Spatial Analyst のライセンスで利用可能。
概要
水平コスト係数と鉛直コスト係数とともにサーフェス距離を考慮に入れて、コスト サーフェスの最小累積コストに基づき、各セルの最小コスト ソースを計算します。
パスの距離ツールの詳細
これはグローバル ラスター関数です。
備考
パスの距離関数は、ラスター サーフェス上の位置ごとにソースとの最小累積移動コストを求めるという点でコスト距離関数と同等です。 ただし、パスの距離関数では、他の水平方向ファクターと垂直方向ファクターに加えて実際のサーフェス距離を考慮できるため、解析がさらに複雑になります。
NoData 値のセルは、パスの距離関数ではバリアとして機能します。 NoData 値の背後にあるセルのコスト距離は、NoData バリアを回避するのに必要な累積コストによって計算されます。 いずれかの入力ラスターで NoData が割り当てられたセル位置は、すべての出力ラスターで NoData になります。
[最大距離] は [コスト ラスター] と同じコスト単位で指定します。
出力ラスターの場合、セルから一部のソース位置までの最小コスト距離 (または最小累積コスト距離) は、セルから全ソース位置までの最小コスト距離の下限です。
水平方向ファクターの修飾子のデフォルト値は次のとおりです。
Keywords Zero factor Cut angle Slope Side value -------------- ----------- ----------- ----- --------- Binary 1.0 45 ~ ~ Forward 0.5 45 (fixed) ~ 1.0 Linear 0.5 181 1/90 ~ Inverse linear 2.0 180 -1/90 ~
鉛直方向ファクターの修飾子のデフォルト値は次のとおりです。
Keyword Zero Low High Slope Power Cos Sec factor cut cut power power angle angle ------------------------ ------ ----- ----- ----- ----- ----- ----- Binary 1.0 -30 30 ~ ~ ~ ~ Linear 1.0 -90 90 1/90 ~ ~ ~ Symmetric linear 1.0 -90 90 1/90 ~ ~ ~ Inverse linear 1.0 -45 45 -1/45 ~ ~ ~ Symmetric inverse linear 1.0 -45 45 -1/45 ~ ~ ~ Cos ~ -90 90 ~ 1.0 ~ ~ Sec ~ -90 90 ~ 1.0 ~ ~ Cos_sec ~ -90 90 ~ ~ 1.0 1.0 Sec_cos ~ -90 90 ~ ~ 1.0 1.0 Hiking time ~ -70 70 ~ ~ ~ ~ Bidirectional hiking time ~ -70 70 ~ ~ ~ ~
傾斜方向関数の出力は、[水平方向ラスター] パラメーターへの入力に使用できます。
ソースの特性、またはソースに対する移動者は、特定のパラメーターで制御できます。 [ソースのコスト乗数] パラメーターは、移動のモードまたはソースの強度を決定します。[ソースの開始コスト] は、移動開始前の開始コストを設定します。[ソースの耐性率] は、ハイカーの疲労度のシミュレーションなど、累積コストの影響を考慮した動的な調整を表します。[ソースの許容値] は、制限に達するまでソースが許容できるコストの量を設定します。 [移動方向] は、移動者がソースを起点としてソース以外の場所に移動するか、ソース以外の場所を起点としてソースへ戻るかを識別します。
フィールドを使用してソース特性パラメーターを指定した場合、そのソース特性は、指定されたソース データのフィールド内の情報に従い、ソースごとに適用されます。 キーワードまたは定数値が指定された場合は、すべてのソースに適用されます。
[ソースの開始コスト] が指定されている場合、出力コスト距離サーフェス上のソース位置が [ソースの開始コスト] の値に設定されます。そうでない場合は、出力コスト距離サーフェス上のソース位置はゼロに設定されます。
