合成開口レーダー (SAR) センサー タイプは数多く存在し、それぞれにプロダクト タイプと偏波が異なります。 能動的なセンシングを通じて、SAR 衛星は昼夜休みなく機能します。
Capella
Capella は高解像度の SAR 商用超小型衛星コンステレーションです。 X バンド センサーが中心周波数 9.65 GHz (波長は約 3.1 cm) で運用されています。 衛星は Stripmap (SM)、Sliding Spotlight (SS)、Spotlight (SP) という 3 つの画像取得モードでデータを収集し、最大 0.5 メートルの解像度で 20 キロメートルの範囲まで到達します。 3 つのモードすべてに単偏波 (HH または VV) プロダクトが含まれます。
偏波 | バンド | 波長 (cm) |
---|---|---|
HH | X | 3.1 |
VV | X | 3.1 |
プロダクト タイプ
Capella Geocoded Ellipsoid Corrected (GEC)、Geocoded Terrain Corrected (GEO)、Sensor Independent Complex Data (SICD) プロダクトがサポートされています。
- GEC - これらのプロダクトは、マルチルック処理され、地球楕円体モデルを使用してグランド レンジに投影され、range-Doppler 手法とシーンの中心の平均的な高さを使用してオルソ補正された画像です。 GEC 画像は実数値の配列として格納されます。 各ピクセルの値は、反射した後方散乱信号の振幅を表しています。 GEC プロダクトには、ほぼ正方形の解像度のピクセルと正方形のピクセル空間が含まれています。
- GEO - これらのプロダクトは、マルチルック処理され、デジタル標高モデル (DEM) を使用してグランド レンジに投影され、range-Doppler 手法と DEM を使用してオルソ補正された画像です。 GEO 画像は実数値の配列として格納されます。 各ピクセルの値は、反射した後方散乱信号の振幅を表しています。 GEO プロダクトには、ほぼ正方形の解像度のピクセルと正方形のピクセル空間が含まれています。
- SICD - これらのプロダクトは、スラント レンジの Single Look Complex (SLC) 画像です。 SLC 画像は複素数値の配列として格納されます。 各ピクセルの 1 つの複素数値は、反射した後方散乱信号の振幅と位相を表しています。
処理テンプレート
利用できる処理テンプレートは次のとおりです。
- Stripmap - Stripmap モードのデータのみが処理されます。
- Sliding Spotlight - Sliding Spotlight モードのデータのみが処理されます。
- Spotlight - Spotlight モードのデータのみが処理されます。
次の偏波が使用できます。
- HH - レーダー シグナルは、水平方向に送信され、水平方向に受信されます。
- VV - レーダー シグナルは、垂直方向に送信され、垂直方向に受信されます。
ラスター プロダクトのサポート
ラスター プロダクトは Capella プロダクト ディレクトリにあります。ここでは、.json ファイルがラスター プロダクト コンテナーを表します。
.json ファイルを展開すると、利用可能なモードごとにラスター プロダクトが表示されます。 ラスター コンテナーとラスター プロダクトの両方を ArcGIS Pro に読み込めます。 Capella データには単偏波があるため、ラスター プロダクトは単一バンド ラスターとして読み込まれます。
Capella の詳細は、Capella Space の Web サイトをご覧ください。
ICEYE
ICEYE は高解像度の SAR 商用超小型衛星コンステレーションです。 X バンド センサーが中心周波数 9.65 GHz (波長は約 3.1 cm) で運用されています。 衛星は Stripmap (SM)、Spotlight (SL)、Scan (SC) という 3 つの画像取得モードでデータを収集し、最大 1 メートルの解像度で 100 キロメートルの範囲まで到達します。 3 つのモードすべてに単偏波 (VV) プロダクトが含まれます。
偏波 | バンド | 波長 (cm) |
---|---|---|
VV | X | 3.1 |
プロダクト タイプ
ICEYE Ground Range Detected (GRD) および Sensor Independent Complex Data (SICD) プロダクトがサポートされています。
- GRD - このプロダクトは、マルチルック処理され、地球楕円体モデルを使用してグランド レンジに投影された画像です。 GRD 画像は実数値の配列として格納されます。 各ピクセルの値は、反射した後方散乱信号の振幅を表しています。 GRD プロダクトには、ほぼ正方形の解像度のピクセルと正方形のピクセル空間が含まれています。
