Image Analyst ライセンスで利用できます。
[CCDC を使用した変更の解析 (Analyze Changes Using CCDC)] ツールを [変更解析ラスターから変更を検出 (Detect Change Using Change Analysis Raster)] ツールと組み合わせて使用することで、土地利用や土地被覆の変化を示すピクセル値の経時的な変化を識別できます。
連続的な変化の検出
[CCDC を使用した変更の解析 (Analyze Changes Using CCDC)] ツールは、CCDC (Continuous Change Detection and Classification) アルゴリズム (Zhu and Woodcock, 2014) を使用して、画像のスタックでピクセル値の経時的な変化を評価します。時系列の光学画像または画像派生物 (NDVI など) では、次のようないくつかの理由から、ピクセル値が変動することがあります。
- 季節的変化 - ピクセル値の変化には、温度、日照、降水量の季節的変動による植生の変化が反映されます。たとえば、北半球では、冬よりも夏の方が森林植生の密度が高くなることが予想されます。
- 段階的変化 - ピクセル値の変化には、気候変動や長期的な土地管理業務による植生や地表水の傾向が反映されます。たとえば、降水量の長期的な減少によって露出土壌が徐々に増えることがあります。
- 急激な変化 - ピクセル値の変化には、森林伐採、都市開発、自然災害などによって急激に生じた土地被覆の変化が反映されます。
CCDC アルゴリズムは、急激な変化を識別することを主な目的として、3 つのタイプの変化をすべて識別します。高調波回帰モデルとトレンド モデルをデータに当てはめて季節的な変動と段階的変化が推定され、トレンド モデルからの突然の逸脱は急激な変化が生じたことを示します。
入力データ タイプ
CCDC アルゴリズムは Landsat TM、Landsat ETM+、および Landsat OLI データの地表面反射率または輝度温度データ用に設計されました。ただし、[CCDC を使用した変更の解析 (Analyze Changes Using CCDC)] ツールは、サポートされている任意のセンサーからのマルチバンド画像、およびバンド インデックスなどのシングルバンド画像派生物で変化を検出します。たとえば、正規化差植生指数 (NDVI) ラスターに対して連続的な変化の検出を実行できます。これは、NDVI での急激な変化によって、森林伐採やその他の突然の植生の損失が明らかになることがあるためです。
雲、雲の影、および雪
土地被覆の変化の検出は、時系列のリモート センシング画像に雲、雲の影、および雪が存在することで複雑になることがあります。雲や雪が土地被覆の変化として誤ってフラグ付けされないようにするため、時系列内のこのような影響を受けるピクセルをマスクする必要があります。短波赤外 (SWIR) バンドでは雲の影と雪は非常に暗く表示され、緑バンドでは雲と雪が非常に明るく表示されるため、このような現象をマスクするため、この 2 つのバンドが RIRLS (robust iteratively reweighted least squares) モデルで使用されます。このモデルでは緑バンドと SWIR バンドの時系列プロットが生成され、モデルの結果を実際のピクセル値と比較することで外れ値が特定され、この値がマスクされて解析から除外されます。
変化の検出
最小二乗法 (OLS) 手法を使用して、画像のバンドごとに、経時的に生じるピクセル値の季節的変化と段階的変化がモデル化されます。モデル化されたピクセルの予測値と実際のピクセル値の差が計算されます。これらの値の差が RMSE (二乗平均平方根誤差) の 3 倍より大きい場合、そのピクセルには、土地被覆が変化した可能性があることを示すフラグが付きます。
観測の連続回数に基づいて、土地被覆の潜在的変化が実際の変化であるかどうかが評価されます。ピクセル値が 1 回だけモデルの結果と著しく異なっている場合、これは外れ値の可能性があります。観測されたピクセル値が一定回数連続してモデルの結果と著しく異なっている場合、そのピクセルは変化したものと見なされます。[CCDC を使用した変更の解析 (Analyze Changes Using CCDC)] ツールで [最小連続異常観測数] パラメーターを使用して、観測の最小連続回数を制御できます。
[CCDC を使用した変更の解析 (Analyze Changes Using CCDC)] ツールからの出力は、モデル係数が含まれている変更解析ラスターです。これは視覚的にわかりにくいことがあるため、データの表示方法にはこの他にも次のようないくつかの方法があります。
- 時系列プロファイル チャートを作成して、ピクセルの経時的な変化を調べます。よく似た変化のパターンがあるピクセルは、変更解析ラスターでよく似た色で表示されます。
