ロケーターは、ArcGIS World Geocoding Service で使用されるロケーターのように構築されています。 GCS_WGS_1984 は、すべての StreetMap Premium ロケーターの座標系です。
ロケーターは、各 StreetMap Premium リリースに組み込まれており、My Esri の個々のロケーター アップデート リリースにもあります。 「My Esri」アカウントにサイン インして、ロケーターのダウンロード ファイルを確認してください。 すべてのダウンロード ファイルは 7z 形式で、データが複数のファイルにまたがっている場合があります。このため、ファイルを正しく展開するには、すべてのファイルをダウンロードする必要があります。 お使いのコンピューターに 7-Zip がインストールされていない場合は、www.7-zip.org から無料ソフトウェアをインストールする必要があります。 My Esri からすべてのファイルをダウンロードし、コンピューター上に解凍したら、ファイルの解凍場所を参照して、ArcGIS Pro にロケーターを追加できます。 ロケーターは、適切な地域の StreetMap Premium エクステンション (StreetMap Premium North America など) ライセンスがユーザーに付与されていれば、ArcGIS Pro のジオコーディングで使用できます。
注意:
所有している StreetMap Premium エクステンションが正しくない場合は、赤い感嘆符 () が [カタログ] ウィンドウの [プロジェクト] > [ロケーター] の下にある国ロケーター名の横に表示されます。この国ロケーター名は、[場所検索] ウィンドウの [プロバイダー設定] にある [オプション] ボタン で使用することはできません。 StreetMap Premium エクステンションを取得する方法に関する詳細は、「StreetMap Premium エクステンションの有効化」をご参照ください。
ジオコーディング用のロケーター
StreetMap Premium に、次の利点を持つロケーター セットが追加されました。
- ファイル サイズが小さく、RAM などの必要なシステム リソースが少ない効率的なロケーター。
注意:
さらにファイル サイズの小さいロケーターを作成するには、[ロケーターのクリップ (Clip Locator)] ジオプロセシング ツールを使用して StreetMap Premium ロケーターを対象地域にクリップします。
- 形式が不十分な住所やスペル ミスにも対応できる住所照合ロジック。
- ホワイト ハウス、ゴールデン ゲート ブリッジ、マクドナルドなどの目標物のジオサーチおよびバッチ ジオコーディング。
- 各ロケーターにすべての一致タイプ (PointAddress、StreetAddress、POI、Postal、Admin など) のデータが含まれます。
- バッチ ジオコーディング結果としてルート検索位置 (道路の中央線または道路の始点) または住所位置 (パーセルまたは屋上の重心) を選択する機能。
- 住所タイプ、郵便番号、目標物、座標など、特定のジオコーディング一致タイプによってバッチ ジオコーディング結果をフィルタリングする機能。
- 地下道、陸橋、クルドサック、ロータリーなど、物理的交差点だけでなく論理上の交差点も認識する道路の交差点ジオコーディングのサポートが改善。
- 既存の住所番地の範囲外にある番地の照合のサポートが改善。
- 複数の国が 1 つの地域ロケーター ファイルに格納されているため、1 つ以上の国のバッチ ジオコーディングを実行可能。
- ポリゴン フィールドをロケーターに追加ツールを使用して、カスタム出力フィールドをポリゴン レイヤーからロケーターに追加する機能。 反対に、カスタム出力フィールドを削除するには、ロケーターからポリゴン フィールドを削除ツールを使用します。
- ロケーターがサービスとして公開されたときに、返される結果のタイプ (目標物、郵便番号など) に対するリバース ジオコーディングを制御します。
- ロケーターがジオコーディング サービスとして公開され、Enterprise ポータルにホストされている場合に、[ファイルのジオコーディング (Geocode File)] ジオプロセシング ツールを使用して、対象の住所または場所の大きなローカル テーブルをフィーチャクラス内のポイントに、または .csv や .xls テーブルとして変換する機能。
注意:
常にこれらのロケーターを ArcGIS Pro および ArcGIS Enterprise の最新リリースで使用すること、ArcGIS Web サイトの 2023 パッチから適切なパッチを確認し、インストールすることをお勧めします。 ロケーターまたはジオコーディング サービスが正しく機能するためには、ArcGIS Enterprise および ArcGIS Pro の StreetMap Premium エクステンションが必要です。 これらのロケーターを使用してジオコーディング サービスを作成するには、それらを ArcGIS Pro からポータルに公開するか、ArcGIS Pro から直接サーバーに公開することができます。Portal for ArcGIS のインストールは不要です。 いずれの場合も、ArcGIS Enterprise と ArcGIS Pro の両方の StreetMap Premium エクステンションをインストールする必要があります。 StreetMap Premium Enterprise ライセンスを購入すると、カスタマー サービスが自動的に両方のエクステンションをお送りいたします。 ArcGIS Pro から直接サーバーに公開するには、次の方法を使用します。
- まず、サーバーへの接続を作成します。 サーバー コネクションを作成する方法については、「GIS サーバーへの接続」をご参照ください。 [ArcGIS Server コネクションの追加] ダイアログ ボックスで、サーバーの URL、ユーザー名、パスワードを追加し、[ログインの保存] で [Windows 資格情報マネージャー] チェックボックスをオンにします。 接続が完了すると、サーバー接続が [カタログ] ウィンドウの [サーバー] の下に表示されます。
- [カタログ] ウィンドウの [サーバー] の下で、サーバー接続を右クリックし、[公開] をクリックして、[ジオコード サービス] をクリックします。 [ジオコード サービスの公開] ダイアログ ボックスで、サービスの詳細を入力し、ロケーターの公開を完了します。
ArcGIS Enterprise でロケーターを公開し、使用する詳細については、ArcGIS Pro ヘルプのトピック「ロケーターの共有」および「マップ上の場所検索の概要」をご参照ください。 ジオコーディング サービスの使用を組織の特定のユーザーに制限する場合は、Enterprise ポータルにグループを作成します。 次に、ジオコーディング サービスを公開し、そのグループのみでサービスを共有します。 指定したユーザーをグループに招待します。
ArcGIS Pro のバッチ ジオコーディングの結果によって、米国や北アメリカのロケーターなどの大きなロケーターに対して矛盾する結果が生じる場合、Notepad++ などのテキスト エディターで、ロケーターの .loc ファイルの WarmUp プロパティを WarmUp = False から WarmUp = True に変更します。 これらの大きなロケーターから作成されたジオコーディング サービスを使用している場合、ArcGIS Server ではロケーターの準備が行われますが、ArcGIS Pro ではデフォルトで行われません。
ArcGIS Enterprise でロケーターから公開されたジオコーディング サービスのパフォーマンスを最適化する方法の詳細については、ArcGIS StreetMap Premium のヘルプをご参照ください。
ロケーターでは、次のジオコーディング一致タイプおよびカテゴリ フィルタリングがサポートされています。ただし、すべての国にすべてのレベルのデータが含まれているわけではありません: 住所 (サブアドレス、ポイント住所、ストリート住所、距離マーカー、ストリート交差点、ストリート名)、郵便番号、居住区 (ブロック、セクター、近隣、地区、都市、都市圏、小区域、区域、テリトリー、国、ゾーン)、目標物、座標。
たとえば、1 つか 2 つの一致タイプ (PointAddress、StreetAddress など) にのみジオコードしたい場合などロケーターでカテゴリを使用できます。 これは、ArcGIS Pro の [ロケーターのプロパティ] ダイアログ ボックスで、[カタログ] ウィンドウのロケーターを右クリックして [ロケーターのプロパティ] をクリックすることにより可能です。 左の [ジオコーディング オプション] をクリックして、有効化したいカテゴリのみ選択できる [サポートするカテゴリ] セクションまで下へスクロールします。 ArcGIS Pro の [住所のジオコーディング] ツールを使用してバッチ ジオコーディングをしている場合、カテゴリを指定するオプションがすでにツールのダイアログ ボックスの一部であるため、ロケーターのプロパティでカテゴリを変更する必要はありません。
