属性代替を使用すると、ユーティリティ ネットワークでの値の反映方法を変更することができます。このためには、ネットワークのトレースに応じて値をフィーチャで動的に転置できるようにします。 実際には、ネットワークの 1 つのセクション内のすべてのフィーチャに反映する値の属性を変更する代わりに、ネットワークのそのセクションに反映する 1 つのデバイスまたはジャンクションで属性代替を使用して、ネットワークの 1 つの部分のフェーズを変更することができます。
属性代替値を使用して、サブネットワークをトレースまたは更新するときにネットワーク属性を再計算します。 層内のすべてのサブネットワークのデフォルト定義または標準定義を表現するには、[サブネットワーク定義の設定 (Set Subnetwork Definition)] ツールで、層内のサブネットワークに対して属性代替値を設定します。 操作 (更新またはトレース) の実行中にこの定義を変更する場合は、ModelBuilder を使用して適切なツールにアクセスするか、Python を通じてプログラムで適切なツールにアクセスします。
属性代替を処理するには、データベース フィールドのネットワーク属性を構成します。 代替は一種のネットワーク属性であり、その値を使用して、属性代替カテゴリがアセット タイプに割り当てられているフィーチャに反映される値が算出されます。 この後、結果として生成される代替値を使用して、次の接続フィーチャの値が算出されます。 属性代替を使用するには、属性の反映を構成する必要があります。
計算の観点から、代替によって、ネットワーク属性のビット セット内の各ビットが別のビットにマッピングされます。 たとえば、電気ネットワークのフェーズを考察します。 この例では、システムで管理されたインライン ネットワーク属性を使用して、3 ビットまたはそれ以上 (構成によって異なる) の bitset を Phase フィールドに格納します。 各ビットはフェーズ A、B、C を表し、2 の累乗を使用してビットが構成されます。 例:
- A、B、C は 2^2、2^1、2^0 であり、それぞれ A = 4、B = 2、C = 1 になります。
次に、元の値を合算して、AB = 6、AC = 5、BC = 3、ABC = 7 のような組み合わせを構成します。 これらの値は、Phase フィールドで構成されたコード値ドメインにある値と同じです。 フェーズごとのドメイン値とビット値を次の表に示します。
フェーズ | ドメイン値 | ビット値 |
---|---|---|
非通電 | 0 | N/A |
C | 1 | 2^0 |
B | 2 | 2^1 |
BC | 3 | 2^1 + 2^0 |
A | 4 | 2^2 |
AC | 5 | 2^2 + 2^0 |
AB | 6 | 2^2 + 2^1 |
ABC | 7 | 2^2 + 2^1 + 2^0 |
この情報を使用すると、あるフェーズ値で別のフェーズ値を代替するトレース操作を表すネットワークに関連付けられた情報を構成できます。 たとえば、フェーズ A が存在する場合はフェーズ B で代替し、非通電でフェーズ B および C を代替します。 このように変更した結果、フェーズ A が存在するフィーチャがフェーズ B として扱われ、フェーズ B または C が存在するフィーチャが非通電として扱われます。 このようにして算出された値は、代替として構成されたフィーチャの別のフィールドに格納されます。
代替値の計算
代替値を正しく計算し、属性代替を構成するには、3 つの全ビットの下にそれぞれ 3 つのビットがあるという観点で考察し、ビット A、B、C がどのようになるかについての代替を記述する必要があります。 3 ビットのシステムでは、9 ビットが処理対象になります。 4 ビットのシステムでは、A、B、C にニュートラルを追加して、16 になります。
A が B、B が非通電、C が非通電 (ABC->B00) になる Electric Utility Network Foundation ソリューションの 3 ビット システムの例に注目すると、この代替の作成方法をより良く理解することができます。 最初の位置でビット A がビット B に切り替わり、代替ビットが 7 になります。非通電でフェーズ B または C を代替する場合、値を指定する必要はありません。 この代替を作成するには、128 の値、つまり 2^7 を使用します。
A から | B から | C から | |
---|---|---|---|
