状況によっては、座標系を Unknown に設定して、マップの座標系を完全に消去しなければならない場合があります。 マップの座標系が不明な場合、アプリケーションは、通常マップ内のレイヤーを正しく配置するために自動的に実行される演算をスキップします。
座標系が不明な場合に実行されない演算には、次のようなものがあります。
操作 | 座標系が不明な場合の動作 |
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投影法 | レイヤーがリアルタイムで投影されません。 |
測地基準系変換 | レイヤーはマップで指定された測地基準系変換を無視します。 |
単位のスケーリング | 値が単位を持ちません。 たとえば、範囲が 10 度 (10 進) のレイヤーは、範囲が 10 メートルのレイヤーと同じサイズで描画されます。 |
原点オフセット | レイヤーの座標系の原点が 0,0 でなくても、0,0 として描画されます。 たとえば、UTM 10N 座標系 (中央子午線が -123 度) のレイヤーは、不明な座標系では中央子午線を 0 度として描画されます。 |
座標系が不明なマップでは、これらの演算を行わずにレイヤーが描画されるため、不明な座標系を使用して、2 つ以上のレイヤーの空間参照を視覚的に比較したり、トラブルシューティングしたりすることができます。
不明な座標系は、レイヤーの空間参照の状態に関する情報を提供することはできますが、そのレイヤー内のデータの作成、編集、計測、および解析には適していません。 不明な座標系を使用する際に最も顕著な制限には、次のようなものがあります。
- 編集は許可されません。
- 一部のナビゲーションおよび解析の操作とツールが使用できません。 その他、予期しない結果や信頼性の低い結果を引き起こす場合があります。
- マップ縮尺は、単位を持たない座標に基づきます。
- 計測ツールは、単位を持たない平面上の量だけを計測します。
- 鉛直座標系は指定できません。
- マップをローカル シーンまたはグローバル シーンに変換できません。 既存のシーンを不明な座標系に設定できません。
不明な座標系を含む ArcMap ドキュメント (.mxd) を ArcGIS Pro にインポートすると、結果として生成されるマップに不明な座標系が含まれます。
マップに対して不明な座標系を定義するには、次の手順を実行します。
- [コンテンツ] ウィンドウでマップかシーンを右クリックし、[プロパティ] をクリックします。
- [マップ プロパティ] ダイアログ ボックスで、[座標系] タブをクリックします。
- [使用可能な座標系] リストから [<不明>] を選択します。
- [適用] をクリックして座標系を設定するか、または [OK] をクリックして設定を適用し、[マップ プロパティ] ダイアログ ボックスを閉じます。
マップ上に鉛直座標系が設定されている場合は、変更内容を適用すると、その座標系が削除されます。
詳細:
不明な座標系では値に単位がなく、フィーチャを画面に描画するには、内部で単位フレームワークを使用する必要があります。 不明な座標系では、各値の後に unk で示される不明な単位が使用されます。 マップ縮尺を定義する目的で、これらの不明な単位はメートルと同等に扱われます。 現実世界では、これらの単位は実際のメートルに見なされないため、これらの単位またはマップ縮尺に基づいて計測やその他の計算を実行しないよう注意してください。