測地基準系変換の指定

地理 (測地) 座標変換は、データが適切に揃えられるようにするために異なる地理座標系の間での変換に使用される計算です。 マップ内のレイヤーで使用する地理座標系がマップの地理座標系と異なる場合は、変換が必要となり、自動的に適用されます。 変換は、データが描画されるときにデータの座標を動的に変更して、すべてが正しく配置されるようにします。

すべての投影座標系 (PCS) には、基になる地理座標系 (GSC) があります。 変換が必要なのは、マップとレイヤーの間で、指定された地理座標系または基になる地理座標系が異なる場合のみです。 データが異なる投影座標系に投影されているが、すべてのレイヤーとマップが同一の基になる地理座標系を共有している場合、変換は必要ありません。

ヒント:

変換は、データを何も変更しないでマップ内のレイヤーを揃えるために、動的に適用されます。 これは、解析またはマップ作成を行う前にデータを探索しているときに便利です。 作業するデータが完成したら、マップに適切な座標系を選択し、必要に応じてデータをその座標系に投影することを検討します。 変換処理は継続的に適用されるため、データを投影することで、この変換を意図的に 1 回行う方が効率的です。 ベクター データを投影変換するには [投影変換 (Project)] ツール、ラスター データを投影変換するには、[ラスターの投影変換 (Project Raster)] ツールを使用します。

変換の精度とデータ範囲に基づいた最適な変換が適用されますが、必要に応じて別の変換を指定することもできます。 後で使用するために、追加の変換をマップに保存することもできます。 これは、レイヤーを一時的に削除する必要があるが、そのレイヤーに必要だった変換を失いたくない場合に役立ちます。

マップで使用される各座標変換に関する追加情報は、[座標変換の詳細] ダイアログ ボックスにあります。 座標変換が複数の手順で構成される場合は、それぞれの手順が記載されます。 各手順は、順方向または逆方向に適用できます。 たとえば、WGS 1984 (ITRF00) To NAD 1983 座標変換は、NAD 83 から WGS 84 への座標変換か、WGS 84 から NAD 83 への座標変換に使用できます。 座標変換手順を逆方向に適用する場合は、その手順の座標変換の詳細にその旨が記されます。

座標変換方法の下にリストされるパラメーターは、座標変換によって使用される方法に応じて異なります。 [精度][使用するエリア] などの一部の詳細情報は、ArcGIS Pro とともにインストールされた座標変換や、ArcGIS Coordinate System Data でしか使用できません。 座標変換が [カスタム地理座標系変換の作成 (Create Custom Geographic Transformation)] ツールを使用して定義されている場合にのみ、カスタム座標変換の詳細を表示できます。

マップへの変換の適用

[マップ プロパティ] ダイアログ ボックスの [変換] タブには、レイヤーの地理座標系と鉛直座標系およびマップの地理座標系と鉛直座標系が一覧表示されます。 これらの座標系間で変換を行うことを推奨します。

変換は双方向に行われます。 座標系の順序は重要ではありません。 必要に応じて、別の変換を指定することができます。 変換は、変換の精度とデータの場所の適合性によって分類表示されています。 ここでは座標系を変更できません。 同じダイアログ ボックスの [座標系] タブを使用して、座標系を変更します。

適用された変換をマップに表示する、または別の変換を選択するには、次の手順に従います。

  1. [コンテンツ] ウィンドウでマップまたはシーンを右クリックし、[プロパティ] をクリックします。 [マップ プロパティ] ダイアログ ボックスで、[変換] タブをクリックします。
  2. [レイヤーとマップ] セクションで、テーブルに中央列にある変換の名前をクリックしてメニューを開き、別の変換を選択します。 マップのレイヤーが使用するその他の座標系に対して、必要に応じて、この手順を繰り返します。

    レイヤーとマップの地理座標系が同じ場合、変換は必要ありません。

  3. 必要に応じて [詳細] リンクをクリックすると、[座標変換の詳細] ダイアログ ボックスが開きます。 座標変換の方向、ソース座標系とターゲット座標系、座標変換の方法など、座標変換の詳細が記されています。 座標変換によっては、追加の情報が記されることもあります。
  4. [OK] をクリックして変換を適用し、[マップ プロパティ] ダイアログ ボックスを閉じます。

