ピクセルとは

デジタル画像を構成する基本的なエレメントはピクセルと呼ばれ、「ピクチャ エレメント」というフレーズ言葉に由来しています。 GIS およびリモート センシングでデジタル画像を操作する場合、ピクセルの作成方法を理解しておくことが重要です。

デジタル画像の基本的な形式

デジタル画像は、画像の形成に使用される数値の四角形配列で構成されます。 ジオメトリ プロパティとラジオメトリ プロパティの両方が含まれています。 配列内の各数値は、ピクセルを表します。 ピクセルの基本的な形式は、画像を表示する際の画像上のポイントの明るさと色を表す、配列内の数値です。 データ形式は、ラスター形式や画像形式とも呼ばれます。 配列内の数値を構成する要素は、ジオメトリの関数、ピクセルの値、およびピクセルが表す色であり、そのラジオメトリに関連しています。 ピクセルは、ジオグラフィの特定の位置における、光と環境の相互作用を捉えたものです。

画像内の値の図表による表現
デジタル画像は明るさを表す値の配列です。

光の性質

光は、波形または粒子として振る舞います。 光は、光子と呼ばれる粒子の流れで構成されています。 これらの粒子は太陽から発生して大気中を流れ、一部は吸収され、一部は空中粒子、水蒸気、およびその他の大気成分と衝突しながら大気光路に沿って散乱します。 この光子の流れは、太陽からの直接光と天窓からの間接光の両方があり、下向き放射または放射照度と呼ばれます。 光子は、地表の目標物に当たり、一部は目標物に吸収され、一部は反射されます。 反射された光子は、センサーまで伝送され、一部は大気中を通過し、一部は再び吸収されます。 センサーで計測される割合は透過率と呼ばれます。

sun-target-sensor の相互作用のシミュレーション
この図は、センサーで観測した sun-target-sensor の相互作用を簡素化したものです。

光とセンサーの相互作用

センサーの前面に到達した光子は、レンズで集められ、センサー本体背面にある焦点面に集光されます。 焦点面は、CCD アレイなどの光子に感度を持つ物理的なセルの集合体です。 これらは、センサーに入ってきた光を計測し、デジタル画像のピクセルを表す数値を生成する物理デバイスです。 光子を集めるバケットのような役割を果たすため、ウェル (井戸の意味) と呼ばれます。 光子は物理的な粒子として振る舞いますが、光子をセンサーに集めるバケットには 2 つの重要な性質があります。 1 つ目は、光子を感知する能力です。 この性質は量子効率と呼ばれます。 100 個の光子がバケットに当たり、40 個の光子が集められた場合、アレイの量子効率は 40% です。 もう 1 つの重要な性質は、ウェルの深さ (バケットの容量) です。 バケットの光子の容量が 60,000 個だとします。 バケットに 60,000 個を超える光子を集めると、残りの光子が溢れ出ます。 こぼれて失われる光子もあれば、隣接するバケットにこぼれてフレアと呼ばれる状態を引き起こす光子もあります。 フレアが発生すると、隣接するピクセルが過度に明るくなりますが、最近の焦点面のほとんどには、フレアを軽減するメカニズムが備わっています。 太陽光は常に流入するため、物理アレイに当たる光子の数をシャッターと呼ばれるデバイスで制御しています。 シャッターは、レンズを開いて光子を集めたり、レンズを閉じて光子が流入しないようにする物理デバイスです。 機械式シャッターと電気式シャッターがあります。 いずれのシャッターも、バケットに光子を短時間 (積分時間または露光時間と呼ばれる) で集めることができます。

光子の吸収を説明する光子バケットの図
焦点面上の物理ピクセルを光子バケットにたとえた図を示します。

電磁波としての光

可視光は、色を持つ光として認識されています。 これは、光の波動現象である電磁波によって特徴付けられる光の特性です。 波動には周期性や周波数があり、波長が存在します。 光の色によって、周波数と波長が異なります。 光の速さ、周波数、および波長は、c を光の速さ、f を光の周波数、ý を波長とした数学的関係が存在します。

c = fý

リモート センシングや GIS アプリケーションでは、光の波長が色を決定する要素になっています。 たとえば、波長 400 〜 500 nm の光は青色、500 〜 600 nm は緑色、600 〜 700 nm は赤色で、電磁スペクトルの可視域と呼ばれます。 電磁スペクトルは広大で、高エネルギーのガンマ線から低エネルギーの電波までが含まれます。 リモート センシングは、一般に電磁スペクトルの可視域とマイクロ波部分を使用します。

光の電磁スペクトルの図
電磁スペクトルの図は、可視光の色とそれ以外のスペクトルを示しています。

光のスペクトルを感知するセンサー

センサー内のバケットや物理ピクセルには、さまざまな光の波長や色に対して感度を持たせることができます。 これは、光に反応する物理ピクセルによって検出される前に、何らかの方法で光をフィルター処理することで実現されます。 光源からセンサーに読み出されるピクセルまでの画像チェーン全体で、センサーに組み込まれたフィルターが動作し、波長に応じて光を分離して色を区別します。

