従来、LIDAR データはすべて ASCII 形式で提供されていました。 LIDAR データ コレクションのサイズが膨大になるに伴い、LIDAR データを整理して配布する方法を管理し、標準化するために、LAS と呼ばれるバイナリ形式が採用されました。 今では、LIDAR データは一般的に LAS 形式で提供されています。 LAS がより適切なファイル形式とされているのは、LAS ファイルの方が情報量が多く、バイナリ ファイルであるため、効率的に読み込むことができるからです。
LAS は、ASPRS(American Society for Photogrammetry and Remote Sensing) によって作成され、管理されている業界標準形式です。 LAS は、LIDAR データを受け渡しするための公開規格のファイル形式であり、 LIDAR データに関連する固有の情報を管理します。 ベンダーおよびクライアントはこのファイル形式を使用してデータを受け渡し、そのデータに固有のすべての情報を管理します。
各 LAS ファイルには、ヘッダー ブロック内の LIDAR 測量のメタデータがあり、それに続いて記録された各レーザー パルスの個々のレコードが含まれます。 各 LAS ファイルのヘッダー部分には LIDAR 測量自体の属性情報 (データ範囲、フライト日、フライト時間、ポイント レコードの数、リターンごとのポイント数、適用されるデータ オフセット、および適用される縮尺係数) が保持されています。 X,Y,Z の位置情報、GPS タイム スタンプ、強度、リターン番号、リターン数、ポイント分類値、スキャン角度、追加の RGB 値、スキャン方向、フライト ラインのエッジ、ユーザー データ、ポイント ソース ID、波長情報の LIDAR ポイント属性が、LAS ファイルのレーザー パルスごとに管理されます。
ArcGIS は、ASCII または LAS ファイル形式で提供される LIDAR データをサポートします。 属性情報は、より詳細な解析のために ArcGIS で管理されます。 ArcGIS Pro はさまざまな方法で LIDAR をサポートしています。詳細については「ArcGIS Pro での LIDAR の使用」をご参照ください。
注意:
ArcGIS は LAS バージョン 1.0、1.1、1.2、1.3、および 1.4 をサポートしています。 LAS バージョン 1.3 以降で利用可能な波形情報はサポートされていません。
LIDAR ポイントの分類
すべての LIDAR ポイントには、レーザー パルスを反射したオブジェクトの種類を定義する分類コードを割り当てることができます。 LIDAR ポイントは、地表面、植生、水域などのいくつかのカテゴリに分類できます。 分類クラスの定義には、LAS ファイルの整数値のコードを使用します。
分類コードは、LAS 形式 1.1、1.2、1.3、および 1.4 に対して American Society for Photogrammetry and Remote Sensing (ASPRS) によって定義されています。 ArcGIS は、すべてのバージョンの LAS をサポートします。 LAS 形式 1.4 は最新のバージョンであり、次に説明するポイントの分類と情報が追加されています。
LAS 形式 1.1 ~ 1.4 の分類コード
LAS 形式 1.1 ~ 1.4 で作業している場合は、各データ カテゴリについて、ASPRS によって事前定義された分類スキーマをご参照ください。 次の表に、これらの LAS バージョンに対して ASRPS で定義された LAS 分類コードを示します。
分類値 | 意味 |
---|---|
0 | 作成済み、分類不可 |
1 | 未分類 |
2 | 地表 |
3 | 低植生 |
4 | 中植生 |
5 | 高植生 |
6 | ビルディング |
7 | 低ポイント |
8 | モデル キー ポイント |
9 | 水 |
10 | レール |
11 | 路面 |
12 | 予約 |
13 | 保護線 (シールド) |
14 | 導線 (フェーズ) |
15 | 送電塔 |
16 | 電線接続構造物 (絶縁体) |
17 | 橋床版 |
18 | 高ノイズ |
19 | 予約 |
20 | 無視された地表 |
21 | 雪 |
22 | 一時的な除外 |
23 ~ 63 | 予約 |
64 ~ 255 | ユーザー定義可能 |
注意:
- *最新の LAS 1.4 の分類システムでは、これらのコード (コード 8: モデル キー/予約済み、コード 12: オーバーラップ/予約済み) は予約されています。これらの特性を持つポイントは、代わりに対応する分類フラグを使用する必要があります。
- LAS 1.1 ~ 1.3 では、0 ~ 31 の分類のみがサポートされます。
LAS 形式 1.1 ~ 1.4 の分類フラグ
LIDAR データで分類を実行すると、ポイントが分類の複数のカテゴリに入る可能性があります。 分類フラグを使用して、LIDAR ポイントの追加説明または分類が提供されます。 LAS バージョン 1.0 では、LIDAR ポイントに 2 つの分類属性を同時に割り当てることはできませんでした。 たとえば、水域からの LIDAR リターンは最終的な出力データセットから削除する必要があるかもしれませんが、収集された LIDAR ポイントとして LAS ファイルに残し、管理すべきです。 LAS バージョン 1.0 を使用する場合、このポイントを水域として設定して解析から除外することはできませんでした。
LAS 1.1 以降のバージョンでは、この問題を解決するために分類フラグが使用されます。 分類フラグは LAS 標準に追加され、従来の分類に付加された情報でポイントをフラグ付けするようになりました。 LIDAR ポイントごとに合成、キーポイント、保留、およびオーバーラップの各フラグを設定できます。 3 つのフラグは、分類コードと同時に設定することが可能です。 たとえば、水域レコードに水域の分類コード (9) と保留フラグを設定することができます。 このポイントはデータセットに残りますが、LAS ファイルに対する以後の解析からは除外されます。
次の表に、設定可能な分類フラグを示します。
フィールド名 | 説明 |
---|---|
合成 | 写真測量ステレオ モデルからのデジタイズなど、LIDAR 以外の方法で作成されたポイント。 |
キーポイント | モデルのキーポイントと考えられるポイントで、間引きアルゴリズムでは処理から除外されません。 |
保留 | このポイントは処理に含まれません。 |
オーバーラップ | 2 つ以上のフライト ラインまたは帯で重複する領域内にあるポイント (LAS バージョン 1.4 のみ)。 |