サブネットワークのライフ サイクル

サブネットワークは、層内のユーティリティー ネットワークのトポロジーのサブセットを表します。サブネットワークでは、属しているすべてのフィーチャに、同じ「サブネットワーク コントローラー」に対する通過可能性があります。 サブネットワークのライフ サイクルは、そのサブネットワークが作成された時点から始まり、ユーザーが管理したり編集したりするさまざまな段階があり、そのサブネットワークが削除された場合にのみ終了します。 通常、サブネットワークに対してあらゆるサブネットワーク管理タスクを実行すると、サブネットワークのライフ サイクルを最もよく理解できます。

ある層の [サブネットワーク ポリシーの更新] がサブネットワーク テーブル上の Status (Is dirty属性) を管理するように構成されている場合は、次のタスクにより、サブネットワークのライフ サイクルをまとめることができます:

• 「サブネットワーク コントローラーの設定」-「サブネットワークを作成」するには、1 つ以上のネットワーク フィーチャをサブネットワーク コントローラーとして設定します。 サブネットワークの名前は、デバイスまたはジャンクション オブジェクト上のターミナルをサブネットワーク コントローラーとして設定した時点で定義されます。 コントローラーを既存のサブネットワークに追加しても、変更したフィーチャの検証が終了するまで、既存のサブネットワークのステータスは変わりません。 サブネットワークを作成した場合、サブネットワーク コントローラーのステータスを表すレコードは「サブネットワーク テーブル」にも「SubnetLine フィーチャクラス」にも存在しません。
• 「ネットワーク トポロジーの検証」- ネットワーク トポロジーに変更内容を反映するために、変更したネットワーク フィーチャの検証を行います。 検証操作中にトレースが実行されて変更されたサブネットワークが検出され、検出されたサブネットワークのステータスが Dirty に変わります。
• 「サブネットワークの更新」- サブネットワークの更新操作を実行すると、すべてのサブネットワーク コントローラーからトレースが行われ、変更したフィーチャのサブネットワーク名が更新され、SubnetLine フィーチャクラス内でそのサブネットワークのレコードが作成または更新され、「サブネットワーク システム ダイアグラム」が更新され、すべてのコントローラーのステータスが Clean に変わります。 サブネットワークの更新操作の実行中に一貫性の検証での不合格またはサブネットワーク エラーが検出された場合は、すべてのコントローラーのステータスが Invalid に変わります。
• 「サブネットワークの変更」- サブネットワークの名前を変更するか、サブネットワークにサブネットワーク コントローラーを追加するか、サブネットワークからサブネットワーク コントローラーを削除するために、サブネットワークを変更します。 これらのワークフローでは、新しいサブネットワーク コントローラーの設定と同じ方法でサブネットワークが変更されます。 変更内容の検証を行い、サブネットワークを更新して、ステータスを Clean に変更する必要があります。
• 「サブネットワーク コントローラーの削除」- サブネットワーク コントローラーを削除するには、[サブネットワーク コントローラーの変更] ウィンドウを使用してターミナルからサブネットワーク コントローラーの設定を削除します。 これにより、サブネットワーク テーブル内でそのコントローラーの isDeleted 属性が True に設定されます。 サブネットワークのコントローラーは、他のコントローラーがまだサブネットワークに接続されている場合に限り、削除することができます。 そうでない場合、サブネットワークを更新すると、エラーが返されます。 これらのワークフローでは、新しいサブネットワーク コントローラーの設定と同じ方法でサブネットワークが変更されます。 変更内容の検証を行い、サブネットワークを更新して、ステータスを Clean に変更する必要があります。
• 「サブネットワーク情報のエクスポート」- [サブネットワークのエクスポート (Export Subnetwork)] ツールを使用して、サブネットワークに関する情報を .json ファイルにエクスポートします。 これで、その情報を停電管理プログラムや資産追跡プログラムなどの外部システムで利用できるようになります。 サブネットワークのステータスを Clean に設定して、エクスポート対象にする必要があります。
• 「サブネットワークの削除」- サブネットワークをユーティリティー ネットワークの層から削除するには、そのサブネットワークを定義しているすべてのサブネットワーク コントローラーを削除します。 削除すると、サブネットワーク コントローラーのレコードが削除済みとしてマークされ、ネットワーク トポロジーを更新するためにサブネットワークの更新操作が実行されるため、ネットワーク フィーチャが解析操作でコントローラーとして扱われなくなります。 [エクスポートを承認済みに設定] パラメーターをオンにして [サブネットワークのエクスポート (Export Subnetworks)] ツールを実行すると、削除したサブネットワークに関する情報がエクスポートされ、サブネットワーク テーブルから行が削除されるので、効果的にサブネットワークを層から削除できます。

