Business Analyst ライセンスで利用できます。
[近傍の位置の検索 (Find Nearby Locations)] ツールは、指定したパラメーター (距離制限、入力フィーチャを囲む位置の数、入力フィーチャを囲む位置の割合) に基づいて入力フィーチャに最も近い位置を識別します。
解析はツールの主なパラメーターによって異なります。このパラメーターは、[入力フィーチャ]、[位置ポイント]、および少なくとも 1 つの解析制御パラメーター ([距離制限]、[位置の数の制限]、[位置の割合の制限]) です。 解析制御パラメーターを単独で使用することができます (たとえば、5 マイル以内にあるすべての位置)。 また、パラメーターを組み合わせて、解析をさらに制御できます (たとえば、5 マイル以内にある 25 か所の位置)。
[近傍の位置の検索 (Find Nearby Locations)] ツールを実行すると、道路ネットワーク データセットを使用してエリアが拡張され、入力フィーチャに最も近い位置を検索できます。 [距離タイプ] パラメーターは、エリアがどのように拡大するかを指定します。 [直線] 距離 (デフォルトの距離タイプ) を除くすべての距離タイプで、道路ネットワーク データセットが計算に使用されます。
道路ネットワーク データセット
距離パラメーターを含む ArcGIS Business Analyst ジオプロセシング ツールでは、道路ネットワーク データセットを使用して各種解析を実行します。 道路ネットワーク データセットは、道路システムの高機能なモデルです。 ネットワーク データセットには、道路の位置と属性だけでなく、どの道路が接続されているか、接続されている道路間のどのターンが許可または禁止されているかなどの、道路の相互関係に関する情報や、可能な移動パスや移動時間に影響する他の情報も含まれています。 [近傍の位置の検索 (Find Nearby Locations)] ツールは、ネットワーク データセットを参照して、近傍の位置ポイントを決定します。
アルゴリズムの詳細
[近傍の位置の検索 (Find Nearby Locations)] ツールは、ダイクストラのアルゴリズムに基づいて、複数起点、複数終点のアルゴリズムを使用します。 このツールには、ツールのパラメーターで指定された解析条件を満たす場合に、入力フィーチャと位置ポイントの間の最短パスだけを計算するオプションがあります。 以下に説明する解析パラメーターは、ツールの制御パラメーターです。 ツールは、生成される最短パスの形状は計算せず、出力ポイント フィーチャクラスのみを返します。 このポイント フィーチャクラスには、解析条件を満たすポイントがすべて含まれます。
ダイクストラのアルゴリズムを現実世界の輸送データの環境で使用するために、このアルゴリズムには、一方通行規制、ターン規制、ジャンクションのインピーダンス、バリア、道路の左右どちら側に停止するかの指定などの情報が格納されるネットワーク データセットが含まれます。
- [距離制限] - 指定した距離制限に達するまで拡張します。
- [位置の数の制限] - 拡張して、制限に達した位置を記録します。 最後の位置に達すると、指定した制限に達し、停止します。
- [位置の割合の制限] - 位置の割合に達するまで拡張します ([位置の数の制限] と同様)。 位置ポイント レイヤー内のポイントの総数に応じて、最初に、指定したパーセント値に基づいて位置の数を計算し、その数に達するまで解析します。
[近傍の位置の検索 (Find Nearby Locations)] ツールは、Business Analyst で設定されているデータ ソースに応じて、ArcGIS Online ネットワーク データセットまたはローカルの Business Analyst ネットワーク データセットを使用できます。
ツールのワークフロー例
フランチャイズ オーナーがカリフォルニア州サンフランシスコの中心街に 2 軒のコーヒー ショップを新規開店するための解析を考えてみましょう。 この市場エリアにはコーヒー ショップが存在しています。 [近傍の位置の検索 (Find Nearby Locations)] ツールを使用すると、フランチャイズ オーナーは他のコーヒー ショップが新規店舗からどのくらい離れているかを評価したり、既存の店舗の売上高を見積もったりすることができます。 フランチャイズ オーナーは、新規店舗の 3 マイル以内にある最も近い 25 の位置に興味があります。
最も近い道路セグメント上への新しいコーヒー ショップと既存の位置の配置
解析では、[直線] 以外の距離タイプを使用する場合に、入力フィーチャと位置ポイントを最も近い道路セグメントにスナップする必要があります。 これは、ネットワーク データセットに基づいて正確な結果を取得するための重要なステップです。 次に、アルゴリズムは、新しいコーヒー ショップと既存のコーヒー ショップの間の最短パスを解析します。
入力フィーチャと位置ポイントを個別に解析
入力フィーチャ (新しいコーヒー ショップ) と位置ポイント (近くにある既存のコーヒー ショップ) がネットワーク上に配置されると、アルゴリズムは新しい各店舗と既存の店舗の間の最短パスを解析し始めます。 最短パスを見つけるために、ダイクストラのアルゴリズムでは、新しい店舗からの最終的な最短パスがすでに計算されているジャンクションのセットが維持されています。 アルゴリズムでは、最短パスの推定値が最小となるジャンクションを繰り返し検索し、以前に計算されたジャンクションのセットにその値を追加して、最短パスの推定値を更新します。 新しい店舗と既存の店舗の間の最短パスが返されるまで、アルゴリズムが続行されます。 このプロセスは、制御パラメーターの条件が満たされるまで実行されます。
次の図は、どのようにしてアルゴリズムが、終点に到達するまでに、最短パスになる道路セグメント (青の点) のみを含み、それ以外のすべての道路を無視するかを示しています。
注意:
[近傍の位置の検索 (Find Nearby Locations)] ツールを使用したジオメトリ出力は実際のルートに沿うものではありません。アルゴリズムでは、属性テーブルに追加されるルート メジャー (距離) と共にポイントが返されます。 この図は、このプロセスの簡略化された表現として表示されています。
制御パラメーターの使用
フランチャイズ オーナーは、新規店舗の 3 マイル以内にある最も近い 25 の店舗のみを対象にしています。 これを実行するには、オーナーは [距離制限] (3 マイル) と [位置の数の制限] (25) の 2 つの制御パラメーターに値を指定する必要があります。 制限値を越えるすべてのジャンクションは解析に含まれません。
属性テーブルへの結果の書き込み
出力属性テーブルで、2 つの主要な出力フィールド ([方向] と [距離]) を調べます。 ポイントの方向は、NE、NW、SE、または SW に分類されます。 距離値は、位置の入力フィーチャからの距離を計測します。 距離フィールドの属性の値は、[距離単位] パラメーターによって異なります。
近傍の位置ポイントのエクスポート
アルゴリズムにより計算が行われますが、生成される最短パスの形状は表示されません。 アルゴリズムは、近傍の位置を示すポイント フィーチャクラスを返します。
レポートの確認
[近傍の位置の検索 (Find Nearby Locations)] ツールでは、近傍の位置レポートを生成します。これにより、入力フィーチャ周辺の位置の理解を深めることができます。 レポートでは、主要なインジケーターがハイライト表示され、近傍の各位置の情報などの情報が表形式で集計されます。