データの空間的な結合

結合方法では、1 つのデータ テーブル (結合テーブル) から別のデータ テーブル (ターゲット テーブル) にフィールドを追加します。 ターゲット テーブルは通常はレイヤーの属性テーブルで、結合の目的は、レイヤーのシンボル表示、クエリの実行、統計の取得、または結合テーブルの情報を使用してその他の解析を実行することです。 結合は一時的なものとして、必要なくなった時点で削除することができます。永続的な結合にすることもできます。

結合には、属性と空間の 2 種類があります。 属性結合は、両方のテーブルに存在する共通の値のフィールドに基づきます。 共通フィールドによって、結合テーブル内のレコードがターゲット テーブル内のレコードと正確に一致するようになります。 空間結合は、2 つのレイヤーのフィーチャ間の空間リレーションシップ (格納や交差など) に基づきます。 結合テーブルとターゲット テーブル内のレコードは、対応するフィーチャの空間リレーションシップに基づいて照合されます。

属性結合では、結合テーブルはスタンドアロン (非空間) テーブルでも、レイヤーの属性テーブルでもかまいません。 空間結合では、両方のテーブルがレイヤーの属性テーブルでなければなりません。

結合は、ArcGIS Pro でデータを結合させる多くの方法の 1 つです。 [アペンド (Append)] ツールで 1 つのデータセットから別のデータセットにフィーチャを追加し、[マージ (Merge)] ツールでデータセットを結合して、[インターセクト (Intersect)][ユニオン (Union)] などのオーバーレイ ツールでデータセットを空間的に比較することで新しいデータを作成することができます。

概要

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  • ビデオの長さ: 11:25
  • このビデオは ArcGIS Pro 3.3 を使用して作成されています。

2011 年 2 月 22 日にニュージーランドのクライストチャーチを襲った地震は、都市のインフラストラクチャに甚大な被害をもたらしました。 地震の直後、このエリアでは、修復や再建の必要性を判断するためのエンジニアリング評価が行われました。

このチュートリアルでは、クライストチャーチ市街地の歴史的な場所を、液状化リスクのレイヤーと関連付けて確認します。 液状化とは、地面の揺れによって堆積物が強度と安定性を失うプロセスで、建物に損害が生じる可能性が大幅に高まります。 液状化リスクのレイヤーと歴史的な場所のレイヤーを空間結合させ、歴史的な場所のそれぞれに適切なリスク値を割り当てます。

レイヤーを空間結合した後、歴史的な場所のレイヤーに新しいフィーチャを追加し、液状化リスクの値を更新します。

  • 所要時間: 60 分
  • ソフトウェア要件:
    • ArcGIS Pro Basic
注意:

ソフトウェア リリースごとにクイックスタート チュートリアルが更新されます。 最適なユーザー エクスペリエンスを得るには、お使いのソフトウェアと同じバージョンのオンライン ヘルプを使用します

プロジェクトを開く

ArcGIS Online のプロジェクト パッケージからプロジェクトを開きます。

  1. ArcGIS Pro を起動して、必要に応じてサイン インします。
  2. 開始ページで、最近使用したプロジェクトのリストの横にある [別のプロジェクトを開く] をクリックします。
    注意:

    プロジェクトをすでに開いている場合は、リボン上の [プロジェクト] タブをクリックします。 サイド タブのリストで [開く] をクリックします。 [開く] ページでページの上部にある [別のプロジェクトを開く] 別のプロジェクトを開く をクリックします。

  3. [プロジェクトを開く] ダイアログ ボックスで、[ポータル] ポータル の下の [ArcGIS Online] ArcGIS Online をクリックします。
    注意:

    [ArcGIS Enterprise] ArcGIS Enterprise にサイン インしている場合は、チュートリアル データにアクセスするために、ArcGIS Onlineアクティブなポータルを設定する必要があります。 これを行うことができない場合は、ブラウザーからデータをダウンロードできます。

  4. ダイアログ ボックスの上部にある [検索] ボックスに「Join data spatially」と入力して Enter キーを押します。
  5. 検索結果のリストで、[データの空間的な結合] をクリックし、プロジェクト パッケージを選択します。
    注意:

    この名前のプロジェクト パッケージが複数ある場合、[信頼済み] バッジ 信頼できる が付いたパッケージを選択します。 [所有者] 列に、所有者の名前が [ArcGISProTutorials] と表示されます。 結果が表示されない場合は、「検索結果が返されない」をご参照ください。