詳細:

変換が必要なとき、ほとんど場合は適切な変換が見つかり自動的に適用されます。 場合によっては、意図的にデータの変換を避けたい場合があります。 データの問題をトラブルシューティングするときや、変換すると処理される不一致を確認するために、動的な変換プロセスを一時的に中断することができます。 この場合、[変換パス] メニューから [<変換しない>] を選択します。 これにより、データの描画時に変換が適用されなくなります。 この場合、データが必ずしも適切に配置されるとは限らないことに注意してください。

利用できる座標変換がない場合

データに変換が必要であることがわかっているのに変換を利用できない場合、マップで使用される地理座標系とデータで使用される地理座標系の間に空間的なオーバーラップがないためである可能性があります。 これは通常、表示しようとしているデータに対して、マップの座標系が理にかなっていないことを意味します。 マップに対してデータに合った適切な座標系を選択することを検討してください。選択できれば、適切な変換が利用できるようになる可能性が高くなります。 ArcGIS Pro のすべての変換の範囲は、次の場所にあります。サポートされている地理座標変換と鉛直座標変換のリスト

利用できる変換がないもう 1 つの理由として、2 つの地理座標系間の変換パスが複雑すぎることが考えられます。 現在、パスは 2 つの変換ステップのみに制限されています。 鉛直座標系を操作する場合は、パスに合計で最大 4 つの変換ステップを使用できます。 この制限に到達したと思われる場合は、マップに別の座標系を選択することを検討してください。

それでも変換が見つからない場合は、必要な変換に ArcGIS Pro のインストールに含まれていないファイルが必要であることが考えられ、この場合は個別にインストールする必要があります。 詳細については、「座標系の補足ファイルのインストール」をご参照ください。

マップへの追加の変換の格納

マップで現在使用されている変換に加え、現在使用されていないマップとともに変換を格納できます。 これには、マップから削除されたレイヤーなどが以前に使用していた変換を含めることができます。 さらに、追加データをマップに追加するときに必要であることが判明している場合、または出力に状況で必要とされる場合 (マップの地理座標系とは異なる地理座標系を使用するプラットフォームにマップを公開しようとしているなど)、他の変換を追加できます。 この格納セクションで、地理座標系および鉛直座標系、これらの座標系間の変換を指定できます。

マップに追加の変換を格納するには、次の手順を実行します。

  1. [コンテンツ] ウィンドウでマップまたはシーンを右クリックし、[プロパティ] をクリックします。 [マップ プロパティ] ダイアログ ボックスで、[変換] タブをクリックします。
  2. [追加の変換] セクションで、[追加] をクリックします。
  3. [座標系の設定] ボタン 座標系の設定 をクリックして、地理座標系と鉛直座標系のペアを選択します。

    変換パスは双方向のため、地理座標系と鉛直座標系のペアの順序は重要ではありません。

  4. 地理座標系間のドロップダウン メニューを使用して、これらの座標系間で行う変換を指定します。
  5. [追加] をクリックして別の変換を追加するか、[OK] をクリックして変換をマップに保存します。

変換が適用された場合の警告の表示

特に、レイヤー内でデータを作成したり編集したりする場合には、変換が適用された日時を認識しておくと便利です。 この状態を常に認識できるようにするには、変換に関する警告を有効にします。 このオプションを有効にすると、地理座標系の変換を必要とするデータをマップまたはシーンに追加する場合に必ず、警告が表示されます。 これは、アプリケーション設定であるため、操作しているすべてのプロジェクトに適用されます。

変換が適用されたときに警告メッセージがアプリケーションに表示されるようにするには、次の手順に従います。

  1. [プロジェクト] タブをクリックし、[オプション] タブをクリックして、アプリケーション設定とプロジェクト設定を開きます。
  2. [オプション] ダイアログ ボックスで、[アプリケーション] セクションにある [マップおよびシーン] タブをクリックします。
  3. [空間参照] 見出しを展開して、[データ ソースを正しく配置するために地理座標系間の変換が必要な場合、警告を表示する] チェックボックスをオンにします。
  4. [OK] をクリックして、[オプション] ダイアログ ボックスを閉じます。

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