Pipeline Referencing の時間対応

Location Referencing ライセンスで利用可能です。

ArcGIS Pipeline Referencing では、ルート、イベント、および交点が時間の経過を伴ってどのように変化するかを、迅速に表示および解析できます。 この機能をサポートするため、すべてのリニア リファレンス データは時刻をサポートしています。 すべてのルート、イベント、および交点フィーチャクラスには、ルートおよびイベントの編集ワークフローが実行されるたびに Pipeline Referencing によって管理および更新される時間の列が含まれています。

LRS 内の時間

次のサンプルは、ルートの編集時にフィーチャが受ける影響を示しています。 また、ArcGIS Pro のタイム スライダーを使用した、ルートの履歴リプレゼンテーションの表示方法も示しています。

Route 157A は 2000 年 1 月 1 日に作成されたため、開始日は 1/1/2000、終了日は未定のため <null> になっています。

ルート名ルート ID開始日終了日

Route 157A

{063E593B-0FCA-4B28-A93B-91BF1694F15A}

1/1/2000

<NULL>

作成されたルート

このルートは、2005 年 5 月 10 日を発効日として再配置されました。 Pipeline Referencing でルートが再配置された際、元の (履歴) ルートと再配置された (新しい) ルートに対して 1 つずつ、計 2 つのレコードが作成されました。 このプロセスは、タイム スライスと呼ばれます。 再配置時に、次の変更が発生しました。

  • 元のルート フィーチャが 2005 年 5 月 10 日を終了日として更新されました。
  • 同じルート名とルート ID を使用して、2005 年 5 月 10 日を開始日とする新しいルート フィーチャが作成され、再配置を反映して異なる形状およびキャリブレーションが生成されました。

ルート名ルート ID開始日終了日

Route 157A

{063E593B-0FCA-4B28-A93B-91BF1694F15A}

1/1/2000

5/10/2005

Route 157A

{063E593B-0FCA-4B28-A93B-91BF1694F15A}

5/10/2005

<NULL>

元のルート
1/1/2000
再配置されたルート
5/10/2005

[イベントの振舞いを適用 (Apply Event Behaviors)] ジオプロセシング ツールが実行されると、編集の影響を受けたルート上のイベントにも同様の時間の変更が適用されます。

プロジェクト内のレイヤーで時間を有効にした場合、ArcGIS Pro のタイム スライダーを使用して、時間の経過に伴うルートの変化を表示することができます。 また、プロジェクト内のレイヤーで時間を有効にすると、タイム スライダーを使用して、時間の経過に伴うイベントおよび交点レイヤーへの変更を表示できます。

その他の編集および読み込みシナリオでの時間

次のセクションでは、Pipeline Referencing での時間のサポートが、ユーザーの編集およびイベントの読み込みにどのような影響を与えるかについて説明します。

時間制限のある編集

時間が編集結果に影響を与える編集シナリオは他にもあります。

過去にルートを編集した際に、ルートの最新の終了日よりも前の発効日を選択した場合、その編集は次の終了日までに制限されます。

上記の Route 157A の例では、再配置の結果、ルートに 2 つのレコードが生成されました。

ルート名ルート ID開始日終了日

Route 157A

{063E593B-0FCA-4B28-A93B-91BF1694F15A}

1/1/2000

5/10/2005

Route 157A

{063E593B-0FCA-4B28-A93B-91BF1694F15A}

5/10/2005

<NULL>

2003 年 3 月 6 日を発効日としてルートの始点に対して廃止を実行した場合、編集後のルートには 3 つのタイム スライスが含まれるようになります。

ルート名ルート ID開始日終了日

Route 157A

{063E593B-0FCA-4B28-A93B-91BF1694F15A}

1/1/2000

3/6/2003

Route 157A

{063E593B-0FCA-4B28-A93B-91BF1694F15A}

3/6/2003

5/10/2005

Route 157A

{063E593B-0FCA-4B28-A93B-91BF1694F15A}

5/10/2005

<NULL>

元のルート
1/1/2000
廃止されたルート
3/6/2003
再配置されたルート
5/10/2005

2003 年 3 月 6 日を発効日とする廃止は、それが適用されたレコード (2000 年 1 月 1 日 ~ 2005 年 5 月 10 日) の既存の終了日 (2005 年 5 月 10 日) までしか適用されません。 編集の影響を受けたルート上のイベントや交点にも、同様の時間の変更が適用されます。 編集を 2005 年 5 月 10 日以降のルート レコードに適用する必要がある場合、そのルートの 2005 年 5 月 10 日 〜 <null> レコードにも編集を実行することができます。

同じ日付での同じルートに対する複数の編集

1 つのルートに対して同じ発効日で複数の編集を実行した場合、開始日と終了日が同じルートおよびイベントが生成され、これらが有効になる時間範囲が存在しません。 これらのレコードは時間的に存在しないため、データベースから削除されます。

次の例は、同じルートに同じ発効日で複数のルート編集を実行した場合にフィーチャがどのような影響を受けるかを示しています。

元のルート

Route 8530B は、2010 年 6 月 1 日に作成され、2015 年 9 月 15 日に延長されました。この結果、ルートには 2 つのレコードが生成されました。

ルート名ルート ID開始日終了日

Route 8530B

{51E77E33-5CC2-4A52-A181-AA860D220323}

6/1/2010

9/15/2015

Route 8530B

{51E77E33-5CC2-4A52-A181-AA860D220323}

9/15/2015

<NULL>

元のルート
6/1/2010
延長されたルート
9/15/2015

また、同じ日 (2015 年 9 月 15 日) を発効日としてルートが再配置されました。 ルートの再配置が実行された後、開始日と終了日の両方が 2015 年 9 月 15 日に設定された延長を含むルートのレコードを維持するのではなく、レコードが削除され、ルートの延長と再配置の両方を反映した新しいレコードが作成されました。 2 つのレコードは、延長および再配置前後のルートを示しています。

ルート名ルート ID開始日終了日

Route 8530B

{51E77E33-5CC2-4A52-A181-AA860D220323}

6/1/2010

9/15/2015

Route 8530B

{51E77E33-5CC2-4A52-A181-AA860D220323}

9/15/2015

<NULL>

元のルート
6/1/2010
延長および再配置されたルート
9/15/2015

イベントを読み込む際の時間の影響

Pipeline Referencing のイベント フィーチャクラスにも時間列があります。 イベント レコードがイベント フィーチャクラスに読み込まれると、基になるルートのタイム スライスに基づいて異なる形状が生成されることがあります。 イベントが配置されているルートは、イベント レコードを時間で分割する必要があるかどうかを判断する際に使用されます。

たとえば、Route 550CH には、時間全体で 2 つの異なるレコードが存在します。

ルート名ルート ID開始日終了日

Route 550CH

{1D5C1AFA-915E-4095-9D33-71F657E17F70}

4/15/2012

1/1/2016

Route 550CH

{1D5C1AFA-915E-4095-9D33-71F657E17F70}

1/1/2016

<NULL>

開始日が 2014 年 8 月 10 日、終了日が 2016 年 12 月 31 日の Route 550CH 上の EventID 1601 のイベントが [イベントの追加 (Append Events)] ジオプロセシング ツールを使用して読み込まれた場合、このイベントは時間全体でルートの両方のレコードにまたがっており、異なる形状が生成される可能性があるため、イベントは 2 つのイベント レコードに分割されます。

イベント IDルート名開始日終了日

Event 1601

Route 550CH

8/10/2014

1/1/2016

Event 1601

Route 550CH

1/1/2016

12/31/2016