  6. [OK] をクリックします。

    プロジェクトが開き、ニュージーランドのクライストチャーチ市街地を示すマップが表示されます。

    クライストチャーチの市街地のマップ

  7. リボンの [表示] タブをクリックします。 [ウィンドウ] グループで [ウィンドウのリセット] ウィンドウのリセット をクリックし、[マッピング用にウィンドウをリセット (デフォルト)] をクリックします。

    これにより、[コンテンツ] ウィンドウと [カタログ] ウィンドウが開き、他のウィンドウが閉じられます。

データの表示

Historic Places (歴史的な場所) レイヤーと Liquefaction Risk (液状化リスク) レイヤーの属性を調べます。

  1. [コンテンツ] ウィンドウで [Historic Places] レイヤーを右クリックし、[属性テーブル] Open Table をクリックします。

    属性には、各フィーチャの名前、住所、RegID フィールド内の歴史登録番号が含まれます。 テーブル ビューの下部で、レイヤー内に 322 のレコードが存在することを確認できます。

  2. [コンテンツ] ウィンドウで [Liquefaction Risk] レイヤーを右クリックし、[属性テーブル] Open Table をクリックします。

    このレイヤーの属性には、リスク カテゴリと、リスク評価が行われた日付と最終変更日付が含まれます。

    Category フィールドでは、3 つの技術カテゴリの値によって、今後の地震での液状化による建物の損害リスクの高まりを表しています。

    • 技術カテゴリ 1 は、最小の損害リスクを表します。
    • 技術カテゴリ 2 は、微量から中程度までの損害リスクを表します。
    • 技術カテゴリ 3 は、中程度から重大までの損害リスクを表します。

    リスクに応じて、さまざまな建設要件が適用されます。 赤色ゾーンは、リスクが極度に大きく、建設はまったく許可されません。 非住居エリアや評価が必要だと指定されたエリアでは、リスク評価は行われていません。

  3. 開いた両方のテーブルを閉じます。
  4. [コンテンツ] ウィンドウで、Liquefaction Risk レイヤーが選択されていることを確認します。 Ctrl キーを押しながら [Historic Places] レイヤーをクリックします。

    両方のレイヤーが選択されます。

  5. リボンの [マップ] タブをクリックします。 [ナビゲーション] グループで、[マップ操作] マップ操作ツール ツールのドロップダウン矢印をクリックして、[コンテンツで選択] をクリックします。

    マップ上の位置をクリックすると、選択したレイヤー内のフィーチャの属性値がポップアップに表示されます。

  6. マップ ビューの下部で、マップ縮尺ドロップダウン矢印をクリックし、[1:10,000] をクリックして、歴史的な場所を識別しやすくします。
  7. マップ上で、歴史的な場所をクリックします。

    選択された両方のレイヤーのフィーチャ属性を示すポップアップ

    このポップアップには、歴史的な場所の属性と、それを含むリスクのポリゴンが表示されます。

    ヒント:

    ポップアップの上部には、両方のレイヤーのフィーチャの表示値、つまりプライマリ属性が表示されます。 この例では、Cottage という名前のフィーチャが選択され、その属性がウィンドウの下部に表示されています。 液状化リスクのフィーチャの属性を表示するには、ポップアップ上部の [Liquefaction Risk] の下の値をクリックします。

  8. 歴史的な場所のフィーチャをいくつか追加でクリックして、[ポップアップ] ウィンドウを閉じます。

    このポップアップには、対象の情報 (歴史的な場所のそれぞれに関連付けられたリスク カテゴリ) が表示されます。 ただし、一度に 1 つずつフィーチャをクリックするのは、この情報を得るための最も効率的な方法ではありません。 空間結合を使用して、液状化リスクの属性を Historic Places レイヤーに追加できます。

  9. [コンテンツ] ウィンドウで [Historic Places] レイヤーをクリックして、これを唯一の選択したレイヤーにします。 レイヤーを右クリックし、[レイヤーにズーム] レイヤーにズーム をクリックします。

レイヤーの空間的な結合

歴史的な場所のそれぞれが存在するリスク ゾーンに従って、Liquefaction Risk レイヤーから Historic Places レイヤーに属性を結合します。

  1. [コンテンツ] ウィンドウで [Historic Places] レイヤーを右クリックし、[テーブルの結合とリレート] をポイントして [空間結合の追加] 空間結合 をクリックします。

    フローティング ウィンドウ内に [空間結合の追加 (Add Spatial Join)] ツールが開きます。 [ターゲット フィーチャ] パラメーターが Historic Places レイヤーに正しく設定されています。