この関数は、並列処理をサポートしています。 お使いのコンピューターに、複数のプロセッサや、複数のコアを持つプロセッサが搭載されている場合は、特に対象となるデータセットが大きいときにパフォーマンスが向上します。 この機能とこの機能の構成方法の詳細については、「Spatial Analyst による並列処理」をご参照ください。
並列処理を使用する場合、処理中のデータ チャンクを処理するために一時データが書き込まれます。 デフォルトの一時フォルダーの場所は、ローカルの C ドライブ上です。 このフォルダーの場所は、「TempFolders」という名前のシステム環境変数を設定し、使用するフォルダーへのパスを指定することで変更できます (例: E:\RasterCache)。 コンピューター上で管理者権限を持っている場合は、レジストリ キー (例: [HKEY_CURRENT_USER\SOFTWARE\ESRI\ArcGISPro\Raster]) を使用することもできます。
デフォルトでは、この関数は使用可能なコアのうちの 50% を使用します。 入力データのサイズが 5,000 セル x 5,000 セルよりも小さい場合、使用されるコア数はそれよりも少なくなります。 並列処理ファクター環境で、ツールが使用するコアの数を制御できます。
パラメーター
パラメーター名 | 説明 |
---|---|
ソース ラスター (必須) | 入力ソース位置。 これは、すべての出力セル位置の最小累積コスト距離が計算されるセルまたは位置を特定するラスター データセットです。 整数タイプまたは浮動小数点タイプのいずれかになります。 |
コスト ラスター: (必須) | 各セルを平面的に通過する際にかかるコストまたはインピーダンスを定義するラスター。 各セル位置の値は、そのセル上を通過するための単位距離あたりのコストを表します。 セルを通過する総コストを取得するために、各セル位置の値にセル解像度を乗算して、対角移動の補正も行います。 [コスト ラスター] として、整数値または浮動小数点値を使用できますが、負の値や 0 は使用できません。 |
サーフェス ラスター | 各セル位置の標高値を定義するラスター。 この値は、セル間を通過するときにたどる実際のサーフェス距離を計算するときに使用されます。 |
水平方向ラスター | 各セルの水平方向を定義するラスター。 ラスター上の値は 0 〜 360 の範囲の整数でなくてはいけません。0 度は北または画面の上方向を示し、値は時計回りに増加します。 平らなエリアには -1 という値を指定します。 各位置の値は [水平方向ファクター] パラメーターと組み合わせて使用され、あるセルから隣接セルに移動する際に発生する水平コストが求められます。 |
水平ファクター | 水平コスト ファクターと水平相対移動角度 (HRMA) の間の関係を定義します。 定義された鉛直方向ファクター グラフを特定する修飾子付きのファクターが複数存在します。 さらに、テーブルを使用してカスタム グラフを作成することもできます。 グラフを使用すると、隣接セルへの移動にかかる総コストを計算する際に使用される鉛直方向ファクターを特定できます。 以下の説明では、HF および HRMA という 2 つ略語を使用しています。 HF は Horizontal Factor (水平方向ファクター) を表し、1 つのセルから次のセルに移動する際に生じる水平方向の問題を意味します。 HRMA は Horizontal Relative Moving Angle (水平相対移動角度) を表し、1 つのセルからの水平方向と移動方向との間の角度を意味します。 [水平方向ファクター] タイプは以下のとおりです。
水平方向ファクターの修飾子は次のとおりです。
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鉛直方向ラスター | 鉛直コスト ファクターと鉛直相対移動角度 (VRMA) の間の関係を定義します。 この値は、あるセルから別のセルに移動するときに生じる鉛直方向ファクターを特定する傾斜角を計算するために使用されます。 |