画像は、データの 1 つ以上のバンドで構成されています。 シングル バンドの場合、感知された波長範囲が存在します。 ピクセルが可視スペクトルの広い領域を感知した場合、パンクロマティックと呼ばれます。 複数のバンドが含まれる場合 (通常は 3 バンド以上)、マルチスペクトルと呼ばれます。 多くのバンドが含まれる場合 (100 個以上など)、ハイパースペクトルと呼ばれます。 これらの帯域幅は、パンクロマティック バンドよりも狭く、スペクトルの特定の部分を分離します。 各バンドは、目標点から反射されている光のスペクトル範囲の単一の部分を表しています。

ArcGIS では、マルチスペクトル画像は RGB コンポジット レンダラーを使用して表示され、各ラスター バンドは 3 つのカラー チャンネルのうちの 1 つにマッピングされます。 3 つ以上のラスター バンドが含まれる画像の場合、3 つのバンドのいずれかを使用して画像を表示することができます。 3 つのカラー チャンネルは、赤、青、緑です。 各チャンネルは、任意のラスター バンドで代替できます。

一般的なナチュラル カラー画像は 3 つのバンドで構成され、青チャンネルに青バンド、緑チャンネルに緑バンド、赤チャンネルに赤バンドが表示されます。 各ピクセルには、それぞれの色に関連付けられた 3 つの値が含まれ、最終的には合成カラーになります。

同じ画像をナチュラル カラーおよびカラー赤外レンダラーで表示した画像
マルチスペクトル画像は、ナチュラル カラーおよびカラー赤外として表示できます (バンドが使用可能な場合)。

地上の位置を表現するピクセル

ピクセルは、そのスペクトルの特性に加えて、地上の位置を表します。 以下の図に、センサーの物理ピクセルと、そのピクセルが表す地上の有効エリアとのリレーションシップを示します。 このリレーションシップは、センサーのジオメトリと、画像が撮影された正確な瞬間でのジオメトリ情報の関数です。 ピクセルが地上に表す情報のサイズは、GSD (地上サンプル距離) と呼ばれます。 センサーでは、ピクセル間の境界は固定されており、不連続です。 ただし、大気や光学系により光がぼやけて散乱するため、地上のピクセルが明確に定義されません。 そのため、地上ではピクセルが重なり合う傾向があります。 センサーの物理ピクセルに最終的に何が流入するかを表す数学関数がポイント拡散関数です。 ポイント拡散関数が大きいと、出力画像はぼやけます。 ポイント拡散関数が小さいと、画像のエッジが鮮明になり、画像は明確になります。

焦点面上の物理ピクセルの図
フレーム カメラのセンサー内および地上のピクセルの基本的なジオメトリを示しています。

ピクセル値の保存

ピクセルはコンピューターのメモリに格納されるデジタル値であるため、値は分離しており、不連続です。 光子を感知すると電荷が発生し、アナログ信号 (連続値) になります。 ピクセルが CCD アレイ チップから読み取られると、アナログ-デジタル変換回路を通して不連続な数値に変換されます。 これらの値が変換されると、通常 8 〜 14 ビットの情報の値が割り当てられます。 電子機器の品質が制限要因になります。 このため、1 つの画像には 256 〜 16,384 個の値が含まれます。 通常、最新のセンサーには 12 ビット A/D コンバーターが搭載されているため、4096 通りのグレー レベルを生成できます。

センサー内で電荷が移動してピクセル値を生成する図
ピクセル内の電荷からデジタル値までのセンサー内の手順を示しています。

サマリー

センサーの焦点面上の物理ピクセルは、電荷になる光子を吸収します。 電荷は数値に変換され、配列 (ラスター形式) に配置されます。 露光の正確な瞬間におけるセンサーの位置と高度が正確に分かっているため、地上でのピクセルの正確な位置も分かっています。

マルチスペクトル画像やハイパースペクトル画像の場合、各バンドのピクセル値が地上でのその位置のスペクトル プロファイルを構成します。 植生、土壌、建材のタイプなど、画像化される地上の物質にはそれぞれ固有のスペクトル プロファイルが存在し、スペクトル シグネチャとも呼ばれます。 さまざまな手法で画像内のピクセル グレー レベルを正規化し、スペクトル解析に基づく地上のフィーチャおよび物質の解析を容易にすることができます。

ピクセルの値は、センサーで取得された放射の計測値で、地上の特定の位置に関連付けられています。 リモート センシングは、その情報を使用して、その位置のフィーチャまたは現象を解析します。 デジタル画像は単なるきれいな絵ではなく、放射量および写真測量の計測値です。 ピクセルを解析することで、リモート センシングのアナリストは重要な地理情報タイプを導出することができます。

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