  2. [フィーチャの結合] ドロップダウン矢印をクリックし、[Liquefaction Risk] を選択します。

    このレイヤーからの属性が Historic Places テーブルに結合されます。

  3. [マッチ オプション] ドロップダウン矢印をクリックして、[含まれる] をクリックします。

    歴史的な場所のそれぞれが、自らが含まれる液状化リスクのポリゴンの属性を取得します。 (この場合は、交点のデフォルトのマッチ オプションも機能する可能性があります。別のフィーチャ内にあるフィーチャもそれと交差しているからです。)

  4. [永続的にフィールドを結合] チェックボックスをオンにします。

    このチェックボックスがオフ (デフォルト設定) の場合、空間結合は現在のマップ内のみに存在し、いつでも削除できます。 ターゲット データセットのソース データは変更されません。 このチェックボックスをオンにすると、結合された属性によってターゲット データセットのソース データが変更されます。

    チュートリアルの後半で Historic Places レイヤーにさらにフィーチャを追加するので、ここでは永続的な結合にします。 レイヤーに一時的な結合が存在する場合、この操作は実行できません。

    ヒント:

    このワークフローでは [空間結合 (Spatial Join)] ツールも使用できます。 [空間結合 (Spatial Join)] ツールは、ターゲット フィーチャの属性と結合フィーチャの属性を持つ新しいフィーチャクラスを作成します。 入力データセットは変更されません。 このチュートリアルでは、代わりに [空間結合の追加 (Add Spatial Join)] を使用することで、新しい出力データセットを作成せずに結合を実行できるようにします。

  5. [フィールド] 見出しを展開します。

    フィールド マップ パラメーターに、Liquefaction Risk レイヤー内のフィールドのリストが表示されます。 これらのフィールドの中で Historic Places レイヤーに追加する必要があるのは CATEGORY フィールドのみです。 このフィールド以外は削除します。

  6. フィールドのリストで、CREATEDDATE フィールドをクリックして選択します。 Shift キーを押しながら Shape_Area フィールドをクリックします。

    4 つのフィールドが選択されます。

  7. 選択したフィールドのいずれかにマウス ポインターを合わせて、[削除] 削除 をクリックします。

    空間結合の追加ダイアログ ボックスのフィールド マップ セクション

    選択したフィールドが削除され、CATEGORY フィールドのみが残ります。

    Liquefaction Risk レイヤーで、CATEGORY フィールドの意味は明確です。 ただし、歴史的な場所のコンテキストでは意味が不明瞭です。カテゴリの値がいくつもの事象を表している可能性があるからです。 ツールを実行する前にフィールド名を変更します (Liquefaction Risk テーブルには元の名前が残ります)。

  8. フィールド マップ パラメーターで、[編集] 編集 をクリックします。

    [フィールド プロパティ] ダイアログ ボックスが表示されます。 上部の [プロパティ] の下に、CATEGORY フィールドのプロパティ (名前、エイリアス、タイプなど) が表示されます。

  9. [フィールド名] セルで、既存の値 (CATEGORY) をハイライト表示し、「LIQUEFACTION_RISK」に置き換えます。 Enter キーを押します。
  10. [エイリアス] セルで、既存の値をハイライト表示し、「Liquefaction Risk」に置き換えます。 Enter キーを押します。

    フィールド プロパティ ダイアログ ボックスに新しいフィールド名とエイリアスが表示される

    エイリアスとは、属性テーブルと大部分のジオプロセシング コンテキストにデフォルトで表示される表示名です。 エイリアスにはスペースを含めることができますが、フィールド名には含めることができません。

  11. [フィールド プロパティ] ダイアログ ボックスで [OK] をクリックします。

    空間結合の追加ダイアログ ボックス

  12. [OK] をクリックして、[空間結合の追加 (Add Spatial Join)] ツールを実行します。
  13. 操作が完了したら、[コンテンツ] ウィンドウで [Historic Places] レイヤーを右クリックし、[属性テーブル] Open Table をクリックします。

    名前変更された Category フィールドが Liquefaction Risk レイヤーからテーブルに追加され、そのエイリアス Liquefaction Risk が表示されます。 これで、歴史的な場所のそれぞれが、自らが含まれるポリゴンのリスク カテゴリと関連付けられました。 Join_Count フィールドも追加されました このフィールドの値はすべてのレコードで 1 です。歴史的な場所のそれぞれが 1 つのリスク ポリゴンと正確に関連付けられているからです。

