トレースとは、移動するリソースに対して最適パスが存在することを確認するネットワーク管理タスクです。 トレース ネットワークのトレース機能は、リソースの流れのトラッキング、ネットワークの健全性の解析、精査が必要なエリアの特定に使用するフレームワークを提供します。
トレース操作
トレース結果は、ネットワーク トポロジの接続性と通過可能性に基づいています。 ネットワーク エレメントがトレース結果の他のエレメントに接続されているか、関連付けられている場合にのみ、トレース結果にネットワーク エレメントが返されます。 トレース結果とは、トレース操作によって検索された一連のネットワーク フィーチャのことです。
トレースは 1 つ以上の始点で始まり、ネットワークで設定されたフロー方向に従って外側に広がります。 次に、接続フィーチャのパスに沿ってネットワークを移動して、終了場所に到達します。 終了場所はバリアであったり、パスの終端であったりします。 トレースが完了すると、その結果は選択セットか、マルチパート フィーチャクラスとして返されます。 この結果を、さらに詳細の解析で使用できます。 たとえば、返された選択セットをレポート機能への入力として使用したり、他のマップまたはダイアグラム ビューに反映させたりすることができます。
接続性と通過可能性
ネットワーク フィーチャが相互に関連し合っている状態を表す 2 つの用語があります。 接続性は、2 つのフィーチャにジオメトリの一致に基づく接続性がある状態を表します。 通過可能性は、2 つのフィーチャが接続されており、2 つのフィーチャに適切な属性が設定されている状態を表します。 トレース中に考慮される属性と属性値は、ジオプロセシング ツールで設定された構成によって制御されます。
トレース操作は、接続性と通過可能性という 2 つの方法のいずれかによってネットワークを移動します。 トレースが使用する方法は、使用されるトレースのタイプで管理されます。 [トレース (Trace)] ツールの [高度な設定] パラメーターでは、通過可能性のトレースの詳細を制御できます。
[トレース] ツール
[トレース (Trace)] ツールはトレース ネットワークでトレースを実行するために使用されます。また、複雑なトレースを作成するための、標準のトレースも含まれます。
ツールの詳細については、「トレース (Trace)」をご参照ください。
[トレース (Trace)] ツールに付属するパラメーターや高度な設定を使用して、どのフィーチャをトレースするか、どのフィーチャを結果で返すかを調整できます。
[トレース (Trace)] ツールはネットワーク トポロジに依存しており、フィーチャに関するキャッシュ情報を、マップではなく、ネットワーク トポロジから読み込みます。 キャッシュ情報を読み込むことで、大規模なネットワーク上で複雑なトレースを実行するときのパフォーマンスが向上します。 そのため、トレースの結果について、ダーティ エリアがトレース可能なエリアに存在する場合は、正確さは保証されません。 トレース可能なエリアのネットワーク トポロジは、トレース ネットワークに対して行われた最新の編集または更新を反映することを保証するために、整合チェックされる必要があります。
トレース構成の詳細については、「トレースの構成」をご参照ください。
トレース ネットワークのトレース タイプ
トレース ネットワークには、次の 4 つのネットワーク トレースがあります。
- 接続トレース - 1 つ以上の始点で始まり、接続フィーチャに沿って外側に広がります。 トレースはパスに沿って移動し、バリアに遭遇するか、接続フィーチャがそれ以上存在しなくなったとき (パス終端) に停止します。 このタイプのトレースは、新しく編集したフィーチャが期待どおりに接続されていることを確認する場合に役立ちます。
- 上流トレース - ネットワーク内の場所から上流のフィーチャを検索します。 このタイプのトレースは、ネットワーク エッジに設定されたフロー方向に従います。
- 下流トレース - ネットワーク内の場所から下流のフィーチャを検索します。 このタイプのトレースは、ネットワーク エッジに設定されたフロー方向に従います。
- 最短パス トレース - このタイプのトレースは、フロー方向に関係なく、ネットワーク内の 2 つの始点間の最短パスを検索する最短パス トレースを検索します。 パスの通過にかかるコストは、形状の長さなどの数値属性か、[最短パス ネットワーク属性名] パラメーター値で設定されたネットワーク属性に基づいて決定されます。
トレース結果
[トレース (Trace)] ツールを使用すると、トレースの条件を変更できます。 デフォルトでは、トレース操作の結果は、該当するネットワーク フィーチャの選択セットとして返されます。 トレースの結果には、始点と (接続されたフィーチャがそれ以上存在しない) バリアまたはパスの終点の間のトレース条件を満たすフィーチャが含まれます。 オプションの [結果タイプ] パラメーターには、デフォルトの [選択] のほか、トレースによって返される結果のタイプを制御できる 4 つのオプションがあります。
[集約されたジオメトリ] 結果タイプ オプションを使用すると、ポイント フィーチャとライン フィーチャの集約されたジオメトリが、トレースによってマルチパート フィーチャクラスとして返され、中間部分の始点とバリアが優先されて部分的なフィーチャ ジオメトリが返されます。
[ネットワーク レイヤー] 結果タイプ オプションは、グループ レイヤー内のフィーチャ レイヤーの選択セットとしてトレース結果を返します。 ArcGIS Pro でこのオプションを選択すると、新しいグループ レイヤーがマップに追加されます。 フィーチャ レイヤーは、トレースによって返されたフィーチャを含むクラスでのみ作成されます。 各フィーチャ レイヤーには、ModelBuilder および Python のトレースの結果を操作するために使用できる、トレースにより返されたフィーチャの選択セットが格納されます。
[接続性] 結果タイプ オプションは、トレースの結果を、ジオメトリの一致によって接続されたネットワーク フィーチャの接続性グラフとして返します。 このオプションを選択すると、接続性は、指定した場所にある解析可能な .json ファイルに出力され、データをユーザー独自のグラフに表すため、他のシステムにインポートされます。 接続性情報は、トレースによって返されたネットワーク フィーチャに対してのみ返されます。
[エレメント] 結果タイプ オプションは、トレースの結果を、フィーチャに基づく情報として返します。 このオプションを選択した場合、フィーチャに基づく情報が、指定された場所にある .json ファイルに出力されます。このファイルは、追加の解析を実行するための入力として使用できます。
注意:
トレース結果にシステム ジャンクション レイヤーを含めるには、まず、レイヤーを選択可能にする必要があります。 [選択状態別にリスト] をクリックし、[コンテンツ] ウィンドウにレイヤーを表示してから [システム ジャンクション] チェックボックスをオンにして選択可能にします。
マップ ビュー内の選択セットをダイアグラム ビューに反映させるには、[ダイアグラムに適用] ツールを使用します。
マップからトレース結果を削除するには、[選択の解除] ボタンをクリックします。