心射図法

説明

心射図法は、透視点として地球の中心を使用する方位図法です。軸の位置にかかわらず、大円を直線として投影します。この図法は正角でも正積でもありません。大円は最短距離の経路を示すため、ナビゲーションに適した投影法です。

心射図法は ArcGIS Pro 1.0 以降と ArcGIS Desktop 8.1.1 以降で使用できます。

心射方位図法の例
北極を中心とした心射方位図法による地図投影を示します。

投影のプロパティ

次のサブセクションでは、心射図法のプロパティについて説明します。

経緯線

心射図法は方位図法です。

極座標面では、子午線は極を原点とする直線として投影されます。子午線間の角度は正確です。緯線は不等間隔の同心円です。極から離れるにつれて、間隔は急激に大きくなります。赤道は極座標面では表示できません。

赤道面では、子午線は垂直の直線として投影されます。その間隔は、中心子午線から離れるにつれて大きくなります。赤道は、子午線に垂直な直線として表されます。その他の緯線は、赤道から離れる方向に湾曲した凸状曲線です。いずれの極も表示できません。

軸の位置にかかわらず、すべての大円は直線として投影されます。

歪み

心射図法は正角でも正積でもありません。形状、面積、および距離の歪みは、中心から離れるにつれて大きくなります。中心から半径 30°以内で中程度の歪みがあります。方向と角度は、投影中心でのみ正確です。

使用法

心射図法は、地球の 6 分の 1 未満を表示する大縮尺のナビゲーション マップに適しています。多面体で構成されたマップによる地球儀の作成に使用されています。

オプション

ArcGIS には 3 つのオプションがあります。3 つのオプションはすべて、球体ベースの地球モデルを適切にサポートしています。

  • 心射図法は ArcGIS Pro 1.0 以降と ArcGIS Desktop 9.3 以降で使用できます。半長軸が半径として使われます。
  • 心射図法 (球体補正) は ArcGIS Pro 1.0 以降と ArcGIS Desktop 9.3 以降で使用できます。このオプションでは、[球体補正タイプ] パラメーターで指定された球体が使用されます。
  • 心射図法 (楕円体) は ArcGIS Pro 1.2 以降と ArcGIS Desktop 10.4 以降で使用できます。3 つのオプションのうち、このオプションのみが楕円体の投影を適切にサポートしています。

制限事項

心射図法はその透視点によって制限され、中心点から 90°以上離れている線を投影できません。このため、赤道面では極を投影できず、極座標面では赤道を投影できません。この図法を使用して、地球の 3 分の 1 以上を含む地図を作成しないでください。

パラメーター

次に、心射図法のパラメーターを示します。

  • 東距
  • 北距
  • 中心の経度
  • 中心の緯度

心射図法 (球体補正) のパラメーターは次のとおりです。

  • 東距
  • 北距
  • 中心の経度
  • 中心の緯度
  • 球体補正タイプ (値は以下のとおり):
    • 0 = 地理座標系の長半径または半径を使用
    • 1 = 短半径または半径を使用
    • 2 = 正積半径を計算および使用
    • 3 = 正積半径を使用し、地理緯度を正積緯度に変換

心射図法 (楕円体) のパラメーターは次のとおりです。

  • 東距
  • 北距
  • 中心の経度
  • 中心の緯度

ソース

Snyder, J. P. (1987). Map Projections: A Working Manual. U.S. Geological Survey Professional Paper 1395. Washington, DC: United States Government Printing Office.

Snyder, J. P. and Voxland, P. M. (1989). An Album of Map Projections. U.S. Geological Survey Professional Paper 1453. Washington, DC: United States Government Printing Office.