    Join_Count フィールドは削除します。必要ないからです。

  14. Historic Places テーブルで、[Join_Count] フィールド見出しをクリックしてフィールドを選択します。

    選択したフィールドを含む属性テーブル

  15. 選択したフィールド見出しを右クリックして、[削除] フィールドの削除 をクリックします。
  16. [フィールドの削除] プロンプトで、[はい] をクリックします。
    ヒント:

    テーブル内のフィールドを非表示にして、削除するのではなく非表示にすることもできます。

  17. Historic Places テーブルは開いたままにしておきます。
    ヒント:

    必要に応じて、もっと大きなマップの表示空間が提供される新しい位置まで、テーブルをビュー タブでドラッグできます。 たとえば、2 つのモニターがある場合、ArcGIS Pro ウィンドウの外にテーブルをフローティングできます。

  18. [クイック アクセス ツールバー][プロジェクトの保存] プロジェクトの保存 をクリックします。

結果の評価

Historic Places テーブルのデータ エンジニアリング ビューを開いて、結合テーブルの統計情報を表示し、チャートを作成します。

  1. Historic Places テーブルで、Liquefaction Risk フィールド見出しをクリックしてフィールドを選択します。
  2. 選択した見出しを右クリックして、[統計の探索] 統計の探索 をクリックします。

    Historic Places 属性テーブルのデータ エンジニアリング ビュー

    テーブルのデータ エンジニアリング ビューが開き、LIQUEFACTION_RISK フィールドの統計が表示されます。

    • カウント値は 322 (100%) です。 これにより、歴史的な場所のそれぞれに液状化リスクの値が存在することを確認できます。
    • 6 つの個別値が存在します。 Liquefaction Risk テーブルには、実際には 7 つの個別値が含まれています。 つまり、リスク カテゴリの 1 つに歴史的な場所が存在していません (幸いなことに、それは赤色ゾーンです)。
    • 最頻値 (最も一般的な値) は、非住居エリアです。
    • 最も一般的でない値は、技術カテゴリ 1 です。

  3. データ エンジニアリング ビューで、[チャートのプレビュー] 列にポインターを合わせます。

    チャートのプレビュー列とヒント

    ヒントは、値の割合の内訳を提供します。 歴史的な場所の約半数は非住居エリアにあり、約 4 分の 1 は技術カテゴリ 2 に属している、などです。

  4. 行ヘッダー (行の左端にある四角形) を右クリックして [チャートの作成] チャートの作成 をポイントし、[バー チャート] バー チャートの作成 をクリックします。

    LIQUEFACTION_RISK フィールドのドロップダウン オプションを表示するデータ エンジニアリング ビュー

    チャート ビューと [チャート プロパティ] ウィンドウが表示されます。 チャートには、リスク カテゴリごとの歴史的な場所の数が表示されます。 チャートがわかりやすくなるように、プロパティを変更します。

    デフォルト設定のチャートの表示
    Y 軸の値とカテゴリ ラベルの向きは、チャートの表示サイズによって異なる可能性があります。

  5. [チャート プロパティ] ウィンドウの上部で、[データ] タブが選択されていることを確認します。
  6. [データ ラベル] の下で、[バーにラベル付け] チェックボックスをオンにします。

    チャートには、リスク カテゴリごとの歴史的な場所の数が、各バーの上に表示されます。

  7. ウィンドウの上部にある [軸] タブをクリックします。
  8. [ラベル文字制限] ボックスの値を 11 から [20] に変更します (矢印キーを使用するか、値を入力して Enter キーを押すことができます)。

    X 軸では、カテゴリの値にフルネームが表示されています。 ラベル方向は、使用可能なスペースにベスト フィットするようにデフォルトで調整されます。 しかし、方向を変更した方が良い場合もあります。

  9. 必要に応じて、[ラベル方向] ドロップダウン矢印をクリックし、目的の設定を選択します。
  10. ウィンドウの上部にある [一般] タブをクリックします。 (表示されない場合は、オプションのボタン オプション をクリックし、ドロップダウン リストの [一般] をクリックします)。
    1. [チャートのタイトル] ボックスで、デフォルトのタイトルを削除して「Historic Places by Liquefaction Risk Category」と入力します。 Enter キーを押します。
    2. [X 軸のタイトル] チェックボックスをオフにします。
    3. [Y 軸のタイトル] ボックスで、デフォルトのタイトルを削除して「Number of Sites」と入力します。 Enter キーを押します。

    バーの色は現在黄緑に設定されていますが、この色を変更した方が良い場合もあります。

  11. 必要に応じて、[シリーズ] タブをクリックします。
    1. [シンボル] 列で、黄緑色の四角形をクリックします。
    2. 表示されたカラー パレットで、目的の色をクリックします。
    3. カラーパレットの外側をクリックして、パレットを閉じます。