A へ | 256 (2^8) | 32 (2^5) | 4 (2^2) |
B へ | 128 (2^7) | 16 (2^4) | 2 (2^1) |
C へ | 64 (2^6) | 8 (2^3) | 1 (2^0) |
代わりに、フェーズ B でフェーズ A を代替し、フェーズ C でフェーズ B を代替し、フェーズ A でフェーズ C を代替した場合 (ABC->BCA)、結果は次の画像のようになり、A が B、B が C、C が A になります。 この代替を作成するには、140 の値、つまり 2^7 + 2^3 + 2^2 (128 + 8 + 4 = 140) を使用します。
A から | B から | C から | |
---|---|---|---|
A へ | 256 (2^8) | 32 (2^5) | 4 (2^2) |
B へ | 128 (2^7) | 16 (2^4) | 2 (2^1) |
C へ | 64 (2^6) | 8 (2^3) | 1 (2^0) |
これらの電気フェーズの代替の例についての詳細は、ソリューションのデータ ディクショナリにある、電力装置レイヤーの phasessubstituted フィールドをレビューしてください。
代替値を反映される値と組み合わせて使用する方法
代替値を反映される値と組み合わせて使用する方法を理解するために、電気回路のフェーズを示す次の画像を考察してください。 反映される値は、左側の電源制御装置フィーチャから取得された ABC です。 T とマークされた三角形のフィーチャはタップを表しています。つまり、そのアセット タイプには、システムが提供するカテゴリ (サブネットワーク タップ) のタグが付いています。 解析操作でタップが検出されると、1 つの代替値が設定されている場合に、その代替値を使用して属性代替が行われます。 たとえば、128 という値で 3 ビットを表す場合は、次のようになります。
- A が B になります。
- B が非通電になります。
- C が非通電になります。
次の接続フィーチャの反映される値は、タップ上で計算された代替値の結果です。 次の例では、タップに AC というネットワーク属性値があり、再計算されて B になります。 一連のフェーズ内で A を含む後続の各フィーチャは、解析操作の実行中に B に置き換えられます。
上の図では、黒色のラベル値はネットワーク属性 (フェーズ) を表し、紫色のラベル値は代替ネットワーク属性を表し、青色のラベル値は反映されるネットワーク属性値を表しています。 最初のタップの右側に接続されたフィーチャには、反映される値として B が表示されていない点に注意してください。 これは、タップ フィーチャにサブネットワーク タップ ネットワーク カテゴリが割り当てられているためであり、タップの代替値は、主軸 (タップがミッドスパンになっているライン) に接続されていないフィーチャにしか影響を与えることができません。
注意:
サブネットワーク タップ カテゴリが示されたネットワーク フィーチャは、必ずライン上のミッドスパンでなければなりません。それ以外の場合は、ネットワーク トポロジの検証を行うと、エラーになります。
2 つ目のタップの右側に接続されたフィーチャにも同じ値があり、最初のタップに至るまで下に反映されています (青色の B で表されている)。 2 つ目のタップの下に接続されたフィーチャには下線付きの B があり、新しく反映された値が 2 つ目のタップから算出されることを示しています。
代替により、反映された値の結果をさらに調整できます。 上記の例と下記の例を考察してください。 上記の例では、2 つ目の下流のタップが通電され、代替によって A が B になり、B と C が非通電になります。 下記の例では、代替によって A が非通電になり、C が B になり、B が非通電になり、2 つ目の下流のタップが非通電になり、(この例で左側の 128 の代わりに右側の代替値 2 を使用して) タップとそのタップから出ていくすべてのフィーチャが事実上非通電になります。
代替の反映の使用
反映される値 (属性代替を含む) は、フィーチャの値または関連付けられたネットワーク属性値のオーバーライドに使用されません。 サブネットワークをエクスポートするときには、抽出された情報の中に反映された値が格納されます。 サブネットワークを更新したら、反映された値を Propagated Attribute フィールド (定義されている場合) に格納することができます。 このフィールドは、層の構成時に [サブネットワーク定義の設定 (Set Subnetwork Definition)] ツールを使用して設定します。 この例では、代替属性と反映される属性 (どちらも任意指定) を含むプロパゲーターが構成された層を示しています。
