ホスト イメージ レイヤーの公開

ホスト イメージ レイヤーを使用して、組織のラスターおよび画像データを管理、共有、および解析することができます。 Map Viewer または Map Viewer Classic で、ホスト イメージ レイヤーとともにツールやラスター関数を使用して解析を実行することができます。 また、大規模な画像コレクションを管理したり、ホストされたアプリやマップにイメージ レイヤーを挿入したりすることもできます。 ArcGIS Online 上でイメージ レイヤーをホストすることで、独自の ArcGIS Server サイトを一般に公開できない場合に、インターネットの一般ユーザーとデータを共有できるようになります。 ユーザーが許可すれば、組織内のマップ、アプリ、およびデスクトップ マップ ビューアーから、インターネット上のどの場所にあるサービスにもアクセスすることができます。

イメージ レイヤーの作成手順が示された、ArcGIS Pro の [ホスト イメージ レイヤーの作成] ウィザードを使用して、ArcGIS Online でホスト タイル イメージ レイヤーまたはホスト ダイナミック イメージ レイヤーを公開します。 サポートされているデータ タイプのイメージ レイヤーを、1 つまたは複数公開することができます。

ホスト イメージ レイヤーを作成するには、ホスト イメージ レイヤーを公開してコンテンツを作成する権限が必要です。

組織がスタンドアロン ArcGIS Image Server サイトを配置している場合は、画像をイメージ サービスとして共有できます。 イメージ サービスを公開すると、サービスの URL または REST エンドポイントを介して画像にアクセスできるようになります。 クライアント アプリケーションはこの URL を使用してサービスおよび (公開プロセス中に有効化された) 他の機能にアクセスできます。 イメージ サービスは ArcGIS Server 接続を介して ArcGIS Pro に直接追加することもできます。

イメージ サービスを公開するには、スタンドアロン ArcGIS Server 10.6 以降のサイトへの公開者接続または管理者接続がプロジェクトに含まれている必要があります。 詳細については、「GIS サーバーへの接続」をご参照ください。

注意:

このワークフローはスタンドアロン ArcGIS Server サイトでの公開時にのみ使用できます。 ArcGIS Online、ArcGIS Enterprise ポータル、または ArcGIS Enterprise とフェデレートされたサーバーで Web サービスを共有する場合は、「Web レイヤーの共有」を使用してください。 Web レイヤーの場合、Web GIS プラットフォームの豊富な機能が公開されます。 Web GIS での共有時に提供される追加機能の詳細については、「ArcGIS Pro での共有」をご参照ください。

ホスト イメージ レイヤーの作成

ラスターおよび画像データを使用して Web マップを作成し、このデータを内部や外部のユーザーと共有する場合は、データをホスト イメージ レイヤーとして公開します。

データを 1 つまたは複数のイメージ レイヤーでタイル イメージ レイヤーまたはダイナミック イメージ レイヤーとして公開するか、複数の画像を 1 つのイメージ レイヤーとしてモザイク処理することができます。 複数の画像を画像コレクションとして公開することができます。これは、個々の画像のプロパティについて生成されたホスト イメージ レイヤーを検索する場合に役立ちます。 モザイク データセットを、タイル イメージ レイヤーまたはダイナミック イメージ レイヤーとして公開することもできます。

タイル イメージ レイヤーとダイナミック イメージ レイヤーはいずれも、画像のピクセル データや、ラスター属性テーブル、統計、ヒストグラムなどのメタデータへのアクセスをサポートします。 タイル イメージ レイヤーでは、ピクセル グループが静的タイルとして処理され、処理がクライアント コンピューターで実行されます。 ダイナミック イメージ レイヤーでは、ラスター関数テンプレートをカスタム レンダラーとして使用し、解析をリアルタイムで実行できます。 処理はすべてサーバー側で行われます。

ホスト イメージ レイヤーを作成するには、次の手順を実行します。

注意:

[画像] リボンに [ホスト イメージの作成] ボタン が表示されない場合は、ArcGIS Image for ArcGIS Online ライセンスが割り当てられていないか、組織が少なくとも 1 つのホスト フィーチャ レイヤーを公開していない可能性があります。 イメージ レイヤーを公開する前に 1 つのホスト フィーチャ レイヤーを公開する必要があります。

1. コンテンツの作成とホスト イメージ レイヤーの公開を行う権限があるアカウントでサイン インしていることを確認し、[ホスト イメージの作成] ボタン をクリックします。
2. 作成したいイメージ レイヤー タイプを選択します。
   • [タイル イメージ レイヤー] - ホスト タイル イメージ レイヤーを作成します。 レンダリング速度を上げるために、解析とレンダリングがクライアント コンピューターで実行され、画像が静的タイルとして処理されます。
   • [ダイナミック イメージ レイヤー] - ホスト ダイナミック イメージ レイヤーを作成します。 解析とレンダリングがサーバー コンピューターで実行され、画像コレクションを使用できます。