    液状化リスクのカテゴリ別の歴史的な場所のチャート

  12. チャートのバーをクリックして選択します。

    マップ上で、Historic Places レイヤー内の対応するフィーチャが選択されます。

  13. 別のバーをクリックして選択を変更します。 Ctrl キーを押しながら別のバーをクリックして、選択に追加します。
  14. チャート ビュー ツールバーで、[選択解除] 選択解除 をクリックします。
  15. チャート ビューを閉じて、[チャート プロパティ] ウィンドウを閉じます。 データ エンジニアリング ビューは開いたままにします。

    [コンテンツ] ウィンドウの Historic Places レイヤーの下にチャートが表示されます。 このチャートはレイヤーから独立して存在するものではありません。マップからレイヤーを削除するか、プロジェクトからマップを削除すると、チャートも消滅します。 チャートをエクスポートして、グラフィックス ファイルとして保存することができます。

  16. [クイック アクセス ツールバー][プロジェクトの保存] プロジェクトの保存 をクリックします。

テーブルからレイヤーを作成

すでに存在するデータセットに関連するデータは使用可能になりますが、別のファイルに保存されます。 たとえば、クライストチャーチのいくつかの歴史的な場所に関する情報を含む .csv ファイルを見つけたとします。 これらの場所が Historic Places レイヤーにまだ含まれていない場合、追加する必要があると思われます。

.csv ファイルはテーブルとしてマップに追加します。 このファイルには場所の空間座標が含まれているので、その座標位置のフィーチャを含むテーブルからレイヤーを作成できます。

  1. [カタログ] ウィンドウをアクティブにします。 ウィンドウの上部で [プロジェクト] タブが選択されていることを確認します。
  2. [フォルダー] コンテナー フォルダー接続 を展開します。 [Join_data_spatially] > [commondata] > [userdata] の順に展開します。

    userdata フォルダーには Christchurch Heritage Sites.csv という名前のファイルが格納されています。

  3. [Christchurch Heritage Sites.csv] を右クリックし、[現在のマップに追加] 現在のマップに追加 をクリックします。

    [コンテンツ] ウィンドウでは、このファイルが [スタンドアロン テーブル] 見出しの下にテーブルとして追加されます。

  4. [コンテンツ] ウィンドウで、[Christchurch Heritage Sites.csv] を右クリックし、[開く] Open Table をクリックします。

    Christchurch Heritage Sites テーブル

    このテーブルには 2 つの歴史的な場所に関する情報が含まれています (名前、住所、登録番号などのフィールドを含む)。

  5. ビュー タブをクリックして [Historic Places] テーブルをアクティブにします。

    このテーブルには名前と住所のフィールドも含まれています。 RegID フィールドは、Christchurch Heritage Sites テーブルの RegisterNumber フィールドに対応しています。 フィールド名は異なりますが、同じ情報が格納されています。

  6. [Christchurch Heritage Sites.csv] テーブルをもう一度アクティブにします。

    このテーブルには、度 (10 進) 単位の緯度と経度の座標を含む X フィールドと Y フィールドが含まれています。 これらの座標を使用して、テーブルからレイヤーを作成します。 それを行うと、Historic Places レイヤーにフィーチャがすでに存在しているかどうか確認できるようになります。

  7. [コンテンツ] ウィンドウの [スタンドアロン テーブル] の下で、[Christchurch Heritage Sites.csv] を右クリックして [テーブルからポイントを作成] テーブル → ポイント をポイントし、[XY テーブル → ポイント] XY テーブル → ポイント をクリックします。

    フローティング ウィンドウに [XY テーブル → ポイント(XY Table To Point)] ツールが開きます。

    [入力テーブル] パラメーターのデフォルト値が Christchurch Heritage Sites.csv に正しく設定されています。 [X フィールド] および [Y フィールド] パラメーターのデフォルト値が、テーブルの X および Y フィールドに正しく設定されています。 [座標系] パラメーターのデフォルトは GCS_WGS_1984 です。 ほとんどの経度と緯度の値はこの座標系で保存されているため、追加の情報がない場合はこの選択が最善です。

    ヒント:

    ファイルに座標系を識別するメタデータが含まれているのが理想的です。 このファイルに対する設定が正しいことを確認するために、[カタログ] ウィンドウで該当するファイルを右クリックし、[メタデータの表示] メタデータの表示 をクリックする方法もあります。

