説明
通常、ランベルト正角円錐図法は 2 本の標準緯線に基づきますが、1 本の標準緯線と縮尺係数を使用して定義することもできます。この図法は、中緯度で東西に広がる地域での正角図に最適です。この図法は、第一次世界大戦前にはめったに使用されませんでしたが、現在では世界各地で公的な地形図の作成によく使用されています。State Plane Coordinate System では、主に東西方向に広がったすべてのゾーンで、この図法を使用しています。
ランベルト正角円錐図法の球面バージョンと楕円体バージョンは、両方とも 1772 年に Johann H. Lambert によって開発されました。ArcGIS Pro 1.0 以降と ArcGIS Desktop 8.0 以降で使用できます。
投影のプロパティ
次のサブセクションでは、ランベルト正角円錐図法のプロパティについて説明します。
経緯線
ランベルト正角円錐図法は、円錐図法です。すべての子午線は、共通のポイント (標準緯線に近いほうの極) に向かって収束する等間隔の直線です。緯線は、極を中心とする円弧として表されます。その間隔は、標準緯線から離れるにつれて大きくなります。反対側の極は無限大に投影されるため、表示できません。
標準緯線を北半球に設定すると、経緯線の扇形は上向きになり、南半球に設定すると、経緯線の扇形は下向きになります。経緯線は中心子午線に対して対称的です。
歪み
ランベルト正角円錐図法は、正角図法です。方向、角度、および形状は無限小スケールで維持されます。標準緯線に沿った距離のみが正確です。縮尺、面積、および距離は標準緯線から離れるにつれて歪んでいきますが、任意の緯線上の歪みは同じで、中心子午線に対して対称的です。この図法は極では正角になりません。
使用法
ランベルト正角円錐図法は、南北に広がる地域よりも東西に広がる中緯度の地域の正角図に最適です。通常、標準緯線はマップを作成する領域の最上部から 6 分の 1 下、最下部から 6 分の 1 上の範囲に配置されます。
State Plane Coordinate System では、主に東西方向に広がったゾーンで、ランベルト正角円錐図法を使用しています。
バリアント
ArcGIS には 3 つのバリアントがあります。
- ランベルト正角円錐図法バリアントは、投影に使用可能なすべてのパラメーターをサポートしている汎用バリアントです。ArcGIS Pro 1.0 以降と ArcGIS Desktop 8.0 以降で使用できます。
- ランベルト正角円錐図法 1SP バリアントでは、1 本の標準緯線と縮尺係数を使用した定義のみがサポートされていますが、ランベルト正角円錐図法バリアントと同じアルゴリズムが使用されます。ArcGIS Pro 2.6 以降と ArcGIS Desktop 10.8.1 以降で使用できます。
- ランベルト正角円錐図法 2SP バリアントでは、2 本の標準緯線を使用した定義のみがサポートされていますが、ランベルト正角円錐図法バリアントと同じアルゴリズムが使用されます。ArcGIS Pro 2.6 以降と ArcGIS Desktop 10.8.1 以降で使用できます。
制限事項
ArcGIS でのランベルト正角円錐図法の実装では、世界の全範囲は表示されません。標準緯線は、任意の緯度に設定できますが、別々の極に設定することはできません。
パラメーター
ランベルト正角円錐図法のパラメーターは次のとおりです。
- 東距
- 北距
- 中央子午線
- 標準緯線 1
- 標準緯線 2
- 縮尺係数
- 原点の緯度
この図法を 2 本の標準緯線で定義するには (ランベルト正角円錐図法 2SP バリアント)、縮尺係数値を 1.0 に設定する必要があります。この図法を 1 本の標準緯線で定義するには (ランベルト正角円錐図法 1SP バリアント)、標準緯線 1、標準緯線 2、および原点緯度パラメーターに同じ値を使用し、適切な縮尺係数を設定します。
ランベルト正角円錐図法 1SP のパラメーターは次のとおりです。
- 東距
- 北距
- 中央子午線
- 縮尺係数
- 原点の緯度
ランベルト正角円錐図法 2SP のパラメーターは次のとおりです。
- 東距
- 北距
- 中央子午線
- 標準緯線 1
- 標準緯線 2
- 原点の緯度
特定のパラメーターを使用するケース
両方の標準緯線が片方の極に設定されている場合、生成されるマップは、極座標面での平射図法になります。1 本の標準緯線が極に設定されている場合、生成される投影図は極座標面での平射図法でもありますが、2 本目の標準緯線は縮尺の歪みがない円弧を表します。両方の標準緯線が赤道の北側と南側に対称的に設定されている場合、または赤道に設定されている場合、生成されるマップはメルカトル図法になります。
ソース
Snyder, J. P. (1987). Map Projections: A Working Manual. U.S. Geological Survey Professional Paper 1395. Washington, DC: United States Government Printing Office.
Snyder, J. P. (1993). Flattening the Earth. Two Thousand Years of Map Projections. Chicago and London: University of Chicago Press.
Snyder, J. P. and Voxland, P. M. (1989). An Album of Map Projections. U.S. Geological Survey Professional Paper 1453.Washington, DC: United States Government Printing Office.