次の図は、サブネットワーク テーブル上の Status を管理するように構成された層内のサブネットワークのライフ サイクルを示しています。

ある層の [サブネットワーク ポリシーの更新] が Status 属性を管理するように構成されていない場合は、サブネットワークのライフ サイクルは簡略化されます。 このシナリオでは、サブネットワークの更新操作の成否に関係なく、サブネットワークが常に Dirty として表示されます。 次の図は、サブネットワーク テーブル上の Status を管理するように構成されていない層内のサブネットワークのライフ サイクルを示しています:

サブネットワークのステータス

サブネットワーク管理に使用できるさまざまなツールが用意されており、これらのツールはサブネットワークの状態 (ステータス) に影響を与えます。 サブネットワークのステータスによって、サブネットワークに対して実行できる操作が決まります。

サブネットワークはクリーン、ダーティー、無効のいずれかです。 このステータスは、サブネットワーク テーブルの Status(Is dirty) フィールドで追跡され、更新すると、サブネットワークのすべてのサブネットワーク コントローラーに適用されます。 サブネットワークのステータスは、次のように定義されています。

• ダーティー - ダーティーなサブネットワークとは、サブネットワークの更新操作でまだ処理されていない検証済みの編集内容を含むサブネットワークです。 「ネットワーク トポロジーの検証」を行うと、サブネットワーク内のネットワーク フィーチャのジオメトリーまたはネットワーク属性が変更された時点で、そのサブネットワークのコントローラーが検出され、ダーティーとしてマークされます。 ダーティーなサブネットワークのサブネットワーク テーブル内のすべてのコントローラーの Status が Dirty に設定されます。
• 無効 - 無効なサブネットワークとは、サブネットワークの更新操作の実行中に「一貫性の検証での不合格」または「サブネットワーク エラー」が検出されたサブネットワークです。 このような不合格やエラーを解決するには、影響を受けたネットワーク フィーチャのジオメトリーまたはネットワーク属性を変更し、検証を行ってサブネットワークのステータスを更新し、そのステータスを Dirty に変更する必要があります。 無効なサブネットワークはサブネットワークの更新操作の実行中に無視されるため、そのサブネットワークをもう一度更新して、Clean としてマークする前に、ダーティーに設定しておく必要があります。 無効なサブネットワークのサブネットワーク テーブル内のすべてのコントローラーの Status が Invalid に設定されます。

  注意:

  「エンタープライズ配置」を操作する場合、無効なサブネットワークのステータスをサポートするロジックには、ArcGIS Enterprise 11.1 以降が必要です。

• クリーン - クリーンな (一貫性のある) サブネットワークとは、正常に更新されたサブネットワークです。 サブネットワーク テーブル内のすべてのコントローラー、SubnetLine フィーチャクラス内のレコード、サブネットワーク システム ダイアグラム、変更したネットワーク フィーチャのさまざまなフィールドが更新され、ネットワーク トポロジーに加えられた変更内容と同期されます。 クリーンなサブネットワークのサブネットワーク テーブル内のすべてのコントローラーの Status が Clean に設定されます。

サブネットワーク管理タスクとその影響

次の表は、ユーティリティー ネットワークに対して実行できるさまざまな編集のうち、サブネットワークまたはサブネットワーク コンポーネントの状態に影響を与えるものを示しています。