  8. [出力フィーチャクラス] テキスト ボックスでパス全体を削除します。 検索ボックスに、「memory\Sites」と入力します。

    XY テーブル → ポイントのダイアログ ボックス

    出力データを作成する必要がないので、ポイント フィーチャを一時的なメモリ ワークスペースに作成します。 Historic Places レイヤーにフィーチャがすでに存在していることがわかったら、この新しいレイヤーは破棄できます。 まだ存在していない場合は、Historic Places レイヤーにフィーチャを追加する必要があります。 いずれの場合も、これらを新しいデータセットに保存する必要はありません。

    パス名 memory\ は、出力がフィーチャクラスではなくメモリ ワークスペースに書き込まれることを示します。 ArcGIS Pro セッションを終了すると、メモリ ワークスペースが消去されます。 名前 Sites には任意の名前を指定できますが、スペースを含めることはできません。

  9. [OK] をクリックします。

    ツールが終了すると、[Sites] というレイヤーが [コンテンツ] ウィンドウの上部に追加されます。

  10. [コンテンツ] ウィンドウで、[Sites] レイヤーを右クリックして [レイヤーにズーム] レイヤーにズーム をクリックします。

    見やすくなるように、デフォルトのシンボルを大きくします。

  11. [コンテンツ] ウィンドウで Sites レイヤーのシンボルをクリックします。

    [シンボル] ウィンドウが開き、ポイント シンボルの書式設定のオプションが表示されます。

  12. [ギャラリー] タブのシンボルのリストで、[ArcGIS 2D] にある [円 3] シンボルをクリックして選択します。

    円 3 シンボルが選択されたシンボル ウィンドウ

    マップと [コンテンツ] ウィンドウでシンボルが更新されます。

  13. [コンテンツ] ウィンドウで、Sites レイヤーをオフにして再度オンにします。

    Historic Places レイヤーでこれらの位置にフィーチャがまだ存在していないことを確認できます。

空間オーバーレイ

[アペンド (Append)] ツールを使用して、Sites レイヤーから Historic Places レイヤーに 2 つのフィーチャを追加します。 2 つのレイヤー内のテーブルのスキーマは異なっているので、いくつかのフィールドを手動で一致させる必要があります。 この操作は、以前に使用したフィールド マップ パラメーターを使用して行います。

ヒント:

もう 1 つの方法は、リボンの [編集] タブの [コピー] コピー コマンドと [形式を選択して貼り付け] 貼り付け コマンドを使用して、あるレイヤーから別のレイヤーにフィーチャをコピーすることです。 このアプローチは、フィーチャの数が少ない場合に便利です。 コピーと貼り付けのワークフローでは、編集設定の構成によるフィールド マッピングもサポートされます。

  1. データ エンジニアリング ビューをアクティブにします。
  2. 行ヘッダー (行の左端にある四角形) を右クリックして、[インテグレート] 統合 をポイントし、[アペンド] アペンド をクリックします。

    フローティング ウィンドウ内に [アペンド (Append)] ツールが開きます。 ダイアログ ボックス上部のメッセージにより、ツールが (新しい出力データを作成するのではなく) ターゲット データセットを変更することが警告されます。

  3. [入力データセット] ドロップダウン矢印をクリックして、[Sites] をクリックします。

    デフォルトでターゲット データセットが Historic Places に正しく設定されます。

  4. [フィールド マッチング タイプ] ドロップダウン矢印をクリックして、[フィールド マップを使用してフィールドの違いをリコンサイル] をクリックします。

    アペンド ツールのフィールド マップ パラメーター

    ダイアログ ボックスが展開され、フィールド マップ パラメーターが表示されます。

    RegID フィールドと LIQUEFACTION_RISK フィールドは警告アイコン 警告 でマークされます。入力データセット内に同じ名前のフィールドがないためです (このため、入力フィールドがターゲット フィールドと一致する必要があるデフォルト設定でツールを実行すると、失敗します)。

    前に確認したように、Sites テーブルの RegisterNumber フィールドと Historic Places テーブルの RegID フィールドは、どちらも歴史登録番号を含んでいます。 フィールド名は異なるが、値が関連している場合、フィールド マップを使用してこれらのフィールドを手動で一致させることができます。

  5. フィールド マップ パラメーターで、[編集] 編集 をクリックします。

    [フィールド プロパティ] ダイアログ ボックスが表示されます。

  6. [フィールド プロパティ] ダイアログ ボックスの [フィールド] リストで、RegID フィールドが選択されている (青色でハイライト表示されている) ことを確認します。 入力フィールドのリストをスクロールして [RegisterNumber] フィールドをクリックします。

