要件セットへのデータセットの準拠。
品質要件のドキュメント
品質保証 (QA) プランは、プロジェクトに適した品質基準を識別し、それを達成する方法を決定するドキュメントです。 QA プランは、組織によって新しい品質要件が識別されたときに変更される、随時更新されるドキュメントです。QA プランは、品質の良いデータの構成要素、およびそれらの要件を満たすビジネス プロセスに関して共通の認識を確立するために、主要な関係者を集める機会としても役立ちます。
以下では、データ品質要件を識別する場合に役立つドキュメントの手法および標準について説明します。
- ISO/TC 211 Geographic information/Geomatics - ユーザー、システム、位置間で地理情報データをデジタル形式で取得、処理、解析、アクセス、提示、変換するデータ管理の方法、ツール、サービスを定義するための、一連の ISO 地理情報標準を示しています。
- 要件のトレーサビリティ マトリックス - プロジェクトの実装中にビジネス要件が満たされるように、ビジネス要件を管理および追跡するために作成されるドキュメントです。 このドキュメントは、プロジェクトのために収集されたビジネス要件とソフトウェア製品の機能と関連しています。
以下の表の要件カテゴリ列は、収集される要件の例を示しており、前述のデータ品質要素の一部を参照しています。 要件を整理して分類した後の次のステップは、データ品質要件を、ArcGIS にある対応する機能に関連付けることです。
ID | 要件 | 要件番号 | 要件カテゴリ | 製品の機能 |
---|---|---|---|---|
1 | 個々のユーザーにより編集されたセグメントの数に基づいてクエリを実行する機能 | F001 | 機能要件 | |
2 | プロダクト データ モデルが業界スキーマ標準に準拠することを保証する機能 | D001 | データ要件 - 論理一貫性 | |
3 | ジオデータベース管理者として、POST 権限を少数の管理ユーザーのデフォルト バージョンに制限する機能 | F002 | 機能要件 | |
4 | 選択した属性のデータ内のギャップを示す特別レポートを生成する機能 | F003 | 機能要件 | |
5 | ソース データがマスター データベースに移行され、適切なドメインとリレーションシップを持つことを保証する機能 | D002 | データ要件 - 論理一貫性 | |
6 | 定義された標準に従ってソース データが正確であることを保証する機能 | D003 | データ要件 - 位置正確度 | |
7 | プロダクト データがモバイルによる収集者向けであり、属性が正確であることを保証する機能 | D004 | データ要件 - 主題正確度 | |
8 | 2010 ~ 2020 のプロジェクト期間中にイベント メジャー間に重なりがないことを保証する機能 | D005 | データ要件 - 時間正確度 | |
9 | ビジネス ルール違反による整合チェック エラーにハイパーリンクし説明を提供する機能 | F004 | 機能要件 | |
10 | 必須の各属性フィールドにデータが入力されていない (NULL) セルの数を特定する機能 | D006 | データ要件 - 主題正確度 | |
11 | オーバーレイする建物フットプリント フィーチャがない区画を特定する機能 | D007 | データ要件 - 論理一貫性 | |
12 | エラー レポートの作成、Excel ファイルの生成、およびローカル ドライブへの保存を行う機能 | F005 | 機能要件 | |
13 | 一致するフットプリント フィーチャに区画をリンクする一意の属性を検証する機能 | D008 | データ要件 - 論理一貫性 | |
14 | すべてのフィーチャがメタデータ規格に準拠していることを確認する機能 | D009 | データ要件 - データの完全性 | |
15 | 既存のフィーチャをエラーとして識別する機能 | F006 | データ要件 - 主題正確度 | |
16 | 欠落しているフィーチャの位置をエラーとして示す機能 | F007 | データ要件 - データの完全性 |