SubAddress、PointAddress、StreetAddress の一致のみを戻すためにカテゴリを使用している場合、[一致とする最小スコア] 設定を調整します。これはロケーターのプロパティの [ジオコーディング オプション] でも行うことができます。 Esri は 94 の値を使用することを推奨しています。これは偽陽性一致の数が許容できる範囲で一致率を最大化します。 これは、制限が強すぎ (高すぎ) て除外される正しい一致が多すぎる場合、または制限が緩すぎ (低すぎ) て偽陰性が多すぎる場合に調整できます。 たとえば、入力住所がクリーンで適切にフォーマットされている場合、より高い [一致とする最小スコア] 値が使用される場合があります。 逆に、住所コンポーネントがなかったり、情報が多かったりするために入力住所の品質が低い場合、多くの一致でより低い値となる可能性があります。 指定したカテゴリ数にかかわらず、ユーザーのニーズに最適な [一致とする最小スコア] 値を決めるときは、入力住所データおよびジオコーディングの一致結果を確認することをお勧めします。
ジオコーディング範囲、各国の品質レベル、カテゴリ フィルタリングの詳細については、ArcGIS Developer Web サイトの ArcGIS REST API ジオコード データの有効範囲をご参照ください。
住所用の入力のマッピング フィールドは、グローバル ロケーター全体で標準化されており、Address、Postal、Neighborhood、City、Subregion、Region の各フィールドを含んでいます。ただし、次に示す 4 つの行政地域フィールドの一部を使用しない国もあります。
- Neighborhood - City よりも狭い
- City - City または同等の地域
- Subregion - 一般に City よりも広いが、Region より狭い
- Region - State/Province または同等の地域
ジオコーディングに ArcGIS Pro を使用する場合、これらの住所ロケーターのいずれかを参照できます。 これらのロケーターで住所またはジオコーディング テーブルを検索する詳細については、「チュートリアル: 住所の検索」をご参照ください。
ArcGIS Pro で直接使用するか、ジオコーディング サービスとして公開するかにかかわらず、ロケーターで候補機能が使用できます。 ロケーターを公開した後、独自のアプリケーションで候補 REST API を使用できます。
ロケーターのプロパティ
「追加のロケーター プロパティ」には、以下のサポートが含まれます。
- &、@、|、and などのカスタム交点コネクタ (単一国のロケーターの場合)
- 優先都市名
- 優先道路名
Europe.loc などの複数の国のロケーターの場合は各国が固有の交点コネクタを持つため、交点コネクタは編集できません。
ファイル出力フィールドの定義
次に示すファイル出力フィールドの定義が役立つ場合があります。
- Addr_type - 住所の一致タイプ。 設定可能な値は次のとおりです。
- SubAddress - 関連する番地、建物またはユニット番号、道路名を含むポイント住所のサブセット。
- PointAddress - 関連する番地と道路名を含むポイント住所。
- BuildingName - 関連する建物名を含むポイント アドレス。
- StreetAddress - 住所範囲を含む道路の中央線。
- StreetInt - StreetAddress データから取得した道路の交差点。
- StreetAddressExt - 住所の番地が既存の StreetAddress 番地範囲外にある場合に内挿される StreetAddress の一致。
- DistanceMarker - 指定された起点から道路に沿った直線距離を通常はキロメートルまたはマイル単位で表すストリート住所。
