地理的現象の作用を理解するにあたっては、地理的パターンを特定することが重要です。
フィーチャやフィーチャに関連付けられている値をマッピングすればこれらの総合的なパターンを大まかに把握できますが、統計情報を計算するとパターンを定量化することができます。 これにより、分布や期間が異なるパターン間での比較が容易になります。 詳細な分析を行うときは、多くの場合、[パターン分析] ツールセットのツールを開始点にするとよいでしょう。 たとえば、空間的なクラスタリングを進めるプロセスが非常にはっきりした場合に、[インクリメンタル空間的自己相関 (Incremental Spatial Autocorrelation)] ツールで距離を特定すると、ホット スポットの調査 (ホット スポット分析) に使用すべき適切な距離 (分析の縮尺) の選択に役立つことがあります。
[パターン分析] ツールセットのツールは推測統計学に基づいているため、対象のフィーチャやそのフィーチャに関連付けられている値は空間的にランダムなパターンを示している、という帰無仮説で開始されます。 次に、この帰無仮説 (対象のパターンは、まったくのランダム空間として可能性のある多数のバージョンの 1 つにすぎない) が正しい確率を示す p 値が計算されます。 個々の決定において高い信頼度を確保する必要がある場合は、確率の計算が重要となることがあります。 たとえば、公共の安全にかかわる、または法的な意味合いを持つ決定であれば、その決定の正当性を統計データで証明する必要があるかもしれません。
パターン分析ツールには、広範な空間パターンを定量化できる統計機能が用意されています。 これらのツールを使えば、「データセット内のフィーチャ、またはデータセット内のフィーチャに関連付けられた値は、空間的にクラスタリングされているのか」や「時間とともにクラスタリングの程度は高くなるのか低くなるのか」といった疑問に対する答えを得ることができます。 次の表は、利用可能な各ツールを簡単な説明とともにまとめたものです。
ツール | 説明 |
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各フィーチャと最近隣のフィーチャとの間の平均距離に基づき、最近隣距離インデックスを計算します。 | |
Getis-Ord General G 統計を使用して、高い値または低い値のクラスタリングの程度を計測します。 | |
一連の距離の空間的自己相関を計測し、必要に応じて、これらの距離とそれに対応する Z スコアの折れ線グラフを作成します。 Z スコアは、空間クラスタリングの強度を表し、統計的に有意な Z スコアのピークは、クラスタリングを促進する空間プロセスが最も顕著である距離を表します。 これらの距離のピークは、多くの場合、[距離バンドまたは距離半径] パラメーターを持つツールで使用する際に適した値となります。 | |
Ripley の K 関数法 (Multi-Distance Spatial Cluster Analysis (Ripley's k-function)) | フィーチャや、フィーチャに関連する値が、距離範囲にわたって統計的に有意なクラスタリングや分散を示すかどうかを判断します。 |
Global Moran's I 統計を使用してフィーチャの位置と属性値に基づいて、空間的自己相関を計測します。 |