- 変更解析ラスターを [変更解析ラスターから変更を検出 (Detect Change Using Change Analysis Raster)] ツールへの入力として使用して、ピクセルに土地被覆の変化のフラグが付いた時期と頻度を調べます。
- トレーニング サンプルを作成し、変更解析ラスターを使用して画像分類を実行します。変更解析ラスターには、モデル係数に加え、土地被覆タイプを分類するために必要なスペクトル情報も含まれています。次のセクションで、このプロセスについてさらに詳しく説明します。
土地被覆分類
CCDC アルゴリズムの最後のステップでは、多次元データセット内のすべてのスライスについて土地被覆を分類します。[CCDC を使用した変更の解析 (Analyze Changes Using CCDC)] ツールではこのステップは実行されませんが、このツールの出力をトレーニング ツールと分類ツールへの入力として使用できます。
変更解析ラスターではモデル情報に加えてスペクトル情報が取り込まれるため、時系列ラスターよりも効果的な分類結果が得られる場合があります。土地被覆クラスが季節的または段階的に変化する場合、分類プロセスでは調和モデル係数とトレンド モデル係数に基づいて、スペクトル データと時系列データを使用して生成された土地被覆カテゴリが作成されます。
トレーニング サンプル
変更解析ラスターを分類するには、最初にトレーニング サンプル マネージャーを使用してトレーニング サンプルを生成する必要があります。変更解析ラスターは視覚的にわかりにくいため、元の時系列画像を参照として使用してトレーニング サンプル ポリゴンを作成できます。
さまざまな時間を反映するため、データセット内のいくつかの異なるスライスについてトレーニング サンプルを生成します。[多次元] タブのコントロールを使用して、現在表示されているスライスを変更し、現在表示されているスライスのトレーニング サンプルを作成して、スライスの時刻をトレーニング サンプルの属性に追加します。温かい月にのみ存在する Deciduous Trees クラスなど、特定のスライスにのみ存在するクラスについてトレーニング サンプルを取り込むことが重要です。
サンプルの数と分布は、画像、アプリケーション、精度の要件、時間的制約によって異なります。各土地被覆クラスのサンプル数がほぼ同じで、サンプルが画像の空間範囲全体に均一に分布していることが理想的です。時系列ラスター画像の場合、データの複数のスライスにトレーニング サンプルが存在し、[CCDC を使用した変更の解析 (Analyze Changes Using CCDC)] ツールによってモデル化された調和曲線に沿ってトレーニング サンプルのスペクトル情報を適合可能でなければなりません。統計的に有意な数のトレーニング サンプルを作成することをお勧めします。
解析
トレーニング サンプルを取り込んだ後、変更解析ラスターを分類できます。最適な結果を得るため、[ランダム ツリーによる分類器定義ファイルの作成 (Train Random Trees Classifier)] または [SVM による分類器定義ファイルの作成 (Train Support Vector Machine Classifier)] のいずれかの機械学習分類器ジオプロセシング ツールを使用して分類モデルをトレーニングすることをお勧めします。[CCDC を使用した変更の解析 (Analyze Changes Using CCDC)] ツールから出力された変更解析ラスターが入力ラスターとなります。トレーニング サンプルは、時系列ラスター データセットで収集したものになります。
最後に、[ラスターの分類 (Classify Raster)] ツールを使用して変更解析ラスターを分類して、多次元データセットに時系列の土地被覆ラスターを生成します。
参照
Zhu, Zhe, and Curtis. E. Woodcock. "Continuous change detection and classification of land cover using all available Landsat data." Remote Sensing of Environment 144 (2014) 152-171.
Zhu, Zhe, Junxue Zhang, Zhiqiang Yang, Amal H. Aljaddani, Warren B. Cohen, Shi Qiu, and Congliang Zhou. "Continuous monitoring of land disturbance based on Landsat time series." Remote Sensing of Environment 238 (2020): 111116