逆距離加重内挿の仕組み

Geostatistical Analyst のライセンスで利用可能。

逆距離加重 (IDW) 内挿は、互いに近接しているものは離れた位置にあるものより類似性が高いということを明示的に仮定します。 IDW で未測定位置について値を推定するには、推定位置の周囲にある測定値が使用されます。 推定位置の最も近くにある測定値は、遠く離れた位置にある測定値よりも推定値に大きく影響します。 IDW の仮定では、各測定ポイントの局所的影響は距離とともに減少します。 推定位置に最も近いポイントに最も大きな加重が割り当てられ、その加重は距離の関数として減少するため、逆距離加重という名前が付いています。 各データ ポイントに割り当てらている加重を以下の例に示します。

検索近傍の図
検索近傍の図

この加重ウィンドウには、各データ ポイントに割り当てられ、十字線が示す位置における推定値の生成に使用されている加重のリストが表示されています。

ArcGIS Geostatistical Analyst で使用可能な内挿手法の詳細

累乗関数

前述のとおり、加重は (データ ポイントから推定位置までの) 距離の逆数を累乗値 p で累乗した値に比例します。この結果、距離が増えるにしたがい、加重は急速に減少します。 加重の減少率は p の値に依存します。p = 0 の場合、距離の変化に伴う減少はなく、それぞれの加重 λi が同じであるため、検索近傍内のすべてのデータ値の平均が推定値となります。 p が大きくなるにしたがい、離れた位置にあるポイントの加重は急速に減少します。 p の値が非常に大きい場合、すぐ近くにあるポイントだけが推定に影響します。

IDW の加重
加重の減少と距離の関係を示す図

Geostatistical Analyst では 1 以上の累乗値が使用されます。 p = 2 の場合、逆距離二乗加重内挿と呼ばれます。 デフォルト値は p = 2 ですが、この値がほかよりも推奨される理論的正当性はなく、p の値を変更した場合の影響は、出力をプレビューし交差検証の統計情報を調べることによって調査する必要があります。

検索近傍

互いに近接しているものは離れた位置にあるものより類似性が高いため、位置が遠ざかるにつれて、測定値と推定位置の値との関連性は低くなります。 計算時間を短縮するため、推定にあまり影響がない、離れた位置にあるポイントをさらに除外することができます。 この結果、検索近傍を指定することで、測定値の数を制限することが一般的に行われています。 近傍の形状によって、推定で使用される測定値を検索するエリアが絞り込まれます。 その他の近傍パラメーターによって、その形状内で使用される位置が絞り込まれます。 以下の図では、未測定の位置 (黄色のポイント) における値を推定する際に、5 つの測定済みポイント (近傍ポイント) が使用されます。

近傍ポイント
検索近傍の例

近傍の形状は、入力データおよび作成するサーフェスの影響を受けます。 データに方向的影響がない場合、すべての方向でポイントを等しく考慮します。 このためには、円形の検索近傍を定義します。 ただし、データに方向的影響がある場合 (卓越風など)、検索近傍の形状を、長軸が風向きに対して平行な楕円に変更することで、調整を行う必要があります。 このような方向的影響に対処するための調整が正当化されるのは、風上にある推定位置から離れた位置は、風向きに対して直角であるが推定位置に近い位置よりも類似性が高くなることがわかっているためです。

近傍の形状を指定した後、その形状内で使用するデータ位置を絞り込むことができます。 使用する位置の最大数と最小数を定義し、近傍をセクターに分割することができます。 近傍をセクターに分割した場合、最大数と最小数の制約が各セクターに適用されます。

データ ビューでハイライト表示されているポイントは、(十字線が示す) 楕円の中心位置での推定に使用される位置と加重を示しています。 検索近傍は楕円の内側に制限されています。 以下に示す例では、2 つの赤色のポイントには 10% を超える加重が割り当てられます。 東のセクターにある 1 つのポイント (茶色) には 5 ~ 10% の加重が割り当てられます。 検索近傍内の残りのポイントにはこれより小さい加重が割り当てられます。

近傍セクター内の加重
近傍セクター内の加重の例

IDW を使用する状況

IDW を使用して計算されるサーフェスは、どの累乗値 (p) と検索近傍を選択するかによって異なります。 IDW は厳密な内挿法であり、内挿サーフェス内で値が最大または最小となるのは (以下の図を参照) サンプル ポイントにおいてのみです。

逆距離加重法のプロファイル
逆距離加重法のプロファイルの例

出力サーフェスはクラスタリングおよび外れ値の存在による影響を大きく受けます。 IDW では、モデル化する現象はローカルな変動によって引き起こされ、適切な検索近傍を定義することによってこれを捕捉 (モデル化) できるものと仮定しています。 IDW では推定標準誤差は得られないため、このモデルを使用することの妥当性には疑問が残ります。

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