鉛直方向ファクター | 鉛直コスト ファクターと鉛直相対移動角度 (VRMA) の間の関係を定義します。 定義された鉛直方向ファクター グラフを特定する修飾子付きのファクターが複数存在します。 さらに、テーブルを使用してカスタム グラフを作成することもできます。 グラフを使用すると、隣接セルへの移動にかかる総コストを計算する際に使用される鉛直方向ファクターを特定できます。 以下の説明では、VF および VRMA という 2 つ略語を使用しています。 VF は Vertical Factor (鉛直方向ファクター) を表し、1 つのセルから次のセルに移動する際に生じる鉛直方向の問題を意味します。 VRMA は Vertical Relative Moving Angle (鉛直相対移動角度) を表し、開始セル (つまり、処理セル) と終了セルとの間の傾斜角を意味します。 [鉛直方向ファクター] タイプは以下のとおりです。
鉛直方向ファクター キーワードの修飾子は次のとおりです。
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最大距離 | 累積コスト値が超えることのできない閾値。 累積コスト距離がこの値を超える場合、セル位置の出力値は NoData になります。 最大距離は、累積コスト距離を計算する範囲を定義します。 デフォルトは出力ラスターの範囲までです。 |
対象ラスター | 各入力ソース位置で使用するゾーン値を特定する入力整数ラスター。 ソース位置のセルごとに、[対象ラスター] で定義された値が、計算のためにソース位置に配分されたすべてのセルに割り当てられます。 [対象ラスター] は [ソース フィールド] の設定より優先されます。 |
ソース フィールド | ソース位置に値を割り当てるために使用するフィールド。 整数タイプでなければなりません。 [対象ラスター] を設定している場合、その入力値は [ソース フィールド] の設定より優先されます。 |
コストに適用する乗数 | コスト値に適用する乗数。 このパラメーターを使用すると、移動のモードまたはソースの強度を制御できます。 乗数が大きいほど、各セルの移動コストが大きくなります。 0 より大きい値を指定する必要があります。 デフォルトは 1 です。 このパラメーターには数値 (double) または [ソース ラスター] のフィールドを使用できます。 |
開始コスト | コスト計算を開始する際に使用される開始コストです。 このパラメーターを使用すると、ソースに関連付けられた固定コストを指定できます。 コスト アルゴリズムは、コスト 0 から開始する代わりに、設定された値から開始します。 値は 0 以上である必要があります。 デフォルトは 0 です。 |
累積コスト耐性率 | このパラメーターは、累積コストの増加に伴う、コストに対処する労力の増加をシミュレートします。 これは、移動者の疲労をモデル化するのに使用されます。 セルに到達するまでに増加した累積コストが耐性率で乗算され、次のセルに移動するコストに追加されます。 これは、複利率の計算式の変更バージョンであり、セルの移動による見かけコストの計算に使用されます。 耐性率の値が増えると、後に移動するセルのコストが増加します。 耐性率が大きいほど、次のセルに到達するための追加コストが大きくなります。これは、移動するごとに大きくなります。 耐性率は複利と似ており、累積コストの値は一般に非常に大きいため、耐性率は累積コストの値に応じて 0.005 やこれより小さいレートをお勧めします。 0 より大きい値を指定する必要があります。 デフォルトの許容値は出力ラスターのエッジまでです。 |
容量 | ソースに対する移動者のコスト許容値を定義します。 指定した許容値に達するまで、各ソースのコスト計算が続行されます。 0 より大きい値を指定する必要があります。 デフォルトの許容値は出力ラスターのエッジまでです。 |
移動方向 | ソースの耐性率を適用する際の、移動者の方向を定義します。
[ソースから] または [ソースへ] キーワードを選択します。これは、すべてのソースに適用されます。または、[ソース ラスター] から、各ソースの移動方向を識別するキーワードを含むフィールドを指定します。 このフィールドには、文字列「FROM_SOURCE」または「TO_SOURCE」が含まれている必要があります。 |
環境設定
グローバル関数のジオプロセシング環境設定は、アプリケーション レベルで制御されます。 ArcGIS Pro での処理環境の設定は、[解析] タブの [環境] ボタンをクリックして行うことができます。 環境設定の詳細については、「解析環境と Spatial Analyst」をご参照ください。
このグローバル関数では、次の環境がサポートされています。