空間関係のモデリング ツールセットの概要

GIS 解析は、空間パターンの解析に加え、フィーチャ間の関係を確認または定量化する場合に使用できます。 空間関係のモデリング ツールでは、空間ウェイト マトリックスを構築したり、回帰分析で空間関係をモデリングしたりできます。

[空間ウェイト マトリックスの生成 (Generate Spatial Weights Matrix)] および [ネットワーク空間ウェイトの生成 (Generate Network Spatial Weights)] ツールは、データセット内のフィーチャの空間的な相互関係を計測する空間ウェイト マトリックス ファイルを構築します。 空間ウェイト マトリックスは、対象データの空間構造、つまりデータセット内のフィーチャ間に存在する空間関係を示しています。

真の空間統計学では、空間についての情報と空間関係を統合した計算が行われます。 空間統計ツールボックスに用意されているツールのうち、空間ウェイト マトリックス ファイルを使用できるものとして、[空間的自己相関分析 (Spatial Autocorrelation (Global Moran's I))][クラスター/外れ値分析 (Cluster and Outlier Analysis (Anselin Local Moran's I))][ホット スポット分析 (Hot Spot Analysis (Getis-Ord Gi*))][コロケーション分析 (Colocation Analysis)] があります。

空間統計ツールボックスの回帰ツールで、地理フィーチャに関連付けられているデータ変数間の関係をモデリングすると、未知の値を予測することや、モデリングの対象としている変数に影響を与える重要な要素について理解を深めることができます。 [一般化線形回帰分析 (Generalized Linear Regression)] および [地理空間加重回帰分析 (Geographically Weighted Regression)] ツールでは、関係の検証とそれらの関係の強さの計測が可能です。 [予備回帰分析 (Exploratory Regression)] では、多数の最小二乗法 (OLS) モデルを高速に検証し、変数の関係性を要約して、候補となる説明変数の組み合わせが OLS 方式のすべての要件を満たすかどうかを判定できます。 [ローカル 2 変数リレーションシップ (Local Bivariate Relationships)] ツールでは、マップ内の 2 つの変数間にリレーションシップがあるかどうかを調査して特定できます。

[コロケーション分析 (Colocation Analysis)] ツールは、2 つのポイント パターン間の空間の関連性の程度を測定し、[ゾーン間の空間の関連性 (Spatial Association Between Zones)] ツールは、カテゴリ ゾーンの対応を測定します。 [フォレストベースの分類と回帰分析 (Forest-based Classification and Regression)] ツールは、分類データと連続データの両方に教師なし学習方法を使用してモデルを作成し、予測を生成します。また、ラスターまたは距離フィーチャからの変数を使用できます。

ツール説明

コロケーション分析 (Colocation Analysis)

コロケーション指数統計を使用して、ポイント フィーチャの 2 つのカテゴリ間における空間的な関連性 (コロケーション) の局所的なパターンを計測します。

予備回帰分析 (Exploratory Regression)

入力された説明変数候補の考えられるすべての組み合わせを評価し、ユーザーが指定した条件のコンテキスト内で従属変数を最適に説明する OLS モデルを検索します。

フォレストベースの分類と回帰 (Forest-based Classification and Regression)

教師付きコンピューター ラーニング手法である Leo Breiman のランダム フォレスト アルゴリズムを転用してモデルを作成し、予測を生成します。 予測は、カテゴリ変数 (分類) と連続変数 (回帰) の両方に対して実行できます。 説明変数は、追加変数として用いる近接値の算出に使用されるトレーニング フィーチャ、ラスター データセット、および距離フィーチャの属性テーブル内のフィールドの形を取ることができます。 トレーニング データに基づいてモデルのパフォーマンスを検証するだけでなく、フィーチャまたは予測ラスターに対して予測を行うこともできます。

一般化線形回帰分析 (Generalized Linear Regression (GLR)) ツール

一般化線形回帰分析 (GLR) を実行して、予測したり、一連の説明変数との関係から従属変数をモデル化したりします。このツールを使用して、連続 (OLS)、バイナリ (論理)、およびカウント (ポワソン分布) のモデルに適合させることができます。

ネットワーク空間ウェイトの生成 (Generate Network Spatial Weights)

ネットワーク データセットを使用して空間ウェイト マトリックス ファイル (*.swm) を作成し、基礎となるネットワーク構造における空間リレーションシップを定義します。

空間ウェイト マトリックスの生成 (Generate Spatial Weights Matrix)

空間ウェイト マトリックス ファイル (*.swm) を生成して、データセット内のフィーチャ間の空間リレーションシップを表します。

地理空間加重回帰分析 (Geographically Weighted Regression (GWR))

空間的に変化する関係をモデリングするときに使用される局所形の線形回帰である、地理空間加重回帰分析 (GWR) を実行します。

ローカル 2 変数リレーションシップ (Local Bivariate Relationships)

ローカル エントロピーを使用して、2 つの変数の統計的に有意な関係を解析します。 各フィーチャは、関係性のタイプに基づいて、6 つのカテゴリのいずれかに分類されます。 出力を使用して、変数が関係するエリアを視覚化し、分析範囲全体で関係がどのように変化するかを調べることができます。

最小二乗法 (Ordinary Least Squares (OLS))

グローバルな最小二乗法 (OLS) による線形回帰分析は予測したり、独立変数との関係から従属変数をモデル化したりします。

Presence-only 予測 (Presence-only Prediction)

最大エントロピー アプローチ (MaxEnt) を使用して、指定された既知の存在ロケーションと説明変数の現象の存在をモデル化します。 存在確率を含み、存在が既知で不在が未知である問題にのみ適用できる出力フィーチャをツールは提供します。

ゾーン間の空間的関連性 (Spatial Association Between Zones)

同じ調査エリアの 2 つの地域間の空間的関連性の度合いを計測します。調査エリアでは、各地域がゾーンと呼ばれるカテゴリ セットから構成されます。地域間の関連性は、各地域のゾーン間で重なるエリアによって決定されます。関連性は、1 つの地域の各ゾーンが他の地域のゾーンにほぼ一致する場合に、最も高くなります。同様に、空間的関連性は、1 つの地域の複数のゾーンが他の地域の多くの異なるゾーンと大きく重なる場合に、最も低くなります。ツールの主要出力は、カテゴリ変数間の空間的関連性のグローバルな計測です。これは、0 (一致なし) から 1 (ゾーンの完全な空間的整合) までの 1 つの数字です。必要に応じて、グローバルな関連性を、いずれかの地域の特定のゾーンまたは複数の地域間のゾーンの特定の組み合わせに対して、計算および視覚化できます。