イベント ギャップの検索

ArcGIS Pro Standard ライセンスと Data Reviewer ライセンスで利用できます。

サマリー

[イベント ギャップの検索] チェックは、ルートの日時期間全体で、同じルート上または複数のルートにまたがり、ギャップがあるリニア リファレンス イベントを検索します。

サポートされているワークフロー

ArcGIS Data Reviewer のチェックは、データの自動レビューを実装するための複数の方法をサポートしています。 次の表に、このチェックでサポートされている実装方法を示します。

属性ルール タイプサポート

検証

はい

(ArcGIS Pro 3.1 および ArcGIS Enterprise11.1 以降)

制約

いいえ

概要

[イベント ギャップの検索] チェックは、同じルート内または複数のルート間で、同じカテゴリのイベント間のギャップを含むリニア リファレンス イベントを検索します。 たとえば、同じカテゴリに同じルート上に登録された 2 つの速度制限イベントがあり、それらのイベントがルートの長さをカバーしていないので、ギャップが生じている場合があります。 このチェックでは、ルート、イベント、ルート キャリブレーションなど、リニア リファレンス システムのすべてが日時に依存するため、日時が重要な要素として考慮されます。 たとえば、ルート上の速度制限イベントは、特定の日時期間にのみ有効である場合があります。

注意:

[イベント ギャップの検索] チェックは、ルートのネットワーク フィーチャクラスに作成する必要があります。

業界シナリオ

このチェックは次のようなシナリオで使用できます。

  • 道路管理では、55 マイル/時 (mph) を表す速度制限イベントは、対応するルート フィーチャのメジャー全体をカバーする必要があります。
  • パイプライン管理でパイプラインの腐食を防ぐために、ギャップのない状態で地下資源に適用された保護コーティングの計測記録により、レポートの正確性と地下フィーチャの安全性が確保されます。

次の画像は、同じルート内または複数のルートにまたがり他のイベントとの間にギャップがあるリニア エラー イベントを赤色で示しています。

ギャップのあるイベント

日付フィルターの使用した時間による結果の絞り込み

ルートは、特定の日時における高速道路などのリニア イベントを表します。 ルート上のイベントを検索すると、ルートがアクティブだった期間中にアクティブだったイベントのみが表示されます。 イベント ギャップの検索チェックでは、ルートがアクティブになった時間から現時点までのすべてのイベント ギャップが特定されます。

過去の不要な結果を回避するために、イベント ギャップの検索チェックは、属性フィルターとイベント ソース フィルターという 2 つのフィルター パラメーターを提供しています。

フィルター 1: 属性

  • [属性] - 特定のルートを評価します。 例: RouteID が 020000000000014-D より大きいルートのクエリ: Where RouteID is greater than 020000000000014-D
    ルート属性フィルター

フィルター 2: イベント ソース

  • [イベント ソース] - 指定した日付でイベント ギャップの評価を絞り込みます。 例: 1/1/1988 以降のイベント ギャップのクエリ: Where FROM_DATE is on or after 1/1/1988 0:00:00
    イベント ソース フィルター

フィルターのシナリオ例

次のシナリオ例では、以下に表示されるルート (青でハイライト表示) に、速度制限イベント (黄色でハイライト表示) が部分的に重なっています。 この重複により、イベント ギャップの検索チェックを使用するとエラーが発生します。

ルート イベントに重なっている速度制限イベント

ただし、速度制限イベントと対応するルートの間には、時間の不一致があります。 速度制限イベントは 1/1/1988 から有効ですが、対応するルートは 1/1/1911 から有効です。

速度制限イベント

イベント IDルート ID始点メジャー終点メジャー開始日終了日

123

Route 2 NS-98429

0

0.04699747

1/1/1988

プレゼンテーション

上記のシナリオを使用した場合、イベント ギャップの検索チェックを使用して時間エラーの重複を特定するときに発生する可能性のあるさまざまな結果のリストを以下に示します。

イベント フィルターを使用しないでチェックを実行するシナリオ

イベント フィルターを使用しないでイベント ギャップの検索チェックを実行すると、ルート全体の長さをカバーするエラー ジオメトリが結果として返されます。 エラー メッセージには、2 つのタイム スライス エラーがリストされます。

エラー説明

Event Gap (<イベント フィーチャクラス名>) on (<ルート フィーチャクラス名>) (<ObjectID 番号>) between measures 0 and 0.04699747 during the time period 1/1/1911 to 1/1/1988.

1/1/1911 ~ 1/1/1988 において、速度制限がルート全体の長さをカバーしていないことが原因です。

between measures 0.22693 and 0.04699747 during time period 1/1/1988 to present time.

