複雑な形状

Location Referencing ライセンスで利用可能です。

自己閉鎖型ジオメトリや自己交差型ジオメトリのような複雑な形状を形成するルートが、ArcGIS Pipeline Referencing によりサポートされるようになりました。

次のような複雑なシェープ タイプがサポートされます。

  • ループ
  • Lollipops
  • Alpha
  • ブランチ
  • Barbell

これらのルートのシェープ タイプにはそれぞれ、ArcGIS Pro を使用した読み込み、キャリブレーション、および編集方法を定義するルールがあります。

複雑なルートの読み込みとキャリブレーション

[ルートの追加 (Append Routes)] ツールを使用して、複雑なルートを個別に読み込むか、一括で読み込むことができます。 このツールを実行するには、ルート ID、開始日、終了日などのすべての必須フィールドが継続してマッピングされている必要があります。 ルートのシェープ タイプごとに、ルートの始点と終点の位置に関するルールは異なります。

複雑なルートのキャリブレーション ポイントは、[キャリブレーション ポイントの生成 (Generate Calibration Points)] ツールを使用するか、キャリブレーション ポイント フィーチャクラスに手動でポイントを追加して生成します。

複雑なルートのタイプに応じて、キャリブレーション ポイントの配置と最小値を定義するルールは異なります。 [キャリブレーション ポイントの生成 (Generate Calibration Points)] ツールは、これらのルートに必要な最小数のキャリブレーション ポイントと位置を自動的に作成します。

次のプロセスを使用して、複雑な形状のルートにキャリブレーションを適用します。

  1. ルート ジオメトリの始点および終点を検索します。
  2. 狭義単調増加 (モノトニック) のメジャーになるように、始点から終点までルートを通過します。
  3. ルートの通過に沿って配置されたキャリブレーション ポイントを使用して、ルートにキャリブレーションを適用します。

次のセクションでは、ルートの始点または終点、必要なキャリブレーション ポイントの最小数、およびそれらのキャリブレーション ポイントが配置される各ルート上の位置に関する、各ルート タイプの要件について説明します。

ループ

ループ ルート

ループ ルートとは、始点と終点の位置が同じ自閉式のジオメトリです。

ループ ルートの始点と終点は、ジオメトリ上の任意の位置に配置できますが、始点と終点の X、Y、Z 位置で同じである必要があります。 ループ ルートには、始点、終点、および任意の位置の 2 つのポイントを含む 4 つのキャリブレーション ポイントが必要です。 ルートに沿った任意の位置にキャリブレーション ポイントを追加することができます。

ロリポップ

ロリポップ ルート

ロリポップ ルートとは、始点と終点の位置が異なる自閉式のジオメトリです。

ロリポップ ルートには、ルートの始点と終点が配置される 2 つの特定の位置 (始点キャリブレーション ポイントと終点キャリブレーション ポイント) が含まれます。 これらのルートには、始点 (青色)、終点 (オレンジ色)、およびルートのループ部分の任意の位置にある 2 つのキャリブレーション ポイント (黃色) を含む 4 つ以上のキャリブレーション ポイントが必要です。

ルートに沿った任意の位置にキャリブレーション ポイントを追加することができますが、自閉する位置には最大で 2 つのキャリブレーション ポイントのみ配置できます。

Alpha

アルファ ルート

アルファ ルートとは、始点と終点の位置が異なる自己交差型のジオメトリです。

アルファ ルートには、ルートの始点と終点が配置される 2 つの位置 (始点キャリブレーション ポイントと終点キャリブレーション ポイント) が含まれます。 これらのルートには、始点 (青色)、終点 (オレンジ色)、およびルートのループ部分の任意の位置にある 2 つのキャリブレーション ポイント (黃色) を含む 4 つ以上のキャリブレーション ポイントが必要です。

ルートに沿った任意の位置にキャリブレーション ポイントを追加することができますが、自己交差する位置には最大で 2 つのキャリブレーション ポイントのみ配置できます。

ブランチ

ブランチ ルート

ブランチ ルートとは、すでに通過したパスを引き返さない限り、ルートの始点と終点を接続するパスが存在しないマルチパート ジオメトリです。

ブランチ ルートは、ルートの始点と終点が複数の位置に存在します。 これらのルートには、始点 (青色)、終点 (オレンジ色)、およびルートの始点または終点でない部分の両端にある 2 つのキャリブレーション ポイント (黃色) を含む 4 つ以上のキャリブレーション ポイントが必要です。

ルートに沿った任意の位置にキャリブレーション ポイントを追加することができます。

Barbell

バーベル ルート

バーベル ルートとは、始点と終点の位置がループ内にある自閉式のジオメトリです。

バーベル ルートには、始点 (青色)、終点 (オレンジ色)、およびループ内に配置された 4 つのキャリブレーション ポイントを含む 6 つ以上のキャリブレーション ポイントが必要です。 各ループの任意の位置に 2 つのキャリブレーション ポイント (黄色) が含まれている必要があります。

ルートに沿った任意の位置にキャリブレーション ポイントを追加することができますが、自閉する位置には最大で 2 つのキャリブレーション ポイントのみ配置できます。

複雑な形状の読み込み中、キャリブレーション中、または編集中のエラー

前に述べたように、Pipeline Referencing 編集ツールを使用して複雑なルートを読み込み、キャリブレーション、および編集できるようにするための特定の要件があります。 編集中にサポートされていないシナリオが生じた場合、エラー メッセージが表示されます。