     ダイナミック イメージ レイヤー アイテムを一般ユーザーと共有することはできません。 データをパブリックに共有する権限がある場合でも、ダイナミック イメージ レイヤーを [すべての人 (パブリック)] と共有するオプションは使用できません。

     ArcGIS Online ダイナミック イメージ サービスのリクエスト サイズの制限は、4,000 x 4,000 ピクセル以下に設定されています。 リクエストごとに列と行のサイズを調整できますが、4,000 を超える列または行を指定した場合、リクエスト サイズは 4,000 ピクセルに戻ります。

3. 単一の画像または画像コレクションを共有するかどうかを選択します。 次のオプションを利用できます。
   • [単一の画像] - 単一の画像から 1 つのホスト イメージ レイヤーを作成します。 このオプションは、サポートされているすべてのラスターおよび画像形式、多次元ラスター データ、およびさまざまなソース タイプおよび圧縮設定の構成に対応します。 サポートされるラスター タイプは、[ラスター データセット] データ タイプのみです。 このオプションは、詳細なメタデータを必要としない単純なイメージ レイヤーに使用します。
   • [画像のコレクション] - 画像のコレクションから 1 つのイメージ レイヤーを作成します。 このオプションでは、画像コレクションの処理方法を選択できます。 次のオプションを利用できます。
     • [1 つの画像へモザイク] - 複数の画像を 1 つの画像にモザイク処理して 1 つのホスト イメージ レイヤーを作成します。 このオプションにより、空間の複数画像、多次元ラスター データ、衛星/航空プロダクトの処理方法を制御できる多くのラスター タイプのモザイクである単体のイメージ レイヤーを生成できます。 このオプションは、事前に処理されたマルチバンドの衛星シーンなどの詳細なメタデータを必要とするイメージ レイヤーに使用します。
     • [画像コレクションとして維持] - 多数の画像のコレクションを管理する 1 つのホスト イメージ レイヤーを作成します。 このオプションにより、画像コレクションを構成するイメージ レイヤー内の 1 つの画像を検索できます。 このオプションでは、画像を元のソース形式で格納することもできます。

       注意:

       ダイナミック[画像コレクション] レイヤーのパフォーマンスは、アップロードする画像の形式と構造によって決まります。 たとえば、CRF 形式で公開されたダイナミック画像コレクションは迅速に反応しますが、JP2 または RAW 形式で公開されたダイナミック画像コレクションは反応速度が遅くなります。 公開する前に、ピラミッド付きの CRF、MRF、または TIF 形式に変換して、画像コレクションを最適化しておくことをお勧めします。

     • [画像ごとに 1 つのレイヤーを作成] - 入力画像ごとに 1 つのホスト イメージ レイヤーを作成します。 このオプションは、複数のイメージ レイヤーを生成します。 [1 つの画像] オプションを複数回選択する代わりに、このオプションを使用します。 サポートされるラスター タイプは、[ラスター データセット] データ タイプのみです。
   • [モザイク データセット] - 既存のモザイク データセットから 1 つのホスト イメージ レイヤーを作成します。 このオプションを使用すると、すべての画像、構成、補正機能、最適化、およびテンプレートを含む既存のモザイク データセットをアップロードして、イメージ レイヤーを作成できます。
4. 上記のステップ 3 で必要なレイヤー構成を選択したら、[次へ] をクリックします。
5. ドロップダウン メニューから、入力画像のラスター タイプを選択します。 ラスター タイプのメタデータは、画像を一貫した方法で表示、修正、および処理するために使用されます。
各ラスター タイプは、センサーおよび画像のパラメーターに固有の一意のメタデータを含んでいます。 [単一の画像] > [画像のコレクション] をクリックしてイメージ レイヤーを作成する場合は、画像ごとに 1 つのレイヤーを作成します。サポートされるラスター タイプは、[ラスター データセット] データ タイプのみです。 [モザイク データセット] をクリックしてイメージ レイヤーを作成している場合は、アップロードされたモザイク データセットのラスター タイプとプロパティが使用されるので、ラスター タイプ オプションは表示されません。
6. [プロパティ] ボタンをクリックして、選択されているラスター タイプのプロパティを指定します。

   ラスター タイプのプロパティを使用すると、要件に基づく有益なイメージ レイヤーを作成できます。 使用できるプロパティは、レイヤー構成と選択したラスター タイプによって異なります。 プロパティは、[一般]、[処理]、[空間参照]、[補助情報]、および [メタデータ] タブに分かれています。

