Spatial Analyst のライセンスで利用可能。
セル ベースのモデリングを理解する最も簡単な方法は、ラスター全体という観点 (鳥瞰的なアプローチ) からではなく個々のセルの観点 (虫瞰的なアプローチ) から考えることです (Tomlin, 1994)。 ラスター データセット内のセルの検討 セルは位置を表し、値を持っています。 Spatial Analyst のどのツールも、定義された一連のルールに基づいて自分の持つ値を操作または保持するよう促します。
出力値の計算
Spatial Analyst ツールを使用して指定の位置 (セル) の出力値を計算する場合は、次の情報を知っておく必要があります。
- 指定した位置 (セル) の値
- 値に対して実行される操作
- 計算に含む他のセルの位置と値
各セルの計算プロセス
計算プロセスは、Spatial Analyst ツールのラスター データセット内の位置 (セル) ごとに実行されます。 どのツールもセルごとに作用し、各セルでのそれぞれの計算では該当するセルの値、適用された操作、および計算に含まれるその他のセルの位置を知る必要があります。 ツールのドキュメントには、値を操作する方法の背景にあるロジックが解説されています。
ツールは値の処理方法に基づいて各カテゴリに分類されているため、自分の位置の値だけを知っておけば出力値を計算できるようなツール (指定された指数を使って、自分の値を累乗するツールなど) もあります。 また、指定の位置が属するラスター データセット内の他の位置の値を算出するツール (自分の近傍範囲を見るフォーカル ツールや、他のラスター データセットで定義された範囲内のセルの位置および値を含むゾーンツール) もあります。
多くのツールでは、操作 (計算) の実行方法をユーザー定義のパラメーターを使って細かく指定できます。 たとえば、フォーカル ツールの各計算に含めるセルは指定する近傍によって変わってきます。
特定のツールの計算プロセス
特定のツールに適用される計算プロセスの例を以下に示します。
- [Power] ツール: このツールをラスター データセットに適用すると、自分の位置の値を取得し、その値を他のラスターデータセット内のセル位置と同じ位置にあるセルの値で定義される乗数によって累乗し出力値を返します。
- [Cos] ツール - このツールをラスター データセットに適用する場合は、指定した位置の値と、出力値に返す値の余弦の計算方法を知る必要があります。
- [距離累積 (Distance Accumulation)] ツール: このツールを適用すると、自分の位置を取得し、最も近いソース (ソース データセットによって定義される) から自分の位置までの距離を自分の位置の出力値として返します。
- [フォーカル統計 (Focal Statistics)] ツール: このツールを 3 x 3 の近傍範囲の最大値を見つけるために適用すると、まず自分の位置の値と自分のすぐ隣にある 8 個の近傍セルの値を取得します。 次に 9 つの値について指定した統計情報を計算し、結果を自分の位置の出力値とします。
- [ゾーン統計 (Zonal Statistics)] ツール: このツールを [平均値] オプションを指定して適用すると、自分の位置の値を知り、自分のセルと同じゾーン (ゾーン ラスターデータセットによって定義される) に属するすべてのセルの値の平均値を取得します。
参考情報
Tomlin, D. 1994, "Map Algebra: one perspective". Landscape and Urban Planning. Vol 30, Issues 1-2.