1/1/1988 ~現時点において、既存の速度制限イベントがルートの長さを部分的にカバーしていることが原因です。

ルート全体の長さをカバーするエラー ジオメトリ

イベント フィルターを使用してチェックを実行するシナリオ

1/1/1988 以降にイベント フィルターを使用してイベント ギャップの検索チェックを実行すると、チェックの結果として次のエラー メッセージが表示されます。[Event Gap (<イベント フィーチャクラス名>) on (<ルート フィーチャクラス名>) (<ObjectID 番号>) between measures 0.22693 and 0.04699747 during the time period of 1/1/1988 to present time.]。 このエラーは、指定されたタイム フレーム中にイベント ジオメトリがルートの長さを部分的にカバーしていることが原因です。

ルートの長さを部分的にカバーするエラー ジオメトリ

構文

パラメーター必須説明ワークフロー

サブタイプ

いいえ

ルールが適用されるサブタイプ。

検証

属性

いいえ

評価対象のルート数を絞り込むためにルート フィーチャに対して作成できるクエリ。

クエリ例: Route ID is greater than or equal to 100023011

検証

イベント プロパティ/ルート識別子

はい

イベントをルートに関連付けるために使用する値を含むフィールドの名前。

このフィールドは、数値データ タイプでなければなりません。

検証

ルート プロパティ/ルート開始日

はい

ルートの開始日を定義する値を含むフィールドの名前。

このフィールドは、日付データ タイプでなければなりません。

検証

ルート プロパティ/ルート終了日

はい

ルートの終了日を定義する値を含むフィールドの名前。

このフィールドは、日付データ タイプでなければなりません。

検証

イベント プロパティ/イベント ソース

はい

ギャップの検証対象となる、ルート ネットワークに登録されたライン イベント。

検証

イベント プロパティ/ルート識別子

はい

イベントをルートに関連付けるために使用する値を含むフィールドの名前。

このフィールドは、数値データ タイプでなければなりません。

検証

フィルター

いいえ

時間で結果を絞り込むためにイベント フィーチャに対して作成できるクエリ。

クエリ例: FromDate is on or after 3/3/2010 は、3/3/2010 以降のみに存在するギャップをエラーとして返します。 3/3/2010 より前のギャップには、エラーを返しません。

検証

イベント プロパティ/始点メジャー

はい

ポイントまたはリニア イベント フィーチャの始点メジャー値を含むフィールドの名前。

このフィールドは、数値データ タイプでなければなりません。

検証

イベント プロパティ/終点メジャー

はい

リニア イベント フィーチャの終点メジャー値を含むフィールドの名前。

このフィールドは、数値データ タイプでなければなりません。

検証

イベント プロパティ/イベント開始日

はい

ポイントまたはリニア イベント フィーチャの開始日を定義する値を含むフィールドの名前。

このフィールドは、日付データ タイプでなければなりません。

検証

イベント プロパティ/イベント終了日

はい

ポイントまたはリニア イベント フィーチャの終了日を定義する値を含むフィールドの名前。

このフィールドは、日付データ タイプでなければなりません。

検証

メジャー許容値

いいえ

特定の許容値に基づくイベント ギャップの検出時に使用されるオプションの値。

デフォルトでは、リニア リファレンス システムの M 許容値が使用されます。

検証

名前

はい

ルールの一意の名前。

この情報は、データ品質要件のトレーサビリティ、自動レポート、および修正ワークフローのサポートに使用されます。

検証

説明

いいえ

非準拠フィーチャが検出されたときに定義するエラーの説明。

この情報は、修正ワークフローのガイダンスを提供するために使用されます。

検証

重要度

いいえ

非準拠フィーチャが検出された時点で割り当てられるエラーの重要度。

この値は、他のエラーに対するこのエラーの重要度を示します。 値の範囲は 1 ~ 5 で、1 は最高優先順位を示し、5 は最低優先順位を示します。

検証

タグ

いいえ

ルールのタグ プロパティ。

この情報は、データ品質要件のトレーサビリティとレポートをサポートするためのルール作成および管理ワークフローで使用されます。

検証

備考

チェックを使用する際には、次の点に留意してください。

  • チェックは、ルートのネットワーク フィーチャクラスに作成する必要があります。
  • このチェックは、ライン フィーチャクラスに格納されるイベントの検証をサポートしています。
  • 必要に応じて、無効なメジャーを持つイベントを検出する場合に使用する [許容値] の値を定義できます。 この値は、入力ルート フィーチャの M 許容値を下回ることはできません。

    空間参照のプロパティの詳細

  • ルート フィーチャは m 対応でなくてはならず、Roads and Highways または Pipeline Referencing の LRS に登録されている必要があります。
  • このチェックは、ジオデータベースに格納され、ArcGIS Roads and Highways または ArcGIS Pipeline Referencing のリニア リファレンス システム (LRS) に登録されたイベントの検証をサポートしています。
  • ルート ID フィールド (数値データ タイプ) は、すべてのルートおよびイベント フィーチャで必須です。
  • ルート識別フィールドに属性フィールドを使用すると、ダイナミック セグメンテーション処理を高速化できます。
  • 非単調ルート フィーチャに関連付けられたイベントは、このチェックでは評価されません。 非単調ルートとは、連続性のあるメジャー値、または狭義単調増加でも狭義単調減少でもないメジャー値を含むルートのことです。

    単調性チェックは、修正が必要な非単調ルートを検索するために使用されます。

  • 検証のステータスが [2 (計算不要、検証必要、エラーなし)][3 (計算不要、検証必要、エラーあり)][6 (計算必要、検証必要、エラーなし)]、または [7 (計算必要、検証必要、エラーあり)] の入力フィーチャのみが、ルールの評価時に考慮されます。
  • [属性] フィルター パラメーターには、比較演算子 (=<>><>=<=) および論理演算子 (AND/ORIN/NOT INLIKE/NOT LIKEIS NULL) のみを使用できます。
  • [属性] フィルター パラメーターでは、フィールド タイプとして、Big IntegerDate OnlyTime OnlyTimestamp Offset を使用できません。 これらのタイプが選択されると、行ヘッダーが赤色で示され、ルールを保存できなくなります。