7. [一般] タブでは、イメージ レイヤーのオプションを設定します。 以下のオプションの 1 つ以上が表示されない場合は、選択したレイヤーの構成タイプまたはラスター タイプがそのオプションに対応していないからです。

   プロダクト タイプ	衛星画像に含まれるプロダクトのタイプを指定します。 プロダクトのタイプは通常、特定のセンサーと関連するさまざまな処理によって識別されます。 このオプションは、レイヤー構成が [1 つの画像へモザイク] または [画像コレクションとして維持] に設定され、ラスター タイプが衛星プロダクトに設定されている場合に使用できます。
   ソース タイプ	画像の使用目的に合ったソース タイプを選択します。 ここでの選択により、ストレッチまたはレンダリング オプションのデフォルトが決まります。 [一般] - ラスターまたは画像には特定のユースケースがありません。 これがデフォルトです。 [高さ] - ラスターは、デジタル標高モデル (DEM)、数値地形モデル (DTM)、LIDAR データなどの標高データを含みます。
   リサンプリング タイプ	イメージ レイヤーの表示に使用されるリサンプリング方法を選択します。 [最近隣内挿法] - 土地被覆などの不連続データには、最近隣内挿リサンプリングをお勧めします。 [共一次内挿法] - 標高などの連続データには、共一次内挿法をお勧めします。 [三次たたみ込み内挿法] - 連続データには、三次たたみ込み内挿法をお勧めします。 [最頻値] - 不連続データには、最頻値リサンプリングをお勧めします。
   圧縮	ソース画像をクラウド ラスター形式に変換する場合に使用する圧縮方法を選択します。 [LERC] - ラスターを複数のピクセル ブロックに分割する可逆または非可逆圧縮方式。 LERC 圧縮を選択した場合は、[最大 LERC 圧縮エラー] の値も指定できます。 [JPEG] - 公開されている JPEG 圧縮アルゴリズムを使用する非可逆圧縮方式。 JPEG 圧縮を選択した場合は、[圧縮品質] の値も指定できます。 注意: ホスト イメージ レイヤーの公開時、画像ファイルおよびラスター ファイルはすべてクラウド ラスター形式に変換されます。

8. [処理] タブでは、イメージ レイヤーのオプションを設定します。 以下のオプションの 1 つ以上が表示されない場合は、選択したレイヤーの構成タイプまたはラスター タイプがそのオプションに対応していないからです。

   処理テンプレート	イメージ レイヤーで使用する処理テンプレートを選択します。 処理テンプレートは、特定バンドの抽出、パンシャープン、オルソ補正、ストレッチなどの一般的な画像処理タスク、および入力データに固有のその他のタスクを実行します。 使用できる処理テンプレートは、選択したラスター タイプによって異なります。 このオプションは、事前にパッケージ化された処理テンプレートに含まれる衛星/航空データ プロダクトにのみ適用されます。 たとえば、Landsat Level-2 プロダクトには、地表反射率処理テンプレートおよび品質保証処理テンプレートが含まれています。 科学ラスター タイプ (GRIB、HDF、NetCDF) の場合、ベクトル場処理テンプレートで、変数によって強度-方向を指定するかベクトル U-V 成分を指定するかを選択できます。
   各ラスター アイテムにデフォルトのストレッチを適用	イメージ レイヤーの各ラスター アイテムにデフォルトの割合クリップ ストレッチを適用するかどうかを選択します。
   ラジオメトリを使用してフットプリントを構築します (低品質のエッジ ピクセルを削除します)	所定の範囲の値内のピクセルのみが含まれるようなイメージ レイヤーにフットプリントを構築するかどうかを選択します。 これにより、境界に沿って NULL データ値のピクセルが除去され、シームレスなモザイクが生成されます。 NULL データの境界ピクセルを削除することによって、各画像アイテムのより適切な統計を生成し、より優れた画像調整機能および解析処理を実現します。 建物のフットプリント構築を選択した場合は、追加のフットプリント設定を入力できます。
   NoData を表すピクセル値を定義します	イメージ レイヤーのピクセルに NoData 値を定義するかどうかを選択します。 NoData 値が定義されたピクセルは、マップに透過表示されます。
   オルソ幾何補正	画像をオルソ幾何補正する方法を選択します。
   パンシャープン	鮮鋭化およびバンド ウェイトのほか、優先するパンシャープン タイプを選択します。 このオプションは、入力ラスター タイプに同時パンクロマティック データおよびマルチスペクトル画像データが含まれる場合に使用できます。
   フットプリント	使用するフットプリント オプションを指定します。 これらのオプションは、ラジオメトリを使用してフットプリントを構築することを選択した場合に使用できます。

   レイヤー構成として [画像コレクション] を選択した場合は、表示パフォーマンスを向上させるオーバービューを構築することもできます。 イメージ レイヤーをサービスとして提供するときに、表示速度を向上して CPU 使用率を減らすために、オーバービューを構築することをお勧めします。

