層を使用すると、ドメイン ネットワーク内の自然な階層を整理することができます。一般に、層は、ネットワークに属する圧力や電圧などの特性の範囲を表します。
ネットワークの編成
ユーティリティ システムは、有効資源の配送のためにネットワーク別に構成されています。
通常、電気ユーティリティは、送電 (高電圧)、配電 (中電圧)、二次 (低電圧) などの層で構成されています。電気フィーチャは、いずれかの階層にのみ配置できます。これは、パーティション型の層定義を使用してモデル化されます。
ガスおよび水道ユーティリティには、ガスや水を収集するための層、長距離にわたってガスや水を送出するための層、消費者へガスや水を分配するための層が存在します。ネットワークの異なるセクターをモデル化するために、ドメイン ネットワーク内で層グループが使用されます。たとえば、ガス ドメイン ネットワークでは、分配の層グループには、システム、圧力、分離の異なる層が含まれます。デバイスなどのフィーチャは、層グループ内で 2 つの異なる層に配置できます。これは、階層型の層定義を使用してモデル化されます。
ネットワークの編成の詳細については、「アーキテクチャ」のトピック リンクをご参照ください。
層の階層は、別個のドメイン ネットワークを使用する方法またはドメイン ネットワーク内の層を使用する方法によってモデル化できます。上図は、電気ユーティリティの一般的な階層構成を表しており、これら 2 つのオプションを例示しています。
最初に、送電レベルが個別のドメイン ネットワークとしてモデル化されます。これは、送電が、電気ユーティリティにおいて配電とは異なる部門で処理されるためです。通常、電力の送電レベルと配電レベル間で処理を分離するには規制要件が存在します。このような要件があるため、送電と配電用に 2 つの個別のドメイン ネットワークを使用することは最良の解決方法です。
次に、上図に示すように、配電ドメイン ネットワーク内の階層が 2 つの層によって実現されます。中電圧層が、変電所の送信回路遮断機の下方にあるターミナルから始まります。次に、層内の各回路が、すべてのラインおよびデバイスを通過して、配電変圧器の上方にあるターミナルに達すると、電力が低電圧に変換されます。低電圧層は、配電変圧器の下方から始まるか、またはスポットまたはグリッド電気ネットワークの場合にネットワーク保安装置の下方から始まります。これが、1 つの部門または部局で管理されるドメイン ネットワーク内でネットワーク階層をモデル化するための最良の解決方法です。
層
ドメイン ネットワークには 1 つまたは複数の層が含まれます。たとえば、上記の送電ドメイン ネットワークには、高電圧層という層が 1 つだけ含まれます。
層は、サブネットワークの論理的階層を表すためのドメイン ネットワークのサブグループ化を意味します。層を定義するときは、サブネットワーク制御デバイスを指定して、その層とサブネットワークの境界を定めます。上記の例では、配電ドメイン ネットワーク内の中電圧層に、サブネットワークのソース フィーチャ タイプとして回路遮断機が含まれます。低電圧層には、サブネットワークのソース フィーチャ タイプとして配電変圧器またはネットワーク保安装置が含まれます。これらのサブネットワーク制御デバイスは、それぞれの層レベルに含まれるサブネットワークの定義に使用されます。
層ごとに、層の階層におけるランク数値が設定されます。ランク 1 は高レベルを示します。上記の例では、中電圧層にランク 1、低電圧層にランク 2 が設定されています。場合によっては、異なる層が同じランクを共有することがあります。たとえば、ガス ドメイン ネットワーク内で、圧力層とバルブ分離層に同じランクが設定されることがあります。これは、分離サブネットワークが、圧力サブネットワーク内にネストされる場合があるためです。詳細については、「層ランク」をご参照ください。
層トポロジのモデル化
ドメイン ネットワーク内の層には、階層型の層定義またはパーティション型の層定義のいずれかを含めることができます。
一般的に、電気ユーティリティの層はパーティション型の層定義に従います。これは、相互に排他的な層の推移 (電圧レベルの低下に基づく) が存在することを意味します。中電圧サブネットワークは、低電圧サブネットワークとは別個のものであり、フィーチャを共有しません。
ガス ユーティリティの層には階層型の層定義を含めることができます。これは、ドメイン ネットワーク内のフィーチャが 2 つの異なる層のサブネットワークに属する場合があることを意味します。たとえば、一般に、ガス ユーティリティでは、ネストされたサブネットワークによって圧力層とバルブ分離層を定義します。1 つの圧力サブネットワークに、複数のバルブ分離サブネットワークを含めることができます。
また、層ごとにトポロジ タイプも存在します。これは層レベルで設定され、層内のすべてのサブネットワークに関連します。放射状は、中電圧電気層の標準的構成です。ガスおよび水道層も放射状トポロジになることがあります。メッシュは、ガスおよび水道サブネットワークの一般的なトポロジ タイプです。また、低電圧電気層におけるスポットまたはメッシュ ネットワークのトポロジ タイプでもあります。人口密度の高い都市の中心部には、高信頼性を実現するための冗長ソースを備えたメッシュ ネットワークが存在します。
詳細については、「サブネットワーク」のトポロジ タイプのセクションをご参照ください。
上記の図には、両方のトポロジ タイプが表示されています。層 A は放射状トポロジ タイプです。A1 のラベルが付いたサブネットワークには 1 つのソース (左端にある) が存在します。層 B は、左側に 3 つのソースを含み、放射状トポロジ タイプです。サブネットワーク B1 は 1 つのソースを含み、放射状トポロジになっています。サブネットワーク B2 は 2 つのソースを含み、ループを含んでいないため、放射状トポロジになっています。層 C はメッシュ トポロジになっています。C1 のラベルが付いたサブネットワークには、3 つのソースと複数のループが存在します。この層はメッシュ トポロジになっています。