• 操作 - 実行された操作の説明
• 操作の結果 - サブネットワークの変化のリスト

ネットワーク トポロジーの有効化/無効化

ネットワーク ルールの管理、ターミナル構成の変更、サブネットワーク エラーの解決、サブネットワーク定義の更新などの管理タスクを実行する場合には、ネットワーク トポロジーを無効にします。 無効化操作が完了すると、サブネットワーク テーブル内のすべてのサブネットワーク コントローラーと SubnetLine フィーチャクラス内のすべてのフィーチャがダーティーとしてマークされます。 ユーティリティー ネットワークを構成し、使用する準備が完了すると、ネットワーク トポロジーが有効になり、ダーティー エリアの操作、トレース、ネットワーク ダイアグラムの生成が可能になります。 有効化操作が完了すると、ネットワーク内で「トポロジー エラー」のあるフィーチャをマークするためにダーティー エリアが生成され、サブネットワーク テーブル内のすべてのサブネットワーク コントローラーがダーティーとしてマークされ、SubnetLine フィーチャクラス内のすべてのフィーチャがダーティーとしてマークされます。

ネットワーク トポロジーの有効化と無効化がサブネットワークのステータスに与える影響の概要を次の表に示します。

アクション	操作の結果
ネットワーク トポロジーを有効化します。	サブネットワーク テーブル内のすべてのサブネットワーク コントローラーがダーティーになります。 すべての SubnetLine レコードがダーティーになります。 すべてのサブネットワーク システム ダイアグラムがダーティーになり、システム ダイアグラムとしてマークされません。
ネットワーク トポロジーを無効化します。	サブネットワーク テーブル内のすべてのサブネットワーク コントローラーがダーティーとしてマークされます。 すべての SubnetLine レコードがダーティーになります。 すべてのサブネットワーク システム ダイアグラムがダーティーになり、システム ダイアグラムとしてマークされなくなります。

フィーチャの変更とネットワーク トポロジーの検証

ネットワーク フィーチャを作成するか、関連付け、ターミナル構成情報、ネットワーク属性、またはジオメトリーに編集を加えてネットワーク フィーチャを変更すると、ダーティー エリアが作成され、編集の場所がフラグで示されます。 これらのダーティー エリアは、ネットワークに変更が加えられたが、それがネットワーク トポロジーに反映されていないことを示すインジケーターとしての役割を果たします。 ネットワーク トポロジーの検証が終了すると、ダーティー エリアが消去されます。 ネットワーク フィーチャが検証に合格すると、ネットワーク トポロジーに変更内容が反映され、サブネットワーク テーブル内でそれに対応するサブネットワーク コントローラーと SubnetLine フィーチャが Dirty としてマークされます。 このダーティー状態は、サブネットワークのステータスとネットワーク トポロジーが同期していないことを示します。

注意:

REST API の「validateNetworkTopology」操作からの応答では、その操作の実行中にダーティーとしてマークされたサブネットワークの名前が返され、そのサブネットワークが discoveredSubnetworks として含まれているドメイン ネットワークおよび層も返されます。

フィーチャの変更とネットワーク トポロジーの検証がサブネットワークのステータスに与える影響の概要を次の表に示します。

アクション	操作の結果
ネットワーク フィーチャを作成または変更します。	サブネットワークのステータスに影響はありません。
ネットワーク トポロジーを検証します。	変更したサブネットワークのすべてのサブネットワーク コントローラーがサブネットワーク テーブル内で Dirty としてマークされます。 変更したサブネットワークのすべての SubnetLine レコードが Dirty としてマークされます。 変更したサブネットワークのすべてのサブネットワーク システム ダイアグラムがダーティーになります。

サブネットワークの更新

サブネットワークを更新すると、サブネットワーク テーブル内の情報、フィーチャおよびオブジェクトの属性が更新され、SubnetLine フィーチャクラス内のサブネットワーク ラインを作成または更新することができます。 更新操作の実行中にサブネットワーク エラーまたは一貫性の検証での不合格が検出されると、更新操作に失敗し、そのサブネットワークが Invalid としてマークされます。 詳細については、サブネットワークの更新をご参照ください。