9. [空間参照] タブで、1 つまたは複数のイメージ レイヤーの出力空間参照を選択します。 デフォルトの座標系は WGS84 Web メルカトル (球体補正) です。
10. [メタデータ] タブでは、イメージ レイヤーのオプションを設定します。 オプションには、画像の取得日、ピクセル値の計測タイプと単位、マルチバンド イメージのバンドの順序と波長などがあります。

    衛星プロダクトの場合、[バンド マッピング] テーブルには、参照用の読み取り専用のバンドのマッピング インデックスが含まれます。

11. 画像の [ソース タイプ] で [主題] を選択した場合は、[補助情報] タブで、対応するラスター属性テーブル (DBF バージョン 5) またはカラーマップ ファイル (.clr) を指定できます。

    カラーマップは、.clr という拡張子を持つテキスト ファイルです。このファイルの各行には、ピクセル値を色にマッピングするためのスペースで区切られた整数値が 4 つ含まれています。 行の順序はピクセル値の順序に一致します。列の順序は赤色、緑色、青色です。 赤色、緑色、青色の値はすべて、0 ～ 255 の範囲に収まります。 次のような例があります。

    0 255 10 150 1 253 0 2 31 0 220 253

12. 画像プロパティの構成が完了したら、[OK] をクリックします。
13. [ソース データ] セクションで、[追加] ボタンを使用して入力データを参照できます。

    選択したファイルを、名前、サイズ、およびファイルとともに表示したテーブルが表示されます。 テーブルのアイテムを 1 つ選択して [削除] をクリックするとそのアイテムをテーブルから削除できます。[すべて削除] をクリックすると選択したアイテムをすべてこのテーブルから削除できます。

14. [次へ] をクリックします。
15. イメージ レイヤーまたはレイヤーのアイテムに関する詳細を入力します。
    1. タイトルを入力します。 複数のイメージ レイヤーを作成している場合は、ベース タイトルに接頭辞および接尾辞を付与することができます。
    2. 必要に応じて説明を入力します。
    3. 必要に応じて、タグの項目をカンマで区切って入力します。
    4. イメージ レイヤーまたはレイヤーを保存するフォルダーを指定します。
16. [サマリー] ページには、選択したすべてのオプションが確認のために一覧表示されます。
17. [実行] をクリックします。

    ヒント:

    出力レイヤー セクションにカーソルを合わせると、追加のジョブ詳細が表示されます。 各ステップに関する詳細がメッセージに表示されるので、イメージ レイヤーが作成されるプロセスを監視できます。 追加のジョブ詳細は、[ホスト イメージ レイヤーの作成] ダイアログ ボックスを閉じるまで、そこに表示されたままです。

ファイルは、ArcGIS Online にアップロードされます。

ファイルのアップロードおよびイメージ レイヤー アイテムの作成を含むレイヤー作成の進行状況が表示されます。

イメージ レイヤーの作成が完了すると、[出力レイヤー] セクションのリンクをクリックして、サービスの REST エンドポイントにアクセスできます。 公開が完了した後に新しいホスト イメージ レイヤーをテストする 1 つの方法は、それを ArcGIS Pro に追加して表示することです。

イメージ レイヤーでサポートされるデータ

イメージ レイヤーを構成する際、ジオリファレンス、取得日、センサー タイプ、バンド波長などのメタデータを識別して使用するラスター タイプを指定できます。 下表のラスター タイプを使用して、イメージ レイヤーを作成することができます。 [ラスター データセット] ラスター タイプは、ArcGIS Pro でサポートされるすべてのラスター形式を表し、メタデータは含みません。

ASTER DMCII DubaiSat-2 GeoEye-1 GF-1 PMS GF-1 WFV GF-2 PMS GRIB HDF IKONOS Jilin-1 KOMPSAT-2

KOMPSAT-3 Landsat 1-5 MSS Landsat 4-5 TM Landsat 7 ETM+ Landsat 8 Landsat 9 NetCDF Pleiades -1 Pleiades NEO QuickBird RapidEye ラスター データセット

Sentinel-2 Superview-1 SkySat SPOT 5 SPOT 6 SPOT 7 UAV/UAS WorldView-1 WorldView-2 WorldView-3 WorldView-4 ZY3-SASMAC

注意:

ArcGIS Pro 3.0 のリリース以降は、Jilin-1、Landsat 9、Pleiades Neo、および SuperView-1 ラスター タイプを使用できます。 これらのラスター タイプを使用するには、まずこれらのラスター タイプを使用してモザイク データセットを作成してから、ArcGIS Online に公開する必要があります。 ホスト イメージ レイヤーの公開には、ArcGIS Image for ArcGIS Online エクステンションが必要です。