- StreetMidBlock - ブロック番号またはブロック範囲で表される番地を含むストリート セグメントの推定される中間点です。 StreetMidBlock の一致で返される位置の精度は StreetName の一致の場合よりも向上しますが、StreetAddress の一致の場合よりも低下します。 現段階では、米国でのみ機能します。 ジオコーディング サービスの場合、道路の中間ブロックはカテゴリ パラメーターの値としてサポートされます。 これにより、値が道路の中間ブロックまたは住所であるカテゴリ パラメーターがリクエストに渡される場合、Addr_type の値が StreetMidblock である位置をジオコーディングの応答に含めることができます。
- StreetName - 関連する道路名 (数値による住所範囲を含まない) を含む道路の中央線。
- Locality - 自治体、市区町村、近郊などの行政地域であり、一般には最小の行政地域。
- PostalLoc - 郵便番号ポイントと行政区域の組み合わせ。
- PostalExt - USPS ZIP+4 などの拡張郵便番号ポイント。
- Postal - 郵便番号ポイント。
- POI - 居住区、企業名、ランドマーク、地理的名称などの目標物。
- LatLong - X、Y 座標のペアが検索の入力に使用。
- XY-XY - 入力の最初の座標が経度、2 番目の座標が緯度と想定した一致。
- YX-YX - 入力の最初の座標が緯度、2 番目の座標が経度と想定した一致。
- MGRS - Military Grid Reference System 位置。
- Match_addr - 現地国のアドレス スキーマで書式設定された完全一致の住所。 これは、国の住所規格に従った正しい住所形式です。
- Status
- M - 一致。 返される住所がリクエストと一致し、最高スコアの候補です。
- T - 同順位。 返される住所がリクエストと一致しますが、同じスコアの候補が 1 つ以上存在します。
- U - 不一致。 リクエストと一致する住所がありません。
- Score - ジオコーディング リクエストの入力トークンが候補レコードの住所コンポーネントと一致する程度を示す 1 ~ 100 までの数字。 スコア 100 は、完全一致を表し、スコアが低くなるほど、一致精度が下がります。 スコア 0 は、不一致を表します。リクエストと一致する住所がありません。
- Side - SubAddress、PointAddress、StreetAddress の一致では、このフィールドは、道路での移動方向ではなく、フィーチャの数値化を基準にして住所が道路のどちら側 (L または R) にあるかを示します。
- DisplayX/DisplayY - SubAddress および PointAddress の一致では、これらのフィールドには、各住所に関連付けられた区画または屋上の重心を表す度 (10 進) 表記の座標が格納されます。これは、ジオコーディングされたポイント フィーチャが、デフォルトで所有地の正面入口近くの道路セグメントに配置されるためです。
注意:
[住所のジオコーディング] ツールを使用して ArcGIS Pro でバッチ ジオコーディングを行う場合、ロケーターでジオコーディングの結果として、[優先位置情報] を [ルート検索位置] 設定 (道路の中央線または道路の始点) または [住所位置] 設定 (パーセルまたは屋上の重心) のいずれかに設定するオプションが提供されます。 ロケーター ファイルでこれを管理して、ArcGIS Pro で [場所検索] を使用するときに優先位置を取得することもできます。 [カタログ] のロケーターを右クリックし、[ロケーター プロパティ] をクリックします。 左側の [ジオコーディング オプション] をクリックします。 [優先位置タイプ] で、[ルート検索位置] または [住所位置] を選択します。
- Distance - 候補から指定した場所までの物理的な距離 (メートル単位)。 Location input パラメーターが Find または findAddressCandidates メソッドを使用するリクエストに渡されるとき、Distance の出力値が各候補に対して計算されます。 Location パラメーターがリクエストで渡されない場合、Distance の値は 0 になります。
ジオコーディング結果の出力フィールドの詳細については、ArcGIS Pro ヘルプの「ジオコーディングの結果に含まれるコンテンツ」をご参照ください。
ロケーターを使用してジオコーディング サービスを公開する場合の出力フィールドの詳細については、ArcGIS Developer Web サイトのArcGIS REST API: World Geocoding Service ドキュメントをご参照ください。