残りのセクションでは、複雑なルートの編集時に発生する一般的なエラー シナリオと、その回避方法について説明します。

ループ ルートの中間部分の廃止

ループ ルートの中間部分を廃止すると、エラーが発生します。

ループ ルートの中間部分を廃止しようとすると、ループ ルートの始点と終点の X、Y、Z 位置が同じである必要があるため、エラーが発生します。

始点と終点がルートの両端ではなく中間部分にあり、狭義単調増加 (モノトニック) のメジャー値でルートを更新することができないため、廃止は失敗します。

複雑なルートの廃止シナリオの詳細

下流の再キャリブレーションをしないアルファ ルートのループ部分の廃止

下流の再キャリブレーションをしないでアルファ ルートのループ部分を廃止すると、エラーが発生します。

下流の再キャリブレーション オプションをオンにしない状態でアルファ ルートのループ部分を廃止しようとすると、非単調エラーが発生します。 ループを廃止すると、ループ以外の部分が 2 つ生成されます。

ルートが自己交差するポイントのメジャー値が異なることにより、メジャー値のギャップが生じ、狭義単調増加 (モノトニック) のメジャー値を含まないルートが生成されるため、廃止は失敗します。

複雑なルートの廃止シナリオの詳細

ブランチ ルートのブランチ セクションの廃止

ブランチ ルートのブランチ セクションを廃止すると、エラーが発生します。

始点メジャー値と終点メジャー値が両端ではなく中間部分にある単純な (ブランチでない) ルートや、非単調なルートが生成される場合、ブランチ ルートのブランチ セクションを廃止しようとすると、ブランチでないルートが生成されて失敗します。

複雑なルートの廃止シナリオの詳細

複数の中心線からの複雑なルートの作成

複数の中心線からの複雑なルートの作成が失敗します。

複数の中心線を使用する複雑なルートを作成するには、中心線の順序がルートの始点から終点までの通過順序と一致する必要があります。 選択した中心線により非単調なルートが生成される場合、複雑なルートは作成されません。

通過順序が一致しない場合、次のエラーが表示されます。

選択した中心線により非単調なルートが生成されます。 中心線、またはマルチパートの中心線を構成するパーツを並べ替えます。

[ルートの作成] ツールを使用して、通過が開始から終了まで狭義単調増加になるように中心線を並べ替えます。

複雑なルートの作成シナリオの詳細

方向が一致しない中心線からの複雑なルートの作成

方向が一致しない中心線を使用した複雑なルートの作成が失敗します。

複数の中心線を使用する複雑なルートを作成する場合、中心線の順序がルートの始点から終点までの通過順序と一致する必要があります。

中心線のルートの通過順序が狭義単調増加 (モノトニック) でない場合、次のエラーが表示されます。

選択した中心線またはそのパーツのデジタイズ方向が一致しません。 そのため、最初の中心線またはパートのデジタイズ方向が使用されます。 続行しますか?

続行を選択すると、誤った方向の中心線は、最初の中心線の方向に一致するように反転され、編集が正常に終了します。

[ルートの作成] ツールを使用して、通過が開始から終了まで狭義単調増加になるように中心線を並べ替えます。

複雑なルートの作成シナリオの詳細

複数の中心線またはマルチパートの中心線からのギャップのあるブランチ ルートの作成

複数の中心線またはマルチパートの中心線からのギャップのあるブランチ ルートの作成が失敗します。

狭義単調増加 (モノトニック) の順序で始点から終点までルートを通過できない場合は、複数の中心線またはマルチパートの中心線からのギャップのあるブランチ ルートの作成が失敗します。

[ルートの作成] ツールを使用して、通過が開始から終了まで狭義単調増加になるように中心線を並べ替えます。

複雑なルートの作成シナリオの詳細

非単調メジャーを使用するキャリブレーション ポイントの追加または変更

非単調メジャーを使用するキャリブレーション ポイントの追加が失敗します。

複雑なルートのキャリブレーション ポイントを追加または編集する場合、メジャーから狭義単調増加 (モノトニック) のルートが生成される必要があります。

非単調メジャーを使用するキャリブレーション ポイントを追加または編集しようとすると、次のエラー メッセージが表示されます。

入力メジャーにより非単調なルートが生成されます。

次のエラーも表示される場合があります。

指定したメジャーにより、routeId の非単調なルートが生成されます。

メジャーを変更してルートが狭義単調増加 (モノトニック) になるようにするか、下流部分を再キャリブレーションしてキャリブレーション ポイントを正常に追加または編集します。

複雑なルートのキャリブレーション シナリオの詳細

必須のキャリブレーション ポイントの削除

必須のキャリブレーション ポイントの削除が失敗します。

前のセクションで述べたように、複雑なルート タイプごとに、特定の位置に特定の数のキャリブレーション ポイントが必要です。

必要なキャリブレーション ポイントを削除しようとすると、次のエラー メッセージが表示されます。

キャリブレーション ポイントを削除できません。 ルートがキャリブレーションされたままにするには、2 つ以上のキャリブレーション ポイントが必要です。

次のエラーも表示される場合があります。

Object ID のキャリブレーション ポイントを削除することで、キャリブレーションされていないルートが作成されます。