Network Analyst のライセンスで利用可能。
交通量データは、特定の道路セグメントでの移動速度が時間とともに変化する様子についての情報を示します。 交通量は移動時間に影響し、その移動時間が結果に影響するため、この情報はネットワーク解析で重要です。 ある場所から別の場所へのルートを、交通量を考慮せずに検討しても、正確な移動時間と到着時間は得られません。 さらに、時間のかかる混雑した道路を避けることによって時間を節約できるルート選択の機会を失うかもしれません。
次の 2 つの図は、時間帯によって、主要な交通量パターンの変化に応じて最速のルートがどのように変化するかを示しています。
ArcGIS Network Analyst extension では、履歴交通量とライブ交通量という 2 つのモデルを使用して、ネットワーク データセットでの移動速度を保存することができます。 これにより、マップ上で交通量を視覚化し、指定した現在の走行速度や一般的な走行速度でネットワーク解析を実行することができます。
履歴交通量データ
履歴交通量モデルは、移動速度が 1 週間のパターンに従うという考えに基づきます。 つまり、ある週の月曜日の午前 8:00 における特定の道路セグメントの移動速度は、別の週の月曜日の午前 8:00 にもほぼ同じであると予想されます。 パターンの期間は 1 週間であるため、予想される速度が同じ週の異なる曜日間で必ずしもほぼ同じになるとは限りません。 つまり、同じ道路セグメントの渋滞と移動速度は、同じ時刻であっても曜日によって大幅に異なる可能性があります。 たとえば、Main Street の日曜日の午前 8:30 の移動速度は、 月曜日の午前 8:30 と比べて大幅に速い可能性が あります。 通常、予想速度は 1 年など特定の期間にわたる複数の測定を平均して決定されます。
データが信頼できる限り、履歴交通量モデルを使用してネットワーク解析を実行する方が、時刻や曜日に関係なく単一の移動コストを使用した結果よりもより正確な結果が得られる傾向があります。
ライブ交通量
ライブ交通量モデルは、現在の交通状況の詳細を明らかにするという、履歴交通量モデルに足りない部分を補います。 前のセクションで示したように、履歴交通量は平均の移動時間に基づきます。 しかし、現在の移動時間が平均から大幅に外れることがあります。 たとえば、大観衆を集めるイベントによって走行速度が遅くなったり、事故によって交通量が一時的に停止したり、休日のために走行速度が遅くなったり、渋滞の発生箇所が変わったりするなどです。 結果が即座に、またはそれに近い速さで取り込まれるネットワーク解析を実行するときは、ライブ交通量を使用する方が、履歴交通量で作成した結果よりも優れた結果となる傾向があります。
ライブ交通量モデルでは、データ プロバイダーが、車載の GPS 受信機や道路に設置した速度センサーなど多くの情報源を使って現在の速度を計測します。 Network Analyst では、ジオプロセシング ツールを使用して、インターネットを介して複数のデータ プロバイダーに接続し、ライブ移動速度をダウンロードして、視覚化とネットワーク解析の両方の目的でネットワーク データセットに取り込みます。
ライブ交通量での予測交通量
当然ながら、ネットワーク解析の目的で使用されるライブ交通量の 1 つのスナップショットが完全に役立つとは言えません。ネットワークの移動には時間がかかり (つまり解析は将来に及ぶ)、交通量パターンは時間とともに変化するからです。 このような理由で、データ プロバイダーはライブ交通量データを処理して、今後 12 時間などの指定した深度の移動速度予測も行っています。 これにより、ルートや到達圏をはじめとするネットワーク解析で、ライブ交通量を使用して 1 点からネットワークの通過を開始し、通過が外に伸びるにつれて予測速度に切り替えることができます。
ネットワーク解析で、さらに将来に及ぶ移動速度がエッジで検索されると、速度予測の信頼性は低くなります。つまり、他のイベントが発生して交通量に影響する可能性が高くなります。 予測深度に達すると、Network Analyst は履歴走行速度の使用に戻ります。
注意:
どのヘルプ トピックを参照するかを判断するときは、履歴交通量はライブ交通量がなくても構成できますが、ライブ交通量は履歴交通量とともに構成しなければならないことを考慮してください。
ライブ交通量を使用したネットワーク解析の実行
交通量、特にライブ交通量は、交通状況の確認と、時間依存のネットワーク解析の実行という 2 つの主な理由で使用します。 交通量は、Network Analyst のすべての解析でサポートされます。つまり、ルート解析や到達圏解析の生成や、ロケーション-アロケーション解析の実行などの目的で、時間依存のネットワーク解析を実行することができます。