- SICD - これらのプロダクトは、スラント レンジの Single Look Complex (SLC) 画像です。 SLC 画像は複素数値の配列として格納されます。 各ピクセルの 1 つの複素数値は、反射した後方散乱信号の振幅と位相を表しています。
処理テンプレート
利用できる処理テンプレートは次のとおりです。
- Scan - Scan モードのデータのみが処理されます。
- Stripmap - Stripmap モードのデータのみが処理されます。
- Spotlight Extended Area - Spotlight Extended Area モードのデータのみが処理されます。
- Spotlight High - Spotlight High モードのデータのみが処理されます。
ICEYE プロダクトでは VV 偏波を使用できます。 この偏波では、レーダー シグナルは垂直方向に送信され、垂直方向に受信されます。
ラスター プロダクトのサポート
ラスター プロダクトは ICEYE プロダクト ディレクトリにあります。ここでは、.xml ファイルがラスター プロダクト コンテナーを表します。
.xml ファイルを展開すると、利用可能なモードごとにラスター プロダクトが表示されます。 ラスター コンテナーとラスター プロダクトの両方を ArcGIS Pro に読み込めます。 ICEYE データには単偏波があるため、ラスター プロダクトは単一バンドラスターとして読み込まれます。
ICEYE の詳細については、ICEYE の Web サイトをご参照ください。
RADARSAT-2
RADARSAT-2 は MDA と Canadian Space Agency (CSA) の共同 SAR ミッションです。 太陽同期軌道上 (798 キロメートル) の C バンド SAR 衛星であり、中心周波数 5.404 GHz (波長は約 5.547 cm) で運用されています。 衛星は 20 個の画像取得モードでデータを収集し、最大 1 メートルの解像度で 530 キロメートルの範囲まで到達します。 RADARSAT-2 のさまざまなモードが単偏波 (HH または VV)、二重偏波 (HH+HV または VV+VH)、四重偏波 (HH+VV+HV+VH) のオプションに対応しています。
偏波 | バンド | 波長 (cm) |
---|---|---|
HH | C | 5.5 |
VV | C | 5.5 |
HV | C | 5.5 |
VH | C | 5.5 |
プロダクト タイプ
RADARSAT-2 SAR Georeferenced Extra (SGX)、SAR Georeferenced Fine (SGF)、ScanSAR Narrow Beam (SCN)、ScanSAR Wide Beam (SCW)、ScanSAR Fine (SCF)、ScanSAR Sample (SCS)、Single Look Complex (SLC) プロダクトがサポートされています。
- SGX、SGF、SCN、SCW、SCF、SCS - これらのプロダクトは、マルチルック処理され、地球楕円体モデルを使用してグランド レンジに投影された画像です。 グランド レンジ画像は実数値の配列として格納されます。 各ピクセルの値は、反射した後方散乱信号の振幅を表しています。 グランド レンジ プロダクトには、ほぼ正方形の解像度のピクセルと正方形のピクセル空間が含まれています。
- SLC - これらのプロダクトは、スラント レンジの画像です。 SLC 画像は複素数値の配列として格納されます。 各ピクセルの 1 つの複素数値は、反射した後方散乱信号の振幅と位相を表しています。
RADARSAT-2 プロダクトでは、次の偏波が使用できます。
- HH - レーダー シグナルは、水平方向に送信され、水平方向に受信されます。
- VV - レーダー シグナルは、垂直方向に送信され、垂直方向に受信されます。
- HV - レーダー シグナルは、水平方向に送信され、垂直方向に受信されます。
- VH - レーダー シグナルは、垂直方向に送信され、水平方向に受信されます。
- HH HV - 二重 HH+HV 偏波。
- VV VH - 二重 VV+VH 偏波。
- HH VV HV VH - 四重偏波。
処理テンプレート
利用できる処理テンプレートは次のとおりです。
- Fine - Fine モードのデータのみが処理されます。
- Fine Quad Polarization - Fine Quad Polarization モードのデータのみが処理されます。
- High Incidence - High Incidence モードのデータのみが処理されます。
- Low Incidence - Low Incidence モードのデータのみが処理されます。
- Multi-Look Fine - Multi-Look Fine モードのデータのみが処理されます。
- ScanSAR Narrow - ScanSAR Narrow モードのデータのみが処理されます。
- ScanSAR Wide - ScanSAR Wide モードのデータのみが処理されます。