サブネットワークの更新がサブネットワークのステータスに与える影響の概要を次の表に示します。

アクション

操作の結果

サブネットワークを更新します。

変更したサブネットワークのすべてのサブネットワーク コントローラーがサブネットワーク テーブル内で Clean としてマークされます。 変更したサブネットワークのすべての SubnetLine レコードが Clean としてマークされます。 すべてのサブネットワーク システム ダイアグラムがクリーンになります。 ある層の「サブネットワークの更新ポリシー」が「Is dirty属性」を管理しないように構成されている場合に、デフォルト バージョンから操作を実行すると、Is deleted 属性が true に設定されているすべてのサブネットワーク コントローラーが「サブネットワーク テーブル」から削除されます。 サブネットワークの更新操作の実行中にサブネットワーク エラーまたは一貫性の検証での不合格が検出されると、サブネットワークの更新操作に失敗し、次の処理が実行されます。 関連付けられたサブネットワークのすべてのサブネットワーク コントローラーがサブネットワーク テーブル内で Invalid としてマークされます。 関連付けられたサブネットワークのレコードは、SubnetLine フィーチャクラスで Invalid とマークが付けられます。 すべてのサブネットワーク システム ダイアグラムはダーティーのままになります。 既存の無効なサブネットワークはすべて、この操作で無視されます。

サブネットワーク コントローラーの削除とサブネットワークのエクスポート

システムからのサブネットワークの削除は頻繁に行われませんが、必要な場合は、サブネットワークを正しく削除するためのいくつかのステップを指定の順序で実行しなければなりません。 まず、[サブネットワーク コントローラーの変更] ウィンドウを使用してターミナルからサブネットワーク コントローラーの設定を削除して、「サブネットワーク コントローラーを削除」しておく必要があります。 この関連付けを解除すると、サブネットワーク テーブル内で関連付けられたサブネットワーク コントローラーの Is Deleted 属性が True としてマークされます。 ネットワーク フィーチャに他の変更を加えた場合と同様に、この操作でも、消去する必要のあるダーティー エリアが作成されます。 ネットワーク トポロジーの検証を行うと、トポロジーが最新の状態になるので、ターミナルが解析操作でサブネットワーク コントローラーとして扱われなくなります。 検証の後でサブネットワークを更新した場合は、そのサブネットワークが Clean としてマークされます。また、削除したコントローラーがそのサブネットワークの最後のコントローラーである場合は、そのサブネットワーク内の関連付けられたフィーチャからサブネットワーク名も削除されます。 削除したサブネットワーク コントローラーは、サブネットワークのエクスポート時に管理者がその削除を承認するまでシステム内に残ります。

サブネットワークのエクスポートは、外部システムで使用するための情報をクリーンなサブネットワークから .json ファイルにエクスポートする場合に最もよく実行されます。 削除済みのサブネットワーク コントローラーをサブネットワーク テーブルから削除する場合にも、「サブネットワークのエクスポート操作」を使用できます。 削除済みのコントローラーを削除するには、[エクスポートを承認済みに設定] パラメーターをオンにして [サブネットワークのエクスポート] ツールを実行します。 この操作を実行すると、SubnetLine フィーチャクラス内の Last ack export subnetwork フィールドが更新され、該当するコントローラーのレコードがサブネットワーク テーブルから削除され、そのサブネットワークに属している残りのすべてのコントローラーの Last Exported フィールドが更新されます。 サブネットワークのすべてのサブネットワーク コントローラーを削除した場合は、[エクスポートを承認済みに設定] パラメーターをオンにしてエクスポートを実行すると、サブネットワーク コントローラーがサブネットワーク テーブルから削除され、そのサブネットワークの SubnetLine フィーチャも削除されます。 これ以降、そのサブネットワークは層内での解析に使用できなくなります。

サブネットワーク コントローラーを削除した場合とサブネットワーク情報をエクスポートした場合にサブネットワークが受ける影響の概要を次の表に示します。

アクション	操作の結果
サブネットワーク コントローラーを削除します。	サブネットワークのステータスに影響はありません。 サブネットワーク テーブル内で関連付けられたサブネットワーク コントローラーの Is Deleted 属性が True としてマークされます。
サブネットワークをエクスポートします。	サブネットワークのステータスに影響はありません。 [エクスポートを承認済みに設定] パラメーターをオンにすると、次の処理が実行されます。 Is Deleted が True のすべてのサブネットワーク コントローラーがサブネットワーク テーブルから削除されます。 関連付けられたサブネットワークの SubnetLine レコードの Last ack export subnetwork フィールドが更新されます。