上記の画像で構成されたプロパゲーターを使用すると、この層内のサブネットワークを更新した場合に、この画像で Attribute フィールドとして定義されている Phases Current ネットワーク属性が反映されます。 サブネットワーク カテゴリが属性代替であるフィーチャを通過する場合は、Substitution Attribute フィールドで定義されている PhasesSubstituted ネットワーク属性を使用して代替値がチェックされます。 結果として反映された値 (該当する場合は代替を含む) は、Propagated Attribute フィールドで定義されている phaseenergized フィールドに書き込まれます。
代替属性を使用するフィーチャの定義
属性代替ネットワーク カテゴリはシステムが提供するネットワーク カテゴリで、属性代替が考慮されるアセット タイプをユーザーが指定できるようになります。 このカテゴリを含むフィーチャでは、属性代替が考慮されます。
このカテゴリは、構成時にユーティリティ ネットワークの管理者が [ネットワーク カテゴリの設定 (Set Network Category)] ツールを使用してアセット タイプに対して設定します。 属性代替を構成するには、ModelBuilder または Python を使用して、既存の層に対して [サブネットワーク定義の設定 (Set Subnetwork Definition)] ツールを実行します。
属性代替の設定の概要
属性代替は、ユーティリティ ネットワークの管理者が構成します。 次の手順は、属性代替を確立するために必要な手順であり、「属性の反映」トピックに示された例に基づいて作成されています。
- [属性代替] ネットワーク カテゴリを特定のアセット グループおよびアセット タイプのクラスに割り当てます (たとえば、[ジャンクション] フィーチャクラスの電気 [タップ])。
- 反映される値を代替する方法の決定に使用される値を格納するフィールドを作成します。 この操作は、[代替属性] ネットワーク カテゴリのアセット タイプが設定されているクラスでのみ必要となります。
- コード値ドメインを作成し、ステップ 2 で作成したフィールドに割り当てます。 たとえば、値 128 は、3 ビットのシステムでデコード時に A が B になり、B が非通電になり、C が非通電になることを意味します。 ユーザーに必要な各代替を表すコード値を追加します。 ここまでの 3 ビットの例を次に示します。
コード 説明 2
C が B になり、AB が非通電になる
128
A が B になり、BC が非通電になる
140
A が B になり、B が C になり、C が A になる
- Substitution Attribute のネットワーク属性を追加し、反映されるネットワーク属性の代替になるように設定します。 このためには、[ネットワーク属性の追加 (Add Network Attribute)] ツールで [代替] パラメーターをオンにして、[代替するネットワーク属性] ドロップダウン メニューから該当するネットワーク属性を選択します。
- [ネットワーク属性の設定 (Set Network Attribute)] ツールを使用して、この代替ネットワーク属性をステップ 2 で作成したフィールドに割り当てます。
- [サブネットワーク定義の設定 (Set Subnetwork Definition)] ツールを使用して、解析イベント実行中の反映に使用する属性代替を定義します。 このためには、[サブネットワーク定義の設定 (Set Subnetwork Definition)] ツールを ModelBuilder のモデルに追加します。 ModelBuilder で、次の手順を実行します。
- モデル内の [サブネットワーク定義の設定 (Set Subnetwork Definition)] ツールを右クリックして [変数の作成] を選択した後、[パラメーターから] をクリックしてから [プロパゲーター] をクリックします。
- モデルに追加した [プロパゲーター] パラメーターをダブルクリックして、属性を適切に反映します。