- SpotlightA - SpotlightA モードのデータのみが処理されます。
- Standard - Standard モードのデータのみが処理されます。
- Standard Quad polarization - Standard Quad polarization モードのデータのみが処理されます。
- Ultrafine - Ultrafine モードのデータのみが処理されます。
- Wide - Wide モードのデータのみが処理されます。
ラスター プロダクトのサポート
ラスター プロダクトは RADARSAT-2 プロダクト ディレクトリにあります。ここでは、product.xml ファイルがラスター プロダクト コンテナーを表します。
.xml ファイルを展開すると、利用可能なモードとタイプごとにラスター プロダクトが表示されます。 ラスター コンテナーとラスター プロダクトの両方を ArcGIS Pro に読み込めます。 利用可能な偏波はラスター プロダクトでバンドとして表されます。
RADARSAT-2 の詳細については、MDA の Web サイトをご参照ください。
RADARSAT Constellation Mission (RCM)
RADARSAT Constellation Mission (RCM) は最新世代の CSA C バンド SAR 衛星コンステレーションです。 地球低軌道 (586 ~ 615 キロメートル) に等間隔で配置される 3 つの同一衛星で構成され、中心周波数 5.404 GHz (波長は約 5.547 cm) で運用されています。 衛星は 12 個の画像取得モードでデータを収集し、最大 3 メートルの解像度で 500 キロメートルの範囲まで到達します。 RCM のさまざまなモードが単偏波 (HH または VV)、二重偏波 (HH+HV または VV+VH または HH+VV)、四重偏波 (HH+VV+HV+VH)、小型偏波 (CH+CV) のオプションに対応しています。
偏波 | バンド | 波長 (cm) |
---|---|---|
HH | C | 5.5 |
VV | C | 5.5 |
HV | C | 5.5 |
VH | C | 5.5 |
CH | C | 5.5 |
CV | C | 5.5 |
プロダクト タイプ
RCM Ground Range Detected (GRD) プロダクトが、GeoTIFF 形式と NITF 形式の両方でサポートされています。 これらのプロダクトは、マルチルック処理され、地球楕円体モデルを使用してグランド レンジに投影された画像です。 GRD 画像は実数値の配列として格納されます。 各ピクセルの値は、反射した後方散乱信号の振幅を表しています。 GRD プロダクトには、ほぼ正方形の解像度のピクセルと正方形のピクセル空間が含まれています。
処理テンプレート
利用できる処理テンプレートは次のとおりです。
- Low Resolution 100m - Low Resolution 100m モードのデータのみが処理されます。
- Medium Resolution 50m - Medium Resolution 50m (High Incidence と High PRF を含む) モードのデータのみが処理されます。
- Medium Resolution 30m - Medium Resolution 30m モードのデータのみが処理されます。
- Medium Resolution 16m - Medium Resolution 16m モードのデータのみが処理されます。
- High Resolution 5m - High Resolution 5m モードのデータのみが処理されます。
- Very High Resolution 3m - Very High Resolution 3m モードのデータのみが処理されます。
- Low Noise - Low Noise モードのデータのみが処理されます。
- Ship Detection - Ship Detection モードのデータのみが処理されます。
- Spotlight - Spotlight モードのデータのみが処理されます。
- Quad-polarization - Quad-polarization モードのデータのみが処理されます。
RCM プロダクトでは、次の偏波が使用できます。
- HH - レーダー シグナルは、水平方向に送信され、水平方向に受信されます。
- VV - レーダー シグナルは、垂直方向に送信され、垂直方向に受信されます。
- HV - レーダー シグナルは、水平方向に送信され、垂直方向に受信されます。
- VH - レーダー シグナルは、垂直方向に送信され、水平方向に受信されます。
- CH - レーダー シグナルは、環状に送信され、水平方向に受信されます。
- CV - レーダー シグナルは、環状に送信され、垂直方向に受信されます。
- HH HV - 二重 HH+HV 偏波。
- VV VH - 二重 VV+VH 偏波。
- HH VV - 二重 HH+VV 偏波。
- CH CV - 二重小型偏波。
- HH VV HV VH - 四重偏波。