    フィールド プロパティ ダイアログ ボックスに RegID フィールドと一致する RegisterNumber フィールドが表示される

    [アクションとソース フィールド]RegisterNumber フィールドがタグとして表示され、これがソース フィールドとして RegID フィールドと一致していることが示されます。 警告アイコンが RegID フィールドから削除されます。

    LIQUEFACTION_RISK フィールドは一致しない状態のまま残しておきます。Sites テーブル内に対応するフィールドがないためです。 ツールを実行すると、2 つの新しいレコードが Historic Places テーブルに追加されます。 属性は次のように処理されます。

    • フィールドを一致させるため、Sites テーブル内の値が Historic Places テーブル内の対応するフィールドに追加されます。 たとえば、Address フィールドに住所が追加され、RegID フィールドには登録番号が追加されます。
    • 一致するフィールドがない Historic Places テーブル内のフィールドは、追加されたレコードに NULL 値が設定されます。 つまり、LIQUEFACTION_RISK フィールドには NULL 値が設定されるようになります。
    • 一致するフィールドがない Sites テーブル内のフィールドは、Historic Places テーブルに追加されません。 ここには DateRegistered フィールドや LocalAuthorityName フィールド、その他いくつものフィールドが含まれます。

    注意:

    前に確認したように、2 つの Heritage Sites の空間座標は度 (10 進) で表されます。 [アペンド (Append)] ツールがこれらの座標を、ターゲット データセットの座標系に自動的に投影します。これが NZGD 2000 New Zealand Transverse Mercator です。

  7. [フィールド プロパティ] ダイアログ ボックスで [OK] をクリックします。

    [アペンド (Append)] ツールはジオプロセシング ツールの 1 つで、ジオプロセシング結果を元に戻すことができるものです。 このチュートリアルでは、[[元に戻す] の有効化] 切り替えボタンはオフにしたままですが、これを他の状況で使用できるようにしたいと思います。

  8. [アペンド (Append)] ツールで [OK] をクリックします。
  9. ツールが完了したら、[Historic Places] 属性テーブルをアクティブにします。

    テーブル ビューの下部で、テーブルに現在 324 のレコードが存在することを確認できます (前より 2 つ増えています)。

  10. テーブル ビューの下部で [末尾に移動] テーブルの最終行に移動 をクリックして、テーブルの端まで移動します。

    レコードが追加された Historic Places テーブル

    Sites レイヤーから 2 つのレコードがテーブルに追加されました。 予想どおり、これらのレコードの Liquefaction Risk フィールドは NULL 値になっています。

  11. クライストチャーチの市街地のマップ ビューをアクティブにします。 [コンテンツ] ウィンドウで、[Sites] レイヤーをオフにします。

    追加された 2 つのフィーチャが表示されたマップ

    追加されたフィーチャは、マップ上の正しい位置に表示されます。 これで、[Sites] レイヤーは不要になりました。

  12. [コンテンツ] ウィンドウで、[Sites] レイヤーを右クリックして [削除] 削除 をクリックします。

    作業を終了するには、新しいフィーチャの液状化リスクの値を特定して、テーブルに追加します。

  13. [クイック アクセス ツールバー][プロジェクトの保存] プロジェクトの保存 をクリックします。

新しいフィーチャのリスク ゾーンの特定

新しいフィーチャは空間結合の後に追加されたので、Liquefaction Risk フィールドには NULL 値が設定されています。 [マップ操作] ツールを使用して、これらのフィーチャの値を見つけます。

  1. リボンの [マップ] タブで、[マップ操作] ツール マップ操作ツール のドロップダウン矢印をクリックし、[表示レイヤー] をクリックします。
  2. マップ上で、Moncks Cave を表す、Historic Places レイヤー内の新しいフィーチャをクリックします (2 つの新しいフィーチャのうち、かなり北側にある方)。

    表示レイヤーの値を示すポップアップ

    ポップアップでは、Moncks Cave が液状化リスク ゾーンにあるものの、損害の可能性が低い部分に含まれることを確認できます。

  3. 必要に応じて、ポップアップを邪魔にならない場所に移動します。 マップ上で、Rotten Row Baches の新しいフィーチャをクリックします。

    このフィーチャは非住居エリアにあります。

    注意:

    Liquefaction Risk レイヤーがポップアップに表示されない場合は、フィーチャを拡大してもう一度クリックします。 このフィーチャはレイヤー範囲のエッジにあります。 範囲外をクリックすると、結果は得られません。