RCM の各画像取得モードが異なる入射角範囲で定義された複数のビームでデータを取得します。 各ビームには、画像取得構成に基づいてビーム ニーモニックと呼ばれる固有の名前があります。 対象の処理テンプレートと偏波タイプの RCM ラスター タイプ プロパティ ページでニーモニックを使用して、対象のビームを選択できます。
ラスター プロダクトのサポート
ラスター プロダクトは RCM データセット ディレクトリにあります。ここでは、manifest.safe ファイルがラスター プロダクト コンテナーを表します。
manifest.safe ファイルを展開すると、モードごとにラスター プロダクトが表示されます。 ラスター コンテナーとラスター プロダクトの両方を ArcGIS Pro に読み込めます。 利用可能な偏波はラスター プロダクトでバンドとして表されます。
RCM コンステレーションの詳細については、Canadian Space Agency の Web サイトをご参照ください。
Sentinel-1
Sentinel-1 は、European Space Agency (ESA) の C-band SAR 衛星コンステレーションで、2 つの極軌道衛星 (Sentinel-1A と Sentinel-1B) で構成されています。 いずれも中心周波数は 5.405 GHz (波長は約 5.547 cm) で運用されています。 衛星は Stripmap (SM)、Interferometric Wide Swath (IW)、Extra-Wide Swath (EW)、Wave (WV) という 4 つの画像取得モードでデータを収集し、最大 5 メートルの解像度で 400 キロメートルの範囲まで到達します。 SM、IW、EW モードでは、単偏波 (HH または VV) と二重偏波 (HH+HV または VV+VH) を選択できますが、WV モードでは単偏波 (HH または VV) のみを選択できます。
偏波 | バンド | 波長 (cm) |
---|---|---|
HH | C | 5.5 |
VV | C | 5.5 |
HV | C | 5.5 |
VH | C | 5.5 |
プロダクト タイプ
Sentinel-1 Ground Range Detected (GRD) および Single Look Complex (SLC) プロダクトがサポートされています。
- GRD - これらのプロダクトは、マルチルック処理され、地球楕円体モデルを使用してグランド レンジに投影された画像です。 GRD 画像は実数値の配列として格納されます。 各ピクセルの値は、反射した後方散乱信号の振幅を表しています。 GRD プロダクトには、ほぼ正方形の解像度のセルと正方形のピクセル空間が含まれています。
- SLC - これらのプロダクトは、スラント レンジの画像です。 SLC 画像は複素数値の配列として格納されます。 各ピクセルの 1 つの複素数値は、反射した後方散乱信号の振幅と位相を表しています。
処理テンプレート
現在、Sentinel-1 ラスター タイプは、IW、SM、EW モードの以下のレベル 1 プロダクトのみをサポートしています。
- All Swaths - データのすべてのモードが追加されます。 これはデフォルトのテンプレートで、基本的なビジュアライゼーションに使用されます。
- EW - EW のデータのみが処理されます。
- EW1-EW5 - EW サブスワス データ 1 ~ 5 のみがそれぞれ処理されます。
- IW - IW のデータのみが処理されます。
- IW1 - IW サブスワス 1 データのみが処理されます。
- IW2 - IW サブスワス 2 データのみが処理されます。
- IW3 - IW サブスワス 3 データのみが処理されます。
- S1-S6 - SM モード スワス データ 1 ~ 6 のみがそれぞれ処理されます。
Sentinel-1 プロダクトでは、次の偏波が使用できます。
- HH - レーダー シグナルは、水平方向に送信され、水平方向に受信されます。
- VV - レーダー シグナルは、垂直方向に送信され、垂直方向に受信されます。
- HV - レーダー シグナルは、水平方向に送信され、垂直方向に受信されます。
- VH - レーダー シグナルは、垂直方向に送信され、水平方向に受信されます。
- HH HV - 二重 HH+HV 偏波。
- VV VH - 二重 VV+VH 偏波。
ラスター プロダクトのサポート
ラスター プロダクトは .SAFE ディレクトリにあります。ここでは、manifest.safe ファイルがラスター プロダクト コンテナーを表します。 manifest.safe ファイルを展開すると、モードごとにラスター プロダクトが表示されます。 ラスター コンテナーとラスター プロダクトの両方を ArcGIS Pro に読み込めます。 利用可能な偏波はラスター プロダクトでバンドとして表されます。
Sentinel-1 の詳細については、European Space Agency の Web サイトをご参照ください。