  4. [ポップアップ] ウィンドウを閉じます。
  5. リボンの [マップ] タブで、[マップ操作] ツール マップ操作ツール のドロップダウン矢印をクリックし、[最上位レイヤー] をクリックして、デフォルト設定に戻します。

フィールド値の計算

フィールド演算では、ユーザーが記述した式に基づいてテーブルの値を更新します。 今回は、更新する必要があるのは 2 つの値のみで、テーブル セルを手動で編集する可能性もあります。 しかし、数百または数千個の値を更新する必要がある場合には、フィールド演算が不可欠です。 フィールド演算を使用すると、データ入力ミスのリスクも最小限に抑えられます。

  1. Historic Places 属性テーブルをアクティブにします。 テーブルで、323 番の行ヘッダー (行の左端にあるグレーの四角形) をクリックして、Moncks Cave のレコードを選択します。
  2. [Liquefaction Risk] フィールド見出しを右クリックして、[フィールド演算] フィールド演算 をクリックします。

    [フィールド演算] ダイアログ ボックスが表示されます。 ダイアログ ボックス上部のメッセージにより、ツールが入力テーブルを変更することが警告されます。

    [入力テーブル] パラメーターのデフォルトは Historic Places です。 切り替えボタンは、選択したレコードに対してのみ値が計算されることを示しています。 [フィールド名 (既存または新規)] パラメーターのデフォルトは Liquefaction Risk です。 [式の種類] パラメーターのデフォルトは Python です。

    計算する式を定義します。 Moncks Cave の現在の NULL 値を、Damage unlikely 値に置き換える必要があります。

  3. [フィールド] リストで、[Liquefaction Risk] をクリックして選択します。 [値の挿入] ドロップダウン矢印をクリックして、[Damage unlikely] をクリックします。

    フィールド演算ダイアログ ボックス

  4. [OK] をクリックします。

    Historic Places テーブルで、Moncks Cave の NULL 値が更新されます。

  5. テーブルで、324 番の行ヘッダーをクリックして、Rotten Row Baches のレコードを選択します。
  6. [Liquefaction Risk] フィールド見出しを右クリックして、[フィールド演算] フィールド演算 をクリックします。

    前と同じように、[入力テーブル] および [フィールド名 (既存または新規)] パラメーターは正しくデフォルト設定されます。 式を変更する必要があります。デフォルトは以前に設定したものです。

  7. 式ボックスで、式 ["Damage unlikely"] を削除します。
  8. [フィールド] リストで、[Liquefaction Risk] をクリックして選択します。 [値の挿入] ドロップダウン矢印をクリックして、[Nonresidential area] をクリックします。

    式が表示されたフィールド演算ダイアログ ボックスの一部

  9. [OK] をクリックします。

    Historic Places テーブルで、Rotten Row Baches の NULL 値が更新されます。

    これで作業は完了です。 歴史的な場所のそれぞれが液状化リスクの値を持ち、それを使用して、その場所の維持および再構築の安全に関する要件を評価できるようになりました。 ユーザーが各自で Historic Places レイヤーを操作し、液状化リスクに基づく個別値でシンボル表示したり、サマリー統計のテーブルを作成した方がよい場合もあります。

  10. テーブル ビュー上部のツールバーで、[選択解除] 選択解除 をクリックして、選択したレコードを解除します。
  11. 開いているテーブルとデータ エンジニアリング ビューを閉じます。
  12. [コンテンツ] ウィンドウで [Historic Places] レイヤーを右クリックし、[レイヤーにズーム] レイヤーにズーム をクリックします。
  13. [クイック アクセス ツールバー][プロジェクトの保存] プロジェクトの保存 をクリックします。

このチュートリアルでは、空間結合を使用して、ポリゴン レイヤーにある地震の液状化リスクの属性を、歴史的な場所のポイント レイヤーに追加しました。 データ エンジニアリング ビューで、結合テーブルのプロパティを探索しました。 .csv ファイルをマップ レイヤーに変換し、このレイヤーのフィーチャを歴史的な場所のレイヤーに追加しました。 最後に、追加したレコードの値を計算して、欠落した情報を埋めました。

空間結合についてさらに学習する場合は、「ArcGIS Pro の基本操作」および「空間結合を使用した属性の借用」のチュートリアルをご参照ください。 データ エンジニアリングの詳細については、「ArcGIS Pro におけるデータ エンジニアリング」シリーズの記事とチュートリアルをご参照ください。 既存のデータの更新中に新しいデータをレイヤーに追加する方法については、「ArcGIS Pro[アペンド (Append)] ツールを使用したデータセットのアップサート」をご参照ください。

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